Archive for the ‘刑事事件’ Category

手術代が必要だとうそをつき、200万円をだまし取った事例

2023-11-28

犯罪行為でお金を得る男性

事例

Aさんは交際中のVさんとのデート中に、「健康診断で癌が見つかり、手術が必要だが手術費用が払えないため手術を受けられなくて悩んでいる」とVさんに吐露しました。
それを聞いたVさんはAさんの力になりたいと思い、現金200万円をAさんに渡しました。
その後、Vさんは、手術を受けるために病院に入院するというAさんからの連絡を最後に、Aさんとは連絡が取れなくなってしまいました。
Aさんの容体が気になっていたVさんは、何とかAさんの友人に連絡を取ることができ、Aさんの手術や経過についてその友人に尋ねました。
すると、Vさんはその友人から「Aさんが病気になったなんて話は聞いていないし、Aさんとは毎週のように会うけど、手術や入院なんて絶対にしてないし癌になったなんて嘘じゃないの?」と言われました。
なんと、癌になり手術費用が必要だというのは真っ赤な嘘で、VさんはAさんに騙されていたのです。
Vさんは最寄りの警察署である、奈良県長浜警察署被害届を出し、Aさんは詐欺罪の容疑で奈良県長浜警察署の警察官に逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。)

詐欺罪とは

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させると成立します。
もう少し簡単に説明すると、人にうそをついて、うそを信じた相手にお金などの財物を渡させると詐欺罪が成立します。
また、財物を交付させるうえで重要ではない要素についてのうそや、相手がうそだと知っている状態で財物を交付した場合には、詐欺罪は成立しません。
ですので、詐欺罪が成立するためには、①相手に対して重大な嘘をつくこと、②その嘘を信じた相手に財物を交付させることの2点が必要です。

加えて、詐欺罪で有罪になると10年以下の懲役が科される可能性があります。(刑法第246条第1項)

今回の事例では、AさんがVさんに手術が必要だとうそをついて、200万円をVさんから受け取っています。
Vさんは手術をするのにお金が必要だと言われなければ200万円を渡さなかったでしょうから、Aさんのうそは財物を交付するうえで、重大なうそだといえるでしょう。
重大なうそをついて財物を交付させているといえますので、今回の事例では、詐欺罪が成立する可能性が高そうです。

では、Aさんが騙すつもりはなかったと詐欺罪の容疑を否認している場合にはどうでしょうか。

詐欺罪逮捕されたAさんは警察官からの取調べに対して、「手術が必要だとうそをついたのは本当だが、お金をほしいとは言っていない。お金を要求したわけではないのだから、詐欺罪にはあたらない。」と供述しています。
この場合、詐欺罪にはあたらないのでしょうか。

実際に事例をみてみると、AさんはVさんにお金がないから手術を受けられないと相談をしていますが、一言もお金が欲しいというような金銭の要求をしていません。
ですが、実際には手術の必要はない状態でお金が必要だとうそをつく行為は、そうすることでお金を得られると思ったからうそをついたのではないかと判断されても不思議ではありませんし、お金を得る目的でうそをついたのでなければ、200万円を渡されたときに受け取らないのが自然でしょう。
詐欺罪が成立するためには、財物を交付させる目的でうそをつく必要があります。
たとえ、自分から直接的にお金がほしいと言わなくても、お金を必要としていると思わせるようなうそをつくことで、うそによってお金を騙し取ろうとしていると判断できるような場合には詐欺罪が成立する可能性があります。

示談交渉の重要性

詐欺罪などの刑事事件では、示談交渉が非常に重要な役割を果たすことが多いです。
被害者との間で示談を締結することで、不起訴処分執行猶予付き判決を獲得できたり、科される量刑を少しでも減らすことができる可能性があります。

しかし、被害者の処罰感情が強い場合などには、加害者が直接示談交渉をすることはお勧めできません。
加害者が被害者に直接連絡を取ることで被害者をより怒らせてしまったり、そもそも連絡すら取れない場合も少なくありません。
ですので、示談交渉を行う際には、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

また、当事者間で示談を締結する場合には、自分たちで示談書を作成することになります。
示談書の書式など、示談書にどういった内容を書けばいい のかわからない方がほとんどだと思います。
弁護士を入れて示談を締結する場合には、弁護士が代理人となって示談書を作成します。
そういった面でも、示談を行う場合には、弁護士を介して行うことが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
詐欺罪示談締結でお困りの方は、詐欺事件などの刑事事件に精通した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡ください。

ある朝、家族の突然の逮捕。どう対応したらいい?釈放に向けた弁護活動をご紹介します!

2023-11-21

逮捕される男性

刑事事件では、「ある朝突然、家に警察官がやってきて息子が逮捕された」なんてことも珍しくありません。
今回のコラムでは、逮捕された場合の事件の進み方や弁護活動についてご紹介します。

逮捕されたら

刑事事件では逮捕されると、72時間以内勾留の判断が行われます。
検察官が勾留請求を行わなかったり、裁判官が勾留請求を却下した場合には釈放され、家に帰ることができます。
一方で、勾留が決定してしまった場合には、さらに最長で20日間、身体拘束を受けることになります。

勾留が決まるまでの間や勾留の決定後は、当然、会社や学校には行けませんので、長期間にわたって会社や学校を休むことで、会社や学校に逮捕を知られてしまうおそれがあります。
逮捕を知られてしまうと、事件を起こしたことも知られてしまいますので、退学処分解雇処分につながるおそれがあります。

そういった事態を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。

上記のような事態を避けるためには弁護士に相談をすることが重要になります。
弁護士が身柄開放活動を行うことで、釈放を認められる場合があるからです。

釈放に向けて勾留前にできること

そもそもなぜ、事件を起こすと逮捕されたり、勾留されたりするのでしょうか。

逃亡証拠隠滅のおそれがあるからです。
実際に、検察官が勾留請求を判断する際や、裁判官が勾留の是非について判断する際には、逃亡の危険性があるか、証拠隠滅の可能性はあるかを考慮して判断します。

容疑者が逃亡したり、証拠隠滅をする可能性が高いと勾留が付いてしまう可能性が非常に高くなります。
例えば、殺人罪などの重い刑罰が予想される犯罪では刑罰から逃れるために逃亡するのではないかと判断されやすいですし、ひき逃げなどの場合には犯罪の性質上、一度逃げ出しているわけですから、逃亡の可能性が高いと判断されるおそれがあります。

また、証拠隠滅と聞くと、凶器や手袋などの物的証拠を隠したり破棄するイメージを持たれる方も多いと思います。
実は、容疑者や被害者、目撃者などの供述も証拠となります。
ですので、不利な供述をしないように迫る行為や、有利になるように供述内容を変更するように働きかける行為も証拠隠滅にあたります。
共犯者がいるような事件では、口裏を合わせる可能性があるとして証拠隠滅の観点から勾留が決定してしまうおそれがありますし、容疑者と被害者が知り合いであったり同じ家に住んでいる場合には被害者との接触が容易であるとして、勾留が付きやすいです。

上記のように、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いと勾留されてしまうため、釈放を求めるうえでいかに逃亡証拠隠滅のおそれがないことを訴えるかが非常に重要になってきます。

弁護士は勾留が決定する前であれば、検察官や裁判官に勾留に対する意見書を提出することができます。
この意見書では、容疑者の家族が身元引受人になり容疑者を常に監視監督できることや、家族の監督により事件現場には絶対に近寄らせないこと、被害者や共犯者と接触させないことなど、逃亡証拠隠滅を行えない環境を整えていることを訴えます。
また、出勤や出席できないことで、会社や学校に事件のことが知られる可能性が高くこのままでは解雇退学のおそれがあることを書面にすることで、早期に釈放をしなければならない事情を訴えます。
意見書を提出することで、弁護士の訴えが認められ、勾留されずに釈放を認めてもらえるかもしれません。

この意見書は勾留が判断される前までにしか提出できないため、期限は最長で逮捕後72時間しかありません。
この72時間の間に、有利になる材料を集め、書面を作成しなければなりませんので、勾留前に釈放を目指すのであれば、できる限り早く弁護士に相談をする必要があります。

勾留決定後の釈放

では、勾留が決定してしまうと釈放は認められないのでしょうか。

結論から言うと、勾留決定後であっても釈放は認められます。

弁護士に相談をした時にはすでに勾留が決定してしまっていたり、弁護士が意見書を提出したものの釈放を認められず勾留が決定してしまった場合があると思います。
勾留が決定してしまった場合には、弁護士は裁判所に対して勾留決定に対する準抗告の申し立てを行えます。

この準抗告の申し立てについても重要となるのは、逃亡証拠隠滅のおそれがないかどうかです。
弁護士が裁判所に対して準抗告の申し立てを行うことで、勾留満期を待たず釈放してもらえる可能性があります。
この準抗告の申し立ては、勾留決定後、勾留の満期が訪れるまでの間であればいつでも申し立てを行えます。
ですので、勾留が決定した当日に申し立てを行い、弁護士の主張が認められれば、即日釈放してもらえる可能性もあります。

一度、勾留が決定しているのだから釈放は認められないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
勾留決定に対する準抗告の申し立てを行った場合、勾留を判断した裁判官とは別の裁判官が再度勾留について、判断することになります。
判断をする裁判官が変わりますので、弁護士の主張が認められずに勾留が決定してしまった場合であっても、勾留後に釈放を認めてもらえる可能性は十分にあります。

逮捕されたら弁護士に相談を

以上のように、逮捕された場合には、弁護士による身柄開放活動釈放が認められる可能性があります。
勾留前に釈放を目指す場合には、遅くとも逮捕後72時間までには、勾留に対する意見書を提出する必要があります。
また、この意見書を提出しない場合、釈放を求める機会が2回失われてしまうことになります。
貴重な機会を失わないためにも、暴力事件交通事件などで大切なご家族様が逮捕された場合には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では、初回接見サービスのご予約を24時間365日受け付けております。

子供へのしつけのつもりが暴行罪で逮捕⁈暴行で相手がけがをしてなくても逮捕されるの?

