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ネット上での誹謗中傷

2021-07-15

ネット上での誹謗中傷

ネット上での誹謗中傷で発展する諸問題について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県天理市在住のAは、天理市内の会社に勤める会社員です。
Aには職場の同僚であるVがいて、そのVがインターネット上の配信サイトと呼ばれる、一般人が不特定多数の者に対して動画の中継を行うものを行っていることを知りました。
職場内で遺恨があったAは、Vがライブ配信を行っている際、視聴者のコメント欄に「キモいぞ」「この容姿でライブ配信かよ」「○○社の△△と深い関係にあるから出世している。」等とありもしない内容を投稿しました。

Vは誹謗中傷を受けたことで警察署に被害届を提出しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【ネット上での誹謗中傷について】

・刑事上の問題
誹謗中傷は、刑法の定める名誉毀損罪や侮辱罪に当たる可能性があります。
名誉棄損罪と侮辱罪の条文は以下のとおりです。

(名誉棄損罪)
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮または五十万円以下の罰金に処する。

(侮辱罪)
刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

・民事上の問題
刑事上の問題とは異なり、当事者間でのトラブルにより生じた損失などを補填するものです。
ケースのような誹謗中傷については、不法行為責任(民法709条)を理由に賠償請求を行います。
証拠の立証について、刑事訴訟の場合は検察官が行う必要がありますが、民事上は原告自ら行う必要があります。
例えば刑事訴訟手続で被告「人」罰金刑や科料の判決を言い渡された場合、そのお金は国庫に帰属します。
しかし民事上は、損害賠償請求が認められた場合、裁判官が下した金額を被告が原告に支払うことになります。

・その他
また、そのほかに、SNS等と呼ばれる会員制サイト(ケースの場合はライブ配信の運営会社)から投稿を削除されたり、アカウントを停止・凍結されるなどの不利益処分を受けることが考えられます。
これについては、運営会社側の裁量による部分が大きく、社内規則に基づく不服申立により凍結解除等が認められる可能性もありますが、凍結解除が認められる可能性は高くないでしょう。

【刑事事件での弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ケースの場合、刑事事件としてはどのような弁護活動が考えられるか、以下で検討していきます。

・犯人性の否認
まずは、自分が犯人ではないという主張が考えられます。
捜査機関としては、投稿された情報をもとに、IPアドレスの解析などにより被疑者を特定しますが、毎回必ず契約者が正確にわかるというわけではありません。
また、仮にIPアドレスによる取得情報が正しかったとして、それは侮辱罪や名誉棄損罪などにあたる情報を発信した媒体と契約した者を特定するわけであり、投稿した張本人がそれと一致していることの確証はありません(投稿に利用された媒体は他人に貸していた、という場合も考えられるでしょう。)。
また、2012年頃に発生した遠隔操作事件のような例もあることから、サイバー犯罪の捜査が容易ではなく、真犯人ではないにもかかわらず捜査対象となり、ともすれば逮捕される恐れがあります。

・取調べ対応
実際にはやっていない場合でも、罪を認めている場合でも、取調べでの対応は重要です。
取調べでの内容は供述調書にまとめられ、証拠として用いられます。
刑事事件の被疑者となった場合、取調べの前に弁護士に相談をして取調べ対応を行うことは重要になります。

・謝罪や賠償、示談など
罪を認めている場合、ネット上での誹謗中傷には被害者がいることから、謝罪や賠償をして示談を行うなどの弁護活動が考えられます。
示談というのは双方の合意であり、当事者同士で締結することができるのですが、被害者と直接やり取りをする行為は罪証隠滅を疑われる行為であり、被害者としても直接の交渉を望まない場合も多いことから、第三者である弁護士に依頼し、間に入ることが望ましいといえます。

奈良県天理市にて、ネット上の誹謗中傷が原因で名誉棄損罪侮辱罪などの罪に問われている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談いただけます。

黙秘権とは?

2021-07-12

黙秘権とは?

