Archive for the ‘暴力事件’ Category

お金を無心されたことで心臓を複数回包丁で突き刺し死亡させた事例②

2024-06-25

お金を無心されたことで心臓を複数回包丁で突き刺し死亡させた事例②

ナイフ

前回のコラムに引き続き、心臓を複数回包丁で突き刺し、死亡させたとして殺人罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

奈良市に住むAさんは常日頃、親戚のVさんからお金を無心されていました。
Vさんからの無心により貯金が底をついたAさんは、Vさんを許せなくなり、Vさんの心臓の辺りを狙って、複数回包丁で突き刺しました。
その後、Vさんは亡くなり、Aさんは殺人罪の疑いで奈良西警察署の警察官に逮捕されましたが、「Vさんを殺すつもりはなかった。」と容疑を否認しました。
(事例はフィクションです。)

裁判員裁判

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」といいます)第2条1項では、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」「裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)」について、裁判員裁判を行うと規定しています。

前回のコラムで解説したように、今回の事例では殺人罪が成立する可能性があります。
殺人罪の法定刑は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役(刑法第199条)ですので、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」に該当するため、殺人罪の容疑で起訴された場合には裁判員裁判が行われることになります。

裁判員裁判とは、簡単に説明すると、一般の国民から選出された裁判員が参加する裁判のことをいいます。
裁判員裁判では、裁判に向けて特殊な手続きが必要であったり、裁判員へのアピールが重要になったりと、通常の刑事裁判とは異なります。
ですので、殺人罪のような裁判員裁判が開かれる事件の場合には、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士に相談をすることが重要になります。

裁判員裁判では、必ず公判前整理手続が行われます。
裁判員裁判は短期間で集中して裁判が行われるため、事前に公判前整理手続を行うことで、争点や証拠を明確にさせます。
原則として、公判前整理手続で提出しなかった証拠は後から出すことはできません。
ですので、有利に働く証拠を逃さないためにも刑事事件に精通した弁護士に相談をすることが望ましいといえます。

また、裁判員裁判では、裁判官と裁判員の双方の意見を含む過半数の意見で判決が決まります。(裁判員法第67条1項)
ですので、裁判員裁判では裁判官だけでなく、わかりやすい言葉や証拠を用いるなど裁判員に向けたアピールも必要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した弁護士事務所です。
初回接見サービス無料法律相談を行っていますので、殺人事件などの裁判員裁判の対象となるような刑事事件でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

お金を無心されたことで心臓を複数回包丁で突き刺し死亡させた事例

2024-06-18

お金を無心されたことで心臓を複数回包丁で突き刺し死亡させた事例

ナイフ

心臓を複数回包丁で突き刺し、死亡させたとして殺人罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

奈良市に住むAさんは常日頃、親戚のVさんからお金を無心されていました。
Vさんからの無心により貯金が底をついたAさんは、Vさんを許せなくなり、Vさんの心臓の辺りを狙って、複数回包丁で突き刺しました。
その後、Vさんは亡くなり、Aさんは殺人罪の疑いで奈良西警察署の警察官に逮捕されましたが、「Vさんを殺すつもりはなかった。」と容疑を否認しました。
(事例はフィクションです。)

殺人罪

刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

殺人罪を簡単に説明すると、人を殺す意思をもって人を殺すと成立する犯罪です。

今回の事例では、AさんがVさんの心臓を狙って複数回包丁で刺しています。
Aさんは「Vさんを殺すつもりはなかった」と容疑を否認しているのですが、Aさんに殺人罪は成立するのでしょうか。

繰り返しになりますが、殺人罪が成立するためには、加害者が殺す意思をもって被害者に危害を加えている必要があります。
ですが、加害者が犯行当時に被害者を殺そうと思っていたかどうかは加害者以外知りようがなく、加害者が殺す意思はなかったと否定すれば、殺人罪が成立しないことになってしまいます。

では、殺す意思があったかどうかをどのように判断するのでしょうか。

殺す意思があったかどうかは、加害者の供述だけでなく、凶器の有無や危害を加えた箇所、危害を加えた回数、動機の有無などから総合的に判断されます。

今回の事例では、お金を無心されることに許せなくなり、心臓を狙って包丁で複数回刺しています。
AさんはVさんを殺したいと思う動機があるように思えますし、包丁で急所である心臓を複数回刺せば人が死んでしまうことは容易に想像できるでしょう。
Aさんは恨みをもっているVさんに、殺してしまう可能性が高い行為を行っているわけですから、殺す意思がなかったと否認していたとしても殺す意思があったと判断され、殺人罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
殺人罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】駐車場で顔面を殴打してけがを負わせた事例 奈良県香芝市

