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個人間での融資は問題になる?

2021-08-05

個人間での融資は問題になる?

個人間で融資をして問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県香芝市在住のAは、香芝市内で小売店を経営しています。
Aは友人から「金に困っているから金を貸してくれないか」と言われました。
そこで、Aは友人に100万円を融資し、1年後に融資金の100万円と利息として100万円を支払うよう、言いました。
すると、その友人は実際にそれを履行しました。
それで味を占めたAは、知人やSNSで知り合った多数の者に金を貸し、中には100万円で1年後に利息として120万円を支払うように告げていた相手もいました。
ある日、香芝市を管轄する香芝警察署の警察官がAの自宅に来て、Aに対して「出資法違反、及び貸金業法違反で家宅捜索するから」と言い、令状を提示して家宅捜索を行いました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【融資をすることで問題となる罪】
融資とは、金を借りたいという人の申し出を受けて、金を貸すことを意味します。
本来であれば金の貸し借りは自由に行うことができる行為のはずですが、多重債務(金を借りたものの返しきれなくなり、別の金融業者に借りて更に借金が膨らむなどの状況)が社会問題となったことから、貸金業法という法律が作られ、平成22年に施行されています。
貸金業法では、貸金業者を届出制にするなどして、違法な融資を行う業者などを取り締まることができます。

融資を行う金融業を営む場合、事業所が一か所あるいは二か所以上ある場合は一つの都道府県に事業所を設置する場合には所在地の都道府県知事の、二か所以上の事業所を二つ以上の都道府県に設置する場合には内閣総理大臣の、登録を受けなければいけません。(貸金業法2条2項、同3条1項)

では、個人間での融資についてはどうでしょう。
例えば、融資などに携わっていないイチ個人が、友人や家族などに金を貸すことについて、すぐに違法となるわけではありません。(利息の問題は次章へ)
しかし、たとえ個人間であっても、「業として」貸金業を行う際には、登録が必要です。
「業として」行うというのは、それを商売として行うという意味では必ずしもなく、反復・継続して行うという意思があるかどうかによって判断されます。
Aについて見てみると、知人のほかSNSで知り合った知人に対しても融資を行っていることから、たとえ本職としてやっていたわけではないにしろ、業として融資をしていたと評価される可能性があります。

【融資の利息が問題となる罪】
更に、融資をする際に刑事事件に発展する場合として、利息の問題が生じます。
利息は、融資を受けた(お金を借りた)人が、融資した側(お金を貸した人)に対して支払う、融資金以上の上乗せ金額を意味します。
通常、サービス期間などの場合を除き、消費者金融から融資を受ける場合には、融資金に加えて利息を支払うことが通常です。
そして法律は、この利息について制限を設けています。

具体的には、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(通称:出資法)」で、利息が制限されていて、
個人間の融資 ⇒109.5%を超える利息は違法
融資業者の融資⇒20%を超える利息は違法

条文は以下のとおりです。

出資法5条1項 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント…を超える割合による利息…の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2項 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

なお、この法律とは別に利息制限法という法律で利息の制限(融資金10万円未満は20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%)が設けられていて、利息制限法には違反するが出資法には違反しない、という状況に陥ります。
民法上、この場合には息制限法に違反した部分の利息は無効となり、支払う必要がないということになりますが、刑事事件にはなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、貸金業法違反や出資法違反などの刑事事件について取り扱っています。
奈良県香芝市にて、無登録での融資や高利息での融資により家宅捜索を受けた、取調べを受ける予定だ、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

則竹弁護士が取材を受けコメントが東京新聞に掲載されました

2021-07-29

則竹弁護士が取材を受けコメントが東京新聞に掲載されました

密漁について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の代表弁護士則竹理宇が取材を受け、コメントが7月15日発行の東京新聞に掲載されました。