大麻を密輸した場合に問題となる罪と、黙秘権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
Aは、海外での生活が長く、日本に戻ってくる際には奈良県北葛城郡にある実家にて生活しています。
その際、Aは海外から大麻リキッドと呼ばれる液体状の大麻を密輸して、奈良県北葛城郡内の自宅にて電子タバコで喫煙する習慣がありました。
Aは大麻リキッドの話を数人の知人に伝えていたところ、そのうちの一人が情報をリークしたらしく、Aの自宅に家宅捜索が入り、Aは大麻所持により逮捕されました。
Aが逮捕された話を聞いたAの家族は、その後密輸をしたことでも逮捕される予定であると聞き、Aにはどのような罪がかけられるのか、取調べで黙秘権を行使した方が良いかなどのアドバイスがあるのか、刑事事件・少年事件専門の弁護士に相談しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【大麻所持事件について】

ケースのAは,大麻の所持で現行犯逮捕されています。
大麻の所持は大麻取締法に違反します。
自己使用目的での大麻所持は大麻取締法24条の2第1項で「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」と規定されています。

【密輸行為は更に重い】

更に,Aはその大麻を自ら海外から密輸しています。
これは大麻取締法が禁止する輸入にあたるほか(大麻取締法4条,同24条1項),関税法が輸入を禁止している物に当たるため,関税法違反にも該当します(関税法69条の11第1項1号)。
自己使用目的での大麻密輸の法定刑は「七年以下の懲役」です。

【黙秘権とは?】

黙秘権という言葉は広く一般に知られている言葉かと思います。
改めてご説明すると、被疑者には自分の意思に反して何も言わなくて良いとされるものです。
法的には、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められているほか、刑事訴訟法では刑事訴訟法198条2項で「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に話して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
つまり、取調べで被疑者には黙秘権という権利が憲法上保障されていて、検察官や警察官は取調べを行う前に被疑者に黙秘権があることについて説明しなければならないと定められているのです。

黙秘権を使うことで考えられるメリットとしては、
①主観面での争いがある(故意の有無が罪状に大きく影響する)場合などで、捜査機関に有利な調書を作成されない。
②主観面以外の証拠収集が困難な場合(捜査機関が客観証拠を収集できない状況にある)に被疑者にとって不利な証拠が作成されない。
③被疑者が事件についての記憶が曖昧な状態(うろ覚えな状態)で供述をしないことで、不合理な供述調書の作成を避けることが出来る。
といった点が挙げられます。

一方で、黙秘権を行使することで、取調べがより厳しいものになったり、身体拘束の判断を行う際に事実上の不利益な理由になる可能性があるというデメリットがあることも事実です。
黙秘権を行使すべきか否かについては事案によって判断が分かれるため、刑事事件専門の弁護士から説明を受けることをお勧めします。

【早期に弁護士に依頼するメリット】

刑事事件で逮捕された場合、逮捕後すぐのタイミングから警察官・検察官による「弁解録取」という手続きが始まり、勾留後20日以内の間に繰り返し取調べを受けることになります。
取調べで話をした内容は供述調書という書類に纏められ、検察官は裁判の際の証拠として請求します。
そのため、早期に弁護士に依頼し、取調べを受ける前に弁護士に依頼することが望ましいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件・少年事件に携わり、取調べについてのアドバイスを行ってきた経験があります。
奈良県北葛城郡にて、ご家族が大麻所持や密輸をしてしまい逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービス(有料)をご利用ください。
初回接見で、弁護士が逮捕されているご本人さんから事件についてのお話を聞き、黙秘権をはじめとした適当なアドバイスを行ってまいります。

知らずに覚醒剤の密輸に加担?

2021-07-05

知らずに覚醒剤の密輸に加担?

自分ではその気がないにもかかわらず,覚醒剤密輸に加担してしまった場合の罪と弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県桜井市在住のAは,桜井市内の会社に勤める会社員です。
Aは格安の旅行会社のプランを用いて某国へ海外旅行に行きました。
旅行先では楽しい思いをし,予定どおり帰国のため空港に着いたところ,添乗員から「これはお土産です。家電製品が入っているので預け入れの荷物には入れられないため,機内持ち込みにてお持ち帰りください。」と言われました。
Aは指示に従って機内持ち込みし,帰国したところ,我が国の入国審査で別室に呼ばれ、法禁物が入っていた旨説明されました。
その後、税関職員と警察官が空港に来て、Aは「覚醒剤密輸した嫌疑」で逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【覚醒剤の密輸で問題となる罪】

上記ケースはあくまでフィクションですが、このように旅行会社が薬物の売人と協力するなどして、知らぬ間に密輸に加担してしまうという事例は実在します。
とりわけ海外旅行では、渡された物を安易に持ち込まない、固より受け取らないという緊張感が必要と言えます。
では、このような事件に加担した場合にはどのような罪に問われるのでしょうか。
以下で検討します。

・関税法違反
関税法とは、我が国に輸出入される物に対して適切な税金をかけることを目的としていますが、それだけではなく、輸出・輸入してはいけないものを規定しています。
詳細は関税法第二款に規定されていますが、麻薬や大麻・覚醒剤といった薬物のほか、爆発物や拳銃の類、化学兵器の類、偽造通貨等、児童ポルノ等といったものが挙げられます。

今回、Aが我が国に持ち込んだ物は覚醒剤を想定していますので、以下の条文が問題となります。

関税法69条の11 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
1号 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤並びにあへん吸煙具。(略)

同法109条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号までに掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

・麻薬特例法違反
麻薬特例法は、正式名称を国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律と言います。
たとえば所持罪について、大麻であれば大麻取締法が、覚醒剤であれば覚醒剤取締法が、危険ドラッグであれば薬機法が、それぞれ適用されます。
では、麻薬特例法がどのような目的で制定されているかというと、違法薬物の入手経路や違法薬物の売買で得た収益などを対象に処罰規定を設けるべく、制定されている法律です。

麻薬特例法4条 税関長は、関税法第六十七条の規定による貨物の検査により、当該検査に係る貨物に規制薬物が隠匿されていることが判明した場合において、薬物犯罪の捜査に関し、当該規制薬物が外国に向けて送り出され、又は本邦に引き取られることが必要である旨の検察官又は司法警察職員からの要請があり、かつ、当該規制薬物の散逸を防止するための十分な監視体制が確保されていると認めるときは、当該要請に応ずるために次に掲げる措置をとることができる。(略)
1号 当該貨物について関税法第六十七条の規定により申告されたところに従って同条の許可を行うこと。
2号 その他当該要請に応ずるために必要な措置

同5条 次に掲げる行為を業とした者は、無期又は五年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
4号 覚醒剤取締法第四十一条又は第四十一条の二の罪に当たる行為をすること。

同8条 薬物犯罪を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

・覚醒剤取締法違反
覚醒剤の輸入については、覚醒剤取締法にも禁止規定があります。
条文は以下のとおりです。

覚醒剤取締法41条 
1項 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。

【ケースの場合の対応】

これまで見てきたとおり、覚醒剤を密輸するという行為は我が国の治安維持に極めて有害であり、行った場合には厳しい刑事罰を科されることになります。

しかし、今回のケースについてみると、Aは中身が覚醒剤であることを説明されずに搭乗手続きを経て帰国しています。
この場合、覚醒剤を密輸するという認識が欠如していることから、罪に当たらないことになります。
とはいえ、捜査機関としては「本当は認識があったのではないか」「格安のツアーだということで疑わしいと思っていたのではないか」等と厳しい取調べを受けることが予想されます。

奈良県桜井市にて、御家族が認識なく覚醒剤などの違法薬物の密輸に加担してしまい、関税法違反や麻薬特例法違反、覚醒剤取締法違反などの嫌疑で逮捕された場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
担当事務員がまずはどのような対応が適当か、御説明致します。

脱法ドラッグで保釈請求

2021-06-28

脱法ドラッグで保釈請求

脱法ドラッグと呼ばれる薬物で問題となる罪と、保釈請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和郡山市在住のAは、大和郡山市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは大和郡山市内の路上で挙動不審を理由に大和郡山市内を管轄する郡山警察署の警察官に職務質問を受け、所持品検査を受けたことで錠剤が見つかりました。
Aは、SNS上で購入した「脱法ドラッグ」であるとして罪に当たらないと主張しましたが、警察官は鑑定に回すと言いました。

そして後日、大和郡山市を管轄する郡山警察署の警察官が自宅に来て、Aを脱法ドラッグと呼ばれる薬物を所持していたことから薬機法違反で逮捕されました。
Aの家族は、Aの身柄を解放するため保釈請求を希望しています。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【脱法ドラッグは違法?】

脱法ドラッグをはじめ、合法ハーブ、アロマ、お香など、合法を謳う様々な薬物が世に出回っています。
とりわけインターネット・SNSを誰もが容易に利用できるようになった今日では、売人と対面をせずに手軽に購入することができます。

しかし、それらは違法な成分を含んでいる可能性が高く、それを所持していただけで問題になることもあり得ます。
上記の薬物は危険ドラッグと呼ばれ、指定薬物と呼ばれる成分を含みます。(条文は下記参照)
すなわち、脱法ドラッグと謳っていたところで、その成分を科学捜査研究所などが成分検査したところ指定薬物に当たる成分が検出された場合、それは危険ドラッグと呼ばれるものであり、薬機法に違反するのです。
危険ドラッグを所持していた場合には「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められています。(薬機法84条26号)

(指定薬物)
薬機法2条の15 中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。

【保釈とは?】

刑事事件を起こした場合、在宅で捜査を進める場合もありますが、逮捕・勾留をして身柄を拘束したうえで捜査を進める場合があります。
両者の違いは、証拠隠滅の恐れがあるか否か、逃亡の恐れがあるか否か、といった点が挙げられます。