2024-06-06

【事例紹介】駐車場で顔面を殴打してけがを負わせた事例 奈良県香芝市

胸ぐら掴む

事例

(前略)香芝市内の駐車場において、被害者の顔面を殴打してけがをさせたとして、6月3日、男(40歳)を傷害で現行犯逮捕しました。
(6月5日 奈良県警察WeeklyNews 「傷害で男を逮捕《香芝署》」より引用)

傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪とは、簡単に説明すると、人に暴行を加えてけがを負わせた場合などに成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者が被害者の顔面を殴打してけがをさせたとされています。
人を殴る行為は暴行にあたりますので、実際に容疑者が被害者を殴打してけがを負わせたのであれば、容疑者に傷害罪が成立する可能性があります。

傷害罪と不起訴処分

刑事事件では不起訴処分という起訴しない処分があります。
不起訴処分を獲得することができれば、刑罰を科されませんし、前科も付きません。

この不起訴処分を獲得するためには、取調べ対策や被害者との示談の締結などが重要になってきます。

取調べでは、供述した内容を基に供述調書が作成されます。
警察官などの誘導に乗ってしまい、意に反した供述調書が作成されてしまうと、起訴・不起訴の判断の際に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
加えて、この供述調書は裁判で証拠として使用されますので、後の裁判で不利に働く可能性もあります。
事前に弁護士に相談をすることで、そういった事態を避けられる可能性がありますから、取調べを受ける際は、事前に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

また、被害者が知人である場合には、直接被害者に連絡を取って示談交渉を行う方もいらっしゃるかもしれません。
加害者が直接、被害者と連絡を取ることで、証拠隠滅を疑われたり、思わぬトラブルに発展してしまうおそれがあるため、加害者自らが示談交渉を行うことはあまりおすすめできません。
弁護士が間に入ることでトラブルを避けられる可能性がありますし、一度、示談を断られた場合でも再度弁護士が示談交渉を行うことで、示談に応じてもらえる場合があります。
ですので、示談を考えている方は、一度、弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
傷害罪でお困りの方、取調べ示談でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】カメラのデータを初期化して器物損壊罪で逮捕

2024-04-23

【事例紹介】カメラのデータを初期化して器物損壊罪で逮捕

カメラ

データを初期化したとして器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

2月29日夕方、奈良県内の塾講師控え室において、被害者所有の小型カメラに記録されたデータを初期化したとして、4月18日、男(20歳)を器物損壊で通常逮捕しました。
(4月19日 奈良県警察WeeklyNews 「器物損壊で男を逮捕《奈良西署》」より引用)

器物損壊罪

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第258条では公用文書毀棄罪、刑法第259条では私用文書毀棄罪、刑法第260条では建造物損壊罪が規定されています。
器物損壊罪は、刑法第258条から260条で規定されている物を除いた、他人の物の効用を滅失させて利用を妨げた場合に成立する犯罪です。
「効用を滅失させて利用を妨げた」といわれても、いまいちピンとこないかと思いますので大まかに説明すると、器物損壊罪は他人の物を使用できなくさせた場合などに成立します。

例えば、自転車のタイヤをパンクさせた場合にはその自転車に乗ることはできませんから器物損壊罪が成立します。
また、食器に放尿された場合にも、心理的に再度使用することはできないでしょうから器物損壊罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者のカメラに記録されたデータを初期化したとされています。
カメラ本体を壊されたわけではなく撮影することは可能ですので、今回の事例は器物損壊罪にはあたらないように思われます。
ですが、初期化によって今までのデータが消えてしまっているため、今まで撮影した画像を現像することは不可能になっており、撮った画像を現像したり他の媒体に転送したりといったカメラの効用は失われたと考えられます。
撮影するだけでなく、今までの思い出を残しておけるものカメラの機能の1つでしょうから、故意にデータを初期化したのであれば、容疑者に器物損壊罪が成立する可能性があります。

