悪質なレビューで家宅捜索

悪質なレビューで家宅捜索

インターネットやSNSなどを通じて悪質なレビューを書いた場合に問題となる罪と、捜査機関が行う家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の会社に勤める会社員です。
Aは昼休みに職場近くの飲食店Vに行ったところ、利用客が多く、席が空くまで待っていました。
しかし、食事を終了しても席を立たない客がいたため、Aは店員に注意するよう促しましたが、店員は一言声をかけただけで客は動かなかったため、Aは食事をすることが出来ずコンビニエンスストアで食事を買って職場に戻りました。
一連の店員の行動に納得がいかなかったAは、家に帰ってから、自身のスマートフォンでフリーアドレスをいくつも作成し、それぞれのアカウントで飲食店のレビューを書き込むサイトにログインし、飲食店Vに低評価を付けたうえで当日の出来事を書いただけでなく、別のアカウントでは「不衛生な店である」など実際には体験していない内容を書き連ねました。

ある日、Aの自宅に奈良市内を管轄する奈良西警察署の警察官が来て、令状を提示されたうえで家宅捜索が行われました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【レビューで問題となる罪】

飲食店等をはじめ、各お店の情報や書籍、商品などを掲載しているインターネットサイトや地図アプリなどを通じて、各お店の評価(レビュー)を全世界に発信することができるようになりました。
レビューには、良い評価を付けることもできますが悪い評価を付けることもできます。
悪い評価を付けることは、その後店を利用しようと思う人が閲覧することができるため、ともすれば「このレビューを見たからこの店に行くのをやめよう」「評価が悪いからこの本を買うのはよそう」といった消費者の判断に繋がります。

レビューである以上、自分が店に訪れて感じたこと、商品を購入して気付いたこと、書籍を購入して思ったことについて、時として良くないと思った点を書き込むということは、そのサイトやアプリの活用法として全うであり、正当な行為であることから何かしらの罪に当たるということはありません。
但し、実際には経験をしていないことを書き込んだり、いくつものアカウントを作成して悪い評価を数多くつけることは、偽計業務妨害罪や信用妨害罪にあたります。

ケースについて検討すると、実際にAが店を訪れることで経験したことを書いて悪い評価を付けているという点においては、罪にあたることはありません。
しかし、
・実際にV店で経験をしたことがないことを書き込んで悪い評価を付けた
・Aが一人で複数のアカウントを作成し、複数人の者がV店に悪い評価を付けたように思わせた
という点で、「偽計」を用いてV店の業務を妨害したと評価され、偽計業務妨害罪で掲示し罰を受ける可能性があります。
偽計業務妨害罪の条文は以下のとおりです。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

【家宅捜索とは】

家宅捜索は、捜査機関が証拠物や被疑者を発見するため、人の身体、物又は住居その他の場所について調べる「捜索」と、捜索した証拠物を押収する「差押え」という2つの側面を有する捜査活動です。
裁判所が発付する令状(通常は「捜索差押許可状」という書類が用いられます。)に基づき行われます。
令状が発付されている以上、家宅捜索を拒むことはできず、警察官等の家宅捜索を妨害した場合には公務執行妨害罪に問われることもあります。

家宅捜索で押収されるものは、主として
・犯行に使われた凶器、所持が禁止されている薬物や拳銃等
・犯行当時に着用していた衣服や靴
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
などが挙げられます。
これらは、捜査のために捜査機関で保管されるほか、電子端末については解析が、薬物の場合は科学捜査研究所での成分分析が行われます。

家宅捜索の対象は被疑者の自宅等のほか、車の中や勤務先などで行われる場合もあります。

奈良県奈良市にて、インターネットサイトやSNSで悪質なレビューを繰り返したことにより偽計業務妨害などの罪に問われていて、家宅捜索を受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー