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【事例紹介】追悼行事で銃のようなものを振り上げ書類送検された事例

2024-01-02

手錠とガベル

追悼行事で銃のようなものを振り上げたとして、軽犯罪法違反の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)元首相(当時67歳)の銃撃事件の現場付近で、銃のようなものを振り上げて事件から1年の追悼行事を妨げたとして、奈良県警は13日、20歳代の男を軽犯罪法違反(儀式妨害)容疑で奈良区検に書類送検した。(中略)
(中略)元首相が銃撃された奈良市の近鉄大和西大寺駅前に設けられた献花台近くで、銃のようなものを振り上げ、行事を妨害した疑い。
(後略)
(12月14日 読売新聞オンライン 「安倍元首相の献花台近くで「銃」に似せたものを振り上げた男、軽犯罪法違反の疑いで書類送検」より引用)

儀式の妨害と軽犯罪法

軽犯罪法第1条24項では、「公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者」拘留又は科料に処すると規定されています。
また、情状により、刑が免除される場合や拘留と科料が併科される場合があります。(軽犯罪法第2条)

今回の事例では、容疑者に軽犯罪法違反が成立するのでしょうか。

報道によると、容疑者は追悼行事が行われている近鉄大和西大寺駅前に設けられた献花台近くで銃のようなものを振り上げることで追悼行事を妨げたとされています。
追悼行事では人がたくさんいるでしょうし、そのような状況で銃のようなものを振り上げれば、騒ぎになる可能性やけが人が出る可能性がありますし、警備の人が駆けつけるなど、儀式が妨害されるおそれがあるでしょう。
また、追悼行事は式典だといえますし、たくさんの人がいるなかで銃のよなものを振り上げる行為は悪戯にあたると考えられます。
軽犯罪法では、公私の儀式で悪戯などにより妨害する行為を禁止していますので、容疑者が実際に追悼行事で銃のようなものを振り上げたのであれば、軽犯罪法違反が成立する可能性があります。

書類送検とは

時々、ネットで書類送検されたというニュースが報道されると、「書類送検だけで終わるのか」や「罪が軽すぎる」などといった意見を目にします。
書類送検とはどういったものなのでしょうか。

書類送検とは、事件を検察庁に送ることをいいます。
ですので、ニュースで書類送検されたと報道された場合には、事件が警察署から検察庁に引き継がれたことを指します。
今回の事例では容疑者が書類送検されたと報道されていますので、事件が奈良県警から奈良区検察庁に引き継がれたわけです。

書類送検は検察庁への引継ぎを指しますから、「書類送検=事件が終了した」というわけではないことになります。
ですので、書類送検後に起訴され有罪になり刑罰を科される可能性がありますし、逆に不起訴処分となり刑罰が科されない可能性もあります。

不起訴処分獲得に向けた弁護活動を

書類送検で事件が終わるわけではありませんので、書類送検後も捜査が続いていくことになります。
銃のようなものを振り上げただけでは刑罰を科されないし、前科もつかないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、犯罪が成立するおそれがある以上、何らかの刑罰が科される可能性は十分にあります。

軽犯罪法違反では、有罪になると拘留や科料が科されることになります。
拘留や科料でも、刑罰を科されれば前科になってしまいます。
本人にとってはちょっとした悪戯であったとしても、有罪になり刑罰を科され前科がつくことで将来を棒に振ることになってしまうおそれがあります。

前科がつくことを避けるためにも、不起訴処分に向けた弁護活動が重要になります。

不起訴処分とは文字通り、起訴しない処分を指しますので、不起訴処分を獲得することができれば、刑罰を科されることはありませんし前科もつきません。
ですので、前科がつくことを避けるうえで、不起訴処分獲得に向けた弁護活動を行うことが重要になってくるのです。

不起訴処分の獲得に向けた弁護活動の一つとして、検察官への処分交渉が挙げられます。

弁護士は検察官に対して、不起訴処分を求める交渉を行うことができます。
前科がつくことで退学や解雇の可能性があり多大な不利益を被るおそれがあることや、本人が再犯防止を誓っていること、更生に向けて家族の協力が望めることなどの有利になるような事情を弁護士が訴えることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件の弁護経験が豊富な法律事務所です。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
軽犯罪法違反やその他刑事事件で捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

年末年始も即日対応 刑事事件でお困りの方はご相談ください

2023-12-28

年末年始も即日対応 刑事事件でお困りの方はご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所年末年始も休まず営業しております。
奈良県にお住いの方でご家族が逮捕されたなど、刑事事件でお困りの方は、お気軽に弊所までご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

【事例紹介】共謀してコンビニで強盗を行い、現金約15万円を奪った事例

2023-12-26

強盗で得たお金

奈良県中部高市郡にあるコンビニで共謀して強盗を行い現金15万300円等を奪ったとして、強盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

共謀の上、3月20日未明、高取町内のコンビニエンスストアにおいて、店員に刃物を示して「金を出せ。殺すぞ。」などと脅迫し、現金約15万300円等を盗んだとして、12月5日、男2人(38歳、43歳)をそれぞれ強盗で通常逮捕しました。
(12月12日 奈良県警察WeeklyNewsより引用)

強盗罪

刑法第236条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪とは、簡単に説明すると、一般の人が抵抗できないような暴行脅迫を用いてお金などを奪うと成立する犯罪です。

強盗罪は人を恐喝して金銭などを得た場合に成立する恐喝罪と類似しているように思われます。
もしも一般人が抵抗できない程度の暴行脅迫に至っていない場合には、強盗罪ではなく恐喝罪が成立することになります。

今回の事例では強盗罪は成立するのでしょうか。

奈良県警の発表によると、容疑者らは店員に刃物を示して「金を出せ。殺すぞ。」などと脅迫して現金約15万300円等を盗んだとされています。
脅迫とは、一般の人が恐怖を感じるような害を与えると知らせる行為を指します。
突然、刃物を示されて「金を出せ。殺すぞ。」と言われれば、命や身体に危害を加えられるかもしれないと恐怖を感じるでしょうから、刃物を示して「金を出せ。殺すぞ。」と言う行為は脅迫にあたると考えられます。
また、たとえ一か所でも刃物で刺されれば死ぬ危険性がありますし、死に至らなくともけがをするわけですから、刃物を示されながら殺すと言われれば、抵抗は難しいでしょう。
ですので、今回の事例で容疑者らが実際にコンビニ店員に刃物を示して脅迫し、お金を奪ったのであれば、強盗罪が成立する可能性があります。

共犯事件と接見禁止決定

刑事事件では、逮捕後72時間以内勾留の判断が行われます。
勾留が判断されるまでは家族であっても容疑者との面会ができません。
通常は、勾留が決定した後であれば、容疑者と面会ができるのですが、接見禁止決定がなされている場合には家族といえど面会をすることはおろか、手紙の差し入れさえできません。

接見禁止決定とはその名の通り、接見を禁止する決定のことです。
この接見禁止決定は外部の者と接触することで、証拠隠滅がなされることを防ぐためになされます。
容疑者が容疑を否認している否認事件や共犯者のいる事件などでは、口裏合わせなどを防ぐ観点から接見禁止決定がなされることがあります。

接見禁止が決定されてしまうと家族であっても面会できないわけですから、連日にわたる取調べでストレスを抱えるなか家族にも会えないことで、容疑者が精神的に追い詰められてしまうことがあります。
精神的に不調をきたすことで、判断力が鈍り取調べで警察官や検察官がいうがまま供述してしまったり、やってもいないことをやったと言ってしまう可能性があります。
取調べで作成される供述調書は、裁判の際の証拠として使用される重要なものであり、一度作成されてしまうと訂正をすることは容易ではありません。
取調べで不利な状況を作らないためにも、家族との面会などで少しでも心安らげる時間をもつことが重要となります。

また、勾留期間は最長で20日間に及ぶこともありますから、長期期間容疑者と会えないことで、体調に不調をきたしていないかなど容疑者本人だけでなくその家族も精神的に不安な状態に陥る可能性もあります。

弁護士は裁判所に対して、接見禁止を家族に限って解除するように求めることができます。
弁護士が、容疑者の家族は事件にかかわっておらず共犯者や被害者について何も知らないこと、容疑者に共犯者や被害者への伝言を頼まれても応じないこと、証拠隠滅につながるような行為は絶対にしないことを裁判所に訴えることで、接見禁止が一部解除される場合があります。
家族について接見禁止を解除してもらえれば、家族に限って容疑者との面会や手紙の差し入れを行うことができるようになりますので、ご家族様と面会したいのに接見禁止が決定されていて面会できないような場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

また、弁護士は勾留決定に対する準抗告の申し立てを行うことができます。
弁護士が裁判所に、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを訴えることで、勾留満期を待たずに釈放される可能性があります。
ですので、ご家族様が逮捕された場合には、一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っております。
弁護士が接見を行うことで、少しでもご家族様への励みになるかもしれません。
また、弁護士による弁護活動で、接見禁止の一部解除釈放を認めてもらえる可能性がありますので、ご家族様が逮捕された場合には、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881までご連絡くださいませ。

【事例紹介】SNSに援助交際を募る投稿 中学性と性交したとして逮捕された事例②

2023-12-19

手錠とガベル

前回のコラムに引き続き、女子中学性にお金を渡し性交したとして、わいせつ目的面会要求罪不同意性交等罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

女子中学生とわいせつ目的で面会しホテルで性交したとして、奈良県警西和署などは20日、わいせつ目的面会要求や不同意性交などの疑いで、奈良県大和郡山市北郡山町の内装業、(中略)容疑者(64)を逮捕した。わいせつ目的面会要求罪は今年7月の刑法改正で新設され、県内での適用は今回が初めて。
逮捕容疑は、県内に住む女子中学生(14)が交流サイト(SNS)上に書き込んだ援助交際を募る投稿にメッセージを送信。金を払う約束をして面会を要求し、9月15日に奈良市内のホテルで1万5千円を渡して女子中学生と性交したとしている。小幡容疑者は「18歳と言っていた記憶がある」と供述している。
同署によると、女子中学生はSNS上で中学生であることをほのめかす投稿をしていた。(後略)
(11月21日 産経新聞 「わいせつ目的で14歳に面会要求疑い、64歳男を逮捕「18歳と言っていた記憶が…」」より引用)

不同意性交等罪

刑法第177条
1項 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

不同意性交等罪は簡単に説明すると、暴行や脅迫を用いたり、アルコールなどの影響を利用するなどして同意していない者に性交をすると成立します。

今回の事例では、容疑者が女子中学生と性交したとされています。
報道によれば、女子中学生はSNSに援助交際を募る投稿をしており、容疑者は女子中学生に1万5千円を渡して性交したと報道されています。
この内容が事実なのであれば、女子中学生は容疑者と性交することに同意しているように思われますが、不同意性交等罪は成立するのでしょうか。

不同意性交等罪と年齢

不同意性交等罪では、16歳未満の者と性行をする場合には同意の有無に関係なく、罪が成立する場合があります。

性交の相手が13歳未満の場合には、同意の有無に関係なく、不同意性交等罪が成立します。
また、性交の相手が13歳以上16歳未満の場合には、相手と5歳以上年の差があれば、同意の有無に関係なく、不同意性交等罪が成立します。

今回の事例では、女子中学生の年齢が14歳であり、容疑者の年齢が64歳だとされています。
実際に容疑者が女子中学生と性交したのであれば、不同意性交等罪の年齢の規定にひっかかりますから、同意の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立する可能性があります。

容疑者が「18歳と言っていた記憶がある」と供述していると報道されています。
実際に、容疑者が被害者の年齢は14歳ではなく18歳だと認識して性交していた場合には、不同意性交等罪が成立しない可能性があります。

ですが、女子中学性が中学生であることをほのめかすような投稿をしていたと報じられていますので、容疑者と女子中学性の出会いの場がSNSだったのであれば、中学生だとほのめかす内容の投稿を目にしている可能性があり、中学生だと認識して性交をしたと判断され、不同意性交等罪が成立してしまうおそれがあります。

不同意性交等罪と不起訴処分

不同意性交等罪で有罪になってしまうと、5年以上の有期拘禁刑が科されます。
執行猶予3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに情状により付けられる可能性があります(刑法第25条1項)ので、不同意性交等罪執行猶予付き判決を獲得することはかなり難しいです。
不同意性交等罪には罰金刑の規定はありませんので、有罪になってしまうと執行猶予付き判決を得ない限り、刑務所に行くことになります。

不同意性交等罪の容疑をかけられた場合には、実刑判決を回避するためにも、不起訴処分の獲得を目指す弁護活動が重要になります。

繰り返しになりますが、相手の年齢を16歳以上だと認識していた場合には、不同意性交等罪は成立しない場合があります。
ですので、相手の年齢を16歳以上だと認識していたことや、認識するに至った経緯などを検察官に主張することで、嫌疑不十分による不起訴処分を獲得できる可能性があります。
不起訴処分はその名の通り、起訴しない処分ですので、裁判を開かれることはありませんし、刑罰を科されることや前科が付くこともありません。
裁判は公開の法廷で行われますので、不起訴処分を獲得することで、事件のことを第三者に知られることを防げる可能性があります。

不起訴処分を獲得するためには、取調べ対策を入念に行っておくことが重要になります。
ですが、取調べ対策をするといってもどういった対策をすればいいのかわからない方がほとんどだと思います。
取調べで聞かれるであろう内容の予測や、供述しない方がいい内容の精査などを弁護士と一緒に行うことで、万全を期して取調べに挑むことができ、不起訴処分の獲得につながるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談をすることで、不起訴処分を得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡くださいませ。

【事例紹介】SNSに援助交際を募る投稿 中学性と性交したとして逮捕された事例①

2023-12-12

手錠とガベル

女子中学性にお金を渡し性交したとして、わいせつ目的面会要求罪不同意性交等罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

女子中学生とわいせつ目的で面会しホテルで性交したとして、奈良県警西和署などは20日、わいせつ目的面会要求や不同意性交などの疑いで、奈良県大和郡山市北郡山町の内装業、(中略)容疑者(64)を逮捕した。わいせつ目的面会要求罪は今年7月の刑法改正で新設され、県内での適用は今回が初めて。
逮捕容疑は、県内に住む女子中学生(14)が交流サイト(SNS)上に書き込んだ援助交際を募る投稿にメッセージを送信。金を払う約束をして面会を要求し、9月15日に奈良市内のホテルで1万5千円を渡して女子中学生と性交したとしている。小幡容疑者は「18歳と言っていた記憶がある」と供述している。
同署によると、女子中学生はSNS上で中学生であることをほのめかす投稿をしていた。(後略)
(11月21日 産経新聞 「わいせつ目的で14歳に面会要求疑い、64歳男を逮捕「18歳と言っていた記憶が…」」より引用)

わいせつ目的面会要求罪

刑法第182条 
1項 わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
1号 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
2号 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
3号 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
2項 前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

報道されているように、7月の刑法改正により、わいせつ目的面会要求罪が新たに施行されました。
わいせつ目的面会要求罪は、簡単に説明すると、16歳未満の者に対してわいせつ目的で会うことを要求すると成立する犯罪です。
実際に会ったかどうかにかかわらず、要求をして会わなかった場合にもわいせつ目的面会要求罪は成立します。

わいせつ目的で面会を要求し、わいせつ目的面会要求罪で有罪になった場合には、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が、実際に会った場合には、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。

今回の事例では、容疑者が14歳の女子中学性にお金を払う約束をして面会を要求し、1万5千円を渡して性交したと報道されています。
わいせつ目的で16歳未満の者にお金を払う約束をして面会を要求するとわいせつ目的面会要求罪が成立します。
今回の事例では、被害者の女子中学生は援助交際を募る投稿をSNSでしていたようですし、実際に被害者に会ってお金を渡し性交をしたとされています。
ですので、わいせつ目的での面会であると判断される可能性が高く、わいせつ目的面会要求罪が成立する可能性があります。

わいせつ目的面会要求罪と年齢

今回の事例では、「18歳と言っていた記憶がある」と容疑者が供述しているようです。
容疑者が被害者が18歳だと認識して面会を要求していた場合にはわいせつ目的面会要求罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、その場合にはわいせつ目的面会要求罪が成立しない可能性があります。
わいせつ目的面会要求罪は、16歳未満だと知りながら、金銭を与えるなどして、わいせつ目的で会うように要求すると成立します。
ですので、容疑者が被害者が18歳だと思っていた場合には、わいせつ目的面会要求罪が成立しない可能性があります。

ただ、報道によると、被害者は中学性であることをほのめかす投稿を行っていたようです。
容疑者が被害者の援助交際を募るSNSの投稿を見て会うことを要求したのであれば、中学生であることをほのめかす内容の投稿を目にしている可能性がありますから、中学性であると認識していたと判断されるおそれがあり、わいせつ目的面会要求罪が成立してしまう可能性があります。

刑事事件に強い弁護士に相談を

繰り返しになりますが、わいせつ目的面会要求罪は、わいせつ目的で金銭を渡す約束などをして会うことを要求すると成立します。
実際に会わなくても要求をした時点でわいせつ目的面会要求罪は成立してしまうので注意が必要です。
また、実際に会った場合には、より重い処罰が科されますし、性交した場合にはわいせつ目的面会要求罪とは別の罪が成立するおそれがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士による、取調べ対策示談交渉などの弁護活動で、不起訴処分などより良い結果を得られるかもしれません。
わいせつ目的面会要求罪やその他性犯罪事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120-631―881で受け付けております。

次回のコラムでは、不同意性交等罪について解説します。

【事例紹介】特殊詐欺事件で詐欺罪、窃盗罪の容疑で逮捕された事例

2023-12-05

特殊詐欺事件を報じる新聞記事

だまし取ったキャッシュカードで現金を引き出したとされている特殊詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

共謀の上、キャッシュカードをだまし取ろうと考え、9月19日、市役所職員等と名乗って被害者の自宅に電話をかけ、還付金を受け取るためにはキャッシュカードを交換しなければならず、自宅を訪れる金融機関職員にキャッシュカードを渡してほしい旨うそを言い、その後、被害者の自宅を訪問してキャッシュカード2枚をだまし取った上、そのカードを使用して橿原市内のATMから現金合計100万円を引き出して盗んだとして、11月14日、男(24歳)を詐欺、窃盗で通常逮捕しました。
(11月22日 奈良県警察発表より引用)

特殊詐欺と詐欺罪、窃盗罪

今回の事例では、容疑者が共謀して被害者からキャッシュカードをだまし取り、キャッシュカードを使用して現金100万円をATMから引き出したとして、詐欺罪窃盗罪の容疑で逮捕されたようです。
今回の事例では、なぜ、詐欺罪窃盗罪の2つの罪で逮捕されているのでしょうか。

詐欺罪

まずは、詐欺罪について解説していきます。

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪は簡単に説明すると、人にうそをつくことで相手に財物を渡すように仕向け、そのうそを信じた相手から財物を受け取ると成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者は共謀して被害者に市役所職員等を名乗る電話をかけ、キャッシュカードを交換する必要があるとうそをつき、被害者からキャッシュカード2枚を受け取ったとされています。
容疑者らが被害者に交換が必要だとうそをつかなければ、被害者はキャッシュカードを渡していないでしょうから、実際に容疑者らがキャッシュカードの交換が必要だと被害者に言ったのであれば、容疑者らは被害者にキャッシュカードを渡すように仕向けるためにうそをついて財物であるキャッシュカードを受け取ったといえるでしょう。
ですので、今回の事例では詐欺罪が成立する可能性があります。

窃盗罪

次に、窃盗罪について解説していきます。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は簡単に説明すると、人の財物をその人の許可なく盗ると成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者はだまし取ったキャッシュカードを使用して橿原市内のATMから現金合計100万円を引き出したとされています。
引き出されたとされている現金100万円は橿原市内のATMに保管されていたものですから、この現金の所有者はこの橿原市内のATMを管理する銀行になります。
ですので、キャッシュカードの本来の持ち主ではない人がATMで現金を引き出すと窃盗罪が成立することになります。
よって、今回の事例の容疑者らがだまし取ったキャッシュカードで現金100万円を引き出したのであれば、詐欺罪だけでなく、窃盗罪が成立する可能性があります。

特殊詐欺事件と弁護活動

特殊詐欺事件では、詐欺罪だけでなく、窃盗罪も成立するおそれがあります。
詐欺罪窃盗罪は有罪になると、懲役刑が科される可能性のある犯罪です。
また、詐欺罪に至っては、罰金刑の規定がありませんので、詐欺罪で有罪になると必ず懲役刑が科されることになります。
懲役刑が科されると刑務所に行くことになりますから、今までの生活をおくることはできなくなります。
実刑判決を回避するためには、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得にむけた弁護活動が重要になります。

逮捕された場合、連日にわたって取調べが行われることになります。
取調べでは、容疑者から単に話を聞くだけでなく、供述調書が作成されます。
供述調書は裁判で証拠として扱われますし、検察官が起訴、不起訴の判断をするための判断材料にもなります。
ですので、不利な供述調書が作成された場合には、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得が難しくなる可能性が高くなります。

不利な供述調書の作成を防ぐためにも、取調べ前に、供述すべき内容の整理を行っておく必要があります。
ですが、取調べではどのようなことを聞かれるのかわからない方や黙秘した方がいい内容と供述すべき内容がわからない方がほとんどだと思います。
弁護士に相談をして、取調べ前に対策を練っておくことで、後に不利な状況に陥ることを防げるかもしれません。

初犯では、実刑判決が下されないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、特殊詐欺事件では、初犯でも実刑判決が下されることが少なくありません。
ですので、実刑判決を避けるためにも、できる限り早い段階で弁護士に相談をし、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得に向けた弁護活動に着手することが重要になります。

実刑判決が下される可能性がある特殊詐欺事件では、不起訴処分の獲得を望めないように思われますが、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる可能性があります。
加害者が被害者と直接やり取りを行うことで、証拠隠滅を疑われたり、トラブルに発展するおそれがあります。
弁護士が加害者の代理人となって示談交渉を行うことで、円滑に示談を締結することができる場合がありますので、示談交渉は弁護士に委任することが望ましいといえます。

また、不起訴処分を得られなかった場合であっても、被害者との示談執行猶予付き判決に獲得や罪の減刑など、有利な事情にはたらく可能性は非常に高いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
特殊詐欺事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

手術代が必要だとうそをつき、200万円をだまし取った事例

2023-11-28

犯罪行為でお金を得る男性

事例

Aさんは交際中のVさんとのデート中に、「健康診断で癌が見つかり、手術が必要だが手術費用が払えないため手術を受けられなくて悩んでいる」とVさんに吐露しました。
それを聞いたVさんはAさんの力になりたいと思い、現金200万円をAさんに渡しました。
その後、Vさんは、手術を受けるために病院に入院するというAさんからの連絡を最後に、Aさんとは連絡が取れなくなってしまいました。
Aさんの容体が気になっていたVさんは、何とかAさんの友人に連絡を取ることができ、Aさんの手術や経過についてその友人に尋ねました。
すると、Vさんはその友人から「Aさんが病気になったなんて話は聞いていないし、Aさんとは毎週のように会うけど、手術や入院なんて絶対にしてないし癌になったなんて嘘じゃないの?」と言われました。
なんと、癌になり手術費用が必要だというのは真っ赤な嘘で、VさんはAさんに騙されていたのです。
Vさんは最寄りの警察署である、奈良県長浜警察署被害届を出し、Aさんは詐欺罪の容疑で奈良県長浜警察署の警察官に逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。)

詐欺罪とは

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させると成立します。
もう少し簡単に説明すると、人にうそをついて、うそを信じた相手にお金などの財物を渡させると詐欺罪が成立します。
また、財物を交付させるうえで重要ではない要素についてのうそや、相手がうそだと知っている状態で財物を交付した場合には、詐欺罪は成立しません。
ですので、詐欺罪が成立するためには、①相手に対して重大な嘘をつくこと、②その嘘を信じた相手に財物を交付させることの2点が必要です。

加えて、詐欺罪で有罪になると10年以下の懲役が科される可能性があります。(刑法第246条第1項)

今回の事例では、AさんがVさんに手術が必要だとうそをついて、200万円をVさんから受け取っています。
Vさんは手術をするのにお金が必要だと言われなければ200万円を渡さなかったでしょうから、Aさんのうそは財物を交付するうえで、重大なうそだといえるでしょう。
重大なうそをついて財物を交付させているといえますので、今回の事例では、詐欺罪が成立する可能性が高そうです。

では、Aさんが騙すつもりはなかったと詐欺罪の容疑を否認している場合にはどうでしょうか。

詐欺罪逮捕されたAさんは警察官からの取調べに対して、「手術が必要だとうそをついたのは本当だが、お金をほしいとは言っていない。お金を要求したわけではないのだから、詐欺罪にはあたらない。」と供述しています。
この場合、詐欺罪にはあたらないのでしょうか。

実際に事例をみてみると、AさんはVさんにお金がないから手術を受けられないと相談をしていますが、一言もお金が欲しいというような金銭の要求をしていません。
ですが、実際には手術の必要はない状態でお金が必要だとうそをつく行為は、そうすることでお金を得られると思ったからうそをついたのではないかと判断されても不思議ではありませんし、お金を得る目的でうそをついたのでなければ、200万円を渡されたときに受け取らないのが自然でしょう。
詐欺罪が成立するためには、財物を交付させる目的でうそをつく必要があります。
たとえ、自分から直接的にお金がほしいと言わなくても、お金を必要としていると思わせるようなうそをつくことで、うそによってお金を騙し取ろうとしていると判断できるような場合には詐欺罪が成立する可能性があります。

示談交渉の重要性

詐欺罪などの刑事事件では、示談交渉が非常に重要な役割を果たすことが多いです。
被害者との間で示談を締結することで、不起訴処分執行猶予付き判決を獲得できたり、科される量刑を少しでも減らすことができる可能性があります。

しかし、被害者の処罰感情が強い場合などには、加害者が直接示談交渉をすることはお勧めできません。
加害者が被害者に直接連絡を取ることで被害者をより怒らせてしまったり、そもそも連絡すら取れない場合も少なくありません。
ですので、示談交渉を行う際には、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

また、当事者間で示談を締結する場合には、自分たちで示談書を作成することになります。
示談書の書式など、示談書にどういった内容を書けばいい のかわからない方がほとんどだと思います。
弁護士を入れて示談を締結する場合には、弁護士が代理人となって示談書を作成します。
そういった面でも、示談を行う場合には、弁護士を介して行うことが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
詐欺罪示談締結でお困りの方は、詐欺事件などの刑事事件に精通した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡ください。

ある朝、家族の突然の逮捕。どう対応したらいい?釈放に向けた弁護活動をご紹介します!

2023-11-21

逮捕される男性

刑事事件では、「ある朝突然、家に警察官がやってきて息子が逮捕された」なんてことも珍しくありません。
今回のコラムでは、逮捕された場合の事件の進み方や弁護活動についてご紹介します。

逮捕されたら

刑事事件では逮捕されると、72時間以内勾留の判断が行われます。
検察官が勾留請求を行わなかったり、裁判官が勾留請求を却下した場合には釈放され、家に帰ることができます。
一方で、勾留が決定してしまった場合には、さらに最長で20日間、身体拘束を受けることになります。

勾留が決まるまでの間や勾留の決定後は、当然、会社や学校には行けませんので、長期間にわたって会社や学校を休むことで、会社や学校に逮捕を知られてしまうおそれがあります。
逮捕を知られてしまうと、事件を起こしたことも知られてしまいますので、退学処分解雇処分につながるおそれがあります。

そういった事態を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。

上記のような事態を避けるためには弁護士に相談をすることが重要になります。
弁護士が身柄開放活動を行うことで、釈放を認められる場合があるからです。

釈放に向けて勾留前にできること

そもそもなぜ、事件を起こすと逮捕されたり、勾留されたりするのでしょうか。

逃亡証拠隠滅のおそれがあるからです。
実際に、検察官が勾留請求を判断する際や、裁判官が勾留の是非について判断する際には、逃亡の危険性があるか、証拠隠滅の可能性はあるかを考慮して判断します。

容疑者が逃亡したり、証拠隠滅をする可能性が高いと勾留が付いてしまう可能性が非常に高くなります。
例えば、殺人罪などの重い刑罰が予想される犯罪では刑罰から逃れるために逃亡するのではないかと判断されやすいですし、ひき逃げなどの場合には犯罪の性質上、一度逃げ出しているわけですから、逃亡の可能性が高いと判断されるおそれがあります。

また、証拠隠滅と聞くと、凶器や手袋などの物的証拠を隠したり破棄するイメージを持たれる方も多いと思います。
実は、容疑者や被害者、目撃者などの供述も証拠となります。
ですので、不利な供述をしないように迫る行為や、有利になるように供述内容を変更するように働きかける行為も証拠隠滅にあたります。
共犯者がいるような事件では、口裏を合わせる可能性があるとして証拠隠滅の観点から勾留が決定してしまうおそれがありますし、容疑者と被害者が知り合いであったり同じ家に住んでいる場合には被害者との接触が容易であるとして、勾留が付きやすいです。

上記のように、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと勾留されてしまうため、釈放を求めるうえでいかに逃亡証拠隠滅のおそれがないことを訴えるかが非常に重要になってきます。

弁護士は勾留が決定する前であれば、検察官や裁判官に勾留に対する意見書を提出することができます。
この意見書では、容疑者の家族が身元引受人になり容疑者を常に監視監督できることや、家族の監督により事件現場には絶対に近寄らせないこと、被害者や共犯者と接触させないことなど、逃亡証拠隠滅を行えない環境を整えていることを訴えます。
また、出勤や出席できないことで、会社や学校に事件のことが知られる可能性が高くこのままでは解雇退学のおそれがあることを書面にすることで、早期に釈放をしなければならない事情を訴えます。
意見書を提出することで、弁護士の訴えが認められ、勾留されずに釈放を認めてもらえるかもしれません。

この意見書は勾留が判断される前までにしか提出できないため、期限は最長で逮捕後72時間しかありません。
この72時間の間に、有利になる材料を集め、書面を作成しなければなりませんので、勾留前に釈放を目指すのであれば、できる限り早く弁護士に相談をする必要があります。

勾留決定後の釈放

では、勾留が決定してしまうと釈放は認められないのでしょうか。

結論から言うと、勾留決定後であっても釈放は認められます。

弁護士に相談をした時にはすでに勾留が決定してしまっていたり、弁護士が意見書を提出したものの釈放を認められず勾留が決定してしまった場合があると思います。
勾留が決定してしまった場合には、弁護士は裁判所に対して勾留決定に対する準抗告の申し立てを行えます。

この準抗告の申し立てについても重要となるのは、逃亡証拠隠滅のおそれがないかどうかです。
弁護士が裁判所に対して準抗告の申し立てを行うことで、勾留満期を待たず釈放してもらえる可能性があります。
この準抗告の申し立ては、勾留決定後、勾留の満期が訪れるまでの間であればいつでも申し立てを行えます。
ですので、勾留が決定した当日に申し立てを行い、弁護士の主張が認められれば、即日釈放してもらえる可能性もあります。

一度、勾留が決定しているのだから釈放は認められないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
勾留決定に対する準抗告の申し立てを行った場合、勾留を判断した裁判官とは別の裁判官が再度勾留について、判断することになります。
判断をする裁判官が変わりますので、弁護士の主張が認められずに勾留が決定してしまった場合であっても、勾留後に釈放を認めてもらえる可能性は十分にあります。

逮捕されたら弁護士に相談を

以上のように、逮捕された場合には、弁護士による身柄開放活動釈放が認められる可能性があります。
勾留前に釈放を目指す場合には、遅くとも逮捕後72時間までには、勾留に対する意見書を提出する必要があります。
また、この意見書を提出しない場合、釈放を求める機会が2回失われてしまうことになります。
貴重な機会を失わないためにも、暴力事件交通事件などで大切なご家族様が逮捕された場合には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では、初回接見サービスのご予約を24時間365日受け付けております。

子供へのしつけのつもりが暴行罪で逮捕⁈暴行で相手がけがをしてなくても逮捕されるの?