器物損壊罪と親告罪

器物損壊罪告訴がなければ起訴されることのない犯罪です。(刑法第264条)
ですので、告訴を取り下げてもらうことができれば、刑罰を科されることはありませんし、前科も付きません。
だからといって加害者本人が告訴の取り下げをお願いしても、応じてもらえない可能性が高いと思われます。
弁護士を通じて、謝罪や賠償をすることで告訴を取り下げてもらえる場合もありますから、親告罪でお困りの方は弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで不起訴処分を獲得できる場合がありますから、器物損壊罪などで捜査をされている方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】介護施設で両脚を蹴り、壊死など全治約100日間のけがを負わせた事例

2024-03-19

【事例紹介】介護施設で両脚を蹴り、壊死など全治約100日間のけがを負わせた事例

手錠とガベル

介護施設で入所者に壊死などのけがを負わせたとして傷害罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

勤務先で入所者に暴行してけがを負わせたとして、奈良県警五條署は11日、五條市、元介護施設職員の男(43)を傷害容疑で逮捕した。「注意を聞き入れてくれず、かっとなった」と容疑を認めている。
発表では、男は昨年12月16日、五條市内の施設で、80歳代の女性の両脚を複数回蹴るなどして、皮膚壊死など全治約100日間のけがを負わせた疑い。
(後略)
(3月13日 読売新聞オンライン 「勤務先で80代入所者の両脚蹴る、全治100日間のけが…元介護施設職員の男「かっとなった」」より引用)

傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害罪は簡単に説明すると、暴行を加えて人にけがを負わせると成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者の両脚を複数回蹴るなどして全治約100日間のけがを負わせたとされています。
人を蹴る行為は暴行にあたりますし、複数回蹴ったことで全治100日間のけがを負わせているようなので、実際に容疑者が被害者を蹴ってけがを負わせたのであれば、傷害罪が成立する可能性が高いといえます。

傷害罪と裁判

傷害罪は懲役刑も規定されており、刑罰の軽い犯罪だとはいえません。
懲役刑が規定されていますので、当然、傷害罪で有罪になった場合には罰金で済まずに懲役刑が科される可能性があります。

今回の事例では、被害者は壊死など全治約100日のけがを負っているようです。
全治100日のけがはかなりの重症ですから、被害は相当大きいといえます。
また、事件当時、容疑者は介護施設の職員だったようですから、立場を利用した犯行だと捉えられて悪質性が高いと判断されるおそれがあります。
ですので今回の事例では、報道が事実なのであれば、被害が軽いとはいえず、悪質性が高いと判断されて実刑判決が下されてしまう可能性もないとはいえないと思われます。

懲役刑が下されてしまうと絶対に刑務所に行かなくてはいけないのかと言われるとそうではありません。
執行猶予付き判決を獲得することができれば、懲役刑が下されたとしても刑の執行が猶予されます。
刑事事件では、被害者と示談を締結することで、執行猶予付き判決の獲得に有利に働く可能性があります。
傷害事件では、被害者は加害者によってけがなどを負わされているわけですから、加害者に対して恐怖を抱いている可能性があり、加害者本人が直接被害者に連絡を取ることはあまりおすすめできません。
謝罪や賠償のためであっても、加害者本人が被害者に連絡を取ることで証拠隠滅を疑われる可能性もあります。
弁護士に示談交渉を任せることでトラブルなどを防げる場合がありますから、示談交渉をする際は一度弁護士に相談をすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所傷害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
執行猶予付き判決を得るには取調べ対応なども重要になってきます。
傷害事件に精通した弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を得られる可能性がありますから、傷害罪の容疑をかけられている方は一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】奈良市内の住宅の勝手口ドアのガラスをたたき割り器物損壊罪で逮捕された事例

2024-01-16

逮捕される男性

奈良市内の住宅の勝手口ドアのガラスをたたき割ったとして、器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

1月4日夜、奈良市内において、一般住宅の勝手口ドアのガラスをたたき割ったとして、男(75歳)を器物損壊で現行犯逮捕しました。
(1月11日発表 奈良県警察WeeklyNewsより引用)

器物損壊罪

器物損壊罪は、刑法第261条で規定されています。

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は大まかに説明すると、公用文書や使用文書、建造物などを除いた他人の物を使えなくすると成立する犯罪です。