被疑者が逮捕された場合、裁判官の判断により、勾留請求された日から最大で20日間、警察署の留置施設などで勾留されます。
勾留満期日になると、検察官は被疑者を起訴するか、処分保留で(又は略式手続による罰金納付後に)釈放する必要があります。
ここで起訴された場合、被疑者は被告人という立場になり、刑事裁判を受けることになります。
勾留された被疑者が起訴されて被告人になった場合、その多くは起訴後勾留というかたちで引き続き身柄を拘束されます。
その際、被疑者勾留の時点で警察署の留置施設での身柄拘束を受けていた方は、拘置所という場所に移送される可能性があります。
起訴後勾留は2ヶ月ですが、その後も1ヶ月毎に延長をすることができるため、判決言渡しまで身柄拘束が続くことも考えられます。
それを回避するため、弁護士は保釈請求を行い、保釈金を納付することで被告人の身柄の釈放を求める必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県大和郡山市にて、脱法ドラッグと呼ばれる薬物を持っていたところ危険ドラッグと言われてしまった、あるいはご家族が危険ドラッグ所持により逮捕されてしまったという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

スピード違反で正式裁判に?

2021-06-24

スピード違反で正式裁判に?

スピード違反で問題となる罪や処分、正式裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県生駒市在住のAは、生駒市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは生駒市内の国道にて、法定速度(60km/h)を大幅に逸脱した143km/hで走行していました。
しかし、付近を走行していた交通機動隊の覆面パトカーにより追尾され、生駒市を管轄する生駒警察署に任意同行するよう求められました。
警察官はAに対し、83km/hの超過だから赤切符になると言われました。

赤切符が交付された場合にはどのような手続きが想定されるのか、正式裁判になる可能性はあるのか、弁護士に相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【スピード違反について】

自動車やバイクなど、公道を車両で運転する際には道路交通法をはじめとした法律に従って運転しなければいけません。
その中のひとつが、車両を走行する際の速度・スピードです。

我が国の公道では、法定速度と制限速度が定められていて、違反した場合には速度超過(スピード違反)となります。
法定速度は、原動機付自転車を除く一般車両については60km/h、高速道路の場合は100km/hとされていて、その速度を超えて走行した場合にはスピード違反になります。

また、法定速度では危険であると判断されている道路では、制限速度が定められています。
制限速度は道路標識や道路上の文字で示されていて、制限速度が定められている場合は法定速度ではなく制限速度未満で走行しなければいけません。

【スピード違反で正式裁判に?】

1 一般道で1~29km/h未満、高速道路で1~39km/h未満の超過

この場合には、行政処分のみ問題となります。
まず、上記の速度では青切符と呼ばれる「交通反則告知書」という書類が交付されます。
そして、①点数が加算され、②交通反則金を納付する必要があります。
①については、スピード違反で加算される点数は1点~3点までで、具体的な点数については超過した速度によって異なります。
一定期間内に一定以上の点数が加算された場合には、運転免許が停止されたり取り消されたりします。
②については、普通自動車の場合は9,000円~35,000円です。

2 一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の超過
この場合には行政処分だけでなく、刑事処分の問題が生じます。
スピード違反を現認された場合やオービスなどでスピード違反が発覚した場合、赤切符と呼ばれる「告知票」という書類を交付されます。
赤切符の場合、①点数については6点又は12点が加算されることになっているため、それまでに交通違反があったと否とに関わらず、一回で免許停止以上の処分が下されることになります。
加えて、刑事事件にも発展し、略式手続又は正式裁判により「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処されることになります。
前②の反則金とは異なり、罰金は刑事罰ですので、いわゆる前科が付くことになります。

略式手続は、スピード違反を認めた場合に執られる簡易な手続きで、裁判所の公開の法廷でやり取りすることなく罰金を納付することで終了します。
正式裁判は、公開の法廷で事実の確認などを行ったうえで判断を下します。

略式手続と正式裁判のどちらで起訴されるかについては、超過した速度や前科の有無によって検察官が判断したうえで決めます。
一概には言えませんが、前科がない場合であれば、超過した速度が60km/h未満であれば略式手続に、それ以上であれば正式裁判になる場合が多いです。
なお、正式裁判になった場合は、その多くが懲役刑を求刑されます。
執行猶予中の方などの場合は実刑になり、執行猶予も取り消される可能性があるため注意が必要です。

奈良県生駒市にて、スピード違反をしてしまい、正式裁判になる可能性がある方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
※注意:弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件のみを取り扱っておりますので、行政処分(点数についての質問、免許停止・取消回避のための質問など)は受け付けておりません。

お子さんの公然わいせつ事件

2021-06-21

お子さんの公然わいせつ事件

20歳未満が起こした公然わいせつ事件を想定し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市学園南在住のAは、奈良県内の大学に通う18歳の大学生です。
Aは共通講義のレポートや部活などでストレスが溜まっていて、そのストレス発散を目的として、深夜に奈良市内学園南にある駅付近をうろつき、好みのタイプの通行人を見つけてその者に自分のズボンを下ろし、陰部を露出するという公然わいせつ事件を起こしてしまいました。
通報を受けて駆け付けた、奈良市学園南を管轄する奈良西警察署の警察官は、付近のパトロールをしていたところ目撃情報と一致するAに声掛けしたところ、Aが公然わいせつ行為を認めたため、緊急逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【公然わいせつ事件について】

自分の陰部を露出する行為は、迷惑防止条例違反や公然わいせつ罪に該当する行為です。
迷惑防止条例について、条文は以下のとおりです。
奈良県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例12条1項
 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
 同3号 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動
(罰条は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。)

条文に記載のとおり、公共の場所や乗物での事件であることを前提としています。
ちなみに、「卑猥な言動」というと言葉にして発したものを言うイメージを抱くかと思いますが、判例は、「社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう。」としているため(札幌高裁平成19年9月25日)、陰部を露出するような行為は卑猥な言動にあたると言えるでしょう。

次に、公然わいせつ罪について、条文は以下のとおりです。
刑法174条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然わいせつ罪の場合も条例違反同様に公然性が要件となっています。
ケースのAの行為は公然わいせつ罪にも条例違反にもあたる可能性があるため、いずれかの罪で刑事罰を科したり家庭裁判所に送致したりすることが可能です。

【少年事件について】

ケースのAは18歳の大学生を想定しています。
選挙権や民法改正により混同されがちですが、少年法は対象年齢を20歳未満としているので、20歳の誕生日を迎える前の方であれば、そのステイタス(高校生・大学生・社会人など)を問わず、少年事件として取り扱われます。

少年事件の場合でも、捜査段階では成人の刑事事件と同じく扱われるため、取調べや家宅捜索などが行われるほか、やむを得ない場合には被疑者を逮捕・勾留することができます。
検察官は、成人事件の場合は捜査が終了した時点で被疑者を起訴/不起訴の判断をすることになりますが、少年事件の場合は、家庭裁判所に送致しなければならないと定められています。

少年の送致を受けた裁判官は、家庭裁判所調査官に対して少年の調査を命じ、調査の結果審判が必要であると判断した場合には少年の審判を開きます。
少年の審判は、調査官の調査結果をもとに行われる非公開の審判廷ですので、関係者以外の傍聴は認められません。
成人の刑事事件で言い渡される刑事罰(死刑・懲役刑・禁錮刑・罰金刑・拘留・科料及び没収)ではなく、保護処分(少年院送致・保護観察処分・児童自立支援施設送致・各都道府県知事送致=児童相談所送致)や不処分が言い渡されます。

少年が罪を犯した場合、成人の刑事事件とは異なる手続きがとられるため、少年事件の経験が豊富な弁護士に弁護活動・付添人活動を依頼することをお勧めします。
奈良県奈良市学園南にて、お子さんが公然わいせつ罪などの事件を起こしてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

万引き事件で早期の身柄解放

2021-06-17

万引き事件で早期の身柄解放

小売店などで商品を盗むいわゆる万引き事件と、逮捕された場合の早期の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
奈良県奈良市大森町在住のAは、奈良市大森町内の会社に勤める会社員です。
Aは職場近くにある奈良市大森町のコンビニエンスストアに毎日のように通い、商品は購入するものの、それ以外に決まった菓子を1点、万引きしていました。
コンビニエンスストアのオーナーVは、棚卸しで菓子が盗まれていることに気付き、マークしていたところ、Aによる犯行であるとわかりました。
そして、前日までと同様に万引きに着手したAが店を出たところでAに声掛けすると同時に警察に通報しました。
通報を受けて駆け付けた、奈良市大森町を管轄する奈良警察署の警察官は、Aを窃盗罪で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【万引きについて】

万引きは、窃盗事件になります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する。

【万引きの立証は容易ではない?】

Aのように、万引きを常習的に行っているという事件は少なからず見られます。
一度被疑者を逮捕した場合、すべての万引き事件が立証できるのかというと、そうではありません。
万引きが行われる店は、不特定多数の客が出入りします。
そのため、たとえAが窃取した商品が毎日のように盗まれていたからといって、Aが犯人だと決めつけることができるわけではなく、Aが盗んだという確固たる証拠がなければ、逮捕・起訴することはできません。

