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落とし物を着服したら弁護士へ

2021-11-04

落とし物を着服したら弁護士へ

落とし物を着服した場合に問題となる罪と、弁護士に依頼をするメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県天理市在住のAは、天理市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは仕事の休み時間に天理市内にある飲食店に行って食事をとりました。
その際、Aが座った席には前の利用者が忘れていった財布が落ちていて、中には現金5万円ほどがはいっていたことから、Aはその財布を着服してしまいました。
後日、天理市内を管轄する天理警察署の警察官がAの職場に来て、落とし物を着服した嫌疑で捜査を受けることになりました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【落とし物を着服した場合の罪】

落とし物を拾った場合、交番や警察署に届けるか、スーパーや飲食店、パチンコ店などの商業施設であればその店員に、届け出る必要があります。
たとえ出来心だったとしても、落とし物を着服する行為は犯罪に当たり、以下のような罪に当たります。

①遺失物横領罪・占有離脱物横領罪
公園や道路などで見つけた落し物を届け出ずに持ち去った場合には遺失物横領罪・占有離脱物横領罪が適用されます。
条文は以下のとおりです。

刑法254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

ここで規定されているのは、占有離脱物横領罪であり、遺失物横領罪はその例示であるとされています。
持ち主がその場に忘れて行った物を盗った場合には遺失物横領罪が、意識して置いた上でその場を立ち去っていた場合などには占有離脱物横領罪の罪名が、それぞれ付くと考えられます。

②窃盗罪
上述のとおり、基本的には落し物を盗んだ場合には占有離脱物横領罪・遺失物横領罪が適用されますが、それを拾得した場所によっては窃盗罪が適用される可能性があります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

確かに、どのような場所であれ忘れ物である以上は占有を離れたものと言えそうです。
しかし、例えば商業施設やパチンコ店、ケースのような図書館などの場合、たとえ落し物であってもその占有は商業施設やパチンコ店、図書館などといった店舗の管理者にあると評価され、窃盗罪に処される場合があります。
なお、例え占有する商業施設やパチンコ店、図書館などの担当者が落し物についての認識がなかったとしても、占有は認められ窃盗罪が適用されます。

【弁護士に依頼するメリットは?】

前章で、落とし物を着服した場合の罪について説明しました。
このような比較的軽微ともとれる刑事事件では、加害者が被害者に対してお金を返せば終わると考える方がいるかもしれません。
しかし、弁護士に依頼をすることで得られるメリット、あるいは出来ないことが少なくありません。

・そもそも示談交渉ができない場合がある
示談交渉は当事者間の合意によるものですので、弁護士ではない一般の方でも執り行うことができます。
しかし、実際にはどのような書類を作成する必要があるのか、示談金はどれくらいの金額が妥当かといった専門的な知識が必要となるうえ、そもそも被害者が加害者に対して直接連絡先を教えたくない、という場合も少なくありません。
第三者である弁護士に依頼をすることで、過不足ない書面を作成し、円滑に示談交渉を進めることができます。

・取調べ対応
示談のいかんにかかわらず、刑事事件の捜査を受ける被疑者や関係者は、警察官や検察官の取調べを受けて供述調書を作成することになります。
捜査機関による被疑者への取調べの中では、時として厳しい口調になったり、被疑者自身の主張が供述調書に盛り込まれなかったりといった場合もあります。
取調べ前の打合せや、取調べでのトラブルなどに対応ができるという点も、弁護士に依頼するメリットの一つと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県天理市にて、他人の落とし物を着服したことで窃盗罪や遺失物横領罪・占有離脱物横領罪などの罪に問われる可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

強制性交等事件で否認

2021-10-28

強制性交等事件で否認

強制性交等事件を起こした場合に問題となる罪と否認の種類について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県北葛城郡在住Aは、北葛城郡内の会社に勤める男性会社員です。
ある日、AはSNSで知り合った女性Vと北葛城郡内で会うことにしました。
最初は食事をしていましたが、話が弾み、Aの車にVを乗せてドライブをする運びになりました。
その際、Vの同意を得てVの身体に触れ、興奮したAは自分の陰茎をVに咥えるようお願いし、Vは実際に口腔性交を行いました。
いわゆる本番行為などはしませんでした。
しかしその後、AとVとは口喧嘩に発展してしまい、喧嘩別れしました。
後日、Aの家に北葛城郡を管轄する西和警察署の警察官が来て、Aを強制性交等事件の被疑者として逮捕しました。
Aは一貫して否認を続けています。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【強制性交等事件について】

強制性交等という言葉に馴染みのない方もおられるかもしれません。
平成29年の刑法改正以前は、強姦罪と呼ばれていたものです。
旧強姦罪は「暴行又は脅迫を用いて、十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。」とされていました。
ここで出て来る「姦淫」とは、男性器を女性の陰部に挿入する行為を意味します。

法改正後、強制性交等罪は「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした社は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」と定めました。