潮干狩り感覚の密漁で摘発されるケースが多発

これからの季節、海でのレジャーに出かける方も多いかと思いますが、海に生息する魚介類をむやみに採って持ち帰ると「密漁」となり、漁業法や、各都道府県が定める漁業調整規則に違反する可能性があるので注意が必要です。
中には、潮干狩り感覚で罪の意識がないままに禁止場所で貝類を採ってしまい、密漁として摘発を受けている方もいるようなので十分にお気をつけください。
また実際に各地でこういった事件の摘発が多発しており、海上保安庁等に検挙されると、管轄の検察庁に書類送検されて、刑事罰が科せられる可能性もあります
新聞記事には、こういった「密漁」に関して、漁業協同組合への取材内容や、専門家の意見を掲載し注意を呼び掛けています。

則竹弁護士のコメント

こういった密漁事件に巻き込まれないためにどうすればいいのかについて、則竹弁護士は「管轄の漁協に確認を取ってもらうのが確実だが、それが難しければ、人がいない場所では特に採取や立ち入りを禁止した看板などがないかチェックする。潮干狩り場以外では採ることを避けるのが賢明だ。」とコメントしています。

東京新聞(7月15日発行)の記事

相手が死亡した場合の示談交渉②

2021-07-26

相手が死亡した場合の示談交渉②

仕事中、加害者の不注意により被害者が死亡してしまったという場合に問題となる罪と、示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県橿原市在住のAは、橿原市内の会社に勤める会社員です。
Aは仕事で荷物を運ぶ仕事をしていたところ、Aは一度に大量の荷物を運んでしまい、前が見えない状況で歩いていました。
その際、通行人Vの方にAが接触してしまい、バランスを崩したVは階段から転落してしまい、頭部を強く打ち、数時間後に死亡してしまいました。
救急隊員の通報を受けて駆け付けた橿原市を管轄する橿原警察署の警察官は、Aに対する捜査を在宅で開始しました。

Aやその家族は、示談交渉をしたいと考えましたがどうすれば良いか分からず、弁護士に無料相談をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【被害者が死亡した場合の罪】
≪前回のブログを御参照ください。≫

【Aはどのような罪に?】
ケースのAについては、故意に相手を転倒させ死亡させたわけではないので、故意犯処罰の原則に基づき殺人罪などの適用は認められません。
しかし、自ら前が見えなくなるほどの荷物を持つなどした不注意により、過失は認められると考えられます。
Aの場合は仕事中での事故です。
もしAが「仕事」として、「反復、継続して」この仕事を続けていた場合、業務上過失致死罪が適用される可能性があります。
業務上過失致死罪は、「社会生活上の地位に基づき反復、継続して行う行為であり、他人の生命・身体等に危害を加える恐れがあるものをいう」とされていて、そのような者が事故を起こした場合には、過失致死罪に比べて厳しい刑事処罰が科せられる可能性があります。

【示談交渉について】
示談交渉は、弁護士に限らず当事者同士で行うことができる民事上の合意です。
その示談交渉を、あえて刑事事件専門の弁護士に依頼する意味について、以下で検討します。
・被害者との接触が容易ではない
被疑者、すなわち加害者が被害者の連絡先を取得することが容易ではないという場合が考えられます。
例えば、人身事故などの場合は事故発生直後に連絡先を任意で交換するなどして接触することができることもありますが、ケースのように被害者が死亡してしまった場合や性犯罪などの場合には、連絡先を取得できず被害者との接触すら難しいという場合も少なくありません。
その理由は、被害者の処罰感情が強かったり、連絡先を教えることでの報復が怖かったりと様々です。

弁護士は、捜査機関(主として検察官)を通じて被害者に対して「弁護士限り」で連絡先の開示を依頼し、加害者側の心情や示談の意向などを丁寧に説明したうえで、示談交渉を進めていきます。
弊所でご依頼いただいた事件の中には、最初は自分で示談をしようとしたが連絡先を開示していただけなかった、接触を試みたがかたくなに拒絶されたが、弁護士が入って粘り強い交渉を行うことで態度が軟化し示談に至ったという事例も少なくありません。

