МDМA事件で一部執行猶予

МDМA事件で一部執行猶予

МDМAと呼ばれる麻薬を所持していた場合に問題となる罪と、一部執行猶予制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県橿原市在住のAは、橿原市内の会社に勤める会社員です。
Aは10年前に、覚醒剤取締法違反で執行猶予付き有罪判決を受けた前科があります。
しかし、判決の数年後からМDМAと呼ばれる麻薬を使用するようになりました。
ある日、Aが橿原市内を歩いていたところ、パトロール中の警ら隊から職務質問を受け、МDМAを所持していたことが発覚しました。
橿原市内にある橿原警察署に連行されたAに対し、警察官は、鑑定結果を踏まえてまた連絡すると伝えました。
Aは、前科との兼ね合いから執行猶予は難しいのか、一部執行猶予ではどうか、刑事事件専門の弁護士に無料相談しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【МDМAとは?】

МDМAとは、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミンの略称です。
日本では、エクスタシー、バツ、タマなどとも呼ばれているМDМAは、一見すると可愛く思えるような形状をしたカラフルな錠剤である場合も多いです。
摂取後少ししてから、気分の高揚が数時間みられるそうです。
しかし、厚生労働省のホームページによると、МDМAを使用・濫用した場合の症状として
錯乱・憂鬱・睡眠障害
高血圧、心臓の機能不全
悪性の高体温による筋肉の著しい障害
腎臓と心臓血管の損傷
脳卒中、けいれん
記憶障害
などが見られるようです。
このように、МDМAは濫用者の心身に悪影響を与えるのみならず、幻覚等の症状によって自傷他害(暴れまわる等して自分や他人を傷つける行為)の恐れがある極めて危険な薬物です。
また、МDМAを購入する費用が反社会的勢力の資金源になっている可能性があります。

МDМAは、麻薬及び向精神薬取締法の定める「麻薬」(麻薬及び向精神薬取締法2条1号)にあたる、いわゆる合成麻薬です。
同法では、МDМAを含む麻薬等の薬物について、免許を持たない者の輸入、輸出、製造、所持、譲渡、譲受、医療目的以外の使用、栽培を禁じています。
ケースについて見てみると、МDМAを医療目的以外で使用しているため、麻薬及び向精神薬取締法に違反します。
また、МDМAを使用するために所持している場合にも麻薬及び向精神薬取締法に違反します。
なお、МDМAの使用やМDМAの自己使用目的での所持の法定刑は7年以下の懲役です。

【一部執行猶予制度とは?】

刑法には以前から刑罰の全部執行猶予の規定はありましたが、一部執行猶予と呼ばれる制度は平成28年6月1日施行の改正刑法で新設されたものです。

たとえば裁判官が主文を言い渡しで「懲役2年の刑に処する。その刑の一部である懲役6月の執行を2年間、保護観察付きの猶予とする。」などと示した場合、裁判から1年6月の間刑事収容施設(刑務所)に服役したのち、本来は更に服役する必要がある6ヶ月間については2年間猶予され、その間は保護観察官と保護司の指導を受けるということになります。
ただし、猶予期間中である出所後2年の間に刑事事件を起こしてしまった場合には、執行猶予は取り消されることになります。

この制度は、施設内処遇と社会内処遇との連携による、再犯防止と改善更生のために新設されました。
施設内処遇というのは刑事収容施設で更生をはかることであり、社会処遇というのは一般社会に出た後での生活を通じての更生を意味します。
薬物事件の場合、ただ刑事収容施設に身柄拘束して反省を促せばよいというわけではなく、専門家による依存症治療などが必要不可欠です。
そのため、施設内処遇に偏重するのではなく、社会内で治療を受けると同時に薬物なしに生活する訓練が必要不可欠です。
その点で、一部執行猶予は有効であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件などの刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県橿原市にて、職務質問でМDМAの所持が発覚してしまった、一部執行猶予判決について知りたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。

 

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