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脱税で検察官が逮捕?

2021-10-04

脱税で検察官が逮捕?

脱税をした場合に問題となる罪と、警察官以外の公務員から逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の自宅で個人事業主として仕事をしています。
基本的にはAが仕事をして、配偶者であるXが経理を担当していました。
その際、Aは納税額を少しでも抑えようと考え、経費を架空計上することで経営利益を少なく見せていました。
ある日、奈良市内の自宅に検察官と検察事務官が来て、AとXは所得税法違反で通常逮捕されました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【税金について】

我が国では憲法29条各項で財産権が認められていて、その財産は侵されないことになっています。
しかし、その例外として、同じく憲法で、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と定められています。(憲法30条)
数としては46種類ほどの税金がありますが、代表的なものとしては
所得税・法人税・住民税・消費税・酒税・たばこ税
などが挙げられます。
上記の46種類は、国税と地方税に大別されます。
国税は全国一律で徴収される税金ですが、地方税(例えば、ゴルフ場利用税や入湯税など)は自治体の裁量で徴税することができることとされています。

【脱税について】

前述のとおり、日本には納税の義務があり、算定率に従って正しく税金を納める必要があります。
このうち、例えば消費課税(消費税や酒税、たばこ税、揮発油税など)については消費者が購入する段階で商品代金と一緒に支払っているため、消費者は適切な税金を支払っています。
しかし、所得税や法人税については、実際の収益に応じた算定率に基づいて納税をする必要があります。

「クロヨン」や「トーゴーサン」という言葉を御存じの方も多いでしょう。
会社員などの給与所得者は源泉徴収というかたちで税額が控除されるのに対し、自営業者や農林水産業従事者は捕捉率が低い(その収入や経費を税務署が追うことに限界がある)ことから、収入を少なく見せたり経費を多く見せたりするなどの方法により、脱税が行われる場合があります。

ケースの場合は、Aが経費の架空計上を行っていることから、下記の条文が問題となります。

所得税法238条1項 偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告)に規定する所得税の額…若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号…に規定する所得税の額につき所得税を免れ…た者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

【なぜ警察官以外が逮捕?】

逮捕には緊急逮捕、現行犯逮捕と通常逮捕があります。
このうち通常逮捕は、裁判所が発付する令状に基づいて行われる逮捕です。
逮捕状を請求できる人、逮捕状に基づいて逮捕を執行できる人は限られていて、どちらも警察官が行う場合が一般的です。
しかし、ケースの場合は検察官・検察事務官が逮捕のため自宅に来ています。
これはなぜでしょうか。

まず、脱税などの事件を取り扱うのは、主に国税局の国税専門官(国税調査官・国税査察官など)です。
脱税の場合、税務調査により申告漏れ等の調査をして修正を促す場合もありますが、金額が大きい場合や手口が悪質な場合には査察調査(犯則調査)を行い刑事裁判にかけることができます。
査察調査は国税査察官によって行われます。
査察調査には任意調査と強制調査があります。
任意調査では、帳簿などの必要書類を任意で提出させたり質問調査が行われます。
強制調査では、裁判所が予め発付した令状に基づく証拠物件の捜索・差押が行われます。

但し、国税専門官が行う調査は捜査とは異なります。
国税専門官は司法警察職員ではないため、正式な捜査を行うことはできません。
査察調査によって脱税などの嫌疑が濃厚になり、国税査察官が刑事事件化して刑事罰を科す必要があると判断した場合、検察官に事件を「告発」します。
告発を受けた担当検察官は捜査を行い、必要に応じて被疑者を逮捕します。

一連の流れで警察官は捜査に関与しません。
捜査を行うのは検察官であり、検察官や検察事務官には逮捕権が認められているため、ケースのような脱税事件の場合には検察官や検察事務官が逮捕するということになるのです。(刑事訴訟法199条1項)

脱税事件は、高額の場合など悪質性の高い事案については、ケースのように告発され検察官や検察事務官から逮捕される場合があります。
そして、金額次第では初犯であっても実刑判決を受ける恐れもある罪名です。
査察調査が始まっている方や、家族が突然脱税などの事件で逮捕され場合には、すぐに弁護士に依頼をすることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は奈良市内の刑事事件に対応している弁護士事務所です。
奈良市内で脱税などの刑事事件でお困りの場合、弊所フリーダイヤルに御連絡ください。

風俗店から示談を迫られた

2021-09-27

風俗店から示談を迫られた

風俗を利用して発生するいわゆる風俗トラブルで問題となる刑事事件と示談を迫られた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県五條市在住のAは、五條市内の会社に勤める会社員です。
Aは休日に五條市内の自宅に無店舗型性風俗特殊営業(いわゆるソープランド)の風俗嬢Vを呼び、サービスを受けていました。
その最中、AはVに対して「入れて良い?」と聞きましたが、Vは「それは絶対ダメ」と返答しました。
しかしAは我慢が出来なくなり、自身の陰茎をVの陰部に挿入してしまいました。

サービスが終わったのち、Vは店員を呼んだうえでAに対して「駄目と言ったのに本番行為をしましたよね」と言い、示談をするか、近くにある五條警察署に強制性交罪で被害届を出しに行くと言われました。
なお、示談については店員が代理人になると言われ、Aが「示談金はいくらくらいでしょうか。」と聞いたところ店員は「誠意を見せろ」とだけ回答しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【風俗店と本番行為】

ソープランドについて、ホームページなどで大々的に宣伝を打っているような店の多くは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風俗営業法と略します。)に基づいて営業の届出を行い合法的に行われています。
ソープランドで行われている行為は「浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」と定義されていますが、いわゆる本番行為は想定していません。
なぜなら、我が国には昭和33年施行の売春防止法があり、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する」売春行為を禁止しています。
性交とは俗に言う本番行為と同義ですので、そもそもソープランドは本番行為を想定していないと言えます。

もっとも、現実にはソープランドで本番行為をするという事例はあるようです。
これが仮に経営者側が本番行為を推奨している、あるいは黙認しているということになると、売春防止法違反で刑罰を受けることになり、併せて行政処分を受けることが考えられます。
しかし、風俗嬢と客とが「恋愛感情のもと」性行為を行ったと主張した場合には売春行為であるという立証が困難になるほか、仮に売春行為が行われたと立証できた場合にも、売春防止法が禁止する売春行為には当たりますが、罰則規定がないので処罰はされないことになります。

【風俗店と性犯罪】

とはいえ、風俗店でサービスを受けているからと言って、何をやっても良いというわけではありません。
客が風俗嬢に対して、暴行や脅迫を用いて同意のないわいせつ行為をした場合には暴行罪や強制わいせつ罪が成立しますし、性交為や口腔性交を行った場合には、強制性交等罪が適用されます。

【示談交渉で弁護士に相談】

このような、本番行為をしてしまったという風俗トラブルでの御相談は少なくありません。
そして、その多くは店側から示談の申し入れがあり、金額についての具体的金額は提示されないものの、低い金額を提示すると誠意が足りないなどと言われます。
そこで、示談交渉時に弁護士を間に入れるメリットについて検討してみます。

・本当に強姦にあたるのか
そもそも論として、強姦にあたる行為をしたのかどうか、法律の専門家である弁護士が検討することが必要です。
密室で行われる出来事であり、相手の一方的な言い分で強姦と言い張る場合もあります。
弁護士は、本番行為に至る前後でどのようなやり取りがあったのかを慎重に検討し、強姦にあたる暴行・脅迫が存在したのか、検討する必要があるでしょう。

・示談金の妥当性
仮に強姦その他の違法行為が行われたと仮定して、示談をする際、その金額は重要です。
示談金額については、おおよそこのような事件ではこれくらいの金額をお支払いしている、という傾向はあるものの、被害者の受けた精神的なショックなど数値ができない場合もあるため、個々で具体的に検討し、交渉する必要があります。
中には法外といえる金額を請求される場合もあり、また、一度支払うと要求がエスカレートするという場合も少なくありません。
弁護士が間に入り、妥当な金額での示談交渉を行うことが最良と言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県五條市にて、ソープランドなどで本番行為をしてしまった等の風俗トラブルになってしまい、示談を迫られているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

冤罪事件で不起訴を獲得

2021-09-16

冤罪事件で不起訴を獲得

痴漢事件で問題となる罪と、その事件が冤罪だった場合に不起訴を獲得するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和高田市在住のAは、大和高田市内の会社に勤める会社員で、通勤のため鉄道を利用しています。
ある日、Aが満員の車内で立っていたところ、前に立っていた女性Xが突然「触ってますよね、止めてください。」と大声を上げました。
Aは何もしていないと返答しましたが、Xはそれを聞き入れず、痴漢されましたと大声で叫びました。
AはXほか乗客数名に掴まれて次の駅で降ろされ、駅員に引き渡されました。
その後、駅員からの通報により大和高田市を管轄する高田警察署の警察官が駆け付けましたが、Aは一貫して「これは冤罪です。」と否認を続けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【痴漢事件について】

公共の場所や車両の中で他人の身体などに触れる行為は、痴漢と呼ばれています。
痴漢は、正式には各都道府県の定める迷惑防止条例違反事件として扱われます。
ケースは奈良県大和高田市を想定していますので、奈良県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。

条例12条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
 1号 他人の胸部、臀部、下腹部、大腿部等(以下「胸部等」という。)の身体に触れる行為(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触れる行為を含む。)であつて卑わいなもの

罰条:六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金(同条例13条1項)

【痴漢事件での捜査手法】

通常、刑事事件で立証に用いられる証拠には、主観的な証拠と客観的な証拠に分けられます。
その内容は事件によって異なりますが、ケースのような痴漢事件については主観的な証拠として嫌疑をかけられている方自身や被害者、目撃者の供述調書などが挙げられます。
客観的な証拠については、車内の監視カメラのほか、微物鑑定(繊維鑑定)などが挙げられます。
微物鑑定(繊維鑑定)とは、被害者の衣服の繊維が被疑者の手などに付着しているかどうか、というものです。
微物鑑定(繊維鑑定)は事件後すぐでなければ鑑定ができません。

【冤罪事件について】

もっとも、ケースのAは痴漢行為に及んでいません。
このように、無実の罪で被疑者として取り扱われている場合を、冤罪と呼びます。

冤罪事件にはいくつかのパターンがあり、ケースのような痴漢事件については
・別の犯人がいたパターン
・被害者の身体に荷物が当たっていてそれを痴漢と勘違いしたパターン
・女性が何かしらの理由でありもしない事件の被害申告をしているパターン
などが考えられます。

冤罪事件の場合、身の潔白を晴らすという点で積極的に微物鑑定(繊維鑑定)を希望することも考えられる一方、満員電車で故意ではないものの被害者の衣服に触れてしまった場合などでも繊維が付着している場合があるため、絶対的なものとは言えない点に注意が必要です。

また、監視カメラの映像や目撃者の証言がある場合が望ましいところですが、ケースのような満員の車内では監視カメラに被害者の下半身などが映っていない可能性があり、目撃者もいない可能性も高いです。
AはXの後ろにいたという点は状況証拠の一つにはなり得ますが、痴漢の被害に遭っている最中にその腕を掴んだ場合などでなければ、直接的な証拠とも言えません。

このように、客観的な証拠に乏しい事件では、しばし捜査機関は強引な取調べを行い「やったことはやったと認めて一からやり直せ。」等と言って事実とは異なる証言を無理やり引き出したり、「貴方が言っていることは要するにこういうことだから」等と言って供述と異なる供述調書が作成されたりする恐れもあるため、取調べは事前に弁護士と打合せをしたうえで臨み、調書への署名捺印を求められた場合には慎重な確認作業が必要です。

冤罪事件は他人事のように思われがちですが、日常生活に於て誰しもが冤罪事件に巻き込まれる可能性があります。
家族が冤罪事件で逮捕・勾留されている、あるいは御自身が冤罪事件で取調べ受けている場合、すぐに刑事事件を専門とする弁護士に相談することをお勧めします。
奈良県大和高田市にて、痴漢冤罪事件に巻き込まれている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

覚醒剤所持で即決裁判

2021-09-09

覚醒剤所持で即決裁判

覚醒剤を所持していたことで問題となる罪と即決裁判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県桜井市在住のAは、桜井市内の会社に勤める20代の会社員です。
Aは会社内部での人間関係などにストレスを抱え、覚醒剤に手を染めていました。
もっとも、規範意識が欠如していたわけではなく、悪いことであるという認識があったため、数ヶ月間は使用していない状況で財布の中に入れていました。
ある日、桜井市内の路上を歩いていたところ、桜井市内を管轄する桜井警察署の警察官による職務質問を受けることになり、そこで覚醒剤を所持していることを素直に告げたため、覚醒剤取締法違反で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAの両親は、覚醒剤所持事件で即決裁判手続に付される可能性があるのかについて、刑事事件専門の弁護士に相談をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【覚醒剤所持事件】

ご案内のとおり、覚醒剤は我が国でその所持や使用が制限されている薬物の一種です。
主として結晶の状態で出回っていて、水などで溶解して注射する方法による摂取が一般的ですが、加熱による炙りと呼ばれる方法や、飲料水に混ぜて飲む方法により摂取されることもあります。

覚醒剤の所持や使用は覚醒剤取締法などの法律により禁止されています。
ケースの場合は覚醒剤所持が問題となり、起訴されて有罪判決を受けた場合には「10年以下の懲役」に処されることになります。(覚醒剤取締法41条の2第1項)

【刑事手続の大まかな流れ】

刑事事件では、その事案によって行われる手続きが異なりますが、ざっくりと説明すると

・冒頭手続(人定質問、起訴状の朗読、黙秘権告知、罪状認否)
・冒頭陳述
・証拠調べ請求(証人尋問や被告人質問などを含む)
・論告
・弁論
・判決宣告

という流れになります。
1回目の公判から判決宣告までに行われる裁判の回数や機関についての定めはなく、被告人が起訴状記載の事実を否認している場合などについては一審だけで数年間を要する場合があります。
比較的軽微な犯罪で、被告人が罪を認めている場合、1回目ないし2回目の裁判で結審してその次の公判期日で判決宣告を受けるという手続きが一般的です。
これまた事件にもよりますが、結審後2週間程度で判決期日が入れられる場合が一般的です。

【即決裁判手続とは?】

通常の刑事事件の流れは前述のとおりですが、その例外的な手続として、2004年の刑事訴訟法改正により「即決裁判手続」が新設されました。
即決裁判手続は、捜査を担当する検察官が公訴の提起(起訴)と併せて即決裁判手続の申立てを行うことから始まります。
但し、この申立てには以下の要件を満たしていることが必要です。
・事案が明白且つ軽微
・死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる重大事件ではない
・事案について被疑者の争いがない
・被疑者の同意がある

裁判所が即決裁判手続の申立てを受けた場合、裁判官・検察官・弁護人は速やかに公判準備を行う必要があります。
公判期日では、被告人が冒頭陳述で訴因について有罪である旨の陳述をした場合、裁判官は原則として即日判決を言い渡さなければなりません。

なお、似たような名称の刑事手続に「略式手続」というものがありますが、即決裁判手続は略式手続とは違います。
略式手続とは、検察官が簡易裁判所に対して略式起訴することで裁判官が100万円以下の罰金刑を言い渡す手続で、公開の法廷での審理は行われません。
窃盗事件や暴行・傷害事件などの比較的軽微な事件が対象ですが、略式手続では財産刑以外の刑罰を科すことができない点に注意が必要です。

即決裁判手続は、検察官や裁判官の手続き上の負担が軽減されることはもとより、被告人にとっても出廷の回数が減る、未決期間が短くなるなどのメリットがあります。
奈良県桜井市にて、ご家族が覚醒剤所持事件などの罪で逮捕・勾留され、即決裁判手続について知りたい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは弁護士が逮捕・勾留されている方のもとへ接見に行き、供述内容を確認したうえで、即決裁判手続に付される可能性があるかどうかについてご説明致します。(有料)

スピード違反で刑事事件に?

2021-09-06

スピード違反で刑事事件に?

スピード違反で問題となる罪と刑事事件と行政処分の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県天理市在住のAは、天理市内の会社に勤める会社員です。
Aは休日、友人との約束に遅れそうになり、制限速度50km/hの路上で110km/hを出して走行してしまいました。
その頃、同路上にて移動式オービスによりスピード違反を取り締まっていた天理市を管轄する天理警察署の警察官は、Aによるスピード違反を現認し、検挙しました。
Aは、スピード違反で問題となる罪と、罰金刑と反則金の違いなどについて、刑事事件専門の弁護士に質問しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【スピード違反について】

ご案内のとおり、我が国の公道を自動車やバイクなどで走行する際には、道路交通法や車両運送法をはじめとする各種法律に従って運転をする必要があります。
スピードについてもそのルールのひとつで、道路交通法に以下のような定めがあります。

道路交通法22条1項 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

道路交通法施行令11条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。

つまり、法律で定める法定速度は60km/hであり、それ以外に制限速度が定められている道路については指定された速度未満で走行しなければいけません。
稀に、○○km/hまでであれば超過しても違法ではない、という誤った認識の方がおられますが、それは誤りで、法定速度又は制限速度を1km/hでも超過した場合、速度超過(スピード違反)に当たります。

罰条:6月以下の懲役又は10万円以下の罰金 (道路交通法118条1項1号)

【行政処分と刑事事件】

前章では、スピード違反をしてしまった場合の罪について説明をしました。
前述のとおり、スピード違反はたとえ1km/hでも超過してしまった場合、それは道路交通法違反です。
しかし、スピード違反に限らず、我が国では一日で数多くの道路交通法違反が行われています。
それらの全てを警察官らが検挙し、検察官に送致し、検察官が起訴した場合、警察官・検察官・裁判官の負担が大きくなりすぎます。
そこで、一定未満の比較的軽微な交通違反については、刑事事件には問わず、行政処分のみが行われるという場合があります。
これを交通反則通告制度と呼びます。

交通反則通告制度の対象となる違反は、反則点数が6点未満の違反です。
どのような違反が何点加点されるのかについては警察署のホームページ等で確認することができます。
スピード違反について見ると、飲酒運転の場合を除き、以下のような点数が規定されています。

20km/h未満                   1点
20km/h以上25km未満             2点
25km/h以上30(高速道路は40)km/h未満  3点
30(高速道路は40)km/h以上50km/h未満  6点
50km/h以上                  12点

よって、
一般道路では30km/h未満
高速道路では40km/h未満
の場合には、交通反則通告制度が適用されます。
この場合、
違反点数の加点に同意し、反則金(普通乗用車の場合は最大35,000円)を納付した場合には、刑事事件には発展しません。
加点された事実については俗に青切符(青キップ)と呼ばれる交通反則告知書という書類が交付されます。
ここでいう反則金は、刑法の定める罰金とは異なる行政処分であり、前科には当たりません。

他方で、
一般道路では30km/h以上
高速道路では40km/h以上
の場合には、交通反則通告制度が適用されません。
つまり、これらのスピード違反を起こした場合には、道路交通法違反被疑事件・同被告事件として、刑事裁判に処されることになります。
加えて、行政処分として違反点数が加点されることにもなりますので、免許停止処分・免許取消処分などに発展します。
ここで交付されるのは、俗に赤切符(赤キップ)と呼ばれる告知票という書類で、

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士事務所です。
当事務所は無料相談を行っていて、刑事事件に発展した場合の見通しや可能な弁護活動についてご説明しています。
奈良県天理市にて、ご自身が一定以上のスピード違反をしてしまい、刑事事件の見通しや弁護活動について知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談いただけます。

※当事務所は刑事事件・少年事件のみの事務所であり、行政処分(点数や反則金)についてのご相談はできません。

接見禁止~家族であっても面会できない?~

2021-08-30

接見禁止~家族であっても面会できない?~

特殊詐欺事件に加担してしまった場合の罪と、家族であっても面会ができなくなってしまう接見禁止という手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】

奈良県北葛城郡在住のAは、アルバイト生活を送っていました。
しかし、生活苦に陥っていたため高額バイトを探していたところ、SNS上で日当3万円と書かれている投稿を見つけて応募しました。
すると、指示役の者からダイレクトメッセージが届き、指定したチャットアプリをダウンロードするよう指示されました。
そして、指示に従って北葛城郡にある家を訪ね、住人から紙袋を受け取るという算段になっていたのですが、現場に着いたところ北葛城郡を管轄する西和警察署の警察官が張り込みしていて、Aは現行犯逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【特殊詐欺事件について】

オレオレ詐欺、振り込め詐欺、お母さん助けて詐欺などと呼ばれている特殊詐欺事件は、認知件数については平成29年を、被害金額については平成26年を境に減少傾向にありますが、今なお多数の被害が生じています。
近年はSNSで「高額バイト」「闇バイト」などと称して募集をかけ、応募してきた者に対して「これまで逮捕された人はいない」「誰でもできる簡単な仕事」等の甘言で誘惑したり、「バレたら貴方が捕まるだけだ」等と脅すことにより、特殊詐欺に加担させるという手口が多いようです。

主犯格である指示役は、本名などを伝えず違法に入手した電子端末を使って連絡して指示を出します。
下記受け子や出し子が逮捕された場合には、その連絡先を断つなどして、自身は検挙のリスクを負わないようにします。
「架け子」は違法に入手した電子端末で被害者に連絡して金を準備させる役割であり、検挙されるリスクが低いという性質があり、指示役が掛け持ちしている場合があります。

一方で、Aのように自ら応募してきた者については、「受け子」・「出し子」などと呼ばれる仕事を任されます。
「受け子」とは、被害者の家に行って現金やキャッシュカードを受け取ったり、交換する等の手口で盗み取る役割を担います。
受け取った現金やキャッシュカードは駅などにあるコインロッカーに入れたり、郵送にて送るなどして、指示役や出し子とは直接接触することなく犯行が進められます。
ケースのように騙されたフリ作戦や事件後の捜査・職務質問等で検挙される可能性が高いという性質があります。

「出し子」は、受け子が取得したキャッシュカードを使ってATMで現金を引き出す役割を担っています。
受け子同様にコインロッカーや郵送により引き出した現金を渡す場合が多いです。
御案内のとおり、ATMには多くの防犯カメラが設置されていることから、出し子についても検挙される可能性が高い役割と言えます。
なお、受け子が引き続き出し子の役割を果たす場合もあります。

各役割を担った者は、その手段により詐欺罪や窃盗罪のほか、電子計算機使用詐欺などの罪に問われる場合があります。

【接見禁止とは】

被疑者が逮捕された場合、72時間以内に10日間(1度延長ができるため最大20日間)の身柄拘束が行われるか、釈放されることになります。
まず、逮捕後すぐの期間は、弁護士以外の方は原則として面会をすることができません。
一方で、勾留が付いた場合には、家族に限らず誰しもが面会をすることができます。
(但し、1日1度限り、時間は15分、警察官の立会あり等様々な制約があります。)
しかし、ケースのAが起こした特殊詐欺事件のように共犯者が複数人いるような事件の場合や薬物事件のように入手経路の特定を要するような事件については、勾留と併せて「接見禁止」の決定が付く場合があります。
接見禁止決定は、裁判官の裁量により行われます。
接見禁止が決定された場合、たとえ家族の方であっても面会することができません。

接見禁止決定を受けた被疑者と面会をしたいと考えた場合、接見禁止の全部を解除するよう求めるか、特定の者(家族など)の接見禁止のみ解除を求める必要があります。

接見禁止の解除・一部解除を申立てるためには、事件の詳細な情報を把握し、面会を求めている者が事件関係者ではないこと、面会による証拠隠滅の恐れがないことを的確に主張する必要があります。
奈良県北葛城郡にて、特殊詐欺事件に加担してしまい、勾留と併せて接見禁止の決定が付いた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が接見に行き、事件の内容を把握したうえで、接見禁止の解除が可能な事案かどうか、確認致します(初回接見は有料です。)。

冤罪事件でポリグラフ検査を受けることに

2021-08-23

冤罪事件でポリグラフ検査を受けることに

実際には起こしていない刑事事件の被疑者として扱われているいわゆる冤罪事件と、ポリグラフ検査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県生駒市在住のAは、生駒市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aの自宅に生駒市内を管轄する生駒警察署の警察官が自宅に来て、お話が聞きたいから警察署まで来てくれないかと言われました。
Aは仕事があるからすぐにはいけないと回答し、警察官に連絡先を伝えて後日出頭することになりました。
心当たりがないままに出頭したところ、Aは「奈良市内のコンビニエンスストアで忘れ物の財布が無くなった」という事件の捜査対象になっていることを伝えられ、Aは否認したところ「防犯カメラにはあなたしか映っていないんですよ。」「そこまで頑なに否認するのであれば、次回はポリグラフ検査を行います。」と言われました。
不安と憤りを覚えたAは、刑事事件専門の弁護士に、無料相談を依頼しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【冤罪事件とは】

冤罪は、実際には起こしていない事件に於て被疑者として捜査を受ける場合を指します。
過去には死刑判決を受けたて47年にも亘り収監されたのち、再審請求で釈放を言い渡されたという事件などもある重要な課題です。

冤罪事件の多くは、客観証拠に乏しく証拠収集が容易ではない事件です。
今日では科学技術の発展や防犯カメラ設置台数の増加により客観的な証拠の正確性が高くなっているため、冤罪事件そのものは少なくなっている可能性が高いですが、2004年に殺人罪で有罪判決を受けた看護助手の方が12年もの間服役し、その後に無罪判決が言い渡されるなど、冤罪は今日でも、誰でも、起こり得ることなのです。

【ポリグラフ検査とは?】

ポリグラフ検査とは、睡眠時無呼吸症候群などで用いられる検査手法の一環で、刑事事件で被疑者が否認している場合の取調べにも用いられることがあります。

捜査で用いられるポリグラフ検査では、被疑者の取調べに際し、質問ごとの心拍数や呼吸回数、発汗などのデータを取得します。
まず、ポリグラフ検査は供述拒否権(黙秘権)に関わる内容でもあることから、捜査をする場合には被疑者の同意を要します。
ポリグラフ検査の捜査そのものは科学捜査研究所の技師など専門家が行い、汗や呼吸数、心拍数などの生理学データを収集することが目的です。
なお、ウソ発見器という言葉は正確ではなく、被疑者の記憶を確認するものであり、●●の質問に於て、被疑者は自分の記憶と異なった回答をしている、ということを証明するものです。

【ポリグラフ検査の証拠能力】

ポリグラフ検査の証拠能力について、判例は「同意のあつたポリグラフ検査結果回答書は、その検査結果が検査者の技術経験、検査器具の性能に徴して信頼できるものであり、かつ、検査の経過および結果を忠実に記載したものであるとき(原判文参照)は、証拠能力がある。」と判示しています。(昭和42年(あ)2188号 最高裁決定)

【冤罪事件での弁護活動】

被疑者側が冤罪を主張した場合、捜査機関は圧迫感を覚える取調べを行ったり、嘘の説明をするなどして被疑者から事件について認める旨の供述を引き出そうとします。
弁護士としては、違法な取調べが行われた場合には厳重に抗議したり、状況に応じた黙秘権のアドバイスをするなどして、被疑者の意に反した供述調書の作成を回避するよう努めます。
また、供述調書などが既に作成されている場合については、裁判でその信用性を争うなどの対応が必要です。

冤罪事件で捜査対象になっている、ポリグラフ検査を受けることになっている方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

盗撮で逮捕されたら?

2021-08-19

盗撮で逮捕されたら?

いわゆる盗撮をしてしまった場合の罪と、逮捕という手続き、釈放を求める弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の会社に勤める会社員です。
Aは盗撮行為に興味を抱き、動画アプリを起動させたスマートフォンを手持ちの鞄に入れ、奈良市内の駅構内で好みのタイプの女性を探しては、その女性がエスカレーターに立った際にすぐ後ろに立ち、スカートの中にカメラを指し向けて盗撮をしました。
しかし、後ろに立っていた通勤客がAの盗撮行為に気づいたため、Aに声掛けして駅員室に連れて行きました。
その後、Aは臨場した奈良県奈良市を管轄する奈良西警察署の警察官は、Aを盗撮により逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【盗撮はどのような罪になる?】

ケースのような公共の場所や公共交通機関での盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例が問題となります。
ケースは奈良県奈良市を想定していますので、奈良県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(12条1項2号)に違反することになります。
罰条は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

【逮捕されたらどうなる?】

事件を起こしたとされる被疑者に対し、捜査機関は必要に応じて逮捕を行います。
逮捕は私人の権利を侵害する行為ですので、令状主義といって、原則として裁判所が発布した令状に従って逮捕するということになります(通常逮捕)。

一方で、ケースのように事件を起こした直後に逮捕される場合を現行犯逮捕と呼びます。
これは令状主義の例外規定ではありますが憲法もこれを認めていて、実務では全逮捕者のうち約40%が現行犯逮捕によるものとされています。
現行犯逮捕の場合は司法警察職員だけでなく私人にも行うことができますが、私人逮捕をした場合は直ちに司法検察職員に引き渡さなければならないと定められています。
現行犯逮捕については、逮捕時には令状は必要ありませんが、逮捕後に「現行犯人逮捕手続書」という書類を作成します。
また、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致する必要があり、検察官は逮捕から72時間以内に勾留請求を行わなければ被疑者を釈放しなければなりません。

【弁護士が行う身柄解放活動】

逮捕されて勾留された場合、捜査段階で最大20日間勾留され、起訴された場合には起訴後勾留というかたちで勾留期間は更に伸びることになります。
逮捕された場合には仕事に行けず、電話などの通信もできず、家族等との面会についても制限されています。
逮捕あるいは勾留された場合、弁護人は、身柄解放のための弁護活動を行うことでの釈放を目指します。
≪逮捕前≫
一先ず在宅で捜査が開始されているという場合、警察官などの捜査機関に対して逮捕をしないよう求める弁護活動を行います。
被疑者には監視・監督ができる身元引受人がいて、出頭を誓約していることを捜査機関に主張することで、逮捕を回避できるという場合があります。

≪逮捕後・勾留前≫
逮捕された場合、警察官の判断で釈放するという場合はほとんどなく、原則としてすべての事件で検察官に送致され、まずは検察官が勾留の必要性について検討します。
弁護士は、検察官に対して「被疑者には定まった住居があり、監督者がいて証拠隠滅や逃亡の恐れがない」ことを主張します。
検察官が勾留を請求した場合、次は裁判所に対して勾留の必要がないこと・勾留の要件を満たさないことを主張します。

≪勾留後≫
裁判官が勾留を決めた場合には、以下の2通りの弁護活動が求められます。
・勾留決定に対する準抗告申立
勾留は、裁判官1人でその判断を下します。
その判断に対して弁護人や検察官が不服を申立てる手段として、勾留決定に対する準抗告の申立があります。
準抗告は、勾留の判断をした裁判官とは別の裁判官3人による合議体で、勾留の判断が正しかったのかどうかを検討します。
合議体とはいえ、一度裁判官が下した判断を別の裁判官が覆すという場合は、そう多くありません。

・勾留取消
勾留後の身柄解放活動については、準抗告のほかに勾留取消を求める弁護活動があります。
勾留取消は、事後的に勾留の理由や必要性がなくなった場合に認められるものです。
ケースの場合は被害者がいる事件ですので、示談交渉により被害者に対する謝罪や賠償のほか、接触の禁止などの約定ができた場合などが考えられます。

奈良県奈良市にて、ご家族が盗撮などの嫌疑で逮捕されたため、釈放を求める弁護活動について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

「大丈夫」と言われても、通報の義務が

2021-08-12

「大丈夫」と言われても、通報の義務が

車やバイクを運転していて事故を起こしてしまい、被害者が「大丈夫」と言ったため通報せずにその場を離れたという場合に問題となる罪と、自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県吉野郡大淀町在住のAは、奈良県内の会社に勤める会社員です。
Aは有効な運転免許証を有していて、通勤で車を運転していました。
事件当日も通勤のため夜明け前の公道を走行していたところ、横断歩道ではない場所から自転車に乗ったVが突然飛び出してきて、Aの車と接触してしまいました。
AはすぐさまVに駆け寄りましたが、Vは転倒はしたものの立ち上がり、Aに向かって「急いでいるので大丈夫です」と言い、走り去りました。
Aは、実は別の事件で有罪判決を受けて執行猶予期間中だったこともあり、通報しようか悩んだ末、通報せずにその場を離れました。

しかし、数日後に事故現場に「この付近で車と自転車による接触事故が発生しました。目撃した方がおられましたら吉野警察署まで。」という立て看板が立っていることに気づきました。
Aは刑事事件専門の弁護士に相談をしたうえで、吉野郡大淀町を管轄する吉野警察署に自首することを検討しています。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【報告義務について】

自動車を運転する際、運転手には免許証を常に携帯しておくことや法定速度等を遵守することなど、様々な義務が課せられています。
その中の一つに、救護義務と報告義務があります。
条文は以下のとおりです。

道路交通法72条1項 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

前段は救護義務、後段は報告義務を明らかにしています。
救護義務とは、人身事故を起こしてしまった場合に、倒れた人の容態を確認したり119番通報して救急車を要請したりといった義務があるということです。
報告義務は、人身事故であると否とにかかわらず、事故が発生した場合には「直ちに(ただちに)」、警察官に届け出る義務があることを示しています。

