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【事例紹介】カメラのデータを初期化して器物損壊罪で逮捕

2024-04-23

【事例紹介】カメラのデータを初期化して器物損壊罪で逮捕

カメラ

データを初期化したとして器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

2月29日夕方、奈良県内の塾講師控え室において、被害者所有の小型カメラに記録されたデータを初期化したとして、4月18日、男(20歳)を器物損壊で通常逮捕しました。
(4月19日 奈良県警察WeeklyNews 「器物損壊で男を逮捕《奈良西署》」より引用)

器物損壊罪

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第258条では公用文書毀棄罪、刑法第259条では私用文書毀棄罪、刑法第260条では建造物損壊罪が規定されています。
器物損壊罪は、刑法第258条から260条で規定されている物を除いた、他人の物の効用を滅失させて利用を妨げた場合に成立する犯罪です。
「効用を滅失させて利用を妨げた」といわれても、いまいちピンとこないかと思いますので大まかに説明すると、器物損壊罪は他人の物を使用できなくさせた場合などに成立します。

例えば、自転車のタイヤをパンクさせた場合にはその自転車に乗ることはできませんから器物損壊罪が成立します。
また、食器に放尿された場合にも、心理的に再度使用することはできないでしょうから器物損壊罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者のカメラに記録されたデータを初期化したとされています。
カメラ本体を壊されたわけではなく撮影することは可能ですので、今回の事例は器物損壊罪にはあたらないように思われます。
ですが、初期化によって今までのデータが消えてしまっているため、今まで撮影した画像を現像することは不可能になっており、撮った画像を現像したり他の媒体に転送したりといったカメラの効用は失われたと考えられます。
撮影するだけでなく、今までの思い出を残しておけるものカメラの機能の1つでしょうから、故意にデータを初期化したのであれば、容疑者に器物損壊罪が成立する可能性があります。

器物損壊罪と親告罪

器物損壊罪告訴がなければ起訴されることのない犯罪です。(刑法第264条)
ですので、告訴を取り下げてもらうことができれば、刑罰を科されることはありませんし、前科も付きません。
だからといって加害者本人が告訴の取り下げをお願いしても、応じてもらえない可能性が高いと思われます。
弁護士を通じて、謝罪や賠償をすることで告訴を取り下げてもらえる場合もありますから、親告罪でお困りの方は弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで不起訴処分を獲得できる場合がありますから、器物損壊罪などで捜査をされている方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】コンビニで万引きし呼び止めた人を押し倒して事後強盗罪で逮捕された事例

2024-04-16

【事例紹介】コンビニで万引きし呼び止めた人を押し倒して事後強盗罪で逮捕された事例

万引き

コンビニでパンなどを盗み、呼び止めた人に暴行を加えたとして事後強盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

4月8日早朝、奈良市内のコンビニエンスストアからパン等2点を盗み、さらに、これを発見した被害者に呼び止められた際、逮捕を免れるために被害者の体を押し倒す暴行を加えたとして、女(37歳)を事後強盗で現行犯逮捕しました。
(4月15日発表 奈良県警察WeeklyNews 「事後強盗で女を逮捕《奈良署》」より引用)

事後強盗罪

刑法第238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は刑法第238条で規定されています。
簡単に説明すると、窃盗罪にあたる行為をした人が取り返されたり逮捕されないように、暴行や脅迫を行った場合には、事後強盗罪が成立します。

刑法第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

刑法第236条1項では、強盗罪を規定しています。
事後強盗罪強盗罪として扱われますので、有罪になると5年以上の有期懲役が科されます。

今回の事例では、奈良市内のコンビニでパンなど2点を盗んだ容疑者が逮捕を免れるために呼び止めた被害者の身体を押し倒す暴行を加えたとされています。
コンビニなどお店で料金を払わずに商品を盗む行為は窃盗罪が成立する可能性が高いですし、実際に容疑者がパンなどを盗んで逮捕を免れるために押し倒す暴行を加えたのであれば、事後強盗罪が成立する可能性があります。