法改正により、
・親告罪だったものが、被害者の刑事告訴なしでも起訴できる非親告罪に変わった。
・肛門性交(俗にいうアナルセックス)や口腔性交(俗にいうフェラチオ)が対象となった。
・肛門性交や口腔性交については、男性が被害者として扱われるようになった。
といった点が変更となりました。

ケースで想定した事件では、Aは口腔性交をしていますので、俗にいう本番行為をしていなかったとしても事件の対象となります。

【否認とは】

刑法などの各種法律・条例に違反する行為をした場合、その人は「罪を犯した」として被疑者という立場になり、捜査を受けます。
捜査機関の捜査の結果、証拠が集まった場合には、検察官は被疑者を起訴することができます。
被疑者が起訴された場合には被告人という立場に変わり、裁判を受けることになります。

捜査中、捜査機関は慎重に慎重を重ね、罪を犯したと疑われる人のみを被疑者として扱います。
しかし、誤認逮捕や冤罪事件などの言葉もあるように、捜査機関が無実の者を誤って被疑者として扱ってしまうという事案もあります。
もし、無実の罪で被疑者として扱われている場合、被疑者は「否認」をする必要があります。
否認は、捜査機関からは○○といった嫌疑をかけられていますが、それは違いますという意味です。

否認と一言で言っても、いくつものパターンが考えられます。
大別すると
・そのような事件はあったが、犯人は別にいるという犯人性の否認
・そもそもそのような事件は起きていないという罪体の否認(犯罪事実がないという主張)
の2種類が挙げられます。

ケースについて検討すると、Aの場合には後者の罪体の否認が検討されます。
VがAの陰茎を口腔性交したという点については事実です。
しかし、Aが「暴行又は脅迫を用いて」行わせたわけではありません。
そのため、刑法177条が定める強制性交等罪には当たらない、という否認の主張を行っていく必要があります。

性犯罪は密室で行われている、あるいは目撃者がいないなかで行われている場合がほとんどです。
そのため、防犯カメラの映像や目撃証言などといった客観的な証拠が収集しにくい事件と言えます。
捜査機関としては、被害者/被疑者双方の供述が重要になると考え、自白を迫るような厳しい取調べが行われる可能性も否定できません。
否認事件の場合には刑事事件の弁護経験が多い弁護士に依頼をし、取調べ前のアドバイスを受けたり、取調べに問題があった場合には速やかに抗議等したりといった対応を求める必要があります。

奈良県北葛城郡にて、家族が強制性交等罪の嫌疑で逮捕されたものの否認している、という場合、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。

MDMA所持で刑事事件に

2021-10-25

MDMA所持で刑事事件に

MDMAを所持していた場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和郡山市在住のAは、大和郡山市内の会社に勤める会社員です。
AはSNS上でストレスや疲れを抑えるための薬を探していたところ、海外で大人気のストレスを抑える錠剤を販売している旨の投稿を見て、投稿主にダイレクトメッセージを送りました。
輸入代行業をしているという投稿主と連絡を取り合って対面で薬を受け取ったAは、何らかの違法薬物であろうことは認識していましたが、摂取したところ高揚感を覚えたためその後も使用するようになりました。
ある日、Aが大和郡山市内を歩いていたところ、大和郡山市内を管轄する郡山警察署の警察官から職務質問を受け、その際の所持品検査でMDMAが見つかりました。
Aは尿検査を受けたのち連絡先を伝えて家に帰されましたが、後日警察官がAの家に来て、MDMAの所持を理由に通常逮捕されました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【MDMAについて】

MDMAの性質
MDMAは、メチレンジオキシメタンフェタミンという合成薬物の略称です。
覚醒剤や幻覚剤に似た成分で、興奮と脱抑制を引き起こします。

摂取後、一時的に高揚感が得られたり幻覚が見られたりしますが、その効果は数時間程度しか持続しません。
その依存性は高く、濫用することで不安感や不眠が原因で錯乱状態に陥ったり、低ナトリウム症や急な発熱などを引き起こして死に至る可能性もあるなど、非常に危険な副作用が見られます。

MDMAの流通
錠剤(カラフルで、ハートや植物などのマークが書かれているものが多いようです)やカプセル、粉末といった形で流通しています。
エクスタシー、あるいはセックスドラッグという俗称が有名ですが、クラブやパーティーといった若者が集まる場所で出回っているという特徴があります。
後述のとおり、MDMAは我が国に於て違法薬物に指定されており、製造や輸入を禁止しています。
このMDMAは、平成28年に押収した数は5,019錠でしたが、令和2年の押収数は90,218錠と、18倍近くに膨れ上がっています。(検挙人員は2倍未満なので、1人あたりの所持量が大幅に増えているということになります。)
これは押収された数なので、捜査機関の捜査の賜物と言えますが、捜査の目をかいくぐって流通している数が増えているという可能性は否定できません。