【早期の身柄解放を求める弁護活動】

軽い気持ちで万引きをしてしまったという方もおられるようですが、上述のとおり窃盗事件になり、被疑者は逮捕・勾留されることも十分に考えられます。

逮捕は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足る相当な理由がある場合や現行犯人に対して行う場合などがあります。
その後、被疑者は72時間以内に勾留請求を行われるか、釈放をされることになります。
勾留に至るまでには、まず検察官が被疑者の弁解を聞いた上で身柄拘束をする必要があるのかどうかを検討します。
そして検察官は必要と判断した場合には裁判所に対して勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判所の勾留裁判官は、勾留質問を行った上で、勾留が必要か否かを判断します。

弁護士は弁護士の立場から、身柄拘束が必要ないとして釈放を求める弁護活動を行います。
そのタイミングは、事件の内容や依頼を受けたタイミング、身元引受人の有無などによって異なります。
まず、検察官送致前や勾留請求前のタイミングであれば、検察官に対して逃亡の恐れがないことや証拠隠滅の恐れがないことを主張し、勾留請求をしないよう求めます。
次に、勾留請求された後であれば、裁判官に対して上記の主張を行い、勾留をしないよう求めます。
その後、勾留が認められた場合には、準抗告という形で勾留の取消しを求めるという方法がありますが、一度裁判官が認めた勾留の判断を(別の裁判官が判断するとはいえ)覆すことは容易ではありません。
よって、釈放を求める弁護活動を行う場合、逮捕後出来るだけ早く行うことが望ましいと言えるでしょう。

【早期釈放を求める場合は弁護士へ】

刑事事件は、事件の内容や被疑者の供述・態度により身柄拘束するか否か、身柄拘束された場合に釈放されるまでの期間はどれくらいか等、異なります。
捜査段階での身柄拘束について言うと、逮捕から2~3日程度で勾留がつき、(延長を含めて)勾留請求から最大20日の身柄拘束が認められます。
子育てをしている方や仕事をしている方にとっては、20日以上の身柄拘束は大きな負担と言わざるを得ないでしょう。

奈良県奈良市大森町にて、ご家族が万引き事件で逮捕された場合、身柄解放活動の経験が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

あおり運転で刑事事件に

2021-06-14

あおり運転で刑事事件に

あおり運転をした場合に問題となる罪と、刑事事件行政処分の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県吉野郡大淀町在住のAは、吉野郡大淀町内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aが吉野郡大淀町内の一般道を車で走行していたところ、コンビニエンスストアの駐車場から突然バイクに乗ったVが車道に出てきたため、Aは急ブレーキを踏まざるを得なくなりました。
Vは不注意に気付いて謝罪のためAにクラクションを鳴らしましたが、Aは頭に血がのぼり、Vのバイクを執拗に追いかけた上でVが恐怖を感じるほどに車間距離を詰めるなどしました。
結果として、Vが事故に巻き込まれたり運転操作ミスで転倒したりといったことはありませんでしたが、Vは恐怖を感じ吉野郡大淀町を管轄する吉野警察署の警察官に被害届を提出しました。

吉野警察署の警察官は、捜査の結果Aを、あおり運転の罪で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【あおり運転について】

あおり運転という言葉を知らない方は少ないのではないでしょうか。
改めて説明すると、車両が他の車両の通行を妨害する行為を意味します。

最近では自家用車にもドライブレコーダーを搭載している場合が多く、加害者側・被害者側の車両や前後を走っていた車両などのドライブレコーダー映像がきっかけとなり得ます。
あおり運転も同様で、ドライブレコーダーの映像により事件の全貌が明らかになることがあるようです。

あおり運転は、その危険性から、令和2年6月10日に公布された改正道路交通法により、列挙され、厳罰化されました。
あおり運転にあたる行為は以下のとおりです。

・通行区分違反
・急ブレーキ禁止違反
・車間距離不保持
・進路変更禁止違反
・追い越し違反
・減光等義務違反(前方車両にハイビームなどを向ける行為)
・警報機使用制限違反(クラクションの多用)
・安全運転義務違反(幅寄せ等)
・最低速度違反(高速道路・渋滞などを除き、50km/h未満の速度で運転した場合)
・駐停車違反(高速道路・自車を停車させることで後続車両を停止させる等の行為)

以上の10項目のいずれかに違反した場合、
①交通の危険の恐れが認められる場合:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条の2の2第11号)
②高速道路での著しい危険の恐れが認められる場合:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法117条の2第6号)

と定められています。

【刑事事件と行政処分】

上記で示した内容は、刑事事件での刑事罰です。
刑事事件とは、刑法をはじめとした法律に違反する罪を犯した嫌疑のある者(被疑者)に対し、警察官・検察官などの捜査機関が捜査を行い、証拠を収集したうえで、担当検察官が起訴するか否かの判断を下します。
起訴された場合、被疑者は被告人という立場に変わり、刑事裁判を受けます。
裁判官は証拠や被告人の供述などを踏まえ、有罪か無罪か、有罪の場合には懲役刑・罰金刑などの刑事罰を併せて、判決として言い渡します。

あおり運転などの道路交通法などに違反する事件の場合、刑事罰とは別に、行政処分を受ける可能性があります。
行政処分とは、端的に言うと運転免許証の問題です。
ご案内のとおり、車やバイクなどの運転をする場合には各都道府県に設置されている公安委員会が交付する運転免許証を必要とします。
運転免許証は運転免許試験を受けて合格した者全員に公布されるものですが、その後の交通違反などにより加点され、一定以上の点数に達した場合には運転免許の停止処分・取消処分を受けることがあります。

加点される点数は違反の内容により異なりますが、あおり運転の場合、①については違反点数25点、②については違反点数35点になります。
仮に違反歴がなかったとしても、
25点加点された場合には運転免許取消、その後2年間は再取得不可(欠格期間)
35点加点された場合には運転免許取消、その後3年間は再取得不可(同)
となります。

刑事事件行政処分は別個の手続きで行われますので、行政処分を受けたら刑事事件にはならない、というわけではありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県吉野郡大淀町にて、あおり運転事件を起こして取調べを受けている方、ご家族があおり運転事件で逮捕されている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

※弊所では、行政処分についての対応はできません。刑事事件のみのご相談となります。

ただのケンカで弁護士が必要?

2021-06-11

ただのケンカで弁護士が必要?

いわゆるケンカが問題となる罪と、弁護士の必要性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県五條市在住のAは、五條市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは酒を飲んでいる席で客Vから絡まれてしまい、口論に発展しました。
はじめの2分ほどは口論が続きましたが、そのうちAはVの胸倉を掴んでしまい、それを端緒にケンカに発展してしまいました。
AとVとは、店長が通報をして臨場した五條市を管轄する五条警察署の警察官によって任意同行を求められました。
その際、Aは暴行罪という罪名で取調べを受けましたが、後日警察官から連絡が来て、「Vは診断書を出して傷害罪での被害届が出されました。」と説明を受けました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【ケンカで問題となる罪】

いわゆるケンカが刑事事件に発展する場合について検討していきます。

●口論に発展した場合
まず、口論について、例えば「ふざけるな」「お前が悪いんだろう」などと言う内容については、基本的に罪に当たりません。
但し、「謝れ」「土下座しろ」などと、相手に義務のないことをさせた場合には強要罪が成立します。
また、「お前は昔からバカなんだよな」などと侮辱的な発言の場合は侮辱罪の成立が、「お前はそんな性格だから前科があるんだ」などの具体的事実を告げた場合には名誉毀損罪の成立が、それぞれ検討されます。
侮辱罪と名誉毀損罪は、どちらも公然性が要件になっているので、他の客が少ない、あるいはいなかった場合には成立しません。

(強要罪)
刑法223条1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害者た者は、三年以下の懲役に処する。

(名誉毀損罪)
刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

(侮辱罪)
刑法231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

●暴力行為に発展した場合
次に、暴力行為に発展した場合について検討します。

相手に対して暴力を振るう行為は、暴行罪や傷害罪にあたります。
相手を平手打ちする、殴るといったわかりやすい暴力行為はもちろんのこと、ケースのAのように相手の胸倉を掴む行為自体、暴行罪にあたります。
暴行罪と傷害罪の違いは、相手が怪我をしているか否かです。
相手に対して暴力を振るう意思をもって暴行罪に当たる行為をした結果、相手が怪我をした場合、傷害罪が成立します。
但し、ケンカなどではなく偶然に、あるいは事故で、相手に接触した場合には、暴行罪や傷害罪は成立しません(過失により相手を怪我させた場合には過失傷害罪が成立する可能性はあります。)。

