盗撮事件の現行犯逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
◇盗撮で現行犯逮捕◇
奈良県天理市に住む会社員のAは、盗撮モノのアダルトビデオに昔から興味を持っていました。
あるとき、ついに我慢できなくなったAは駅構内のエスカレーターで盗撮しようと考えました。
好みの女性を見つけたAは、女性の後をつけ後ろから女性のスカートの中にスマートフォンを差し入れて撮影しました。
すると、すぐに巡回中の奈良県天理警察署の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
実は、奈良県天理警察署の警察官は、巡回中に、ターゲットを物色していたAを怪しいと思い、Aを見張っていたのでした。
Aは翌日に検察官に送致されることなく、釈放されましたが、今後どのようになってしまうのか不安になり、刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この事例はフィクションです。)
盗撮事件
盗撮は、各都道府県で規定されている迷惑防止条例で禁止されています。
各都道府県での規定となるため、条文の文言や罰則が都道府県ごとに違っています。
奈良県では、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例があります。
盗撮行為に対する罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。
盗撮事件では、今回の事例のように警察官の警戒中に事件をおこしてしまい、現行犯逮捕されてしまうことがあります。
現行犯逮捕
刑事訴訟法では、3種類の逮捕が規定されています。
逮捕状を示されて逮捕される通常逮捕、逮捕状の請求が間に合わない場合の緊急逮捕、そして現行犯逮捕です。
今回は、現行犯逮捕について詳しく見ていきます。
刑事訴訟法第213条 現行犯逮捕
「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」
現行犯人とは、現に、罪を行い又は現に罪を行い終わった者を指します。
この他にも、以下の者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、現行犯人だとみなされます。
・犯人として追呼されている者
・明らかに犯罪に関わった物(盗品や凶器など)を所持している者
・返り血が付いているなど、身体や服に犯罪の顕著な跡がある者
・誰何されて逃走しようとする者
これらの現行犯だとみなされる者については、準現行犯とも呼ばれます。
現行犯逮捕は、条文上で「何人も」とされており、警察官や検察官以外の一般人も現行犯逮捕することができます。
一般人が現行犯逮捕した場合には、すぐに警察官や検察官に犯人を引き渡さなければなりません。
現行犯逮捕後に釈放
盗撮事件で現行犯逮捕された場合、罪を認めて反省しており、余罪もないという場合には、検察官に送致されることなく、逮捕されてからの警察の持ち時間である48時間以内に釈放されることも珍しくありません。
ただ、釈放されたからといって事件が終了し、許されたということではありません。
釈放後も在宅事件として、警察に呼ばれて取調べを受けた後、検察へ送検(書類送検)され検察官が起訴不起訴の判断をします。
このとき、不起訴を目指していくためには、検察官が起訴不起訴の判断をするまでに、被害者と示談交渉をして、検察官と交渉していく必要があるでしょう。
示談交渉は、自身で行うこともできますが、最善を期すためには、やはり刑事事件に強い弁護士に依頼することをおすすめします。