万引きと事後強盗罪

万引きとは、お店で商品の代金を支払わずに盗む行為をいいます。
万引きでは多くの場合で窃盗罪が成立し、窃盗罪で有罪になった場合には、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(刑法第235条)。

店員が万引きに気づいた場合、万引き犯を制止しようとするかもしれません。
制止してきた店員から逃げるために、暴行や脅迫を行うと、窃盗罪ではなく事後強盗罪が成立してしまうおそれがあります。
また、その際に店員にけがを負わせてしまうと、より刑罰の重い強盗致傷罪が成立してしまう可能性があります。
ちなみに、強盗致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役(刑法第240条)ですので、強盗致傷罪で有罪になると、最悪の場合、無期懲役刑が科されてしまうおそれがあります。

万引きと聞くと罪が軽そうなイメージをもってしまいますが、窃盗罪は決して罪の軽い犯罪ではありません。
また、万引きの場合は盗んだ後の態様によっては事後強盗罪強盗致傷罪など、窃盗罪よりも刑罰の重い罪に問われてしまう可能性があります。
窃盗罪では罰金刑が規定されていますが、事後強盗罪強盗致傷罪には罰金刑の規定はありませんので、有罪になると必ず懲役刑が科されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、刑の減刑や執行猶予付き判決の獲得など少しでも良い結果を得られる可能性がありますので、万引きなどの窃盗罪事後強盗罪などでお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

【事例紹介】SNSで呼び出した相手に因縁をつけ、1万5千円脅し取った事例

2024-04-09

【事例紹介】SNSで呼び出した相手に因縁をつけ、1万5千円脅し取った事例

犯罪行為でお金を得る男性

因縁をつけた相手から現金を脅し取ったとして、恐喝罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

4月3日未明、共謀の上、奈良市内において、SNSで誘い出した被害者に対し「嫁にえらいことしてくれたな。誠意を見せろ。慰謝料30万円払え。」 等と因縁を付け、被害者から現金1万5千円を脅し取ったとして、男2人(いずれも22歳)、女(22歳)をそれぞれ恐喝で通常逮捕しました。
(4月5日発表 奈良県警察WeeklyNews 「恐喝で男女3人を逮捕《奈良署》」より引用)

恐喝罪

刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

恐喝罪とは簡単に説明すると、脅迫暴行を用いて怖がらせ、相手からお金などを受け取ると成立する犯罪です。
脅迫暴行が怖がらせる程度を超えて、抵抗が困難な程度に至っている場合には、恐喝罪ではなく、強盗罪が成立します。

今回の事例では、容疑者らがSNSで呼び出した被害者に「嫁にえらいことしてくれたな。誠意を見せろ。慰謝料30万円払え。」と言ったようです。
脅迫とは大まかに説明すると、身体などに危害を加えると知らせることをいいます。
直接的に危害を加えると言っていなくても、「誠意を見せろ」や「慰謝料30万円払え」と言われれば、慰謝料を払わなければ暴力を振るわれるのではないかと想像してしまうかと思います。
暴行を加えられることは身体への危害と言えますし、直接的に「暴力を振るうぞ」と言われなくても、暴力を振るわれるのではないかと想像してしまうような内容であれば、危害を加える告知をしたとして、脅迫にあたる可能性があります。

また、「誠意を見せろ」や「慰謝料30万円払え」と言われたとしても、その場から逃げたり、警察に通報できた可能性があります。
とはいえ、通常、成人男性から上記のような発言をされれば恐怖を感じるでしょう。
ですので、今回の事例の「嫁にえらいことしてくれたな。誠意を見せろ。慰謝料30万円払え。」という発言は恐喝罪が規定する脅迫にあたる可能性があります。

奈良県警察の発表によると、容疑者らは被害者から現金1万5千円を受け取っているようですので、実際に容疑者らが「嫁にえらいことしてくれたな。誠意を見せろ。慰謝料30万円払え。」と言って被害者からお金を脅し取ったのであれば、容疑者らに恐喝罪が成立するおそれがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士が示談交渉を行うことで、示談を締結できる場合があります。
被害者との間で示談を締結していることで、不起訴処分の獲得などに有利に働く可能性がありますので、恐喝罪で捜査を受けている方や、示談を考えている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】大麻所持の疑いで逮捕された事例