・示談書類の作成が容易ではない
そもそも示談書には決まったフォーマットがあるわけではありません。
刑事事件の場合、被害者に寄り添い被害者の心配や懸念事項を払拭するための約定を書面に落とし込む必要があります。
これが、刑事事件の示談交渉の経験がある弁護士に依頼をした方が良いと言える理由の一つです。

・示談金のやり取りについての経験がない
インターネット上では示談金の相場という言葉が多く書かれているようです。
しかし、示談交渉というのは加害者側と被害者側、双方の合意によって行われるものであり、相場どおりの金額を支払えばよい、というわけではありません。
ともすれば低い金額での示談締結により検察官や裁判官の心証に影響を与えたり、法外ともいえるほどの高い示談金を請求されたりする可能性も否定できません。
よって、示談交渉の経験が豊富であれば、経験則に基づいた金額の提示等ができるでしょう。

奈良県橿原市にて、仕事中、不注意な行動により被害者を死亡させてしまい、示談交渉について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

相手が死亡した場合の示談交渉①

2021-07-22

相手が死亡した場合の示談交渉①

仕事中、加害者の不注意により被害者が死亡してしまったという場合に問題となる罪と、示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県橿原市在住のAは、橿原市内の会社に勤める会社員です。
Aは仕事で荷物を運ぶ仕事をしていたところ、Aは一度に大量の荷物を運んでしまい、前が見えない状況で歩いていました。
その際、通行人Vの方にAが接触してしまい、バランスを崩したVは階段から転落してしまい、頭部を強く打ち、数時間後に死亡してしまいました。
救急隊員の通報を受けて駆け付けた橿原市を管轄する橿原警察署の警察官は、Aに対する捜査を在宅で開始しました。

Aやその家族は、示談交渉をしたいと考えましたがどうすれば良いか分からず、弁護士に無料相談をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【被害者が死亡した場合の罪】

車やバイクの運転中に人を殺めてしまった場合を除き、加害者の行為により被害者が死亡してしまったという場合には、以下のような罪に問われる可能性があります。

①故意に相手を死亡させたケース
刑事事件で最も重要となるルールの一つに、故意犯処罰の原則というものが挙げられます。
これは、故意に行ったこと、つまり、意識して起こした行為以外は、原則として罰しないというものです。
例えば、道を歩いていて転倒してしまい、その弾みで飲食店の看板を壊してしまったとして、看板を故意に壊したわけではないので、器物損壊罪は適用されず、刑事上の責任を負うことはありません。

故意の犯罪により相手を死亡させた場合に適用される罪は、以下のようなものがあります。

・傷害致死罪
一方的な暴力行為や喧嘩などで相手が死亡した場合、傷害致死罪の適用が考えられます。
傷害致死罪の条文は以下のとおりです。
なお法定刑について、有期懲役は20年以下と定められているため、傷害致死罪で言い渡される判決は3年以上20年以下の懲役ということになります。

刑法205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

・殺人罪
相手を殺す意思を以って殺害した場合には、殺人罪の適用が検討されます。
また、例えば「相手が死ぬかもしれない」ということを認識してい乍ら行為に及んだ結果相手が死亡した場合にも、殺人罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

・強盗殺人罪
他人の財産や物を暴行や脅迫により奪う強盗が、被害者を殺害して物を奪うなどした場合、強盗殺人という罪になります。
また、強盗・窃盗をした際に抵抗した被害者を振りほどくなどした結果、被害者が転倒して打ち所が悪く死亡した場合、強盗致死罪にあたります。
条文は以下のとおりで、強盗殺人罪も強盗致死罪も同じ条文ではありますが、裁判では両者犯情の部分で区別されます。

刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期または六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑または無期懲役に処する。

②過失によって相手を死亡させた場合
①では故意犯処罰の原則について確認しましたが、過失(=不注意)による行為で処罰される過失犯処罰というものがあります。
過失犯処罰は、法律に過失犯処罰規定がなければ処罰することができません。