今回の事例では、奈良市内の住宅の勝手口ドアのガラスをたたき割ったとして男性が逮捕されたようです。
この勝手口ドアは住宅の所有者の物ですから、男性の住宅でない限り、他人の物にあたるといえます。
また、勝手口ドアのガラスがたたき割られれば、風が吹き込んでくるでしょうし、誰でも出入りできるような状態になっているかもしれません。
実際に男性が勝手口ドアのガラスをたたき割ったのであれば、ドアとして使えなくなっている可能性がありますから、男性に器物損壊罪が成立するおそれがあります。

建造物損壊罪

今回の事例では、奈良市内の住宅の勝手口ドアのガラスがたたき割られたとされています。
勝手口ドアは住宅の一部分といえるでしょうから、勝手口ドアのガラスがたたき割られたとすると、建造物が損壊したことにならないのでしょうか。

刑法第260条では、建造物損壊罪を規定しています。

刑法第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する

簡単に説明すると、他人の建造物を使えなくした場合には、建造物損壊罪が成立します。

勝手口ドアのガラスがたたき割られたとされている奈良市内の住宅は、建造物にあたりますので、今回の事例では建造物損壊罪が成立しないのでしょうか。

建造物損壊罪は、建造物の骨格をなす柱や屋根など、容易に取り外しができないものを壊した場合や建造物の壁にラッカースプレーで落書きするなど景観を損ねた場合などに成立します。
窓などの取り外しが可能なものを壊した事例では、建造物損壊罪ではなく器物損壊罪が成立すると判断した判例が存在し、建造物損壊罪が成立するか否かは取り外しが可能であるかが分かれ目なようです。

今回の事例では住宅の勝手口ドアのガラスを割ったとされています。
この勝手口の取り外しが可能なのであれば器物損壊罪が、取り外しができない物であれば建造物損壊罪が成立する可能性があります。

ただ、適切な工具を用いれば取り外しが可能な居室の金属製ドアを金蔵バットでたたいてへこませた事例で、最高裁は適切な工具を用いれば取り外しが可能だとしても建造物損壊罪が成立すると判断しており(平成19年3月20日 最高裁判所 決定)、今回の事例の住宅の勝手口ドアが取り外し可能であっても建造物損壊罪が成立する可能性があります。

器物損壊罪と建造物損壊罪

器物損壊罪建造物損壊罪では、科される量刑がかなり異なります。

器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金でしたが、建造物損壊罪では5年以下の懲役であり、建造物損壊罪に罰金刑は規定されていません。
ですので、建造物損壊罪で有罪になった場合には、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に行かなくてはいけなくなります。

繰り返しになりますが、住宅などの建造物の一部を壊した場合には、罰金刑の規定のない建造物損壊罪が成立するおそれがあります。
住居の勝手口ドアのガラスをたたき割ったとされている今回の事案のように、壊したものがドアであった場合には、紹介した判例にもあるとおり建造物損壊罪が成立する可能性があります。

器物損壊罪が成立するのか、建造物損壊罪が成立するのかは、事案によって異なりますので、他人の住居のドアなどを壊してしまった場合には、今後の見通しを把握するためにも、一度弁護士に相談をすることをおすすめします。

また、器物損壊罪建造物損壊罪のどちらが成立する事案であっても、弁護士による示談交渉処分交渉などの弁護活動によって、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
ですので、器物損壊罪建造物損壊罪の嫌疑をかけられている場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分などより良い結果を得られるかもしれません。
器物損壊罪建造物損壊罪でお困りの方、ご不安な方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

子供へのしつけのつもりが暴行罪で逮捕⁈暴行で相手がけがをしてなくても逮捕されるの?

2023-11-14
家庭内暴力

暴行罪は、身体的な攻撃を伴う犯罪行為であり、日常生活の中で意外と身近な犯罪です。
今回のコラムでは虐待などの家庭内暴力の事例を交え、暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

暴行罪の定義と基本要件

暴行罪は、刑法第208条で「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されています。
暴行とは、有形力の行使をいいます。
例えば、殴る、蹴るなどの身体的な接触を伴う行為を指し、精神的な攻撃や脅迫は含まれません。

しかし、身体的な接触があればかならずしも暴行罪が成立するわけではありません。
暴行罪が成立するためには、暴行の故意が必要になります。
故意とは、相手に対して意図的にすることを意味します。
ですので、道を歩いているときに意図せず肩がぶつかってしまった場合には暴行罪は成立しませんし、故意に肩にぶつかった場合には暴行罪が成立する可能性があります。

