キャッシュカードを送ると犯罪に?

キャッシュカードを送ると犯罪に?

キャッシュカードを送った場合に問題となる罪とその後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県生駒市在住のAは、生駒市内の会社に勤める会社員です。
AはSNSで「株で大儲けしたので、税金対策のためお金を配ります。」という投稿を目撃し、応募しました。
すると、投稿主からダイレクトメッセージが届き、残高がない金融機関のキャッシュカードとパスワードを送ってくれたら、入金をして返送すると説明を受けました。
Aは給与振込用の口座しか持っていなかったため、近くの金融機関に行って口座の新規開設を行い、数日後に自宅に届いたキャッシュカードを投稿主が指定した住所地に郵送しました。
数ヶ月経った後、Aが口座を開設した生駒市内の銀行から連絡が来て、キャッシュカードを他人に渡さなかったかと問われました。
Aは顛末を金融機関に伝えたところ、最寄りである生駒警察署に出頭するよう言われました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【キャッシュカードを送る行為は犯罪に?】

都市銀行・信託銀行・地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫といった各種金融機関に口座を開設した場合、通帳やキャッシュカードが交付・郵送されます。
口座開設の際、必ず身分証明書を確認され、他人に通帳やキャッシュカードを渡すことは固く禁じられています。
しかし、以下のような説明を受けるなどして、安易にキャッシュカードを郵送するという事案が見受けられます。
・闇金などに連絡したところ、融資を受けたい場合にはキャッシュカードを送るよう指示される。
・闇金などに金を借りたが返金できないという場合に、キャッシュカードを郵送するよう指示される。
・ブラックリストに載ってしまったので口座が開設できない。キャッシュカードを送ってくれたら謝礼を渡す。
・当選した人に金を配る等と言われ、キャッシュカードを送れば入金すると言われる。

しかし、このような行為は犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称:犯収法)の定める下記条文に違反します。

犯収法28条1項 他人になりすまして…預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報…を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
同2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。(略)

【送付の目的で口座を開設したら詐欺罪に】

ケースについて見ると、Aは給与振込用の銀行口座1つしか持っていなかったため、新たに譲り渡すための銀行口座を開設しています。
しかし、先述のとおり、銀行口座は自ら利用することを前提としています。
他人に譲り渡す意思を隠して口座を開設したことで、キャッシュカードや通帳を受け取った場合、詐欺罪に問われます。
条文は以下のとおりで、「財物」はキャッシュカード・通帳となります。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

【口座が凍結される】

ここまではキャッシュカードを送った、あるいは口座を開設した場合に問題となる罪について説明しました。
この章では、刑事事件とは別の手続きである口座の凍結について触れます。

先述のとおり、各々が送ったキャッシュカードは、特殊詐欺などで用いられる可能性が高いです。
具体的には、詐欺グループが被害者に対して「この口座に振込むように」と指示するなどして送金先として利用されたり、金の流れを分からなくするため被害者の口座からすぐに現金を引き出すのではなく、いくつもの銀行口座に送金を繰り返すなどして錯乱したりするための口座として利用されたりする可能性があります。

被害者からの相談等で特殊詐欺事件が発覚した場合、捜査機関は金融機関に通知します。
金融機関は、口座情報をもとに口座の名義人に連絡をして、確認作業を行います。
そこで口座名義人が不正に第三者にキャッシュカード等を渡した場合や連絡が取れなかった場合などについては、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項、及び同2項により、取引停止の措置を講じます。

また、金融機関が口座凍結を行った場合、預金保険機構に公告というかたちで情報が公開されるため、他の金融機関の口座についても凍結されたり、新規口座開設を拒否されたりする恐れがあります。
そうすると、給与の振込が出来なくなったり、ローンが組めなくなったりするなどの不利益が多く生じます。

奈良県生駒市にて、金融機関のキャッシュカードを送付してしまったことにより、銀行等から連絡が来て捜査機関から連絡が来たという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

 

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