2024-04-02

【事例紹介】大麻所持の疑いで逮捕された事例

大麻で逮捕

大麻を所持していたとして大麻取締法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

3月19日午後、平群町内の一般住宅において、大麻草約7グラムを所持したとして、3月22日、女(27歳)を大麻取締法違反で通常逮捕しました。
(3月29日発表 奈良県警察WeeklyNews 「大麻所持で女を逮捕《西和署》」より引用)

大麻所持

大麻取締法第3条第1項
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

大麻とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」ものをいいます。(大麻取締法第1条)
大麻取締法第3条第1項では、大麻取扱者以外の大麻の所持や栽培、譲渡等を禁止していますので、使用の有無に関係なく、大麻にあたるものを大麻取扱者以外の者が持っていた場合には大麻取締法違反が成立することになります。

今回の事例では、容疑者が大麻草約7グラムを所持していたとされています。
大麻は所持しているだけでも犯罪になりますので、実際に容疑者が所持を認められている大麻取扱者ではなく、かつ、大麻を所持していたのであれば、容疑者に大麻取締法違反が成立する可能性があります。

大麻を違法に所持した場合に大麻取締法違反で有罪になると、5年以下の懲役に処されます。(大麻取締法第24条の2第1項)
また、営利目的の場合には、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処されます。(大麻取締法第24条の2第2項)

大麻所持と逮捕勾留

刑事事件では、逮捕されると72時間以内に勾留の判断が行われます。
勾留期間は最長で20日間であり、その間は自由が制限され会社に行くことなどはできません。
勾留は証拠隠滅や逃亡のおそれなどがある場合になされます。
大麻所持の場合は、物的証拠である大麻を処分することが比較的容易であるため、証拠隠滅のおそれが高いと判断される可能性が高いです。
ですので、大麻所持の疑いで逮捕された場合には、勾留されてしまう可能性が非常に高いといえます。

弁護士は勾留が判断される前や勾留が決定した後に釈放を求めることができます。
具体的には、勾留判断前であれば検察官や裁判官に勾留請求に対する意見書を提出できますし、勾留決定後は裁判所に対して勾留決定に対する準抗告の申し立てを行うことができます。
勾留請求に対する意見書勾留が決定するまでの間に提出する必要がありますので、勾留が決定してしまった後だと、釈放を求める機会を2回失ってしまうことになります。
ですので、早期釈放を目指す場合にはできる限り早い段階で弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
経験豊富な弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できる場合があります。
ご家族が大麻取締法違反などで逮捕された場合には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】奈良市内の側溝からグレーチングを盗んだ事例

2024-03-29

【事例紹介】奈良市内の側溝からグレーチングを盗んだ事例

逮捕連行される男性

グレーチングを盗んだとして窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

1月9日昼過ぎ、奈良市内の側溝からグレーチング1枚(時価1万8,000円相当)を盗んだとして、3月25日、男(68歳)を窃盗で通常逮捕しました。
(3月29日配信 奈良県警察WeeklyNews 「窃盗で男を逮捕《奈良署》」より引用)

窃盗罪

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪とは簡単に説明すると、人の物をその人の許可なく自分の物や他人の物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者は奈良市内の側溝からグレーチング1枚を盗んだとされています。
このグレーチングははめられていた側溝が私有地にない限りは奈良県奈良市の所有物だと考えられます。
ですので、所有者である奈良県奈良市に許可を得ずに自分の物にしたのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。
また、私有地にあった場合であってもその私有地内にあるグレーチングは私有地の所有者の物でしょうから、自分の所有地以外の場所から所有者の許可なく自分の物にすると窃盗罪が成立すると考えられます。
ですので、実際に容疑者が側溝からグレーチングを盗んでおり、所有者の許可を得ていないのであれば窃盗罪が成立する可能性が高いでしょう。

窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗罪には罰金刑だけでなく懲役刑も規定されていますので、窃盗罪で有罪になると懲役刑が科されてしまう可能性があります。

グレーチングは金属でできていますので転売の餌食にもなりやすく、転売目的による窃盗なのではないかと疑われる可能性が高いと思われます。
転売目的による窃盗だと判断された場合、同じ被害額の窃盗事案と比べて転売目的の方が悪質性が高いと判断されより重い刑罰が科されてしまうおそれがあります。
また、転売目的だと疑われる場合には、余罪もあるのではないかと怪しまれることもあるかもしれません。
余罪がある場合とそうでない場合では、科される量刑が異なってくる可能性がありますので、注意が必要です。

転売目的でない場合や余罪がない場合には、取調べ段階で、転売目的や余罪をしっかりと否定することが大切です。
警察官や検察官は認めるように圧をかけてくることがあるかもしれませんが、良い結果を得るためには、違うことは違うとはっきりと否定し、意に反した供述調書の作成を防ぐことが非常に重要になってきます。
供述調書は処分の判断や裁判の証拠として使用されます。
もしも意に反した供述調書を作成されてしまった場合には、処分の判断に悪影響を及ぼしたり、裁判で窮地に立たされてしまう可能性があります。
そういった事態を避けるためにも、取調べ前に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス無料法律相談を行っています。
窃盗罪でお困りの方は、捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】介護施設で両脚を蹴り、壊死など全治約100日間のけがを負わせた事例

2024-03-19

【事例紹介】介護施設で両脚を蹴り、壊死など全治約100日間のけがを負わせた事例

手錠とガベル

介護施設で入所者に壊死などのけがを負わせたとして傷害罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

勤務先で入所者に暴行してけがを負わせたとして、奈良県警五條署は11日、五條市、元介護施設職員の男(43)を傷害容疑で逮捕した。「注意を聞き入れてくれず、かっとなった」と容疑を認めている。
発表では、男は昨年12月16日、五條市内の施設で、80歳代の女性の両脚を複数回蹴るなどして、皮膚壊死など全治約100日間のけがを負わせた疑い。
(後略)
(3月13日 読売新聞オンライン 「勤務先で80代入所者の両脚蹴る、全治100日間のけが…元介護施設職員の男「かっとなった」」より引用)

傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪は簡単に説明すると、暴行を加えて人にけがを負わせると成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者の両脚を複数回蹴るなどして全治約100日間のけがを負わせたとされています。
人を蹴る行為は暴行にあたりますし、複数回蹴ったことで全治100日間のけがを負わせているようなので、実際に容疑者が被害者を蹴ってけがを負わせたのであれば、傷害罪が成立する可能性が高いといえます。

傷害罪と裁判

傷害罪は懲役刑も規定されており、刑罰の軽い犯罪だとはいえません。
懲役刑が規定されていますので、当然、傷害罪で有罪になった場合には罰金で済まずに懲役刑が科される可能性があります。

今回の事例では、被害者は壊死など全治約100日のけがを負っているようです。
全治100日のけがはかなりの重症ですから、被害は相当大きいといえます。
また、事件当時、容疑者は介護施設の職員だったようですから、立場を利用した犯行だと捉えられて悪質性が高いと判断されるおそれがあります。
ですので今回の事例では、報道が事実なのであれば、被害が軽いとはいえず、悪質性が高いと判断されて実刑判決が下されてしまう可能性もないとはいえないと思われます。