相手を傷つける意図はなかったものの、注意不測の行動により相手が死亡してしまった場合について、過失犯処罰規定が設けられている者には、過失致死罪・業務上過失致死罪、重過失致死罪があります。
条文は以下のとおりです。
(過失致死罪)
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
(業務上過失致死罪・重過失致死罪)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

【Aはどのような罪に?】

≪次回のブログに続きます。≫

【示談交渉について】

≪次回のブログに続きます。≫

奈良県橿原市にて、仕事中、不注意な行動により被害者を死亡させてしまい、示談交渉について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

NHK総合おはよう日本で則竹理宇弁護士が取材協力及びコメント映像出演

2021-07-20

2021 年 7 月 17 日(土) 午前 7 時~放送のNHK総合おはよう日本「特集けさのクロース゛アッフ゜」で、児童ポルノ事件に詳しい弁護士として弊所代表の則竹理宇弁護士が取材協力及びコメント映像出演を致しました。

【番組 URL】https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/blog/bl/pzvl7wDPqn/

 

番組では、「児童ポルノ被害 拡散背景に違法サイト」という特集の中で、コロナ禍て゛拡大する児童ポルノビジネスの様相、犯罪摘発の現場、そして被害者救済の現場から長期化する被害の実態や被害をなくすために社会は何か゛出来るのか考える内容となっております。
弊所代表の則竹理宇弁護士は、児童ポルノ事件を多数取り扱ってきた刑事弁護士としての立場から、一般人でも気軽に参入できる児童ポルノの売買の実態や、児童ポルノ及び自撮り被害の現状について取材協力及びコメント映像の提供をしております。

ネット上での誹謗中傷

2021-07-15

ネット上での誹謗中傷

ネット上での誹謗中傷で発展する諸問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県天理市在住のAは、天理市内の会社に勤める会社員です。
Aには職場の同僚であるVがいて、そのVがインターネット上の配信サイトと呼ばれる、一般人が不特定多数の者に対して動画の中継を行うものを行っていることを知りました。
職場内で遺恨があったAは、Vがライブ配信を行っている際、視聴者のコメント欄に「キモいぞ」「この容姿でライブ配信かよ」「○○社の△△と深い関係にあるから出世している。」等とありもしない内容を投稿しました。

Vは誹謗中傷を受けたことで警察署に被害届を提出しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【ネット上での誹謗中傷について】

・刑事上の問題
誹謗中傷は、刑法の定める名誉毀損罪や侮辱罪に当たる可能性があります。
名誉棄損罪と侮辱罪の条文は以下のとおりです。

(名誉棄損罪)
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮または五十万円以下の罰金に処する。

(侮辱罪)
刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

・民事上の問題
刑事上の問題とは異なり、当事者間でのトラブルにより生じた損失などを補填するものです。
ケースのような誹謗中傷については、不法行為責任(民法709条)を理由に賠償請求を行います。
証拠の立証について、刑事訴訟の場合は検察官が行う必要がありますが、民事上は原告自ら行う必要があります。
例えば刑事訴訟手続で被告「人」罰金刑や科料の判決を言い渡された場合、そのお金は国庫に帰属します。
しかし民事上は、損害賠償請求が認められた場合、裁判官が下した金額を被告が原告に支払うことになります。

・その他
また、そのほかに、SNS等と呼ばれる会員制サイト(ケースの場合はライブ配信の運営会社)から投稿を削除されたり、アカウントを停止・凍結されるなどの不利益処分を受けることが考えられます。
これについては、運営会社側の裁量による部分が大きく、社内規則に基づく不服申立により凍結解除等が認められる可能性もありますが、凍結解除が認められる可能性は高くないでしょう。

【刑事事件での弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ケースの場合、刑事事件としてはどのような弁護活動が考えられるか、以下で検討していきます。