2023-11-14
家庭内暴力

暴行罪は、身体的な攻撃を伴う犯罪行為であり、日常生活の中で意外と身近な犯罪です。
今回のコラムでは虐待などの家庭内暴力の事例を交え、暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

暴行罪の定義と基本要件

暴行罪は、刑法第208条で「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されています。
暴行とは、有形力の行使をいいます。
例えば、殴る、蹴るなどの身体的な接触を伴う行為を指し、精神的な攻撃や脅迫は含まれません。

しかし、身体的な接触があればかならずしも暴行罪が成立するわけではありません。
暴行罪が成立するためには、暴行の故意が必要になります。
故意とは、相手に対して意図的にすることを意味します。
ですので、道を歩いているときに意図せず肩がぶつかってしまった場合には暴行罪は成立しませんし、故意に肩にぶつかった場合には暴行罪が成立する可能性があります。

肩をぶつける行為や腕をつかむ行為などの軽微な接触であっても、故意によるものであれば暴行罪が成立する可能性があります。
この点において、暴行罪は日常生活の中で起こり得る多くの状況に適用される可能性があるため、どのような行為で暴行罪が成立するのかを知っていることが重要になります。

家庭内暴力と暴行罪の関係

家庭内暴力は、家庭の中で起こる身体的な暴力行為や精神的な攻撃を指します。
このような暴力が暴行罪に該当するかどうかは、行為の内容とその程度によります。
家庭内での身体的な攻撃は、暴行罪における「暴行」と見なされることが多く、特に故意によるものであれば、刑法上の暴行罪として扱われる可能性が高いです。

しかし、精神的な攻撃や言葉の暴力は、直接的な身体的接触が伴わないため、暴行罪は成立しませんが、それらの行為により何らかの傷害が発生した場合には傷害罪が成立する可能性があります。
家庭内暴力であっても、暴行罪は成立しますので、注意が必要です。

子供へのしつけで顔を平手打ちした事例

奈良県生駒市に住むAさんは、中学生の娘Vさんの学校の成績で思い悩んでいました。
注意をしても勉強せず遊んでばかりいるVさんに業を煮やし、AさんはVさんの顔を平手打ちしました。
平手打ちをされたことで、以降Vさんは自主的に勉強をするようになりました。
平手打ちをすれば言うことを聞くようになると思ったAさんは、その後もしつけと称してVさんの顔を平手打ちするようになりました。
ある日、Vさんが学校の先生にAさんから平手打ちされていることを相談し、Aさんは奈良県生駒警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

Aさんにとってはしつけであっても、平手打ちは暴行にあたりますので、Aさんが娘のVさんに平手打ちをする行為は暴行罪が成立する可能性が高いです。
また、平手打ち程度の暴行では事例のように逮捕されることはないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の事例のように、虐待家庭内暴力の場合、加害者が被害者と接触することが容易であることから、逮捕、勾留される可能性が非常に高いです。

暴行罪と傷害罪

暴行罪暴行を加えた結果、傷害に至らなかった場合に成立する犯罪です。
ですので、暴行を加え、相手にけがをさせた場合には、暴行罪よりも重い、傷害罪が成立することになります。
擦り傷であってもけがにあたりますので、殴って相手の頬を少し切ってしまった場合には、暴行罪ではなく傷害罪が成立することになります。

暴行罪の法定刑は二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料でしたが、傷害罪の法定刑は十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金であり、暴行罪に比べて傷害罪の方がはるかに重い刑罰が科されることになります。

逮捕と勾留

先ほど、虐待家庭内暴力では逮捕される可能性が高いと書きましたが、一度逮捕されると事件が終了するまで出られないのでしょうか。
逮捕された場合には、有罪、無罪が決定するまで身体拘束が続くと思っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、有罪、無罪が決まる前であっても、身体拘束が解かれる場合があります。

刑事事件では、逮捕されると、逮捕後72時間以内勾留の判断がなされます。
この際に、検察官と裁判官が勾留が必要だと考えれば、勾留されることになります。
弁護士はこの勾留が決定されるまでであれば、検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
意見書を提出することで、勾留されずに釈放を認めてもらえるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行事件に強い法律事務所です。
暴行事件傷害事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

無断で傘を借りた場合に罪は成立するの? 窃盗罪と使用窃盗

2023-10-31

無断で傘を借りた場合に罪は成立するのかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

郵便物を投函しようと奈良県大和高田市にあるポストに向かっていたAさんは、ポストに向かう途中に通り雨に降られてしまいました。
通り雨といえど雨脚は強くすぐに止みそうにはありませんし、ポストまではまだ5分ほど歩かなければなりません。
ふと周りを見渡したAさんは、店先に傘が傘立てに置かれていることに気づきました。
悪いことだとは思いつつもAさんは傘を拝借し、10分後、傘を元にあった場所に戻しました。
この場合、Aさんは何か罪に問われるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