懲役刑が下されてしまうと絶対に刑務所に行かなくてはいけないのかと言われるとそうではありません。
執行猶予付き判決を獲得することができれば、懲役刑が下されたとしても刑の執行が猶予されます。
刑事事件では、被害者と示談を締結することで、執行猶予付き判決の獲得に有利に働く可能性があります。
傷害事件では、被害者は加害者によってけがなどを負わされているわけですから、加害者に対して恐怖を抱いている可能性があり、加害者本人が直接被害者に連絡を取ることはあまりおすすめできません。
謝罪や賠償のためであっても、加害者本人が被害者に連絡を取ることで証拠隠滅を疑われる可能性もあります。
弁護士に示談交渉を任せることでトラブルなどを防げる場合がありますから、示談交渉をする際は一度弁護士に相談をすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所傷害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
執行猶予付き判決を得るには取調べ対応なども重要になってきます。
傷害事件に精通した弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を得られる可能性がありますから、傷害罪の容疑をかけられている方は一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】東大寺の参道で事故を起こし現行犯逮捕された事例

2024-03-12

【事例紹介】東大寺の参道で事故を起こし現行犯逮捕された事例

人身事故

男性2人を車ではね死傷させたとして、過失運転致傷罪の容疑で現行犯逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)奈良市春日野町の東大寺参道で、男性2人が次々と乗用車にはねられた。救急搬送されたが、男性(62)は死亡が確認され、もう1人の男性(52)もけがを負った。奈良県警奈良署は、車を運転していた男(79)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕した。
(中略)調べに対し、「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話しているという。
(後略)
(2月25日 読売新聞オンライン 「東大寺の参道で2人はねられ1人死亡、79歳を容疑で逮捕「アクセルとブレーキ踏み間違えた」」より引用)

過失運転致死傷罪

過失運転致死傷罪は刑法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)で定められています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

赤信号の見落としなど、運転をするうえで必要な注意が足りずに事故を起こしてしまった場合に、人を亡くならせると過失運転致死罪が、人にけがを負わせると過失運転致傷罪が成立します。
過失運転致死罪過失運転致傷罪の法定刑はどちらも、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
ただ、過失運転致傷罪では、けがの程度が軽い場合には情状により刑が免除される場合があります。

今回の事例では、アクセルとブレーキを踏み間違えたことによる事故のようです。
運転をするうえで、自分が今、アクセルとブレーキのどちらに足をのせているのかを確認する必要がありますし、アクセルとブレーキを踏み間違えることのないように注意をする必要があります。
報道によると、被害者のうち一人がお亡くなりになっていてもう一人もけがを負っているようですので、実際に容疑者がブレーキの踏み間違いで事故を起こしたのであれば、運転上必要な注意を怠って人を死傷したとして、逮捕容疑である過失運転致傷罪だけでなく過失運転致死罪も成立する可能性があります。

過失運転致死傷罪と弁護活動

過失運転致死罪過失運転致傷罪は、どちらも執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
ですが、だからといって必ずしも実刑判決が下されないわけではありませんので注意が必要です。

過失運転致死罪過失運転致傷罪では、過失の程度の差が量刑に影響してくる場合があります。
また、今回のようなブレーキの踏み間違いによる事故では過失の有無を争うのは難しいでしょうが、過失運転致死傷罪の事例によっては、事故の予見可能性や回避可能性がないため過失にあたらず無罪になる可能性もあります。
裁判で過失の程度を争う場合には、有利になる事情を的確に主張することが重要になってきます。
裁判では、取調べの際に作成された調書も証拠として扱われますので、起訴される前から、執行猶予付き判決無罪獲得に向けた弁護活動を行うことが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件や交通事件に精通した法律事務所です。
交通事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士に相談をすることで、無罪執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
過失運転致死罪過失運転致傷罪で捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】事実とは異なる内容の住民異動届を提出し逮捕された事例

2024-03-05

【事例紹介】事実とは異なる内容の住民異動届を提出し逮捕された事例

パソコン

事実とは異なる内容の住民異動届を提出したとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)奈良市役所において、同市役所職員に対し、事実と異なる内容虚偽の住民異動届を提出し、住民基本台帳にその旨不実の記録をさせ、同市役所に備え付けさせたとして、2月21日、男(57歳)を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で通常逮捕しました。
(2月29日発表 奈良県警察WeeklyNews 「電磁的公正証書原本不実記録・同供用で男を逮捕《橿原署、組織犯罪対策課》」より引用)