【MDMAで刑事事件に】

MDMAは麻薬の一種です。
麻薬及び向精神薬取締法(以下、麻薬取締法)では、医療や研究を目的とする「麻薬取扱者」や「麻薬施用者(治療目的で麻薬を投与されている方)」を除き、麻薬の施用や所持、製造、輸入などを禁止しています。
ケースの場合は、麻薬施用者ではないにも拘らず麻薬を施用していますので、以下の条文が問題となります。

MDMAは、管理を認められた者以外の所持は法28条1項に、施用は法27条1項にそれぞれ該当し、「7年以下の懲役」に処せられます。
所持の罰条:法66条1項
施用の罰条:法66条の2第1項

【MDMAについて弁護士に相談】

MDMAを所持していた場合、まずは証拠品であるMDMAを押収し、尿検査を実施します。
MDMAそのものや尿について、現場あるいは最寄りの警察署で簡易検査による予試験を行い、その後科学捜査研究所での精密な本鑑定が行われます。
科学捜査研究所での検査は、その量や事件数によって異なりますが、早ければ1週間ほどで結果が出るようです。
捜査機関は、予試験の結果を踏まえて被疑者を逮捕することが出来ますが、実際には科学捜査研究所での本鑑定の結果を踏まえて通常逮捕するという場合が多くみられます。
そのため、MDMAが見つかってから逮捕されるまでには時間差が生じる場合があるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、MDMAを所持したことで予試験を受け、本鑑定の結果が出ていない段階での相談を承っています。
奈良県大和郡山市にて、MDMAに関する事件を起こしてしまい麻薬取締法違反で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

人為的な要因で火災が発生したら?

2021-10-18

人為的な要因で火災が発生したら?

人の行動によって火災が発生した場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の会社に勤める会社員です。
ある朝、Aの自宅に奈良市内を管轄する奈良西警察署の警察官が自宅に来て、「奈良市内で起きた火災の件で話を聞きたい」と言われました。
Aは、心当たりについて、警察官に説明をしました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【故意に火を付けた放火事件の場合】

人為的に(人がとった行動によって)発生した火災の場合、その行動が故意(意図的にとった行動)によるものか、過失(不注意)によるものかによって罪が異なります。
この章では、故意に火を付けた放火事件について検討します。

放火事件の場合、放火した対象物の性質によって罪が異なります。
①現住建造物等放火罪
現に人が住居として使用している建造物、現に人がいる建造物、鉄道・艦船・鉱坑(石炭などを掘り起こすために掘られた穴)に放火した場合には、現住建造物等放火罪が適用されます。
現住建造物等放火罪は殺人罪と同じ刑罰が用意されていて、たとえ実際に死傷者が出ていなかった場合にも成立します。
また、建造物等が自分の所有物か別の者の所有物かという点は問題となりません。

罰条:死刑または無期若しくは5年以上の懲役

②非現住建造物等放火罪
①には当たらない建造物を放火した場合には、非現住建造物等放火罪が適用されます。
家畜小屋や神社など、人が住んでいないような場所に放火をした場合がこれにあたります。
これは、自己所有の建造物等であるか他人の所有する建造物等であるかによって、罰条が異なります。

⑴他人所有の建造物等に放火した場合
罰条:2年以上(20年以下)の有期懲役
⑵自己所有の建造物等に放火した場合
罰条:6月以上7年以下の懲役
※但し、公共の危険を生じさせなかった場合は罰しないとされています。

③建造物等以外放火罪
①、②以外の物を放火したことで、公共の危険を生じさせた場合には、建造物等以外放火罪に処せられます。
これも②と同様に対象物が自己所有の物か他人所有の物かによって罰条が異なります。

⑴他人所有の建造物等以外を放火した場合
罰条:1年以上10年以下の懲役
⑵自己所有の建造物等に放火した場合
罰条:6月以上7年以下の懲役

④延焼罪
自己所有の非現住建造物等、又は自己所有の建造物等以外を放火した場合に、結果として現住建造物等や他人所有の非現住建造物等に燃え広がってしまった場合には、延焼罪が成立します。

罰条:3月以上10年以下の懲役

【故意ではないが火災になってしまった失火事件の場合】

放火事件ではないものの、過失により(不注意で)火災に発展するということも少なくありません。
たとえ故意ではなかったとしても、失火により火災が生じた場合には、失火に関する罪に問われます。
失火罪は、①及び②のうち⑴に該当する建造物が火災の対象となった場合には刑法116条1項に規定されている失火罪に、②⑵及び③に該当する建物や物が火災の対象となった場合については「公共の危険を生じさせた」場合は同法2項に規定されている失火罪にあたり、それぞれ処罰の対象となります。

罰条:50万円以下の罰金

【仕事中などに発生した失火事件は重い罪に】

工場の現場責任者や飲食店の調理師など、「職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位」がある方が失火事件を起こしてしまった場合、業務上失火罪が適用されます。
また、その立場に関わらず、重大な過失によって失火事件を起こしてしまった場合には、重過失失火罪に処せられます。
両者は、①及び②⑴に該当する建造物が対象ですので、非現住建造物や建造物等以外の失火については通常の失火罪で処罰されます。
業務上失火罪重過失失火罪は、通常の失火罪に比べて重い罪に問われます。