窃盗罪と使用窃盗

成立する可能性がある罪として、窃盗罪が挙げられます。

窃盗罪は刑法第235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

今回の事例では窃盗罪が成立するのでしょうか。

窃盗罪は財物を占有者の意思に反して、自分や第三者に占有を移転させると成立します。
もう少しわかりやすく説明すると、持ち主の意思に反して、持ち主が占有している物を自分や他の人へと占有を移すと窃盗罪が成立します。

占有とは何でしょう。

占有とは、財物の事実的な支配や管理を指します。
誰から見ても誰かの持ち物だとわかる状態であり、持ち主が自分のものだと認識している物には占有があるとみなされます。
店の傘立てに置かれていた傘はおそらく店の店主や従業員、お客さんの持ち物でしょう。
このように、誰から見ても持ち主がいることがわかる状態であり、持ち主が自分のものだと思っている物には占有があるとみなされます。

Aさんが傘を無断で借りてから返すまでの間の10分間は、Aさんが傘を使用していたわけですから、この10分間についてはAさんに占有が移っていたといえます。
そして、Aさんが傘を元の場所に戻した際に、傘の占有がAさんから元の持ち主の下に戻ったことになります。
一時的でも占有が移転したのであれば窃盗罪が成立しそうですが、窃盗罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、今回の事例では窃盗罪が成立しない可能性が高いといえます。
今回の事例では、Aさんは傘を拝借してから10分後に元の場所に戻しています。
傘の占有がAさんに移動したとはいえ、10分後には元の持ち主に占有が戻ったことになります。

占有
の移転が一時的である場合には、被害者の損害が軽微であるとして、窃盗罪ではなく使用窃盗にあたるとして不可罰としています。
例えば、封筒を開けるのに他人のカッターを使用して、すぐに元の場所に戻した場合、カッターの持ち主にはほとんど損害が発生しないでしょう。
このように損害が発生しないような場合や発生したとしても軽微である場合には、窃盗罪は成立せず、使用窃盗として扱われます。
使用窃盗不可罰ですので、懲役刑や罰金刑などの刑罰は科されません。

今回の事例でも、Aさんの下に傘の占有が移動していた時間は10分と短く、傘の所有者が被る損害はごくわずかでしょう。
ですので、今回の事例では窃盗罪ではなく使用窃盗にあたりそうです。

窃盗罪が疑わしい場合は弁護士に相談を

窃盗罪使用窃盗の境界線は明確に規定されているわけではなく、曖昧です。
ですので、物の使用時間や拝借を繰り返した回数によっては、使用窃盗にはあたらずに窃盗罪が成立してしまうおそれがあります。

逆に言えば、窃盗罪で捜査を受けていても、場合によっては使用窃盗にあたる可能性もあります。
弁護士が主張することで、使用窃盗だと判断してもらえる可能性がありますので、窃盗罪で捜査を受けている方は一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

窃盗罪は有罪になると懲役刑が科される可能性のある罪です。
窃盗罪示談を締結することで不起訴処分を見込める場合があります
弁護士に相談をすることで示談を締結できる可能性がありますから、窃盗罪でお困りの方は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
窃盗罪でお困りの方は、ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡くださいませ。

腕時計の文字盤を塗りつぶしたら罪に問われるの?

2023-10-24

時計の文字盤を塗りつぶした際に問われる可能性がある罪として、器物損壊罪が挙げられます。
では、器物損壊罪とはどのような罪なのでしょうか。
今回のコラムでは、器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

器物損壊罪とは?

器物損壊罪は、刑法第261条に基づく犯罪です。
簡単に言うと、他人の物を損壊した場合に器物損壊罪に問われます。

では、「損壊」とはどういった行為を指すのでしょうか?
「損壊」とは、物そのものの形を変更させたり滅失させる行為や、その物自体の効用を害する行為を指します。
例えば、食器を割る行為や、車のタイヤをパンクさせる行為も、この「損壊」に該当します。

親告罪とは?

器物損壊罪親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ起訴することができない犯罪を指します。
この特性により、被害者が告訴しない限り、起訴され刑罰を科されることはありません。

告訴が必要な理由

親告罪の存在理由は、被害者の意志に一定の尊重を与えるためです。
例えば、名誉毀損罪や侮辱罪なども親告罪に該当します。
被害者が示談を望む場合や、告訴を取り下げたい場合には、その意志が尊重されます。

時計の文字盤を塗りつぶしたら?