更に、加害者が被害者に対して殺意を抱いていた場合には、殺人未遂罪が成立します。
殺人未遂罪は、相手を殺害しようとして暴行を加えた結果、被害者が死に至らなかった場合に成立する罪です。
殺人未遂罪で起訴するためには加害者の被害者に対する殺意を立証する必要がありますが、これは本人の供述のほか、態様(予め武器などを用意していた、相手が倒れたり流血した後も執拗に殴打した等)などの客観的な事情をも考慮したうえで判断されます。

(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(殺人罪・未遂犯処罰規定)
刑法199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
刑法203条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

【ただのケンカと思わずに弁護士へ】

大小を問わず、些細な揉め事がケンカに発展したという話は少なからず聞いたことがあると思います。
当事者としては、ただのケンカだと楽観視している場合もあるようですが、ケンカの結果前科がつく・刑事罰が科せられることで、不利益が生じる方も少なくないでしょう。
単なるケンカだと楽観視せず、適切な対応・主張を行うため、まずは見通し等について弁護士に相談することをお勧めします。

奈良県五條市にて、些細な揉め事からケンカになり、暴行罪や傷害罪などの刑事事件に発展してしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

怨恨がなくてもリベンジポルノに?

2021-06-03

怨恨がなくてもリベンジポルノ防止法違反?

リベンジポルノ防止法に違反する行為と、その捜査過程で行われる家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和高田市在住のAは、大和高田市内の会社に勤める会社員です。
Aは知人Vと大和高田市内のホテルで肉体関係を持ちましたが、その際に性交中の状況をVの同意のもとで動画撮影していました。
しかし、その後AはVには内緒で、アダルトビデオ投稿サイトにその動画をアップロードし、ユーザーに有料でダウンロードさせていました。
自身の動画がアップロードされていることに気づいたVは、大和高田市を管轄する高田警察署の警察官に相談の上、リベンジポルノ防止法違反であるとして刑事告訴しました。
後日、高田警察署の警察官は、Aの自宅に行って家宅捜索を行いました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【リベンジポルノ防止法】

リベンジポルノ防止法は、正式名称を私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律と言います。
リベンジポルノという言葉自体は、交際していたものの破局したカップルなどが、交際中に撮影したわいせつな動画・画像を第三者が閲覧できるようにする行為を指します。

もっとも、リベンジポルノ防止法では、その目的や関係性などを一切要件としていません。
条文を見ると、法3条1項は「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
(指示性的画像記録とは、①性交・性交類似行為、②性器等を触ったり触られたりする行為、③全裸・半裸などで性的な部分が露出されたり強調されたりしているもの、を撮影したものです。)

よって、Aのようにリベンジポルノと言われる目的がない場合でも、Vが特定される可能性がある性交中の動画をアップロードした場合には、上記①にあたる恐れがあることから、リベンジポルノ防止法に違反する可能性があります。
また、リベンジポルノ防止法の要件の一つに「不特定又は多数の者に提供」というものがありますが、Aのように不特定の者に販売する行為のほか、SNSで公開する行為も対象となります。

なお、リベンジポルノ防止法は親告罪ですので、被害者からの告訴がなければ公訴を提起することが出来ません。(リベンジポルノ防止法3条4項)

【家宅捜索について】

捜査機関が被疑者を特定した場合、早々に家宅捜索を行うことが一般的です。
家宅捜索は、被疑者が事件を起こしたという証拠を収集することを目的としています。

たとえ捜査機関といえども、怪しい人の家にいきなり押し入って証拠を探すということはできません。
まずは書類を揃えて、裁判所に対して「捜索差押許可状」などの令状を請求し、その令状が発付されたときにはじめて家宅捜索を執り行うことができます。

家宅捜索では、事件当日防犯カメラに写っていた着衣や靴跡として残っていた靴、犯行に使われた工具や凶器、盗品など、事件によって異なります。
もっとも、最近ではスマートフォンをはじめとする情報機器に証拠が残っていることが少なくないことから、スマートフォンやパソコン、タブレット端末、Wi-Fiのルーターは押収される可能性が高いと言えます。

【家宅捜索が来たら弁護士に相談】

家宅捜索を経て、捜査機関は被疑者をすぐに逮捕する場合もありますが、押収した証拠品を検討・鑑定したうえで逮捕するという場合もあります。
また、証拠が揃っていて逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合には、逮捕はせずに在宅で捜査を進めることもあります。
とはいえ、家宅捜索を受けるということは被疑者とされていることを意味するため、家宅捜索を受けたらすぐに弁護士に相談することが望ましいといえるでしょう。

奈良県大和高田市にて、怨恨はなかったもののリベンジポルノ防止法にあたる行為をしてしまい、家宅捜索を受けたという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談ができます。

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