罰条:3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金

【放火事件・失火事件で弁護士へ】

現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪建造物等以外放火罪失火罪業務上失火罪重過失失火罪など、人為的な行動によって発生した火災は、火災の対象となる建物や物によって、あるいはその人の立場によって、罪が大きく異なります。
ご自身が放火等の罪や失火等の罪で捜査を受けている方、あるいは家族が放火等の罪や失火等の罪で逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

悪質なレビューで家宅捜索

2021-10-07

悪質なレビューで家宅捜索

インターネットやSNSなどを通じて悪質なレビューを書いた場合に問題となる罪と、捜査機関が行う家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の会社に勤める会社員です。
Aは昼休みに職場近くの飲食店Vに行ったところ、利用客が多く、席が空くまで待っていました。
しかし、食事を終了しても席を立たない客がいたため、Aは店員に注意するよう促しましたが、店員は一言声をかけただけで客は動かなかったため、Aは食事をすることが出来ずコンビニエンスストアで食事を買って職場に戻りました。
一連の店員の行動に納得がいかなかったAは、家に帰ってから、自身のスマートフォンでフリーアドレスをいくつも作成し、それぞれのアカウントで飲食店のレビューを書き込むサイトにログインし、飲食店Vに低評価を付けたうえで当日の出来事を書いただけでなく、別のアカウントでは「不衛生な店である」など実際には体験していない内容を書き連ねました。

ある日、Aの自宅に奈良市内を管轄する奈良西警察署の警察官が来て、令状を提示されたうえで家宅捜索が行われました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【レビューで問題となる罪】

飲食店等をはじめ、各お店の情報や書籍、商品などを掲載しているインターネットサイトや地図アプリなどを通じて、各お店の評価(レビュー)を全世界に発信することができるようになりました。
レビューには、良い評価を付けることもできますが悪い評価を付けることもできます。
悪い評価を付けることは、その後店を利用しようと思う人が閲覧することができるため、ともすれば「このレビューを見たからこの店に行くのをやめよう」「評価が悪いからこの本を買うのはよそう」といった消費者の判断に繋がります。

レビューである以上、自分が店に訪れて感じたこと、商品を購入して気付いたこと、書籍を購入して思ったことについて、時として良くないと思った点を書き込むということは、そのサイトやアプリの活用法として全うであり、正当な行為であることから何かしらの罪に当たるということはありません。
但し、実際には経験をしていないことを書き込んだり、いくつものアカウントを作成して悪い評価を数多くつけることは、偽計業務妨害罪や信用妨害罪にあたります。

ケースについて検討すると、実際にAが店を訪れることで経験したことを書いて悪い評価を付けているという点においては、罪にあたることはありません。
しかし、
・実際にV店で経験をしたことがないことを書き込んで悪い評価を付けた
・Aが一人で複数のアカウントを作成し、複数人の者がV店に悪い評価を付けたように思わせた
という点で、「偽計」を用いてV店の業務を妨害したと評価され、偽計業務妨害罪で掲示し罰を受ける可能性があります。
偽計業務妨害罪の条文は以下のとおりです。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

【家宅捜索とは】

家宅捜索は、捜査機関が証拠物や被疑者を発見するため、人の身体、物又は住居その他の場所について調べる「捜索」と、捜索した証拠物を押収する「差押え」という2つの側面を有する捜査活動です。
裁判所が発付する令状(通常は「捜索差押許可状」という書類が用いられます。)に基づき行われます。
令状が発付されている以上、家宅捜索を拒むことはできず、警察官等の家宅捜索を妨害した場合には公務執行妨害罪に問われることもあります。

家宅捜索で押収されるものは、主として
・犯行に使われた凶器、所持が禁止されている薬物や拳銃等
・犯行当時に着用していた衣服や靴
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
などが挙げられます。
これらは、捜査のために捜査機関で保管されるほか、電子端末については解析が、薬物の場合は科学捜査研究所での成分分析が行われます。

家宅捜索の対象は被疑者の自宅等のほか、車の中や勤務先などで行われる場合もあります。

奈良県奈良市にて、インターネットサイトやSNSで悪質なレビューを繰り返したことにより偽計業務妨害などの罪に問われていて、家宅捜索を受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

脱税で検察官が逮捕?

2021-10-04

脱税で検察官が逮捕?

脱税をした場合に問題となる罪と、警察官以外の公務員から逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の自宅で個人事業主として仕事をしています。
基本的にはAが仕事をして、配偶者であるXが経理を担当していました。
その際、Aは納税額を少しでも抑えようと考え、経費を架空計上することで経営利益を少なく見せていました。
ある日、奈良市内の自宅に検察官と検察事務官が来て、AとXは所得税法違反で通常逮捕されました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【税金について】

我が国では憲法29条各項で財産権が認められていて、その財産は侵されないことになっています。
しかし、その例外として、同じく憲法で、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と定められています。(憲法30条)
数としては46種類ほどの税金がありますが、代表的なものとしては
所得税・法人税・住民税・消費税・酒税・たばこ税
などが挙げられます。
上記の46種類は、国税と地方税に大別されます。
国税は全国一律で徴収される税金ですが、地方税(例えば、ゴルフ場利用税や入湯税など)は自治体の裁量で徴税することができることとされています。

【脱税について】

前述のとおり、日本には納税の義務があり、算定率に従って正しく税金を納める必要があります。
このうち、例えば消費課税(消費税や酒税、たばこ税、揮発油税など)については消費者が購入する段階で商品代金と一緒に支払っているため、消費者は適切な税金を支払っています。
しかし、所得税や法人税については、実際の収益に応じた算定率に基づいて納税をする必要があります。

「クロヨン」や「トーゴーサン」という言葉を御存じの方も多いでしょう。
会社員などの給与所得者は源泉徴収というかたちで税額が控除されるのに対し、自営業者や農林水産業従事者は捕捉率が低い(その収入や経費を税務署が追うことに限界がある)ことから、収入を少なく見せたり経費を多く見せたりするなどの方法により、脱税が行われる場合があります。

ケースの場合は、Aが経費の架空計上を行っていることから、下記の条文が問題となります。

所得税法238条1項 偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告)に規定する所得税の額…若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号…に規定する所得税の額につき所得税を免れ…た者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

【なぜ警察官以外が逮捕?】

逮捕には緊急逮捕、現行犯逮捕と通常逮捕があります。
このうち通常逮捕は、裁判所が発付する令状に基づいて行われる逮捕です。
逮捕状を請求できる人、逮捕状に基づいて逮捕を執行できる人は限られていて、どちらも警察官が行う場合が一般的です。
しかし、ケースの場合は検察官・検察事務官が逮捕のため自宅に来ています。
これはなぜでしょうか。

まず、脱税などの事件を取り扱うのは、主に国税局の国税専門官(国税調査官・国税査察官など)です。
脱税の場合、税務調査により申告漏れ等の調査をして修正を促す場合もありますが、金額が大きい場合や手口が悪質な場合には査察調査(犯則調査)を行い刑事裁判にかけることができます。
査察調査は国税査察官によって行われます。
査察調査には任意調査と強制調査があります。
任意調査では、帳簿などの必要書類を任意で提出させたり質問調査が行われます。
強制調査では、裁判所が予め発付した令状に基づく証拠物件の捜索・差押が行われます。

但し、国税専門官が行う調査は捜査とは異なります。
国税専門官は司法警察職員ではないため、正式な捜査を行うことはできません。
査察調査によって脱税などの嫌疑が濃厚になり、国税査察官が刑事事件化して刑事罰を科す必要があると判断した場合、検察官に事件を「告発」します。
告発を受けた担当検察官は捜査を行い、必要に応じて被疑者を逮捕します。

一連の流れで警察官は捜査に関与しません。
捜査を行うのは検察官であり、検察官や検察事務官には逮捕権が認められているため、ケースのような脱税事件の場合には検察官や検察事務官が逮捕するということになるのです。(刑事訴訟法199条1項)

脱税事件は、高額の場合など悪質性の高い事案については、ケースのように告発され検察官や検察事務官から逮捕される場合があります。
そして、金額次第では初犯であっても実刑判決を受ける恐れもある罪名です。
査察調査が始まっている方や、家族が突然脱税などの事件で逮捕され場合には、すぐに弁護士に依頼をすることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は奈良市内の刑事事件に対応している弁護士事務所です。
奈良市内で脱税などの刑事事件でお困りの場合、弊所フリーダイヤルに御連絡ください。

風俗店から示談を迫られた

2021-09-27

風俗店から示談を迫られた

風俗を利用して発生するいわゆる風俗トラブルで問題となる刑事事件と示談を迫られた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県五條市在住のAは、五條市内の会社に勤める会社員です。
Aは休日に五條市内の自宅に無店舗型性風俗特殊営業(いわゆるソープランド)の風俗嬢Vを呼び、サービスを受けていました。
その最中、AはVに対して「入れて良い?」と聞きましたが、Vは「それは絶対ダメ」と返答しました。
しかしAは我慢が出来なくなり、自身の陰茎をVの陰部に挿入してしまいました。

サービスが終わったのち、Vは店員を呼んだうえでAに対して「駄目と言ったのに本番行為をしましたよね」と言い、示談をするか、近くにある五條警察署に強制性交罪で被害届を出しに行くと言われました。
なお、示談については店員が代理人になると言われ、Aが「示談金はいくらくらいでしょうか。」と聞いたところ店員は「誠意を見せろ」とだけ回答しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【風俗店と本番行為】