事例
奈良県大和郡山市に住むAさんは、上司のVさんに嫌がらせをする目的でVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしました。
Aさんが油性ペンで塗りつぶしたことを知ったVさんは、奈良県郡山警察署に被害届を出しました。
その後、Aさんは奈良県郡山警察署の刑事から話を聞かれることになりました。
(この事例はフィクションです。)

事例のAさんに罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、器物損壊罪が成立する可能性があります。

AさんはVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしています。
油性ペンのインクはなかなか落ちないでしょうし、時計の文字盤を塗りつぶされてしまうと、時間を見ることはできなくなります。
腕時計の効用は時間を把握することでしょうから、時間を見れないとなると時計としての効用を失ってしまったと考えられます。
「損壊」というと、床にたたきつけて壊したりなどを思い浮かべますが、物の効用を失わせる行為も含まれます。
ですので、事例のAさんが腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶした行為は、「損壊」にあたるおそれがあり、器物損壊罪が成立する可能性があります。

「損壊」の範囲

先ほどの事例からわかるように、「損壊」の定義は非常に広く、物の形状を変えるだけでなく、その効用を害する行為も含まれます。
このような広い定義により、多くの行為が器物損壊罪に該当する可能性があります。
行為が「損壊」にあたるかどうかは、事例によって異なりますので、器物損壊罪の容疑をかけられた場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

親告罪の刑事弁護活動

親告罪においては、被害者との示談がとても重要となります。
親告罪告訴がなければ起訴できないため、被害者との示談によって告訴を回避または取り下げてもらうことができれば刑事罰が科せられることはありません。

示談交渉は基本的に被害者本人とすることになります。
ですので、今回の事例では、Vさん相手に示談交渉を行うことになります。
AさんがVさんに示談を締結して告訴を取り下げてほしいと頼んだ場合、VさんはAさんの要望に応えるでしょうか。
おそらく示談を締結してもらえないでしょうし、告訴も取り下げてもらえないでしょう。
それどころか、余計にVさんを怒らせてしまうかもしれません。

そういった事態を避けるためにも、示談交渉を行う際には弁護士を入れることをお勧めします。
弁護士を入れることで話がこじれることを防げる場合がありますし、示談を締結できる可能性があります。

器物損壊罪でお困りの方は、刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120ー631ー88124時間365日受け付けております。

【事例紹介】家に押しかけ、ストーカー規制法違反で逮捕

2023-10-17

被害者の家族に対する恋愛感情などにより、被害者の家に押しかけたとして、ストーカー規制法違反逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

被害者の家族に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、10月6日夜から同月7日朝方までの間に、被害者の住居に押しかけ、つきまとい等を反復して行い、ストーカー行為をしたとして、10月8日、男(45歳)をストーカー行為等の規制等に関する法律違反で通常逮捕しました。
(10月12日 奈良県警察発表

ストーカー規制法

ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます。)第2条1項では、恋愛感情などによる好意の感情やそれが満たされないことへの怨恨により以下の行為をすることを「つきまとい等」と規定しています。

①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法では、住居等の平穏や行動の自由などが害される不安を覚えさせるような、つきまとい等を同一の者に反復して行うことをストーカー行為としています。(ストーカー規制法第2条4項)

ストーカー行為をしてストーカー規制法違反で有罪になった場合は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されます。(ストーカー規制法第18条)
また、禁止命令に違反して、ストーカー行為つきまとい等をすることでストーカー規制法違反で有罪になった場合には、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処されます。(ストーカー規制法第19条1項、2項)

今回の事例では、被害者の家族に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、被害者の住居に押しかけ、つきまとい等を反復してストーカー行為をしたとされています。
恋愛感情などの好意の感情やそれによる怨恨で住居に押しかける行為は、つきまとい等に該当します。
反復してつきまとい等を行うことはストーカー行為に当てはまりますので、実際にストーカー規制法の対象となる好意やそれに対する怨恨などの感情で反復して住居に押しかけていたのであれば、ストーカー規制法違反が成立する可能性があります。

ストーカー規制法違反と釈放

ストーカー規制法違反事件では、容疑者が被害者に接触する危険性があることから釈放が認められづらい可能性があります。
また、今回の事例では住居に押しかけているわけですから、住居を知っていることから、被害者に接触するおそれが高いと判断される可能性が高く、釈放が認められづらくなるおそれが非常に高くなります。

弁護士が検察官や裁判官に釈放を求めることで、釈放を実現できる可能性があります。
ストーカー規制法違反事件では、生活圏や通勤経路が同じ場合が多いです。
ですので、事件が終息するまでの間は被害者に会わないように生活圏や通勤経路を変えることや、容疑者が被害者と接触したり逃亡しないように監視監督できる身元引受人がいることを弁護士がアピールすることで、釈放を認めてもらえる場合があります。

勾留逮捕後72時間以内に決定されますので、勾留前に釈放を目指す場合には、逮捕後72時間以内に書面等の提出を終えなければなりません。
書面等を準備する時間が必要になりますので、勾留される前に釈放を目指す場合は、逮捕後、早い段階で弁護士が釈放に向けた活動を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、土日祝日即日対応可能な法律事務所です。
弁護士が釈放に向けた弁護活動を行うことで、早期釈放が実現できるかもしれません。
先ほど勾留前に釈放を目指す場合は逮捕後72時間以内に書面の提出が必要だと書きましたが、勾留が決定した後であっても釈放を求めることは可能です。
ただ、勾留が決定してしまった後だと、釈放を求める機会を2回失ってしまうことになります。
ですので、釈放を目指す場合には、できる限り早く、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】しつけを理由に幼い子供を窒息死させたケース①

