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無断で傘を借りた場合に罪は成立するの? 窃盗罪と使用窃盗

2023-10-31

無断で傘を借りた場合に罪は成立するのかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

郵便物を投函しようと奈良県大和高田市にあるポストに向かっていたAさんは、ポストに向かう途中に通り雨に降られてしまいました。
通り雨といえど雨脚は強くすぐに止みそうにはありませんし、ポストまではまだ5分ほど歩かなければなりません。
ふと周りを見渡したAさんは、店先に傘が傘立てに置かれていることに気づきました。
悪いことだとは思いつつもAさんは傘を拝借し、10分後、傘を元にあった場所に戻しました。
この場合、Aさんは何か罪に問われるのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

窃盗罪と使用窃盗

成立する可能性がある罪として、窃盗罪が挙げられます。

窃盗罪は刑法第235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

今回の事例では窃盗罪が成立するのでしょうか。

窃盗罪は財物を占有者の意思に反して、自分や第三者に占有を移転させると成立します。
もう少しわかりやすく説明すると、持ち主の意思に反して、持ち主が占有している物を自分や他の人へと占有を移すと窃盗罪が成立します。

占有とは何でしょう。

占有とは、財物の事実的な支配や管理を指します。
誰から見ても誰かの持ち物だとわかる状態であり、持ち主が自分のものだと認識している物には占有があるとみなされます。
店の傘立てに置かれていた傘はおそらく店の店主や従業員、お客さんの持ち物でしょう。
このように、誰から見ても持ち主がいることがわかる状態であり、持ち主が自分のものだと思っている物には占有があるとみなされます。

Aさんが傘を無断で借りてから返すまでの間の10分間は、Aさんが傘を使用していたわけですから、この10分間についてはAさんに占有が移っていたといえます。
そして、Aさんが傘を元の場所に戻した際に、傘の占有がAさんから元の持ち主の下に戻ったことになります。
一時的でも占有が移転したのであれば窃盗罪が成立しそうですが、窃盗罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、今回の事例では窃盗罪が成立しない可能性が高いといえます。
今回の事例では、Aさんは傘を拝借してから10分後に元の場所に戻しています。
傘の占有がAさんに移動したとはいえ、10分後には元の持ち主に占有が戻ったことになります。

占有
の移転が一時的である場合には、被害者の損害が軽微であるとして、窃盗罪ではなく使用窃盗にあたるとして不可罰としています。
例えば、封筒を開けるのに他人のカッターを使用して、すぐに元の場所に戻した場合、カッターの持ち主にはほとんど損害が発生しないでしょう。
このように損害が発生しないような場合や発生したとしても軽微である場合には、窃盗罪は成立せず、使用窃盗として扱われます。
使用窃盗不可罰ですので、懲役刑や罰金刑などの刑罰は科されません。

今回の事例でも、Aさんの下に傘の占有が移動していた時間は10分と短く、傘の所有者が被る損害はごくわずかでしょう。
ですので、今回の事例では窃盗罪ではなく使用窃盗にあたりそうです。

窃盗罪が疑わしい場合は弁護士に相談を

窃盗罪使用窃盗の境界線は明確に規定されているわけではなく、曖昧です。
ですので、物の使用時間や拝借を繰り返した回数によっては、使用窃盗にはあたらずに窃盗罪が成立してしまうおそれがあります。

逆に言えば、窃盗罪で捜査を受けていても、場合によっては使用窃盗にあたる可能性もあります。
弁護士が主張することで、使用窃盗だと判断してもらえる可能性がありますので、窃盗罪で捜査を受けている方は一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

窃盗罪は有罪になると懲役刑が科される可能性のある罪です。
窃盗罪示談を締結することで不起訴処分を見込める場合があります
弁護士に相談をすることで示談を締結できる可能性がありますから、窃盗罪でお困りの方は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
窃盗罪でお困りの方は、ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡くださいませ。

腕時計の文字盤を塗りつぶしたら罪に問われるの?

2023-10-24

時計の文字盤を塗りつぶした際に問われる可能性がある罪として、器物損壊罪が挙げられます。
では、器物損壊罪とはどのような罪なのでしょうか。
今回のコラムでは、器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

器物損壊罪とは?

器物損壊罪は、刑法第261条に基づく犯罪です。
簡単に言うと、他人の物を損壊した場合に器物損壊罪に問われます。

では、「損壊」とはどういった行為を指すのでしょうか?
「損壊」とは、物そのものの形を変更させたり滅失させる行為や、その物自体の効用を害する行為を指します。
例えば、食器を割る行為や、車のタイヤをパンクさせる行為も、この「損壊」に該当します。

親告罪とは?