ケースのように、接触事故を起こしてしまったが大丈夫ですと立ち去ってしまうという事例はあるようですが、そのような場合でも、運転手に対しての報告義務がなくなるわけではありません。
相手が大丈夫といったからと言って、通報することなく立ち去った場合に、後々刑事事件に発展してしまう可能性があります。
なお、報告義務違反の罰条は「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」です。(道路交通法119条1項10号)

【自首する前に弁護士に相談】

自首は、捜査機関が被疑者を特定する前に被疑者が警察官に名乗り出た場合に成立します。
報告義務違反や救護義務違反などの事件の場合、付近の防犯カメラから被疑者の車種や車体の色、ナンバーが特定された場合には捜査機関は被疑者の特定が間もなくと言えることから、自首が成立しないという場合もあります。
そのため、自首を決意した場合には早期に対応する必要があります。
一方で、自首した場合にはその場で自首調書の作成などが行われるため、そこでの発言は非常に重要です。
自首に際して不安がある方については、事前に弁護士に無料相談したうえで、アドバイスを受けることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県吉野郡大淀町にて、車の運転中に接触事故を起こしてしまい、被害者が大丈夫と言ったので報告義務を全うせずに立ち去ってしまったものの刑事事件化する恐れがあるため自首したいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

特殊詐欺事件では面会ができない?

2021-08-09

特殊詐欺事件では面会ができない?

特殊詐欺と呼ばれる事件を起こした場合の罪と、弁護士以外の方の面会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県五條市在住のAは、五條市内に住む会社員です。
Aは昨今の情勢から収入が激減し、生活苦に陥りました。
そこで休みの日に金を稼ごうと考え、SNSで「裏バイト」と検索してダイレクトメッセージを送り、接触しました。
やり取りをした指示役からは五條市内の指定された個人宅に私服警察官を装って訪問し、キャッシュカードを受け取って帰るというものでした。
そのうえで、キャッシュカードを持って五條市内のATMに行って現金をすべて引き出し、その現金を指定された住所に郵送するという指示を受けました。

事件当日、Aは指示に従い五條市内の被害者宅を訪れましたが、特殊詐欺に気づき騙されたフリ作戦を敷いていた五条市内を管轄する五条警察署の警察官により逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【特殊詐欺事件について】

ケースのAは、特殊詐欺事件で受け子と出し子と呼ばれる役割を担当していました。
受け子とは、被害者宅に行って現金やキャッシュカードなどを受け取る役割で、出し子とは、キャッシュカードで現金を引き出す役割です。
Aが失敗したキャッシュカードの受け子については、特殊詐欺の方法によって罪名が異なります。

「キャッシュカードが不正に使用されているので、回収する必要がある」などと噓をついてキャッシュカードを受け取る
⇒被害者を欺罔して財物の交付を受けていることから、詐欺罪(又はその未遂)が成立

「キャシュカードが不正に使用されているので、担当者が来るまでに使わないようにしてくれ」などと嘘をついてキャッシュカードを封筒などに入れ、被害者の注意を逸らして封筒をすり替え、キャッシュカードを盗る
⇒被害者を欺罔することなく隙をついてキャッシュカードを窃取しているため窃盗罪が成立

【一般の方の面会について】

まず、ここでいう一般の方とは弁護士及び捜査機関(警察官/検察官)以外の者を指します。
家族の方についても、一般の方の面会の対象になります。

一般の方の面会について、運用は都道府県などによって若干異なりますが、おおよそのルールは以下のとおりです。

・逮捕後ではなく勾留後から面会が可能
・平日の日中の時間帯のみ
・一般面会は1日に1回・1組限り
・1回の面会時間は最大15分
面会の人数は最大3名
・必ず警察官等の立ち合いがある

但し、勾留と併せて「接見等禁止決定」が下される場合があります。
接見等禁止決定は検察官が請求を行い、裁判官が事案を検討して職権でつけるという流れが一般的です。
接見等禁止決定が下された場合、事件関係者はもとより、(除外規定がある場合を除き)ご家族の方であっても面会をすることが許されず、手紙の差入もできません。

【弁護士については接見可能】

上記のルールはあくまで一般の方の面会についてであり、弁護士(弁護人又は弁護人となろうとする者)については逮捕後から、時間や回数の制限がなく接見(面会)をすることができます。
※検察庁や裁判所での接見については時間制限があります。

【家族が面会するためには?】

家族の方が面会を希望する場合、「接見禁止の一部解除」を求める必要があります。
これは裁判官の職権発動を促すもので、面会を求めている家族が事件には関わっておらず、勾留されている者の体調の心配や日常生活での確認事項などのために面会を求めているということをしっかりと主張する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所は、特殊詐欺事件の弁護活動の経験が多数あります。
奈良県五條市にて、ご家族が特殊詐欺事件で逮捕され、勾留されてしまい、接見等禁止決定が付いてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは弁護士に初回接見に行き、逮捕・勾留されている方からお話を伺ったうえで、接見禁止一部解除の可能性などについてご説明致します。(初回接見は有料です。)

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