2023-10-03

3歳の長男を布団で巻いて死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)3歳の長男を布団で巻いて死なせたとして、傷害致死の疑いで、(中略)容疑者(27)を逮捕した。「泣きやまず、しつけのためだった」と容疑を認めている。
(中略)司法解剖の結果、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いとみられる。目立った外傷はなく、栄養状態にも異常は見られなかった。(中略)
捜査関係者によると、容疑者は「以前にも布団で巻いた」とも話していたという。(後略)
(9月28日 京都新聞 「3歳長男死なせた疑い、千葉」より引用)

傷害致死罪とは

刑法205条によると、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有機懲役に処する」として傷害致死罪を規定しています。

傷害致死罪は、①人の身体を傷害して傷害罪が成立した上で、②傷害よりも重い死亡という結果が生じた場合に、傷害罪よりも重く処罰する法律です。
① については、刑法205条「身体を傷害し」の文言が、②については同条「よって死亡させた」の文言が対応します。

今回のケースでは、容疑者は、しつけにかこつけて、幼い子供を布団で巻いて窒息させたとされていますが、傷害致死罪は成立するのでしょうか?

傷害致死罪が成立するためには、傷害罪の成立が必要になります。
そもそも傷害罪とはどういった犯罪なのでしょうか?

傷害罪(刑法204条)は、「人の身体を傷害」した場合に成立します。
傷害とは、人の生理機能を害することであるとされています(最判27年6月6日刑集6・6・745)
具体的には、殴られたことによる出血などのような外傷のほか、失神、慢性的な頭痛などを生じさせた場合に生理機能を害したとされます。
つまり、殴ったことでけがをさせた場合には傷害罪が成立しますし、頭を強く殴って失神させた場合や、騒音により慢性的な頭痛を引き起こさせた場合にも傷害罪が成立する可能性があります。

本ケースでは、長男を布団で巻いて死亡させたと報道されています。
司法解剖の結果によると、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いそうです。
容疑者が実際に長男を布団で巻いていて、かつ、窒息の原因が容疑者の行為によるものなのであれば、布団で巻くことで長男を窒息させたと言えますから、生理機能を害したとして、傷害罪が成立するでしょう。
加えて、上記行為が原因となって、死亡という結果が生じたのであれば、傷害致死罪が成立すると考えられますので、今回の事例の報道が事実であれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。

逮捕されると、72時間の間に、勾留の判断が行われます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間身体拘束を受けることになります。
傷害致死事件などの人が亡くなっている事件では、量刑が重くなることが予想されますので、逃亡のおそれがあると判断されやすく、釈放が認められづらい傾向にあります。

ですが、傷害致死事件を起こした場合には必ずしも釈放が認められないというわけではありません。
弁護士が勾留の判断が行われるまでの間に、検察官や裁判官に意見書を提出することで、釈放を認められる可能性があります。
この意見書逮捕後72時間以内に提出をする必要があります。
釈放に向けた弁護活動は時間との勝負になりますので、ご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪の容疑をかけられた際の弁護活動について、ご紹介します。

 

詐欺罪と弁護活動:架空請求の事例で理解する7つのポイント

2023-09-26

詐欺罪は、日常生活からビジネスまで多くのシーンで起こり得る犯罪です。
この記事では、詐欺罪の定義から、弁護活動に至るまでを具体的な事例を交えて解説します。

1. 詐欺罪の基本的な定義

詐欺罪とは、他人を欺き財物を交付させることを指します。
具体的には、日本の刑法246条1項により定義されています。

2. 詐欺罪の基本的な成立要件

詐欺罪の成立要件には主に三つの要素があります。
第一に、欺罔行為(虚偽の事実を告げるなど)を用いることが必要です。
第二に、相手が錯誤に陥ること。
第三に、相手方から財物が交付されること。
以上の三つの要素が揃った場合に、詐欺罪が成立します。

刑法246条1項では、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と規定されています。

以上が詐欺罪の基本的な成立要件になります。
次の項目では、欺罔行為の手法について具体的に解説していきます。

3. 欺罔の手法とは

詐欺罪の成立要件の一つである欺罔行為にはさまざまな形があります。
そもそも欺罔行為とは、相手にうそをつき欺く行為を指します。
具体的には、虚偽の事実を告げる、誇大な宣伝を行う、または情報を隠蔽するなどが該当します。
詐欺罪で重要なのは、欺罔行為が被害者を錯誤に陥らせるだけでなく、その錯誤を利用して財産の交付を引き起こさなければならない点です。
ですので、欺罔行為は人に対して行う必要があり、財物の交付を引き起こすようなものでなくてはなりません。

欺罔行為は基本的には言葉による操作が多いですが、行動や状況を利用する場合もあります。
例えば、壊れた商品を新品として売りつける行為も欺罔行為の一つです。
こうした欺罔行為が被害者の判断を誤らせ(錯誤に陥らせ)、財産を交付させる状況が生まれると、詐欺罪の成立要件が揃うことになります。