・犯人性の否認
まずは、自分が犯人ではないという主張が考えられます。
捜査機関としては、投稿された情報をもとに、IPアドレスの解析などにより被疑者を特定しますが、毎回必ず契約者が正確にわかるというわけではありません。
また、仮にIPアドレスによる取得情報が正しかったとして、それは侮辱罪や名誉棄損罪などにあたる情報を発信した媒体と契約した者を特定するわけであり、投稿した張本人がそれと一致していることの確証はありません(投稿に利用された媒体は他人に貸していた、という場合も考えられるでしょう。)。
また、2012年頃に発生した遠隔操作事件のような例もあることから、サイバー犯罪の捜査が容易ではなく、真犯人ではないにもかかわらず捜査対象となり、ともすれば逮捕される恐れがあります。

・取調べ対応
実際にはやっていない場合でも、罪を認めている場合でも、取調べでの対応は重要です。
取調べでの内容は供述調書にまとめられ、証拠として用いられます。
刑事事件の被疑者となった場合、取調べの前に弁護士に相談をして取調べ対応を行うことは重要になります。

・謝罪や賠償、示談など
罪を認めている場合、ネット上での誹謗中傷には被害者がいることから、謝罪や賠償をして示談を行うなどの弁護活動が考えられます。
示談というのは双方の合意であり、当事者同士で締結することができるのですが、被害者と直接やり取りをする行為は罪証隠滅を疑われる行為であり、被害者としても直接の交渉を望まない場合も多いことから、第三者である弁護士に依頼し、間に入ることが望ましいといえます。

奈良県天理市にて、ネット上の誹謗中傷が原因で名誉棄損罪侮辱罪などの罪に問われている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談いただけます。

黙秘権とは?

2021-07-12

黙秘権とは?

大麻を密輸した場合に問題となる罪と、黙秘権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
Aは、海外での生活が長く、日本に戻ってくる際には奈良県北葛城郡にある実家にて生活しています。
その際、Aは海外から大麻リキッドと呼ばれる液体状の大麻を密輸して、奈良県北葛城郡内の自宅にて電子タバコで喫煙する習慣がありました。
Aは大麻リキッドの話を数人の知人に伝えていたところ、そのうちの一人が情報をリークしたらしく、Aの自宅に家宅捜索が入り、Aは大麻所持により逮捕されました。
Aが逮捕された話を聞いたAの家族は、その後密輸をしたことでも逮捕される予定であると聞き、Aにはどのような罪がかけられるのか、取調べで黙秘権を行使した方が良いかなどのアドバイスがあるのか、刑事事件・少年事件専門の弁護士に相談しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【大麻所持事件について】

ケースのAは,大麻の所持で現行犯逮捕されています。
大麻の所持は大麻取締法に違反します。
自己使用目的での大麻所持は大麻取締法24条の2第1項で「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」と規定されています。

【密輸行為は更に重い】

更に,Aはその大麻を自ら海外から密輸しています。
これは大麻取締法が禁止する輸入にあたるほか(大麻取締法4条,同24条1項),関税法が輸入を禁止している物に当たるため,関税法違反にも該当します(関税法69条の11第1項1号)。
自己使用目的での大麻密輸の法定刑は「七年以下の懲役」です。

【黙秘権とは?】

黙秘権という言葉は広く一般に知られている言葉かと思います。
改めてご説明すると、被疑者には自分の意思に反して何も言わなくて良いとされるものです。
法的には、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められているほか、刑事訴訟法では刑事訴訟法198条2項で「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に話して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
つまり、取調べで被疑者には黙秘権という権利が憲法上保障されていて、検察官や警察官は取調べを行う前に被疑者に黙秘権があることについて説明しなければならないと定められているのです。

黙秘権を使うことで考えられるメリットとしては、
①主観面での争いがある(故意の有無が罪状に大きく影響する)場合などで、捜査機関に有利な調書を作成されない。
②主観面以外の証拠収集が困難な場合(捜査機関が客観証拠を収集できない状況にある)に被疑者にとって不利な証拠が作成されない。
③被疑者が事件についての記憶が曖昧な状態(うろ覚えな状態)で供述をしないことで、不合理な供述調書の作成を避けることが出来る。
といった点が挙げられます。

