逮捕

(1) 逮捕とは

~逮捕とは~

逮捕とは、捜査機関が容疑者の身体を一時的に拘束することです。

 

~逮捕の種類~

逮捕には、次の4つの種類があります。

1 通常逮捕

基本となる逮捕の方法です。捜査機関が裁判官に逮捕状を請求し、発せられた逮捕状によって行われます。
逮捕状が発せられるのは、次の2つの条件があると認められたときです。

  1. 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
  2. 明らかに逮捕の必要がないと認められる場合でないこと

(なお、一定の軽微事件(30万円(刑法犯等以外は2万円)以下の罰金、拘留または科料に当たる罪)については、定まった住居がない場合又は正当な理由なく捜査機関の出頭の求めに応じない場合でなければ逮捕されません)

罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとは、客観的・合理的な理由に基づき、単に犯罪があると思われるという以上の嫌疑があることをいいます。有罪判決をするほどの確信までは必要ありません。

明らかに逮捕の必要がないと認められる場合とは、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らして、逃亡・罪証隠滅のおそれがないと明らかに認められること、あるいは、逃亡・罪証隠滅のおそれがないと言えないわけではないが、逮捕してそれらを阻止する利益よりも権利侵害の程度(例えば,被疑者が高齢・重篤な病気にかかっている等)が大きく、逮捕することが相当でないことが明らかな場合をいいます。
  
通常逮捕は、容疑者に逮捕状を見せて行われます。逮捕するその場で見せることができない場合でも、その後できるだけ速やかに見せなければならないとされています。なので、自分が何の罪で、どんな嫌疑で逮捕されたのかということがわかります。

2 現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を逮捕する場合の逮捕です。

現行犯逮捕する場合、逮捕状は必要ありません。逮捕する者が犯人とその犯罪を直接に現認しているので、通常逮捕のように裁判官が審査しなくても、無実の者を不当に身体拘束するおそれがないからです。

現行犯逮捕でも、通常逮捕と同じく、明らかに逮捕の必要がないと認められる場合でないことが必要です。

現行犯逮捕は警察官ではない一般人でもできます(たとえば、電車内で痴漢被害にあった場合、被害者本人や周りの乗客等が犯人を現行犯逮捕することができます)。また、一定の軽微事件(30万円(刑法犯等以外は2万円)以下の罰金、拘留または科料に当たる罪)については、住居や氏名が不明な場合や逃亡のおそれがある場合でなければ現行犯逮捕されません。

3 準現行犯逮捕

準現行犯逮捕とは、

  1. 犯人として追い駆けられている
  2. 盗品又は明らかに犯罪に使用したと思われる凶器などを所持している
  3. 身体又は衣服に犯罪の顕著な証跡がある
  4. 呼び止められて逃走しようとする

 

これらのいずれかに当たる者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合の逮捕です。この場合も、明らかに逮捕の必要がないと認められる場合でないことが必要です。
準現行犯逮捕は現行犯逮捕に準じるものであり、現行犯逮捕の場合と同じく、逮捕状不要、一般人でも可能であり、一定の軽微事件では逮捕が制限されます。

4 緊急逮捕

緊急逮捕とは、単に緊急に逮捕するということではなく、

  1. 死刑、無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したことの充分な理由(通常逮捕の「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」よりも高い嫌疑)がある
  2. 急速を要し、逮捕状を求める時間的余裕がない

 

これらに当たる場合に認められる場合の逮捕です。この場合も、明らかに逮捕の必要がないと認められる場合でないことが必要です。
逮捕状を求める時間的余裕がない場合の逮捕なので、逮捕する際に逮捕状は不要です。警察官や検察官など一定の者しかできず、一般人はできません。(1)のとおり重大性のある事件についてのみ認められる逮捕なので、軽微事件におけるような制限はそもそもありません。

なお、逮捕する際には逮捕状は不要でも、逮捕後、できる限り速やかに逮捕状を求めなければなりません。裁判官の審査の結果、逮捕状が発せられなかったときは、容疑者は釈放されます。

 

(2)逮捕されたらどうなるのか

~警察での取調べ~

警察官に逮捕されたら、まず、黙秘権があることと弁護人を選任できることを告げられ、弁解の機会を与えられます。このときの弁解は、弁解録取書という書面にとられます。

そして、警察署内にある留置場等で身体を拘束され、取調べなどを受けることになります。

 