ソープランドについて、ホームページなどで大々的に宣伝を打っているような店の多くは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風俗営業法と略します。)に基づいて営業の届出を行い合法的に行われています。
ソープランドで行われている行為は「浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」と定義されていますが、いわゆる本番行為は想定していません。
なぜなら、我が国には昭和33年施行の売春防止法があり、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する」売春行為を禁止しています。
性交とは俗に言う本番行為と同義ですので、そもそもソープランドは本番行為を想定していないと言えます。

もっとも、現実にはソープランドで本番行為をするという事例はあるようです。
これが仮に経営者側が本番行為を推奨している、あるいは黙認しているということになると、売春防止法違反で刑罰を受けることになり、併せて行政処分を受けることが考えられます。
しかし、風俗嬢と客とが「恋愛感情のもと」性行為を行ったと主張した場合には売春行為であるという立証が困難になるほか、仮に売春行為が行われたと立証できた場合にも、売春防止法が禁止する売春行為には当たりますが、罰則規定がないので処罰はされないことになります。

【風俗店と性犯罪】

とはいえ、風俗店でサービスを受けているからと言って、何をやっても良いというわけではありません。
客が風俗嬢に対して、暴行や脅迫を用いて同意のないわいせつ行為をした場合には暴行罪や強制わいせつ罪が成立しますし、性交為や口腔性交を行った場合には、強制性交等罪が適用されます。

【示談交渉で弁護士に相談】

このような、本番行為をしてしまったという風俗トラブルでの御相談は少なくありません。
そして、その多くは店側から示談の申し入れがあり、金額についての具体的金額は提示されないものの、低い金額を提示すると誠意が足りないなどと言われます。
そこで、示談交渉時に弁護士を間に入れるメリットについて検討してみます。

・本当に強姦にあたるのか
そもそも論として、強姦にあたる行為をしたのかどうか、法律の専門家である弁護士が検討することが必要です。
密室で行われる出来事であり、相手の一方的な言い分で強姦と言い張る場合もあります。
弁護士は、本番行為に至る前後でどのようなやり取りがあったのかを慎重に検討し、強姦にあたる暴行・脅迫が存在したのか、検討する必要があるでしょう。

・示談金の妥当性
仮に強姦その他の違法行為が行われたと仮定して、示談をする際、その金額は重要です。
示談金額については、おおよそこのような事件ではこれくらいの金額をお支払いしている、という傾向はあるものの、被害者の受けた精神的なショックなど数値ができない場合もあるため、個々で具体的に検討し、交渉する必要があります。
中には法外といえる金額を請求される場合もあり、また、一度支払うと要求がエスカレートするという場合も少なくありません。
弁護士が間に入り、妥当な金額での示談交渉を行うことが最良と言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県五條市にて、ソープランドなどで本番行為をしてしまった等の風俗トラブルになってしまい、示談を迫られているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

冤罪事件で不起訴を獲得

2021-09-16

冤罪事件で不起訴を獲得

痴漢事件で問題となる罪と、その事件が冤罪だった場合に不起訴を獲得するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和高田市在住のAは、大和高田市内の会社に勤める会社員で、通勤のため鉄道を利用しています。
ある日、Aが満員の車内で立っていたところ、前に立っていた女性Xが突然「触ってますよね、止めてください。」と大声を上げました。
Aは何もしていないと返答しましたが、Xはそれを聞き入れず、痴漢されましたと大声で叫びました。
AはXほか乗客数名に掴まれて次の駅で降ろされ、駅員に引き渡されました。
その後、駅員からの通報により大和高田市を管轄する高田警察署の警察官が駆け付けましたが、Aは一貫して「これは冤罪です。」と否認を続けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【痴漢事件について】

公共の場所や車両の中で他人の身体などに触れる行為は、痴漢と呼ばれています。
痴漢は、正式には各都道府県の定める迷惑防止条例違反事件として扱われます。
ケースは奈良県大和高田市を想定していますので、奈良県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。

条例12条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
 1号 他人の胸部、臀部、下腹部、大腿部等(以下「胸部等」という。)の身体に触れる行為(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触れる行為を含む。)であつて卑わいなもの

罰条:六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金(同条例13条1項)

【痴漢事件での捜査手法】

通常、刑事事件で立証に用いられる証拠には、主観的な証拠と客観的な証拠に分けられます。
その内容は事件によって異なりますが、ケースのような痴漢事件については主観的な証拠として嫌疑をかけられている方自身や被害者、目撃者の供述調書などが挙げられます。
客観的な証拠については、車内の監視カメラのほか、微物鑑定(繊維鑑定)などが挙げられます。
微物鑑定(繊維鑑定)とは、被害者の衣服の繊維が被疑者の手などに付着しているかどうか、というものです。
微物鑑定(繊維鑑定)は事件後すぐでなければ鑑定ができません。