一方で、黙秘権を行使することで、取調べがより厳しいものになったり、身体拘束の判断を行う際に事実上の不利益な理由になる可能性があるというデメリットがあることも事実です。
黙秘権を行使すべきか否かについては事案によって判断が分かれるため、刑事事件専門の弁護士から説明を受けることをお勧めします。

【早期に弁護士に依頼するメリット】

刑事事件で逮捕された場合、逮捕後すぐのタイミングから警察官・検察官による「弁解録取」という手続きが始まり、勾留後20日以内の間に繰り返し取調べを受けることになります。
取調べで話をした内容は供述調書という書類に纏められ、検察官は裁判の際の証拠として請求します。
そのため、早期に弁護士に依頼し、取調べを受ける前に弁護士に依頼することが望ましいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件・少年事件に携わり、取調べについてのアドバイスを行ってきた経験があります。
奈良県北葛城郡にて、ご家族が大麻所持や密輸をしてしまい逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービス(有料)をご利用ください。
初回接見で、弁護士が逮捕されているご本人さんから事件についてのお話を聞き、黙秘権をはじめとした適当なアドバイスを行ってまいります。

知らずに覚醒剤の密輸に加担?

2021-07-05

知らずに覚醒剤の密輸に加担?

自分ではその気がないにもかかわらず,覚醒剤密輸に加担してしまった場合の罪と弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県桜井市在住のAは,桜井市内の会社に勤める会社員です。
Aは格安の旅行会社のプランを用いて某国へ海外旅行に行きました。
旅行先では楽しい思いをし,予定どおり帰国のため空港に着いたところ,添乗員から「これはお土産です。家電製品が入っているので預け入れの荷物には入れられないため,機内持ち込みにてお持ち帰りください。」と言われました。
Aは指示に従って機内持ち込みし,帰国したところ,我が国の入国審査で別室に呼ばれ、法禁物が入っていた旨説明されました。
その後、税関職員と警察官が空港に来て、Aは「覚醒剤密輸した嫌疑」で逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【覚醒剤の密輸で問題となる罪】

上記ケースはあくまでフィクションですが、このように旅行会社が薬物の売人と協力するなどして、知らぬ間に密輸に加担してしまうという事例は実在します。
とりわけ海外旅行では、渡された物を安易に持ち込まない、固より受け取らないという緊張感が必要と言えます。
では、このような事件に加担した場合にはどのような罪に問われるのでしょうか。
以下で検討します。

・関税法違反
関税法とは、我が国に輸出入される物に対して適切な税金をかけることを目的としていますが、それだけではなく、輸出・輸入してはいけないものを規定しています。
詳細は関税法第二款に規定されていますが、麻薬や大麻・覚醒剤といった薬物のほか、爆発物や拳銃の類、化学兵器の類、偽造通貨等、児童ポルノ等といったものが挙げられます。

今回、Aが我が国に持ち込んだ物は覚醒剤を想定していますので、以下の条文が問題となります。

関税法69条の11 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
1号 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤並びにあへん吸煙具。(略)

同法109条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号までに掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

・麻薬特例法違反
麻薬特例法は、正式名称を国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律と言います。
たとえば所持罪について、大麻であれば大麻取締法が、覚醒剤であれば覚醒剤取締法が、危険ドラッグであれば薬機法が、それぞれ適用されます。
では、麻薬特例法がどのような目的で制定されているかというと、違法薬物の入手経路や違法薬物の売買で得た収益などを対象に処罰規定を設けるべく、制定されている法律です。

麻薬特例法4条 税関長は、関税法第六十七条の規定による貨物の検査により、当該検査に係る貨物に規制薬物が隠匿されていることが判明した場合において、薬物犯罪の捜査に関し、当該規制薬物が外国に向けて送り出され、又は本邦に引き取られることが必要である旨の検察官又は司法警察職員からの要請があり、かつ、当該規制薬物の散逸を防止するための十分な監視体制が確保されていると認めるときは、当該要請に応ずるために次に掲げる措置をとることができる。(略)
1号 当該貨物について関税法第六十七条の規定により申告されたところに従って同条の許可を行うこと。
2号 その他当該要請に応ずるために必要な措置

