住居侵入で緊急避難

住居侵入で緊急避難

緊急避難について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
奈良県吉野郡に住むAは、あるとき森の中を歩いていると、クマに遭遇してしまいました。
驚いたAはすぐに逃げ出し、近くにあった民家の家の中まで逃げ込みました。
熊はすぐにその場を立ち去りましたが、Aは民家の住人に見つかってしまい、奈良県吉野警察署に通報されてしまいました。
Aは住居侵入の疑いで捜査されていくことになってしまいました。
このままで前科が付いてしまうのではないかと不安になったAは刑事事件に強い弁護士の無料相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです)

緊急避難

刑法第37条 
第1項「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」

今回の事例で、Aは鍵の開いていた他人の家に勝手に侵入しているので、住居侵入となる可能性がありそうです。
ただ、今回については野生の熊から逃げていた際の出来事ということで、刑法第37条に規定されている緊急避難が認められ、違法な行為ではなくなる可能性があります。

刑法37条には緊急避難が規定されており、「現在の危難」を避けるために「やむを得ずした行為」についてその行為の結果「生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り罰しない」とされています。
「現在の危難」について、現在とされているのは法益の侵害が直接切迫していることをいうので、過去や将来の危難に対しては緊急避難は成立しません。
危難については、法益を侵害させる結果を生じさせるような危険な状態をいい、客観的に存在するものでなくてはなりません。
正当防衛の急迫「不正」の侵害とは異なり、危難は不正である必要はなく、人の行為だけでなく自然現象や今回のような動物によるものも含まれます。
そして、緊急避難「やむを得ずした」行為である必要があります。
刑法第36条に定められている正当防衛についても「やむを得ずした」ことが要求されていますが、同じ文言であっても正当防衛の場合は不正の侵害に対する防衛行為としての相当性といった意味合いですが、緊急避難の場合は他にとるべき手段がなかったことまで求められます。
これは、正当防衛が不正の侵害に対する防衛行為であるのに対し、緊急避難は無関係な第三者への行為となるため、要件が幻覚となっているのです。

過剰避難・誤想避難

避難行為として行われた行為であったが、緊急避難の要件を欠いていたことから違法性が阻却されない場合として、過剰避難誤想避難が考えられます。
過剰避難とは、刑法第37条第1項の後段に規定されているとおり、現在の危難に対する避難行為が緊急の程度を超えていた場合には違法性は阻却されず、情状により責任が軽いと解されるときは、刑を軽減したり免除されたりすることがあります。
そして、誤想避難とは、現在の危難が内にもかかわらず、こうした危難があると誤想して避難行為を行うことは誤想避難といい、誤想避難の場合にも違法性は阻却されません。

このように正当防衛だけでなく、この緊急避難によっても違法性が阻却される可能性があります。
ただ、緊急避難の成立にもさまざまな要件が必要となりますので、緊急避難が成立するかもしれないとお考えであれば一度弁護士の見解を聞くようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見フリーダイヤル0120-631-881にてご予約をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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