器物損壊罪親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ起訴することができない犯罪を指します。
この特性により、被害者が告訴しない限り、起訴され刑罰を科されることはありません。

告訴が必要な理由

親告罪の存在理由は、被害者の意志に一定の尊重を与えるためです。
例えば、名誉毀損罪や侮辱罪なども親告罪に該当します。
被害者が示談を望む場合や、告訴を取り下げたい場合には、その意志が尊重されます。

時計の文字盤を塗りつぶしたら?

事例
奈良県大和郡山市に住むAさんは、上司のVさんに嫌がらせをする目的でVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしました。
Aさんが油性ペンで塗りつぶしたことを知ったVさんは、奈良県郡山警察署に被害届を出しました。
その後、Aさんは奈良県郡山警察署の刑事から話を聞かれることになりました。
(この事例はフィクションです。)

事例のAさんに罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、器物損壊罪が成立する可能性があります。

AさんはVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしています。
油性ペンのインクはなかなか落ちないでしょうし、時計の文字盤を塗りつぶされてしまうと、時間を見ることはできなくなります。
腕時計の効用は時間を把握することでしょうから、時間を見れないとなると時計としての効用を失ってしまったと考えられます。
「損壊」というと、床にたたきつけて壊したりなどを思い浮かべますが、物の効用を失わせる行為も含まれます。
ですので、事例のAさんが腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶした行為は、「損壊」にあたるおそれがあり、器物損壊罪が成立する可能性があります。

「損壊」の範囲

先ほどの事例からわかるように、「損壊」の定義は非常に広く、物の形状を変えるだけでなく、その効用を害する行為も含まれます。
このような広い定義により、多くの行為が器物損壊罪に該当する可能性があります。
行為が「損壊」にあたるかどうかは、事例によって異なりますので、器物損壊罪の容疑をかけられた場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

親告罪の刑事弁護活動

親告罪においては、被害者との示談がとても重要となります。
親告罪告訴がなければ起訴できないため、被害者との示談によって告訴を回避または取り下げてもらうことができれば刑事罰が科せられることはありません。

示談交渉は基本的に被害者本人とすることになります。
ですので、今回の事例では、Vさん相手に示談交渉を行うことになります。
AさんがVさんに示談を締結して告訴を取り下げてほしいと頼んだ場合、VさんはAさんの要望に応えるでしょうか。
おそらく示談を締結してもらえないでしょうし、告訴も取り下げてもらえないでしょう。
それどころか、余計にVさんを怒らせてしまうかもしれません。

そういった事態を避けるためにも、示談交渉を行う際には弁護士を入れることをお勧めします。
弁護士を入れることで話がこじれることを防げる場合がありますし、示談を締結できる可能性があります。

器物損壊罪でお困りの方は、刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120ー631ー88124時間365日受け付けております。

【事例紹介】家に押しかけ、ストーカー規制法違反で逮捕

2023-10-17

被害者の家族に対する恋愛感情などにより、被害者の家に押しかけたとして、ストーカー規制法違反逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

被害者の家族に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、10月6日夜から同月7日朝方までの間に、被害者の住居に押しかけ、つきまとい等を反復して行い、ストーカー行為をしたとして、10月8日、男(45歳)をストーカー行為等の規制等に関する法律違反で通常逮捕しました。
(10月12日 奈良県警察発表

ストーカー規制法

ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます。)第2条1項では、恋愛感情などによる好意の感情やそれが満たされないことへの怨恨により以下の行為をすることを「つきまとい等」と規定しています。

①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法では、住居等の平穏や行動の自由などが害される不安を覚えさせるような、つきまとい等を同一の者に反復して行うことをストーカー行為としています。(ストーカー規制法第2条4項)

ストーカー行為をしてストーカー規制法違反で有罪になった場合は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されます。(ストーカー規制法第18条)
また、禁止命令に違反して、ストーカー行為つきまとい等をすることでストーカー規制法違反で有罪になった場合には、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処されます。(ストーカー規制法第19条1項、2項)

今回の事例では、被害者の家族に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、被害者の住居に押しかけ、つきまとい等を反復してストーカー行為をしたとされています。
恋愛感情などの好意の感情やそれによる怨恨で住居に押しかける行為は、つきまとい等に該当します。
反復してつきまとい等を行うことはストーカー行為に当てはまりますので、実際にストーカー規制法の対象となる好意やそれに対する怨恨などの感情で反復して住居に押しかけていたのであれば、ストーカー規制法違反が成立する可能性があります。

ストーカー規制法違反と釈放

ストーカー規制法違反事件では、容疑者が被害者に接触する危険性があることから釈放が認められづらい可能性があります。
また、今回の事例では住居に押しかけているわけですから、住居を知っていることから、被害者に接触するおそれが高いと判断される可能性が高く、釈放が認められづらくなるおそれが非常に高くなります。