2023-11-14
家庭内暴力

暴行罪は、身体的な攻撃を伴う犯罪行為であり、日常生活の中で意外と身近な犯罪です。
今回のコラムでは虐待などの家庭内暴力の事例を交え、暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

暴行罪の定義と基本要件

暴行罪は、刑法第208条で「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されています。
暴行とは、有形力の行使をいいます。
例えば、殴る、蹴るなどの身体的な接触を伴う行為を指し、精神的な攻撃や脅迫は含まれません。

しかし、身体的な接触があればかならずしも暴行罪が成立するわけではありません。
暴行罪が成立するためには、暴行の故意が必要になります。
故意とは、相手に対して意図的にすることを意味します。
ですので、道を歩いているときに意図せず肩がぶつかってしまった場合には暴行罪は成立しませんし、故意に肩にぶつかった場合には暴行罪が成立する可能性があります。

肩をぶつける行為や腕をつかむ行為などの軽微な接触であっても、故意によるものであれば暴行罪が成立する可能性があります。
この点において、暴行罪は日常生活の中で起こり得る多くの状況に適用される可能性があるため、どのような行為で暴行罪が成立するのかを知っていることが重要になります。

家庭内暴力と暴行罪の関係

家庭内暴力は、家庭の中で起こる身体的な暴力行為や精神的な攻撃を指します。
このような暴力が暴行罪に該当するかどうかは、行為の内容とその程度によります。
家庭内での身体的な攻撃は、暴行罪における「暴行」と見なされることが多く、特に故意によるものであれば、刑法上の暴行罪として扱われる可能性が高いです。

しかし、精神的な攻撃や言葉の暴力は、直接的な身体的接触が伴わないため、暴行罪は成立しませんが、それらの行為により何らかの傷害が発生した場合には傷害罪が成立する可能性があります。
家庭内暴力であっても、暴行罪は成立しますので、注意が必要です。

子供へのしつけで顔を平手打ちした事例

奈良県生駒市に住むAさんは、中学生の娘Vさんの学校の成績で思い悩んでいました。
注意をしても勉強せず遊んでばかりいるVさんに業を煮やし、AさんはVさんの顔を平手打ちしました。
平手打ちをされたことで、以降Vさんは自主的に勉強をするようになりました。
平手打ちをすれば言うことを聞くようになると思ったAさんは、その後もしつけと称してVさんの顔を平手打ちするようになりました。
ある日、Vさんが学校の先生にAさんから平手打ちされていることを相談し、Aさんは奈良県生駒警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

Aさんにとってはしつけであっても、平手打ちは暴行にあたりますので、Aさんが娘のVさんに平手打ちをする行為は暴行罪が成立する可能性が高いです。
また、平手打ち程度の暴行では事例のように逮捕されることはないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の事例のように、虐待家庭内暴力の場合、加害者が被害者と接触することが容易であることから、逮捕、勾留される可能性が非常に高いです。

暴行罪と傷害罪

暴行罪暴行を加えた結果、傷害に至らなかった場合に成立する犯罪です。
ですので、暴行を加え、相手にけがをさせた場合には、暴行罪よりも重い、傷害罪が成立することになります。
擦り傷であってもけがにあたりますので、殴って相手の頬を少し切ってしまった場合には、暴行罪ではなく傷害罪が成立することになります。

暴行罪の法定刑は二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料でしたが、傷害罪の法定刑は十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金であり、暴行罪に比べて傷害罪の方がはるかに重い刑罰が科されることになります。

逮捕と勾留

先ほど、虐待家庭内暴力では逮捕される可能性が高いと書きましたが、一度逮捕されると事件が終了するまで出られないのでしょうか。
逮捕された場合には、有罪、無罪が決定するまで身体拘束が続くと思っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、有罪、無罪が決まる前であっても、身体拘束が解かれる場合があります。

刑事事件では、逮捕されると、逮捕後72時間以内勾留の判断がなされます。
この際に、検察官と裁判官が勾留が必要だと考えれば、勾留されることになります。
弁護士はこの勾留が決定されるまでであれば、検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
意見書を提出することで、勾留されずに釈放を認めてもらえるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行事件に強い法律事務所です。
暴行事件傷害事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ひき逃げしてしまったらどうしたらいい?逮捕されるってほんと?

2023-11-07

今回のコラムでは、ひき逃げしたら逮捕されるのか、逮捕された場合はどうすればいいのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ひき逃げの法的定義

交通事故後、現場から立ち去る行為は、一見単純な過失のように思われがちですが、法的には「ひき逃げ」と定義され、重大な犯罪行為となります。
道路交通法では、運転者が交通事故を起こした場合、直ちにその場で停止し、被害者の救護と警察への報告を義務付けています。
この義務を怠った場合、たとえ被害者に軽微な傷しかなかったとしても、運転者はひき逃げの容疑で逮捕される可能性があります。
「ひき逃げ」とは、事故の事実を隠蔽しようとする故意の行為であり、その刑事責任は厳しく、社会的な信用を大きく損なうことにもなりかねません。
したがって、どんなに小さな事故であっても、適切な手続きを踏むことが法律によって強く求められているのです。

事故発生時の義務

道路交通法第72条1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

交通事故が発生した際、運転者は直ちに車両を停止させ、事故の状況を確認する義務があります。
この義務は、道路交通法によって定められており、事故による被害者の救護(道路交通法第72条1項前段)と警察への報告(道路交通法第72条1項後段)が含まれます。
運転者がこれらの行動を怠ることは、法律に違反する行為となり、重大な法的責任を負うことになります。
特に、被害者が怪我をした場合、運転者は速やかに救急車を呼ぶなどの救護措置を取る必要があります。
また、事故の詳細を警察に報告し、必要な情報を提供することで、事故の正確な記録を残すことが求められます。
これらの行為は、事故後の責任を明確にし、適切な処理を促進するために不可欠です。
運転者がこれらの義務を履行することで、事故に対する適切な対応が可能となり、法的な問題を未然に防ぐことができます。