同5条 次に掲げる行為を業とした者は、無期又は五年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
4号 覚醒剤取締法第四十一条又は第四十一条の二の罪に当たる行為をすること。

同8条 薬物犯罪を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

・覚醒剤取締法違反
覚醒剤の輸入については、覚醒剤取締法にも禁止規定があります。
条文は以下のとおりです。

覚醒剤取締法41条 
1項 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。

【ケースの場合の対応】

これまで見てきたとおり、覚醒剤を密輸するという行為は我が国の治安維持に極めて有害であり、行った場合には厳しい刑事罰を科されることになります。

しかし、今回のケースについてみると、Aは中身が覚醒剤であることを説明されずに搭乗手続きを経て帰国しています。
この場合、覚醒剤を密輸するという認識が欠如していることから、罪に当たらないことになります。
とはいえ、捜査機関としては「本当は認識があったのではないか」「格安のツアーだということで疑わしいと思っていたのではないか」等と厳しい取調べを受けることが予想されます。

奈良県桜井市にて、御家族が認識なく覚醒剤などの違法薬物の密輸に加担してしまい、関税法違反や麻薬特例法違反、覚醒剤取締法違反などの嫌疑で逮捕された場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
担当事務員がまずはどのような対応が適当か、御説明致します。

脱法ドラッグで保釈請求

2021-06-28

脱法ドラッグで保釈請求

脱法ドラッグと呼ばれる薬物で問題となる罪と、保釈請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和郡山市在住のAは、大和郡山市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは大和郡山市内の路上で挙動不審を理由に大和郡山市内を管轄する郡山警察署の警察官に職務質問を受け、所持品検査を受けたことで錠剤が見つかりました。
Aは、SNS上で購入した「脱法ドラッグ」であるとして罪に当たらないと主張しましたが、警察官は鑑定に回すと言いました。

そして後日、大和郡山市を管轄する郡山警察署の警察官が自宅に来て、Aを脱法ドラッグと呼ばれる薬物を所持していたことから薬機法違反で逮捕されました。
Aの家族は、Aの身柄を解放するため保釈請求を希望しています。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【脱法ドラッグは違法?】

脱法ドラッグをはじめ、合法ハーブ、アロマ、お香など、合法を謳う様々な薬物が世に出回っています。
とりわけインターネット・SNSを誰もが容易に利用できるようになった今日では、売人と対面をせずに手軽に購入することができます。

しかし、それらは違法な成分を含んでいる可能性が高く、それを所持していただけで問題になることもあり得ます。
上記の薬物は危険ドラッグと呼ばれ、指定薬物と呼ばれる成分を含みます。(条文は下記参照)
すなわち、脱法ドラッグと謳っていたところで、その成分を科学捜査研究所などが成分検査したところ指定薬物に当たる成分が検出された場合、それは危険ドラッグと呼ばれるものであり、薬機法に違反するのです。
危険ドラッグを所持していた場合には「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められています。(薬機法84条26号)

(指定薬物)
薬機法2条の15 中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。

【保釈とは?】

刑事事件を起こした場合、在宅で捜査を進める場合もありますが、逮捕・勾留をして身柄を拘束したうえで捜査を進める場合があります。
両者の違いは、証拠隠滅の恐れがあるか否か、逃亡の恐れがあるか否か、といった点が挙げられます。

被疑者が逮捕された場合、裁判官の判断により、勾留請求された日から最大で20日間、警察署の留置施設などで勾留されます。
勾留満期日になると、検察官は被疑者を起訴するか、処分保留で(又は略式手続による罰金納付後に)釈放する必要があります。
ここで起訴された場合、被疑者は被告人という立場になり、刑事裁判を受けることになります。
勾留された被疑者が起訴されて被告人になった場合、その多くは起訴後勾留というかたちで引き続き身柄を拘束されます。
その際、被疑者勾留の時点で警察署の留置施設での身柄拘束を受けていた方は、拘置所という場所に移送される可能性があります。
起訴後勾留は2ヶ月ですが、その後も1ヶ月毎に延長をすることができるため、判決言渡しまで身柄拘束が続くことも考えられます。
それを回避するため、弁護士は保釈請求を行い、保釈金を納付することで被告人の身柄の釈放を求める必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県大和郡山市にて、脱法ドラッグと呼ばれる薬物を持っていたところ危険ドラッグと言われてしまった、あるいはご家族が危険ドラッグ所持により逮捕されてしまったという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

スピード違反で正式裁判に?