肩をぶつける行為や腕をつかむ行為などの軽微な接触であっても、故意によるものであれば暴行罪が成立する可能性があります。
この点において、暴行罪は日常生活の中で起こり得る多くの状況に適用される可能性があるため、どのような行為で暴行罪が成立するのかを知っていることが重要になります。

家庭内暴力と暴行罪の関係

家庭内暴力は、家庭の中で起こる身体的な暴力行為や精神的な攻撃を指します。
このような暴力が暴行罪に該当するかどうかは、行為の内容とその程度によります。
家庭内での身体的な攻撃は、暴行罪における「暴行」と見なされることが多く、特に故意によるものであれば、刑法上の暴行罪として扱われる可能性が高いです。

しかし、精神的な攻撃や言葉の暴力は、直接的な身体的接触が伴わないため、暴行罪は成立しませんが、それらの行為により何らかの傷害が発生した場合には傷害罪が成立する可能性があります。
家庭内暴力であっても、暴行罪は成立しますので、注意が必要です。

子供へのしつけで顔を平手打ちした事例

奈良県生駒市に住むAさんは、中学生の娘Vさんの学校の成績で思い悩んでいました。
注意をしても勉強せず遊んでばかりいるVさんに業を煮やし、AさんはVさんの顔を平手打ちしました。
平手打ちをされたことで、以降Vさんは自主的に勉強をするようになりました。
平手打ちをすれば言うことを聞くようになると思ったAさんは、その後もしつけと称してVさんの顔を平手打ちするようになりました。
ある日、Vさんが学校の先生にAさんから平手打ちされていることを相談し、Aさんは奈良県生駒警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

Aさんにとってはしつけであっても、平手打ちは暴行にあたりますので、Aさんが娘のVさんに平手打ちをする行為は暴行罪が成立する可能性が高いです。
また、平手打ち程度の暴行では事例のように逮捕されることはないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の事例のように、虐待家庭内暴力の場合、加害者が被害者と接触することが容易であることから、逮捕、勾留される可能性が非常に高いです。

暴行罪と傷害罪

暴行罪暴行を加えた結果、傷害に至らなかった場合に成立する犯罪です。
ですので、暴行を加え、相手にけがをさせた場合には、暴行罪よりも重い、傷害罪が成立することになります。
擦り傷であってもけがにあたりますので、殴って相手の頬を少し切ってしまった場合には、暴行罪ではなく傷害罪が成立することになります。

暴行罪の法定刑は二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料でしたが、傷害罪の法定刑は十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金であり、暴行罪に比べて傷害罪の方がはるかに重い刑罰が科されることになります。

逮捕と勾留

先ほど、虐待家庭内暴力では逮捕される可能性が高いと書きましたが、一度逮捕されると事件が終了するまで出られないのでしょうか。
逮捕された場合には、有罪、無罪が決定するまで身体拘束が続くと思っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、有罪、無罪が決まる前であっても、身体拘束が解かれる場合があります。

刑事事件では、逮捕されると、逮捕後72時間以内勾留の判断がなされます。
この際に、検察官と裁判官が勾留が必要だと考えれば、勾留されることになります。
弁護士はこの勾留が決定されるまでであれば、検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
意見書を提出することで、勾留されずに釈放を認めてもらえるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行事件に強い法律事務所です。
暴行事件傷害事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

腕時計の文字盤を塗りつぶしたら罪に問われるの?

2023-10-24

時計の文字盤を塗りつぶした際に問われる可能性がある罪として、器物損壊罪が挙げられます。
では、器物損壊罪とはどのような罪なのでしょうか。
今回のコラムでは、器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

器物損壊罪とは?

器物損壊罪は、刑法第261条に基づく犯罪です。
簡単に言うと、他人の物を損壊した場合に器物損壊罪に問われます。

では、「損壊」とはどういった行為を指すのでしょうか?
「損壊」とは、物そのものの形を変更させたり滅失させる行為や、その物自体の効用を害する行為を指します。
例えば、食器を割る行為や、車のタイヤをパンクさせる行為も、この「損壊」に該当します。

親告罪とは?

器物損壊罪親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ起訴することができない犯罪を指します。
この特性により、被害者が告訴しない限り、起訴され刑罰を科されることはありません。

告訴が必要な理由

親告罪の存在理由は、被害者の意志に一定の尊重を与えるためです。
例えば、名誉毀損罪や侮辱罪なども親告罪に該当します。
被害者が示談を望む場合や、告訴を取り下げたい場合には、その意志が尊重されます。

時計の文字盤を塗りつぶしたら?