以上が欺罔行為の手法についての解説です。
次の項目では、被害者が財産を交付する過程について詳しく説明します。

4. 被害者による財産の交付

詐欺罪の成立要件の一つとして、被害者を欺罔行為によって錯誤に陥らせ、財産を交付させることが必要です。
財産の交付とは、被害者が財産を詐欺犯に譲渡する行為を指します。
この財産は、現金だけでなく、物品や不動産、サービスなども含まれます。

重要なのは、被害者が欺罔行為に基づいて自ら行動を起こす点です。
例えば、被害者が欺罔行為によって騙されて自分から振り込みを行った場合、この要件は成立します。
しかし、財産が盗まれた場合や、被害者が何もしなかった場合は、この要件は成立しません。

財産の交付の成立要件には、被害者が自らその行動を選択している必要があります。
つまり、被害者が欺罔行為により錯誤に陥り、その結果として財産を譲渡(交付)する選択をした場合に限り、詐欺罪の成立要件が揃います。

この財産の交付の要件は、詐欺罪が成立するための非常に重要な要素です。
詐欺事件が発生した際には、この財産の交付が明確に行われたかどうかが、事件解決においてキーとなります。

以上が被害者の財産の交付についての解説です。

5. 特殊詐欺の一例: 架空請求

特殊詐欺の中でも、特に知られている事例の一つが架空請求です。
この手法は、被害者に対して実際には発生していない料金や費用の支払いを求めるものです。
これも基本的な詐欺罪の成立要件、すなわち欺罔行為錯誤、財産の交付が全て揃う場合に適用されます。

架空請求の多くは、インターネット上でのポップの表示、メールや電話、書面によって行われます。
例として、インターネット上の有料サービスに登録したと偽り、料金の支払いを求めるケースがあります。
被害者がこのような偽の請求に応じて支払いを行うと、詐欺罪が成立します。

もう少し詳しく見ていきましょう。
実際には支払う必要のない料金の支払いを求めていることから、加害者がうそをついていることになります。
人に対して、財物を交付するうえで重要なうそをついていることから、詐欺罪で規定する欺罔行為にあたると考えられます。
この加害者の欺罔行為により、被害者が支払う必要があると信じ(錯誤に陥り)、料金を加害者に支払えば、財物が交付されたことになりますので、詐欺罪が成立することになります。

以上が特殊詐欺の一例、架空請求についての解説です。
次の項目では、詐欺罪に対する刑罰について詳しく説明します。

6. 詐欺罪に対する刑罰

詐欺罪が成立した場合、その後に待ち受ける刑罰について解説します。
詐欺罪で有罪になると、10年以下の懲役が科されます。
特に大規模な詐欺事件や組織的な詐欺事件が確認された場合、より重い刑罰が科される可能性があります。

詐欺罪で有罪になると、前科が付くことになり、その後の社会生活に多大な影響を与える可能性があります。
例えば、就職活動や資格取得に障害が出ることも考えられます。
そのため、詐欺罪で有罪になると、単に刑罰を受けるだけでなく、その後の人生にも影響を及ぼす重大な問題となります。

7. 詐欺罪で捜査を受けた場合の初動対応

詐欺罪の疑いで捜査を受けた場合、その初動対応が非常に重要になってきます。
以下では、その具体的内容を解説します。

・すぐに弁護士に相談する
詐欺罪で捜査を受けた際にまずやるべきことは、専門家である弁護士に即座に相談することです。
弁護士は、事件の全体像を把握し、最適な対応策を提案してくれます。
事件によって必要となる弁護活動処分の見通しは異なってきます。
不起訴処分執行猶予付き判決の獲得など、より良い結果を得るためにも、早期に弁護士に相談をすることをおすすめします。

・自白や供述を避ける
取調べでは、警察官などの都合の良いように供述が誘導される可能性が高いです。
また、否認事件の場合は、自白を強要されることもあります。
取調べで供述した内容を基に、後の裁判で証拠として使用される供述調書が作成されます。
一度でもあなたの不利になるような供述調書を作成されてしまうと、内容を覆すことは難しく、裁判で不利な状況に陥ってしまう可能性があります。
ですので、どういった内容を供述すればいいのかわからない場合や取調べが不安な場合には、警察に任意で事情を説明することは避け、弁護士が到着するまで黙秘することが望ましいでしょう。

無料法律相談のご利用を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
詐欺事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
ご家族が逮捕された方に向けて、初回接見サービスも行っておりますので、詐欺罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】腹膜炎で死亡させた事例②~傷害致死と釈放~

2023-09-19

前回のコラムに引き続き、お腹を圧迫して腹膜炎で死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

交際相手の子どもに暴行を加えて死なせたとして、奈良県警は(中略)容疑者(中略)を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。調べに対し「全く身に覚えはありません」と話しているという。
捜査1課によると、(中略)容疑者は(中略)奈良県橿原市曽我町の(中略)さん(当時4)に腹を圧迫する暴行を加え、19日に死亡させた疑いがある。死因は十二指腸に穴が開き、腹膜炎が生じたというものだった。
(後略)
(9月6日 朝日新聞デジタル 「4歳児の腹を圧迫し死なせた疑い 母親の交際相手を逮捕 奈良・橿原」より引用)