2021-06-24

スピード違反で正式裁判に?

スピード違反で問題となる罪や処分、正式裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県生駒市在住のAは、生駒市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは生駒市内の国道にて、法定速度(60km/h)を大幅に逸脱した143km/hで走行していました。
しかし、付近を走行していた交通機動隊の覆面パトカーにより追尾され、生駒市を管轄する生駒警察署に任意同行するよう求められました。
警察官はAに対し、83km/hの超過だから赤切符になると言われました。

赤切符が交付された場合にはどのような手続きが想定されるのか、正式裁判になる可能性はあるのか、弁護士に相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【スピード違反について】

自動車やバイクなど、公道を車両で運転する際には道路交通法をはじめとした法律に従って運転しなければいけません。
その中のひとつが、車両を走行する際の速度・スピードです。

我が国の公道では、法定速度と制限速度が定められていて、違反した場合には速度超過(スピード違反)となります。
法定速度は、原動機付自転車を除く一般車両については60km/h、高速道路の場合は100km/hとされていて、その速度を超えて走行した場合にはスピード違反になります。

また、法定速度では危険であると判断されている道路では、制限速度が定められています。
制限速度は道路標識や道路上の文字で示されていて、制限速度が定められている場合は法定速度ではなく制限速度未満で走行しなければいけません。

【スピード違反で正式裁判に?】

1 一般道で1~29km/h未満、高速道路で1~39km/h未満の超過

この場合には、行政処分のみ問題となります。
まず、上記の速度では青切符と呼ばれる「交通反則告知書」という書類が交付されます。
そして、①点数が加算され、②交通反則金を納付する必要があります。
①については、スピード違反で加算される点数は1点~3点までで、具体的な点数については超過した速度によって異なります。
一定期間内に一定以上の点数が加算された場合には、運転免許が停止されたり取り消されたりします。
②については、普通自動車の場合は9,000円~35,000円です。

2 一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の超過
この場合には行政処分だけでなく、刑事処分の問題が生じます。
スピード違反を現認された場合やオービスなどでスピード違反が発覚した場合、赤切符と呼ばれる「告知票」という書類を交付されます。
赤切符の場合、①点数については6点又は12点が加算されることになっているため、それまでに交通違反があったと否とに関わらず、一回で免許停止以上の処分が下されることになります。
加えて、刑事事件にも発展し、略式手続又は正式裁判により「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処されることになります。
前②の反則金とは異なり、罰金は刑事罰ですので、いわゆる前科が付くことになります。

略式手続は、スピード違反を認めた場合に執られる簡易な手続きで、裁判所の公開の法廷でやり取りすることなく罰金を納付することで終了します。
正式裁判は、公開の法廷で事実の確認などを行ったうえで判断を下します。

略式手続と正式裁判のどちらで起訴されるかについては、超過した速度や前科の有無によって検察官が判断したうえで決めます。
一概には言えませんが、前科がない場合であれば、超過した速度が60km/h未満であれば略式手続に、それ以上であれば正式裁判になる場合が多いです。
なお、正式裁判になった場合は、その多くが懲役刑を求刑されます。
執行猶予中の方などの場合は実刑になり、執行猶予も取り消される可能性があるため注意が必要です。

奈良県生駒市にて、スピード違反をしてしまい、正式裁判になる可能性がある方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
※注意:弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件のみを取り扱っておりますので、行政処分(点数についての質問、免許停止・取消回避のための質問など)は受け付けておりません。

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