事例
奈良県大和郡山市に住むAさんは、上司のVさんに嫌がらせをする目的でVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしました。
Aさんが油性ペンで塗りつぶしたことを知ったVさんは、奈良県郡山警察署に被害届を出しました。
その後、Aさんは奈良県郡山警察署の刑事から話を聞かれることになりました。
(この事例はフィクションです。)

事例のAさんに罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、器物損壊罪が成立する可能性があります。

AさんはVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしています。
油性ペンのインクはなかなか落ちないでしょうし、時計の文字盤を塗りつぶされてしまうと、時間を見ることはできなくなります。
腕時計の効用は時間を把握することでしょうから、時間を見れないとなると時計としての効用を失ってしまったと考えられます。
「損壊」というと、床にたたきつけて壊したりなどを思い浮かべますが、物の効用を失わせる行為も含まれます。
ですので、事例のAさんが腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶした行為は、「損壊」にあたるおそれがあり、器物損壊罪が成立する可能性があります。

「損壊」の範囲

先ほどの事例からわかるように、「損壊」の定義は非常に広く、物の形状を変えるだけでなく、その効用を害する行為も含まれます。
このような広い定義により、多くの行為が器物損壊罪に該当する可能性があります。
行為が「損壊」にあたるかどうかは、事例によって異なりますので、器物損壊罪の容疑をかけられた場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

親告罪の刑事弁護活動

親告罪においては、被害者との示談がとても重要となります。
親告罪告訴がなければ起訴できないため、被害者との示談によって告訴を回避または取り下げてもらうことができれば刑事罰が科せられることはありません。

示談交渉は基本的に被害者本人とすることになります。
ですので、今回の事例では、Vさん相手に示談交渉を行うことになります。
AさんがVさんに示談を締結して告訴を取り下げてほしいと頼んだ場合、VさんはAさんの要望に応えるでしょうか。
おそらく示談を締結してもらえないでしょうし、告訴も取り下げてもらえないでしょう。
それどころか、余計にVさんを怒らせてしまうかもしれません。

そういった事態を避けるためにも、示談交渉を行う際には弁護士を入れることをお勧めします。
弁護士を入れることで話がこじれることを防げる場合がありますし、示談を締結できる可能性があります。

器物損壊罪でお困りの方は、刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120ー631ー88124時間365日受け付けております。

【事例紹介】しつけを理由に幼い子供を窒息死させたケース①

2023-10-03

3歳の長男を布団で巻いて死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)3歳の長男を布団で巻いて死なせたとして、傷害致死の疑いで、(中略)容疑者(27)を逮捕した。「泣きやまず、しつけのためだった」と容疑を認めている。
(中略)司法解剖の結果、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いとみられる。目立った外傷はなく、栄養状態にも異常は見られなかった。(中略)
捜査関係者によると、容疑者は「以前にも布団で巻いた」とも話していたという。(後略)
(9月28日 京都新聞 「3歳長男死なせた疑い、千葉」より引用)

傷害致死罪とは

刑法205条によると、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有機懲役に処する」として傷害致死罪を規定しています。

傷害致死罪は、①人の身体を傷害して傷害罪が成立した上で、②傷害よりも重い死亡という結果が生じた場合に、傷害罪よりも重く処罰する法律です。
① については、刑法205条「身体を傷害し」の文言が、②については同条「よって死亡させた」の文言が対応します。

今回のケースでは、容疑者は、しつけにかこつけて、幼い子供を布団で巻いて窒息させたとされていますが、傷害致死罪は成立するのでしょうか?

傷害致死罪が成立するためには、傷害罪の成立が必要になります。
そもそも傷害罪とはどういった犯罪なのでしょうか?