事実とは異なる住民移動届の提出

住民異動届は引っ越しによって住所が変わった場合などに、提出をする必要があります。
今回の事例では事実とは異なる内容の住民移動届を提出したとされています。
事実とは異なる内容の書面を市役所に提出した場合には、罪に問われるのでしょうか。

刑法第157条1項
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第158条1項
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

刑法第157条1項、158条1項では、電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪が規定されています。
事実とは異なる内容の住民異動届を市役所に提出した場合、この電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪が成立する可能性があります。

電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪とは、簡単に説明すると、公務員に戸籍簿や住民基本台帳などのデータに事実とは異なる内容の情報を記録させて、その記録されたデータを閲覧可能な状態にさせることで成立します。

今回の事例では、容疑者が奈良市役所の職員に事実とは異なる内容の住民異動届を提出したことで、事実とは異なった内容が住民基本台帳に記録されたようです。
提出された住民異動届の内容は事実とは異なっているわけですから、住民異動届に沿って作成された住民基本台帳のデータについても事実とは異なった内容が記録されることになります。
奈良市役所の職員は公務員ですし、住民基本台帳の記録上に記録されると、記録されたデータは閲覧できるようになるでしょうから、実際に容疑者が事実とは異なった内容の住民異動届を提出したのであれば、電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決など、あなたにとって良い結果が得られるかもしれません。
電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪やその他刑事事件でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】駐車場から車を盗んだとして窃盗罪の容疑で逮捕された事例

2024-03-01

【事例紹介】駐車場から車を盗んだとして窃盗罪の容疑で逮捕された事例

信号無視

駐車場から車を盗んだとして窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)堺市西区内の駐車場から運転免許証等3点積載の普通乗用車1台(時価合計200万円相当)を盗んだとして、2月27日、男(32歳)を窃盗で通常逮捕しました。
(2月29日発表 奈良県警察WeeklyNews 「窃盗で男を逮捕《西和署、生駒署、捜査第一課》」より引用)

窃盗罪

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

簡単に説明すると、窃盗罪は、人の物をその人の許可なく、自分や他人の物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、駐車場から運転免許証などが積まれた車を1台盗んだとされています。
車の持ち主の許可なく自分の物にしたのであれば、容疑者に窃盗罪が成立する可能性があります。

自動車盗と量刑

窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗罪は身近な犯罪のひとつだといえますし、身近な犯罪である分、軽視されがちですが、懲役刑が規定されている以上、有罪になった場合に懲役刑が科される可能性があります。
窃盗罪と聞くと、罰金刑で済むイメージを持たれている方や初犯では刑罰を受けることはないと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、初犯であっても刑罰が科される可能性が高いですし、罰金刑で済まない場合も多々あります。
悪質性が高いと判断されたり、被害額が高額な場合には、初犯でも懲役刑が科されてしまう可能性があります。
自動車盗では、どうしても被害額が高額になってしまいますから、前科がなくても懲役刑が科されてしまう可能性があるといえます。

被害者に謝罪と賠償を行い、示談を締結することで執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
容疑者と被害者が知り合いではない場合は、まず被害者の連絡先を手に入れることから始めなければなりません。
この場合には、警察官や検察官から被害者の連絡先を教えてもらうことになると思いますが、被害者保護の観点から教えてもらえない可能性があります。
また、容疑者が被害者の連絡先を手に入れられたとしても、容疑者が直接被害者と連絡を取ることで、証拠隠滅を疑われてしまう可能性があります。
弁護士が間に入ることで、円滑に示談を締結できる可能性がありますので、示談を考えている方は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
窃盗罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】男性が女子トイレに入ると犯罪に?!建造物侵入罪で逮捕された事例

2024-02-20

【事例紹介】男性が女子トイレに入ると犯罪に?!建造物侵入罪で逮捕された事例

不法侵入

奈良市内のカラオケ店の女子トイレに侵入したとして、建造物侵入罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

令和5年12月29日未明、正当な理由なく奈良市内のカラオケ店の女子トイレに侵入したとして、2月13日、男(26歳)を建造物侵入で通常逮捕しました。
(2月16日発表 奈良県警察WeeklyNews「建造物侵入で男を逮捕《奈良署》」より引用)

