児童福祉法違反の「淫行をさせる罪」

児童福祉法違反の「淫行をさせる罪」

児童福祉法の「淫行させる罪」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

奈良県香芝市に住む担任教師のAさん(25歳)は、女子生徒Vさん(17歳)とホテルへ行き、Vさんと性行した件で、奈良県香芝警察署児童福祉法違反奈良県青少年健全育成条例違反で逮捕されてしまいました。Aさんの両親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです。)

~ 児童福祉法における禁止行為 ~

児童福祉法は、戦後まもない頃、児童(18歳に満たない者)の健やかな成長と最低限度の生活を保障するために制定された法律です。児童福祉法には第1章から第8章まで設けられており、児童を保護するための様々な手続や措置等が定められています。
そして、児童福祉法34条では、

①身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
②児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
③公衆の娯楽を目的として、満15歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為
④満15歳に満たない児童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為
⑤児童に午後10時から午前3時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為
⑥戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満15歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第4項の接待飲食等営業、同条第6項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第9項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為
⑦満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為
⑧児童に淫行をさせる行為
⑨これらの行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
⑩成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為
⑪児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為

を禁止行為として規定しています。
これらのうち、上の事案のAさんの行為は⑧児童に淫行をさせる行為に当たる可能性があります。

~ 児童に淫行をさせる行為 ~

このうち、もっとも目にするのが⑧の「児童に淫行をさせる行為」です。

児童福祉法60条1項
 第34条1項6号の規定に違反した者は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

「淫行」とは、

児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ず性交類似行為をいうと解するのが相当であり、児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は、淫行に含まれる

と解されています。

また、「させる行為」とは、

直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいい、そのような行為に当たるか否かは①行為者と児童との関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である

と解されています。

児童福祉法60条1項が適用される例としては、

・親と子
・教師と生徒、児童
・児童養護施設職員と児童

のケースなどがあります。


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