傷害罪(刑法204条)は、「人の身体を傷害」した場合に成立します。
傷害とは、人の生理機能を害することであるとされています(最判27年6月6日刑集6・6・745)
具体的には、殴られたことによる出血などのような外傷のほか、失神、慢性的な頭痛などを生じさせた場合に生理機能を害したとされます。
つまり、殴ったことでけがをさせた場合には傷害罪が成立しますし、頭を強く殴って失神させた場合や、騒音により慢性的な頭痛を引き起こさせた場合にも傷害罪が成立する可能性があります。

本ケースでは、長男を布団で巻いて死亡させたと報道されています。
司法解剖の結果によると、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いそうです。
容疑者が実際に長男を布団で巻いていて、かつ、窒息の原因が容疑者の行為によるものなのであれば、布団で巻くことで長男を窒息させたと言えますから、生理機能を害したとして、傷害罪が成立するでしょう。
加えて、上記行為が原因となって、死亡という結果が生じたのであれば、傷害致死罪が成立すると考えられますので、今回の事例の報道が事実であれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。

逮捕されると、72時間の間に、勾留の判断が行われます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間身体拘束を受けることになります。
傷害致死事件などの人が亡くなっている事件では、量刑が重くなることが予想されますので、逃亡のおそれがあると判断されやすく、釈放が認められづらい傾向にあります。

ですが、傷害致死事件を起こした場合には必ずしも釈放が認められないというわけではありません。
弁護士が勾留の判断が行われるまでの間に、検察官や裁判官に意見書を提出することで、釈放を認められる可能性があります。
この意見書逮捕後72時間以内に提出をする必要があります。
釈放に向けた弁護活動は時間との勝負になりますので、ご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪の容疑をかけられた際の弁護活動について、ご紹介します。

 

【事例紹介】腹膜炎で死亡させた事例②~傷害致死と釈放~

2023-09-19

前回のコラムに引き続き、お腹を圧迫して腹膜炎で死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

交際相手の子どもに暴行を加えて死なせたとして、奈良県警は(中略)容疑者(中略)を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。調べに対し「全く身に覚えはありません」と話しているという。
捜査1課によると、(中略)容疑者は(中略)奈良県橿原市曽我町の(中略)さん(当時4)に腹を圧迫する暴行を加え、19日に死亡させた疑いがある。死因は十二指腸に穴が開き、腹膜炎が生じたというものだった。
(後略)
(9月6日 朝日新聞デジタル 「4歳児の腹を圧迫し死なせた疑い 母親の交際相手を逮捕 奈良・橿原」より引用)

傷害致死罪と釈放

刑事事件では、逮捕されたとしても釈放が認められれば家に帰ることができます。
ではどういった場合に釈放が認められるのでしょうか。

刑事訴訟法第60条1項では、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で次の3つのうち1つでも当てはまれば、勾留することができると規定しています。
①被告人が定まった住居を有しないとき。
②被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

逆に言えば、上記の①~③に当てはまらない場合には、釈放が認められることになります。

今回の事例では、容疑者が交際相手の娘に暴行を加えて死なせたとして傷害致死罪の容疑で逮捕されています。
被害者は容疑者の交際相手の娘ですので、この交際相手は重要参考人であることが予想されます。
証拠と聞くと犯行に使用したものなどを思い浮かべる方が多いとは思いますが、取調べなどで話す内容も証拠となります。
容疑者は交際相手の住居や連絡先を知っているでしょうから、連絡を取ることは容易であると考えられます。
供述内容を変えるように働きかけることも証拠隠滅になりますから、今回の事例では証拠隠滅のおそれがあると判断される可能性が高いです。

また、今回の事例では、容疑者が容疑を否認しています。
否認事件では、容疑を認めている事件に比べて事件の捜査に要する時間が長くなりますので、勾留の決定など身体拘束期間が長引く可能性があります。
加えて、人が亡くなっている事件では、科される刑罰が重くなることが予想されることから、逃亡する可能性が高いと判断される可能性もあります。

弁護士は勾留の判断について、勾留が決定されるまでの逮捕後72時間以内であれば検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
意見書勾留されることでの不利益や、家族の監視監督により証拠隠滅逃亡のおそれがないことを主張することで、釈放が認められるかもしれません。

また、勾留が決定した後でも、裁判所に対して準抗告の申し立てを行えます。
準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる場合もありますので、釈放を望んでおられる方は、一度弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が意見書の提出や準抗告の申し立てを行い、勾留されて困ることや証拠隠滅逃亡のおそれがないことを主張することで、釈放を認めてもらえる可能性があります。
勾留されるかどうかは逮捕後72時間以内に判断されます。
意見書の提出はこの勾留が判断されるまでの72時間以内に行わなければなりません。
釈放にむけた弁護活動は時間との勝負になりますので、釈放を考えている方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪と殺人罪について解説します。

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