建造物侵入罪

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪は簡単に説明すると、住居や邸宅以外の建造物に所有者の許可や正当な理由なく侵入すると成立する犯罪です。
住居とは、人が生活をしている建物のことを指し、人が住んでいる家や人が泊っているホテルの部屋などが該当します。
また、邸宅とは人が暮らす目的で建てられた建物で、現在人が生活していない建物を指します。
例えば、空き家や使用していない別荘などが邸宅にあたります。

今回の事例では、奈良市内のカラオケ店の女子トイレに侵入したとされていますが、カラオケ店の女子トイレは建造物にあたるのでしょうか。

カラオケ店は人が生活する目的で建てられてはいないでしょうし、カラオケ店に住む人もいないでしょうから、住居や邸宅には該当せず、建造物にあたると考えられます。
女子トイレはカラオケの店内にあるのでしょうから、女子トイレも建造物の一部だと考えられますので、カラオケ店の女子トイレは建造物にあたると思われます。

カラオケ店の店内にあるトイレはおそらく、カラオケ店を利用しているお客さんが自由に使用できるものだと思われます。
であれば、誰でも自由に出入りできるように思われるのですが、カラオケ店の女子トイレに入ることで建造物侵入罪は成立するのでしょうか。

カラオケ店がトイレの使用を許可していない場合を除いては、トイレの使用を許可されているわけですから用を足す目的でトイレに入る行為はなんら問題なく、建造物侵入罪は成立しないと考えられます。
そうすると、トイレの使用は許可されているのだから、男性が女子トイレに入っても建造物侵入罪は成立しないように思われます。
ですが、女子トイレと性別を区別している以上、女性がこの女子トイレを使用することが想定されているでしょうから、建物の所有者がこの女子トイレは女性に限って使用を許可していると推測することができます。
であれば、男性が女子トイレに入ることは許可されていないと解せます。

また、女子トイレとされている以上、カラオケ店には男子トイレ女子トイレとは別に設けられているでしょうから、男性は男子トイレを使用すればよく、女子トイレに入る正当な理由があると判断してもらうことは難しいでしょう。

ですので、男性がカラオケ店の女子トイレに入る行為は建造物侵入罪が成立する可能性があり、今回の事例でも実際に男性が奈良市内のカラオケ店の女子トイレに侵入したのであれば、建造物侵入罪が成立するおそれがあるといえます。

逮捕されたらどうなるの?

逮捕されると、72時間以内勾留するかどうかの判断が行われます。
検察官が勾留請求を行わなかったり、裁判官が勾留の決定を行わない場合には、勾留されることなく釈放されることになります。
ですので、逮捕されれば裁判などが終わるまで出られないということはなく、釈放され普段通りの生活を送ることができる場合があります。

最長で20日間勾留することができますので、勾留が決まることで長期間身体拘束を受け続ける可能性があります。
この間は当然、学校や会社には行けないわけですから、退学解雇などの何らかの処分が下される可能性も考えられます。
長期間にわたる身体拘束が今後の人生に多大な悪影響を及ぼす可能性があるわけですから、何とかして勾留されることを避けたいと思う方も多いのではないでしょうか。
勾留が決定してしまう前に、検察官や裁判官に働きかけを行うことはできないのでしょうか。

弁護士が検察官や裁判官に意見書を提出することで、勾留決定前に働きかけを行うことができます。
意見書を通じて勾留されることで被る不利益が多大であること、逃亡や証拠隠滅はしないことを訴えることで、釈放を認めてもらえる可能性があります。
この意見書勾留の判断がなされるまでの間に提出しなければなりません。
勾留逮捕後72時間以内に判断されますので、意見書の提出は時間との勝負になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っております。
早期釈放を目指すためには、早い段階で釈放に向けた弁護活動を行うことが重要です。
大切なご家族が逮捕された方、建造物侵入罪の容疑をかけられている方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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