【冤罪事件について】

もっとも、ケースのAは痴漢行為に及んでいません。
このように、無実の罪で被疑者として取り扱われている場合を、冤罪と呼びます。

冤罪事件にはいくつかのパターンがあり、ケースのような痴漢事件については
・別の犯人がいたパターン
・被害者の身体に荷物が当たっていてそれを痴漢と勘違いしたパターン
・女性が何かしらの理由でありもしない事件の被害申告をしているパターン
などが考えられます。

冤罪事件の場合、身の潔白を晴らすという点で積極的に微物鑑定(繊維鑑定)を希望することも考えられる一方、満員電車で故意ではないものの被害者の衣服に触れてしまった場合などでも繊維が付着している場合があるため、絶対的なものとは言えない点に注意が必要です。

また、監視カメラの映像や目撃者の証言がある場合が望ましいところですが、ケースのような満員の車内では監視カメラに被害者の下半身などが映っていない可能性があり、目撃者もいない可能性も高いです。
AはXの後ろにいたという点は状況証拠の一つにはなり得ますが、痴漢の被害に遭っている最中にその腕を掴んだ場合などでなければ、直接的な証拠とも言えません。

このように、客観的な証拠に乏しい事件では、しばし捜査機関は強引な取調べを行い「やったことはやったと認めて一からやり直せ。」等と言って事実とは異なる証言を無理やり引き出したり、「貴方が言っていることは要するにこういうことだから」等と言って供述と異なる供述調書が作成されたりする恐れもあるため、取調べは事前に弁護士と打合せをしたうえで臨み、調書への署名捺印を求められた場合には慎重な確認作業が必要です。

冤罪事件は他人事のように思われがちですが、日常生活に於て誰しもが冤罪事件に巻き込まれる可能性があります。
家族が冤罪事件で逮捕・勾留されている、あるいは御自身が冤罪事件で取調べ受けている場合、すぐに刑事事件を専門とする弁護士に相談することをお勧めします。
奈良県大和高田市にて、痴漢冤罪事件に巻き込まれている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

覚醒剤所持で即決裁判

2021-09-09

覚醒剤所持で即決裁判

覚醒剤を所持していたことで問題となる罪と即決裁判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県桜井市在住のAは、桜井市内の会社に勤める20代の会社員です。
Aは会社内部での人間関係などにストレスを抱え、覚醒剤に手を染めていました。
もっとも、規範意識が欠如していたわけではなく、悪いことであるという認識があったため、数ヶ月間は使用していない状況で財布の中に入れていました。
ある日、桜井市内の路上を歩いていたところ、桜井市内を管轄する桜井警察署の警察官による職務質問を受けることになり、そこで覚醒剤を所持していることを素直に告げたため、覚醒剤取締法違反で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAの両親は、覚醒剤所持事件で即決裁判手続に付される可能性があるのかについて、刑事事件専門の弁護士に相談をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【覚醒剤所持事件】

ご案内のとおり、覚醒剤は我が国でその所持や使用が制限されている薬物の一種です。
主として結晶の状態で出回っていて、水などで溶解して注射する方法による摂取が一般的ですが、加熱による炙りと呼ばれる方法や、飲料水に混ぜて飲む方法により摂取されることもあります。

覚醒剤の所持や使用は覚醒剤取締法などの法律により禁止されています。
ケースの場合は覚醒剤所持が問題となり、起訴されて有罪判決を受けた場合には「10年以下の懲役」に処されることになります。(覚醒剤取締法41条の2第1項)

【刑事手続の大まかな流れ】

刑事事件では、その事案によって行われる手続きが異なりますが、ざっくりと説明すると

・冒頭手続(人定質問、起訴状の朗読、黙秘権告知、罪状認否)
・冒頭陳述
・証拠調べ請求(証人尋問や被告人質問などを含む)
・論告
・弁論
・判決宣告

という流れになります。
1回目の公判から判決宣告までに行われる裁判の回数や機関についての定めはなく、被告人が起訴状記載の事実を否認している場合などについては一審だけで数年間を要する場合があります。
比較的軽微な犯罪で、被告人が罪を認めている場合、1回目ないし2回目の裁判で結審してその次の公判期日で判決宣告を受けるという手続きが一般的です。
これまた事件にもよりますが、結審後2週間程度で判決期日が入れられる場合が一般的です。

【即決裁判手続とは?】

通常の刑事事件の流れは前述のとおりですが、その例外的な手続として、2004年の刑事訴訟法改正により「即決裁判手続」が新設されました。
即決裁判手続は、捜査を担当する検察官が公訴の提起(起訴)と併せて即決裁判手続の申立てを行うことから始まります。
但し、この申立てには以下の要件を満たしていることが必要です。
・事案が明白且つ軽微
・死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる重大事件ではない
・事案について被疑者の争いがない
・被疑者の同意がある