~検察官送致~

警察官は、逮捕した時から48時間以内に検察官に事件を送ります。送らないときは釈放されます。

検察官からは、まず、弁解の機会を与えられます。このときの弁解も、弁解録取書という書面にとられます。そして、身体は引き続き警察署内にある留置場等で拘束され、取調べなどを受けることになります。

 

~勾留請求~

検察官は、弁解の内容から見て長期留置の必要性があると判断すれば、警察官から身体を受け取った時から24時間以内に、勾留という更に長期間の身体拘束をすることを裁判官に請求します。請求しない場合は釈放されます。

 

~逮捕の期間~

逮捕によって身体を拘束できる時間は、警察で48時間以内、検察で24時間以内であり、更に、逮捕された時から勾留請求がされるまでの時間は72時間を超えることはできません(たとえば、警察官から検察官へと事件が送られている間の時間も逮捕中の時間として算入されるので、その間の時間は検察官の手持ち時間から減るということになります)。なので、逮捕による身体拘束は、最大でも72時間ということになります。

しかし、たった72時間と安易に考えることはできません。

逮捕されている間は留置場等に入れられて自由を奪われ、外部との連絡はほとんど不可能な状態に陥ります。そのような状態で、取調室などに引き出されて、警察や検察の厳しい取調べを受けることになり、身体的にも精神的にも非常に大きな負担を受けます。

更に、勾留手続が取られると、引き続き更に最大20日間身体を拘束されるおそれがあります。その間に起訴されたら、今度は、明確な日数を区切らずに裁判が終わるまでの間、勾留による身体拘束が続くおそれもあります。

 

(3)どんな風に取り調べられるのか

~厳しい取調べ~

逮捕されたら、警察署内にある留置場等で拘束されます。そして、取調室に引き出されて取調べを受けたり、事件現場の見分に立ち会わされたり、事件状況を再現させられたりします。

取調べ中に話したことは、調書にとられます。調書は裁判で証拠となり得るものでもあり、特に供述が自白であればその価値は非常に高いので、警察官や検察官は厳しく追及してきます。あるいは非常に長時間に及んだり、あるいは高圧的・威嚇的な取調べを行うこともあり得ます。そして、取調べの場に弁護人が同席することは認められていません。そのため、取調室という密室で、孤独な状態で精神的に追い詰められ、思いもよらず自分に不利な供述をさせられたり、記憶にない供述をさせられたりして、捜査機関にとって都合の良い調書を作成されたりすることがあります。

このような事態に陥らないため、逮捕されていても保障される権利や取調べの適切な受け方を知って、備えておく必要があります。

 

~取調べに対する備え~

1 弁護人選任権

容疑者には、いつでも法律の専門家である弁護士を弁護人として選任することができる権利が保障されています。

警察官や検察官は取調べのプロです。これに対処できるだけの法律知識がなければ、警察官や検察官は思うままに取調べを進め、いつの間にか上に述べたような捜査機関にとってだけ都合の良い調書が出来上がってしまっていたというようなことにもなりかねません。

弁護士を弁護人に選任し、法律知識のサポートを受けることで、取調べに適切に対処する方法を知ることができます。

2 黙秘権

(1)黙秘権とは

容疑者であっても、自己の意思に反して供述をする必要はありません。

取調べを受けていると、中には答えたくない質問もあるでしょう。そのような質問に対して「言いたくない」「話したくない」と答えたり、あるいは全く黙ったままを貫いたり等、無理に答える必要はないことが権利として保障されています。無理に供述させられた結果、事実と異なった話をして犯人ではないのに犯人にされてしまったという事件は後を絶ちません。また、仮に犯人であったとしても、事実とは違う、又は話したことと意味が異なる不利な調書が作られることがあります。これらのような事態を避け、自分の身を守るためにも、黙秘権は重要な権利です。

取り調べられる際は、必ず黙秘権の告知がなされます。万が一黙秘権告知がなされなかった場合にはその後の捜査は違法捜査ともなり得ますので、黙秘権の告知がされたかどうかを確認し、なされなかった場合にはそれをメモ等に残すようにしましょう。

(2)正直に話した方がいいのではないか

正直に話すことが有利な処分につながる場合もないわけではありません。

自白して罪を認めた場合でも、不起訴処分として起訴猶予を得られたり、略式起訴で済む可能性もあります。もし裁判になって有罪判決を受けても、反省の姿勢の表れとして刑が軽くなることもあり得るでしょう。

