簡易公判手続

~簡易公判手続とは~

簡易公判手続とは、被告人が、冒頭手続で起訴状を朗読されたときに、有罪であると陳述した場合に、裁判所が利用を決定することができる手続きです。

 

~簡易公判手続の特徴~

犯罪の成否に争いがなく、主として量刑が問題となる比較的軽微な事件(死刑・無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たらない罪)について用いられます(刑事訴訟法291条の2)。

この手続が採られると、証拠調べ手続が簡略化されます。普通の裁判では、証拠調べ手続は、検察官の冒頭陳述・証拠調べの範囲や順序の決定・証拠調べの方法などは法律の規定に従って行われますが、そうした法律の定めが適用されなくなり、裁判所が適当と認める方法でできるようになります(刑事訴訟法307条の2)。

また、証拠について、検察官や弁護人・被告人が特に異議を述べない限りは伝聞禁止法則が適用されなくなります(刑事訴訟法320条2項)。つまり、事件の目撃者などの供述を聞き取った警察・検察の調書がそのまま証拠として採用され、それらの人を法廷で証人尋問したりすることはなくなるということです。

 

~手続の流れ~

被告人が起訴状に書かれたについて有罪である旨を陳述した場合に、裁判所が検察官、被告人及び弁護人の意見を聞いた上で、簡易公判手続による旨を決定すると、開始されます(刑事訴訟法291条の2)。

なので、刑事裁判が始まった段階では、簡易公判手続になるかどうかはわかりません。

また、職権で決めるというのは、簡易公判手続にして欲しいと願い出る権利はないということです。裁判所は意見は聞きますが、その意見には縛られません。

 

~あまり利用されていない~

簡易公判手続は、実際には、あまり利用はされていません。

簡易公判手続は、自白事件での裁判所の負担軽減を目指した制度だったのですが、実際にはあまり負担の軽減にならなかったので、裁判所が利用に積極的でないからです。

検察官にはほとんどメリットはありません。検察官は簡易公判手続にするかどうかを決められる立場にないので、常に普通の裁判の準備をしなければならないからです。

被告人には、手続が簡略化されたことで早期に裁判が終わるというメリットはありますが、一方で、即決裁判手続なら懲役・禁錮刑が宣告されても必ず執行猶予が付くところ、簡易公判手続では必ず付くわけではなく、この点ではそれほどメリットはありません。

このような事情から、簡易公判手続は、実際には非常に行われることが稀な手続になっています。

 

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