裁判所が即決裁判手続の申立てを受けた場合、裁判官・検察官・弁護人は速やかに公判準備を行う必要があります。
公判期日では、被告人が冒頭陳述で訴因について有罪である旨の陳述をした場合、裁判官は原則として即日判決を言い渡さなければなりません。

なお、似たような名称の刑事手続に「略式手続」というものがありますが、即決裁判手続は略式手続とは違います。
略式手続とは、検察官が簡易裁判所に対して略式起訴することで裁判官が100万円以下の罰金刑を言い渡す手続で、公開の法廷での審理は行われません。
窃盗事件や暴行・傷害事件などの比較的軽微な事件が対象ですが、略式手続では財産刑以外の刑罰を科すことができない点に注意が必要です。

即決裁判手続は、検察官や裁判官の手続き上の負担が軽減されることはもとより、被告人にとっても出廷の回数が減る、未決期間が短くなるなどのメリットがあります。
奈良県桜井市にて、ご家族が覚醒剤所持事件などの罪で逮捕・勾留され、即決裁判手続について知りたい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは弁護士が逮捕・勾留されている方のもとへ接見に行き、供述内容を確認したうえで、即決裁判手続に付される可能性があるかどうかについてご説明致します。(有料)

スピード違反で刑事事件に?

2021-09-06

スピード違反で刑事事件に?

スピード違反で問題となる罪と刑事事件と行政処分の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県天理市在住のAは、天理市内の会社に勤める会社員です。
Aは休日、友人との約束に遅れそうになり、制限速度50km/hの路上で110km/hを出して走行してしまいました。
その頃、同路上にて移動式オービスによりスピード違反を取り締まっていた天理市を管轄する天理警察署の警察官は、Aによるスピード違反を現認し、検挙しました。
Aは、スピード違反で問題となる罪と、罰金刑と反則金の違いなどについて、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【スピード違反について】

ご案内のとおり、我が国の公道を自動車やバイクなどで走行する際には、道路交通法や車両運送法をはじめとする各種法律に従って運転をする必要があります。
スピードについてもそのルールのひとつで、道路交通法に以下のような定めがあります。

道路交通法22条1項 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

道路交通法施行令11条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。

つまり、法律で定める法定速度は60km/hであり、それ以外に制限速度が定められている道路については指定された速度未満で走行しなければいけません。
稀に、○○km/hまでであれば超過しても違法ではない、という誤った認識の方がおられますが、それは誤りで、法定速度又は制限速度を1km/hでも超過した場合、速度超過(スピード違反)に当たります。

罰条:6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 (道路交通法118条1項1号)

【行政処分と刑事事件】

前章では、スピード違反をしてしまった場合の罪について説明をしました。
前述のとおり、スピード違反はたとえ1km/hでも超過してしまった場合、それは道路交通法違反です。
しかし、スピード違反に限らず、我が国では一日で数多くの道路交通法違反が行われています。
それらの全てを警察官らが検挙し、検察官に送致し、検察官が起訴した場合、警察官・検察官・裁判官の負担が大きくなりすぎます。
そこで、一定未満の比較的軽微な交通違反については、刑事事件には問わず、行政処分のみが行われるという場合があります。
これを交通反則通告制度と呼びます。

交通反則通告制度の対象となる違反は、反則点数が6点未満の違反です。
どのような違反が何点加点されるのかについては警察署のホームページ等で確認することができます。
スピード違反について見ると、飲酒運転の場合を除き、以下のような点数が規定されています。

20km/h未満                   1点
20km/h以上25km未満             2点
25km/h以上30(高速道路は40)km/h未満  3点
30(高速道路は40)km/h以上50km/h未満  6点
50km/h以上                  12点

よって、
一般道路では30km/h未満
高速道路では40km/h未満
の場合には、交通反則通告制度が適用されます。
この場合、
違反点数の加点に同意し、反則金(普通乗用車の場合は最大35,000円)を納付した場合には、刑事事件には発展しません。
加点された事実については俗に青切符(青キップ)と呼ばれる交通反則告知書という書類が交付されます。
ここでいう反則金は、刑法の定める罰金とは異なる行政処分であり、前科には当たりません。

他方で、
一般道路では30km/h以上
高速道路では40km/h以上
の場合には、交通反則通告制度が適用されません。
つまり、これらのスピード違反を起こした場合には、道路交通法違反被疑事件・同被告事件として、刑事裁判に処されることになります。
加えて、行政処分として違反点数が加点されることにもなりますので、免許停止処分・免許取消処分などに発展します。
ここで交付されるのは、俗に赤切符(赤キップ)と呼ばれる告知票という書類で、

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士事務所です。
当事務所は無料相談を行っていて、刑事事件に発展した場合の見通しや可能な弁護活動についてご説明しています。
奈良県天理市にて、ご自身が一定以上のスピード違反をしてしまい、刑事事件の見通しや弁護活動について知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談いただけます。

※当事務所は刑事事件・少年事件のみの事務所であり、行政処分(点数や反則金)についてのご相談はできません。

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