傷害致死罪と釈放

刑事事件では、逮捕されたとしても釈放が認められれば家に帰ることができます。
ではどういった場合に釈放が認められるのでしょうか。

刑事訴訟法第60条1項では、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で次の3つのうち1つでも当てはまれば、勾留することができると規定しています。
①被告人が定まった住居を有しないとき。
②被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

逆に言えば、上記の①~③に当てはまらない場合には、釈放が認められることになります。

今回の事例では、容疑者が交際相手の娘に暴行を加えて死なせたとして傷害致死罪の容疑で逮捕されています。
被害者は容疑者の交際相手の娘ですので、この交際相手は重要参考人であることが予想されます。
証拠と聞くと犯行に使用したものなどを思い浮かべる方が多いとは思いますが、取調べなどで話す内容も証拠となります。
容疑者は交際相手の住居や連絡先を知っているでしょうから、連絡を取ることは容易であると考えられます。
供述内容を変えるように働きかけることも証拠隠滅になりますから、今回の事例では証拠隠滅のおそれがあると判断される可能性が高いです。

また、今回の事例では、容疑者が容疑を否認しています。
否認事件では、容疑を認めている事件に比べて事件の捜査に要する時間が長くなりますので、勾留の決定など身体拘束期間が長引く可能性があります。
加えて、人が亡くなっている事件では、科される刑罰が重くなることが予想されることから、逃亡する可能性が高いと判断される可能性もあります。

弁護士は勾留の判断について、勾留が決定されるまでの逮捕後72時間以内であれば検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
意見書勾留されることでの不利益や、家族の監視監督により証拠隠滅逃亡のおそれがないことを主張することで、釈放が認められるかもしれません。

また、勾留が決定した後でも、裁判所に対して準抗告の申し立てを行えます。
準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる場合もありますので、釈放を望んでおられる方は、一度弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が意見書の提出や準抗告の申し立てを行い、勾留されて困ることや証拠隠滅逃亡のおそれがないことを主張することで、釈放を認めてもらえる可能性があります。
勾留されるかどうかは逮捕後72時間以内に判断されます。
意見書の提出はこの勾留が判断されるまでの72時間以内に行わなければなりません。
釈放にむけた弁護活動は時間との勝負になりますので、釈放を考えている方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪と殺人罪について解説します。

【事例紹介】腹膜炎で死亡させた事例①~否認~

2023-09-12

お腹を圧迫して腹膜炎で死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

交際相手の子どもに暴行を加えて死なせたとして、奈良県警は(中略)容疑者(中略)を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。調べに対し「全く身に覚えはありません」と話しているという。
捜査1課によると、(中略)容疑者は(中略)奈良県橿原市曽我町の(中略)さん(当時4)に腹を圧迫する暴行を加え、19日に死亡させた疑いがある。死因は十二指腸に穴が開き、腹膜炎が生じたというものだった。
(後略)
(9月6日 朝日新聞デジタル 「4歳児の腹を圧迫し死なせた疑い 母親の交際相手を逮捕 奈良・橿原」より引用)

傷害致死罪

刑法第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪は簡単に説明すると、暴行を加えた結果、殺すつもりがないのに人が亡くなってしまった場合に成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者にお腹を圧迫する暴行を加えた結果、被害者が腹膜炎になり死亡したと報道されています。
暴行とは、簡単に説明すると物理的に力を加えることをいいます。
暴行でイメージするような殴る蹴るはもちろんのこと、体を抑える行為なども暴行にあたります。
ですので、報道されているお腹を圧迫する行為は暴行にあたります。
実際に容疑者が被害者のお腹を圧迫し、圧迫が原因で被害者が死亡したのであれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。

否認と取調べ

今回の事例では、容疑者が「全く身に覚えはありません」と容疑を否認していると報道されています。
容疑を否認している事件では、捜査に時間を要することから勾留期間が長くなるおそれがあります。
勾留されている間は取調べが連日にわたって行われることも少なくありません。

取調べでは、裁判で重要な証拠となる供述調書が作成されます。
取調べでは、警察官などからやっていないことをやったと認めるように勧められたり、警察官などに都合の良いように供述内容を誘導されるおそれがあります。
もしも、嘘の自白やあなたの意に反した内容の供述調書を作成されてしまうと、裁判でかなり不利な状況に陥ってしまう可能性が高くなってしまいます。
そういった事態を防ぐためにも、弁護士と事前に打ち合わせを行い、供述する内容の整理をおこなっておくことをお勧めします。

また、容疑を否認している事件では、自白させるために、きつい取調べが行われることがあります。
弁護士は警察署などに抗議を行うことができますので、取調べでお困りの方は、一度弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
見に覚えのないことで捜査を受けている方、取調べ対応でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回のコラムでは傷害致死罪と釈放について解説します。

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