しかし、どのような場合であれば正直に話すことが有利な結果につながるかは、法律の専門家でなければ判断は極めて困難でしょう。有利な処分を期待して正直に話したことで、逆に不利益を被ることになったということは往々にしてあります。

なので、正直に話すかどうかは、弁護士と十分に相談した上で決めるべきです。自分一人の判断で話すべきではありません。弁護士と相談しないうちは、黙秘を続けるべきでしょう。

3 違法・不当な取調べを防ぐ

証拠として最も価値が高いのは、犯人が自己の犯罪を認めた供述、つまり自白です。なので、警察官や検察官は、自白を得るためならば、黙秘権を踏み躙って自白を強要するような違法・不当な取調べに及ばないとも言い切れません。

違法・不当な取調べの具体例

  • 朝から夜まで長時間の取調べを行っている
  • 暴力的・脅迫的な態度で取調べを行っている
  • 共犯者が話したとか、決定的な証拠があると言って自白を誘導してくる
  • 自白すれば不起訴になる、あるいは執行猶予になると言って誘いかける

これらやこれらに類するような取調べが行われた場合、すぐに弁護士を呼んでください。真実でない自白は絶対にしないでください。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、警察・検察などの捜査機関に抗議をすることで、違法・不当な取調べを止めるように働きかけていきます。

4 調書への署名押印拒否権

警察官や検察官は、取調べで話した内容を調書に記載します。そして、その調書を読み聞かせた上で、署名・押印をさせることで、調書が完成します。

このとき、署名・押印を求められても、それを拒否する権利があります。警察官や検察官は、署名・押印を強制することはできません。

調書は、後の裁判で重要な証拠となり得るものです。なので、読み聞かせられた調書の内容に納得できないときには、絶対に署名・押印はしないでください。

5 調書の記載の増減変更申立権

調書の内容に、話したかったこと違う部分やニュアンスが異なる部分など間違いがある場合、それを訂正したり、削除したりしてもらう権利があります。

調書に署名・押印する場合でも、自分の言い分が正しく記録されていない部分があると思った場合には、遠慮せず、訂正・削除を求めてください。

6 取調べの録音・録画の申入れ

取調べには弁護士などが立ち会うことはできません。そのため、自白を獲得するための違法・不当な取調べが行われていたとしても、それを外部から知ることは困難です。

そこで、取調べをそのような密室でのものにせず開かれたものにして、取調べが適正に行われるようにする方法として、弁護士を通じて、取調べの録音・録画を警察や検察に申し入れるという方法があります。

取調べが録音・録画されれば、どんな取調べをしたのかが明るみに出るので、敢えて違法・不当な取調べに及ぶおそれは著しく減少するといえます。否認事件では取調べが厳しくなる傾向にありますが、その厳しさが緩和されることも期待できます。また、自白が強制されたものかどうかを判断しやすくなります。

取調べの録音・録画は、取調べを可視化すべきであるという社会の流れを警察や検察も重く見ていますので、申し入れれば応じてくれる余地は十分にあります。そうしてほしいと思えば、遠慮なく、録音・録画を申し入れましょう。

一方、取調べを録音・録画することは、自白が強制されたり騙されたりして得られたものではないということの証拠にもなり得るので、自白が証拠として採用されやすくなることにもつながります。取調べを録音・録画することが有利かどうかは弁護士と十分に相談し、その上で、取調べの録音・録画を申し入れるようにしてください。

 

(4)面会・差入れをしたい,釈放してほしい

~ご家族や友人の面会・差入れ~

逮捕されている間は、ご家族や友人が面会をする権利はありません。できたとしても、それは警察や検察が特に許してくれたときだけです。

原則として、面会できるのは弁護士だけです。

なので、ご家族等が逮捕された方へ伝言したい、あるいは逮捕された方がご家族への伝言したい場合は、弁護士の力が必要となります。

 

~釈放してほしい~

逮捕については、勾留と異なり、身体拘束に対して異議を申し立てる制度はありません。

釈放されるとしても、警察や検察の判断によります。

逮捕された方は、密室で行われる取調べに耐えなければならない上に外部との連絡も絶たれ、想像もつかないような心理的な負担を受けることになります。このような状況では、取調べで対応を誤り、取り返しのつかない事態を招くおそれがあります。このようなことにならないためには、速やかに弁護士が面会することで、安心していただくことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が直ちに接見に駆けつけ、逮捕された方やその家族をサポートし、不安を取り除き、事件解決に向けて尽力します。

家族が逮捕されてお困りの方は、是非一度ご相談ください。

 

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