「大丈夫」と言われた場合のリスク

交通事故の際、被害者が「大丈夫」と述べたとしても、その言葉に安心してはなりません。
事故の衝撃で一時的に痛みを感じないこともあり、後から怪我の症状が現れることがあります。
また、被害者がその場での判断を誤り、後に法的措置を取ることを決める可能性もあります。
このような場合、運転者が警察への報告を怠ったことが、後にひき逃げとして刑事責任を問われる原因となることがあります。
実際に、事故後に被害者が怪我を訴え出た例は数多くあり、運転者が逮捕されるケースも少なくありません。
法律は、事故の大小に関わらず、運転者に対して事故報告の義務を課しており、これを怠ることは重大な違反行為とされています。
したがって、事故発生時には、被害者の言葉に関係なく、必ず警察に報告し、適切な手続きを踏むことが求められます。

ひき逃げの刑事責任

ひき逃げ事件における刑事責任は、その故意性により重く見られます。
事故を起こした後、救護措置を取らずに現場から逃走する行為は、単なる過失ではなく、故意による犯罪として扱われます。
もしも事故を起こし、救護をせずに立ち去ったのであれば、道路交通法違反が成立することになります。
事故を起こした運転者が被害者の救護をせずに立ち去った場合、被害者のけがが運転者の運転によるものである場合には、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法第117条2項)が科される可能性があり、前科が付くことで、一生にわたって悪影響を受け続ける可能性があります。
さらに、ひき逃げ事件は社会的な非難を伴うため、運転者の社会的信用にも大きな打撃を与える可能性が高いです。
法律は、事故に適切に対応することを通じて、人命を守ることを最優先に考えています。
そのため、運転者は事故発生時には、直ちに救助と報告の義務を果たし、刑事責任を避けるためにも、法律を遵守することが不可欠です。

示談が成立した後の影響

事故を起こした際に逃げないことが第一にはなるのですが、事故により気が動転して逃げ出してしまうこともあるかもしれません。
ひき逃げをしてしまうと必ず有罪になるかというと、そうではありません。
被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる可能性があります。

被害者の救護を行わずに事故現場を立ち去るひき逃げ事件では、事故を起こした加害者が反省をしていないと思われてしまう可能性があり、加害者本人と連絡を取りたくないと思われる被害者の方もいらっしゃいます。
そういった場合には、弁護士が間に入ることで示談交渉を円滑に進められる可能性があります。
弁護士が示談交渉を行うことで、示談を締結できる場合がありますので、ひき逃げをしてしまった際には、弁護士に相談をすることをおすすめします。

未成年者が被害者の場合

未成年者が交通事故の被害者となった場合、示談の相手方は親権者になります。
事故の被害者が未成年である場合、未成年者は自身の判断で「大丈夫」と伝えることがあっても、その後、保護者が事故の重大性を認識し、法的措置を取ることが多いです。
このような状況では、運転者が初期の対応を誤ると、後にひき逃げの容疑で厳しい刑事責任を問われることになりかねません。
被害者が未成年にかかわらず、事故の後遺症が後から出てくる可能性もありますから、事故を起こしてしまった場合には即警察署に事故の報告をすることが重要です。

また、親と示談交渉をする場合は、わが子を思う気持ちから処罰感情が苛烈になる場合もあります。
そういった場合に、加害者本人が連絡を取ることで余計に刺激してしまうおそれもありますから、示談交渉は弁護士に依頼することが望ましいでしょう。

ひき逃げで逮捕は回避できる?

ひき逃げは被害者の救護や事故の報告を行わずに事件現場を立ち去るわけですから、逃亡のおそれが高いと判断されやすく、逮捕される可能性が高いです。
逮捕される可能性が高いとはいえ、ひき逃げをしたら必ずしも逮捕されるわけではありません。

警察署から連絡が来る前に、弁護士とともに自ら出頭することで、逮捕を避けられる場合があります。
弁護士とともに出頭するほかにも、監視監督が望めそうな人、例えばご両親などに身元引受人となってもらうことも逮捕を避けるうえで重要になります。

ひき逃げ事件で逮捕されたら

ひき逃げ事件で逮捕された場合、適切な法的対応が極めて重要になります。
逮捕され、勾留が決定してしまった場合、20日間勾留される可能性があります。
当然、その期間は会社に出勤することはできませんし、会社と連絡を取ることもできません。
長期間無断欠勤が続くことで、会社を解雇されてしまうおそれがありますし、すぐに解雇されなくても、連絡がつかないことで逮捕されたことが知られることにより、釈放後に解雇など何らかの処分が下される可能性があります。

弁護士は勾留が決定する前であれば、検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
この意見書は勾留が決定する前、すなわち逮捕後72時間以内に提出をする必要があります。
この意見書により、勾留されずに釈放を認めてもらえる可能性があります。

また、勾留決定後でも、弁護士は裁判所に対して申し立てを行えます。
弁護士が裁判所に申し立てを行うことで、勾留満期を待たずに釈放してもらえる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
数々の事件で釈放を実現してきた弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できるかもしれません。
ひき逃げをしてしまった方はお気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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