人為的な要因で火災が発生したら?

人為的な要因で火災が発生したら?

人の行動によって火災が発生した場合に問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の会社に勤める会社員です。
ある朝、Aの自宅に奈良市内を管轄する奈良西警察署の警察官が自宅に来て、「奈良市内で起きた火災の件で話を聞きたい」と言われました。
Aは、心当たりについて、警察官に説明をしました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【故意に火を付けた放火事件の場合】

人為的に(人がとった行動によって)発生した火災の場合、その行動が故意(意図的にとった行動)によるものか、過失(不注意)によるものかによって罪が異なります。
この章では、故意に火を付けた放火事件について検討します。

放火事件の場合、放火した対象物の性質によって罪が異なります。
①現住建造物等放火罪
現に人が住居として使用している建造物、現に人がいる建造物、鉄道・艦船・鉱坑(石炭などを掘り起こすために掘られた穴)に放火した場合には、現住建造物等放火罪が適用されます。
現住建造物等放火罪は殺人罪と同じ刑罰が用意されていて、たとえ実際に死傷者が出ていなかった場合にも成立します。
また、建造物等が自分の所有物か別の者の所有物かという点は問題となりません。

罰条:死刑または無期若しくは5年以上の懲役

②非現住建造物等放火罪
①には当たらない建造物を放火した場合には、非現住建造物等放火罪が適用されます。
家畜小屋や神社など、人が住んでいないような場所に放火をした場合がこれにあたります。
これは、自己所有の建造物等であるか他人の所有する建造物等であるかによって、罰条が異なります。

⑴他人所有の建造物等に放火した場合
罰条:2年以上(20年以下)の有期懲役
⑵自己所有の建造物等に放火した場合
罰条:6月以上7年以下の懲役
※但し、公共の危険を生じさせなかった場合は罰しないとされています。

③建造物等以外放火罪
①、②以外の物を放火したことで、公共の危険を生じさせた場合には、建造物等以外放火罪に処せられます。
これも②と同様に対象物が自己所有の物か他人所有の物かによって罰条が異なります。

⑴他人所有の建造物等以外を放火した場合
罰条:1年以上10年以下の懲役
⑵自己所有の建造物等に放火した場合
罰条:6月以上7年以下の懲役

④延焼罪
自己所有の非現住建造物等、又は自己所有の建造物等以外を放火した場合に、結果として現住建造物等や他人所有の非現住建造物等に燃え広がってしまった場合には、延焼罪が成立します。

罰条:3月以上10年以下の懲役

【故意ではないが火災になってしまった失火事件の場合】

放火事件ではないものの、過失により(不注意で)火災に発展するということも少なくありません。
たとえ故意ではなかったとしても、失火により火災が生じた場合には、失火に関する罪に問われます。
失火罪は、①及び②のうち⑴に該当する建造物が火災の対象となった場合には刑法116条1項に規定されている失火罪に、②⑵及び③に該当する建物や物が火災の対象となった場合については「公共の危険を生じさせた」場合は同法2項に規定されている失火罪にあたり、それぞれ処罰の対象となります。

罰条:50万円以下の罰金

【仕事中などに発生した失火事件は重い罪に】

工場の現場責任者や飲食店の調理師など、「職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位」がある方が失火事件を起こしてしまった場合、業務上失火罪が適用されます。
また、その立場に関わらず、重大な過失によって失火事件を起こしてしまった場合には、重過失失火罪に処せられます。
両者は、①及び②⑴に該当する建造物が対象ですので、非現住建造物や建造物等以外の失火については通常の失火罪で処罰されます。
業務上失火罪重過失失火罪は、通常の失火罪に比べて重い罪に問われます。

罰条:3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金

【放火事件・失火事件で弁護士へ】

現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪建造物等以外放火罪失火罪業務上失火罪重過失失火罪など、人為的な行動によって発生した火災は、火災の対象となる建物や物によって、あるいはその人の立場によって、罪が大きく異なります。
ご自身が放火等の罪や失火等の罪で捜査を受けている方、あるいは家族が放火等の罪や失火等の罪で逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー