覚醒剤事件で控訴

覚醒剤事件で控訴

覚醒剤により問題となる罪と、控訴審について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内にある会社に勤める会社員です。
Aには交際相手Xがいて、Aの家で同棲をさせていました。
Xは覚醒剤を購入するルートを見つけ、それを転売することで月100万円ほどを稼いでいました。
Aは、家庭内でXからDVをうけるなど指示に従わざるを得ない状況下にあり、Xが行っていた覚醒剤の転売行為に加担せざるを得ませんでした。
事件当日、AはXからの指示で覚醒剤が入っているビニール袋を奈良市内のコインロッカーに受け取りに行ったところ、捜査をしていた奈良市内を管轄する奈良警察署の警察官に声掛けされ、覚醒剤取締法違反で逮捕されました。
その後、Aの刑事裁判が行われましたが、Xとの支配関係に触れられないまま実刑判決を受けてしまいました。
Aの家族は、控訴審について刑事事件専門の弁護士に相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【覚醒剤を転売する行為】

御案内のとおり、覚醒剤は法禁物であり、我が国では所持や使用を禁止されている薬物です。
ケースの場合、まずは覚醒剤を譲り受け、次に所持し、そのうえで第三者に譲り渡しています。
これらは、覚醒剤取締法の定める覚醒剤の譲り受け罪・所持罪・譲渡し罪がそれぞれ適用される行為です。
更に、Xは譲渡しをする際、買値より高い金額で売却(転売)し、月100万円ほどの利益を得ています。
これは、営利目的の譲り受けと評価され、より厳しい刑事罰が科されます。

譲り受け罪・所持罪・譲渡し罪は、営利目的がない場合には「十年以下の懲役」、営利目的の場合には「一年以上の有期懲役」「情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金」と定められています。
譲り受けの罪、所持の罪、譲渡しの罪について、それぞれを捜査して起訴するに足りる証拠が集められた場合には複数の罪名で起訴されることになりますが、その場合には併合罪として処理されるため、最も重い罪の定める刑の長期に2分の1を加えることになります。
営利目的の譲り受け・所持・譲渡しは、全て1年以上の有期懲役と定められていて、有期の懲役刑の上限は20年ですので、2分の1を加えると、30年以下の懲役刑が言い渡される可能性があります。

覚醒剤取締法41条の2第1項 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
 2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。

【控訴審について】

前章で紹介した覚醒剤の営利目的での譲り受け・所持・譲渡しは、非常に厳しい刑事罰が用意されているため、刑事裁判では厳しい刑事処罰が科せられる可能性が高いです。
他方で、ケースの場合について言うと、AはXから日常的にDVを受けていて、支配関係にあるところで覚醒剤の営利目的譲渡し等に加担せざるを得ない状況であったという点については、情状面において非常に重要な証拠と言えます。
その点を評価することなく一審で厳しい刑事罰が科せられたということであれば、不服申立ての必要があると言えるでしょう。

我が国では、三審制が採られていて、一審判決に不服がある場合には二審(控訴審)が、控訴審についての不服申立ては三審(上告審)が、それぞれ用意されています。
但し、どのような場合でも控訴できるわけではなく、原則として手続等に誤りがあった場合のほか、事実を誤認した、証拠能力のない証拠を採用した場合など、控訴理由がある場合に控訴ができます。
もっとも、実務では、この事件に対してこの刑罰は重すぎるのではないか、という「量刑不当」と呼ばれる理由での控訴が大多数を占めていて、控訴審で一審判決を破棄して、より軽い刑事罰が言い渡されるというケースもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、一審判決はもとより、上訴(控訴審・上告審)での弁護活動についても対応しています。
奈良県奈良市にて、ご家族が覚醒剤営利目的譲渡しなどの刑事事件で実刑判決を受け、控訴を検討している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。

 

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