弁護士が検察官や裁判官に釈放を求めることで、釈放を実現できる可能性があります。
ストーカー規制法違反事件では、生活圏や通勤経路が同じ場合が多いです。
ですので、事件が終息するまでの間は被害者に会わないように生活圏や通勤経路を変えることや、容疑者が被害者と接触したり逃亡しないように監視監督できる身元引受人がいることを弁護士がアピールすることで、釈放を認めてもらえる場合があります。

勾留逮捕後72時間以内に決定されますので、勾留前に釈放を目指す場合には、逮捕後72時間以内に書面等の提出を終えなければなりません。
書面等を準備する時間が必要になりますので、勾留される前に釈放を目指す場合は、逮捕後、早い段階で弁護士が釈放に向けた活動を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、土日祝日即日対応可能な法律事務所です。
弁護士が釈放に向けた弁護活動を行うことで、早期釈放が実現できるかもしれません。
先ほど勾留前に釈放を目指す場合は逮捕後72時間以内に書面の提出が必要だと書きましたが、勾留が決定した後であっても釈放を求めることは可能です。
ただ、勾留が決定してしまった後だと、釈放を求める機会を2回失ってしまうことになります。
ですので、釈放を目指す場合には、できる限り早く、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】しつけを理由に幼い子供を窒息死させたケース①

2023-10-03

3歳の長男を布団で巻いて死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)3歳の長男を布団で巻いて死なせたとして、傷害致死の疑いで、(中略)容疑者(27)を逮捕した。「泣きやまず、しつけのためだった」と容疑を認めている。
(中略)司法解剖の結果、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いとみられる。目立った外傷はなく、栄養状態にも異常は見られなかった。(中略)
捜査関係者によると、容疑者は「以前にも布団で巻いた」とも話していたという。(後略)
(9月28日 京都新聞 「3歳長男死なせた疑い、千葉」より引用)

傷害致死罪とは

刑法205条によると、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有機懲役に処する」として傷害致死罪を規定しています。

傷害致死罪は、①人の身体を傷害して傷害罪が成立した上で、②傷害よりも重い死亡という結果が生じた場合に、傷害罪よりも重く処罰する法律です。
① については、刑法205条「身体を傷害し」の文言が、②については同条「よって死亡させた」の文言が対応します。

今回のケースでは、容疑者は、しつけにかこつけて、幼い子供を布団で巻いて窒息させたとされていますが、傷害致死罪は成立するのでしょうか?

傷害致死罪が成立するためには、傷害罪の成立が必要になります。
そもそも傷害罪とはどういった犯罪なのでしょうか?

傷害罪(刑法204条)は、「人の身体を傷害」した場合に成立します。
傷害とは、人の生理機能を害することであるとされています(最判27年6月6日刑集6・6・745)
具体的には、殴られたことによる出血などのような外傷のほか、失神、慢性的な頭痛などを生じさせた場合に生理機能を害したとされます。
つまり、殴ったことでけがをさせた場合には傷害罪が成立しますし、頭を強く殴って失神させた場合や、騒音により慢性的な頭痛を引き起こさせた場合にも傷害罪が成立する可能性があります。

本ケースでは、長男を布団で巻いて死亡させたと報道されています。
司法解剖の結果によると、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いそうです。
容疑者が実際に長男を布団で巻いていて、かつ、窒息の原因が容疑者の行為によるものなのであれば、布団で巻くことで長男を窒息させたと言えますから、生理機能を害したとして、傷害罪が成立するでしょう。
加えて、上記行為が原因となって、死亡という結果が生じたのであれば、傷害致死罪が成立すると考えられますので、今回の事例の報道が事実であれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。

逮捕されると、72時間の間に、勾留の判断が行われます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間身体拘束を受けることになります。
傷害致死事件などの人が亡くなっている事件では、量刑が重くなることが予想されますので、逃亡のおそれがあると判断されやすく、釈放が認められづらい傾向にあります。

ですが、傷害致死事件を起こした場合には必ずしも釈放が認められないというわけではありません。
弁護士が勾留の判断が行われるまでの間に、検察官や裁判官に意見書を提出することで、釈放を認められる可能性があります。
この意見書逮捕後72時間以内に提出をする必要があります。
釈放に向けた弁護活動は時間との勝負になりますので、ご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪の容疑をかけられた際の弁護活動について、ご紹介します。

 

詐欺罪と弁護活動:架空請求の事例で理解する7つのポイント

2023-09-26

詐欺罪は、日常生活からビジネスまで多くのシーンで起こり得る犯罪です。
この記事では、詐欺罪の定義から、弁護活動に至るまでを具体的な事例を交えて解説します。

1. 詐欺罪の基本的な定義

詐欺罪とは、他人を欺き財物を交付させることを指します。
具体的には、日本の刑法246条1項により定義されています。

2. 詐欺罪の基本的な成立要件

詐欺罪の成立要件には主に三つの要素があります。
第一に、欺罔行為(虚偽の事実を告げるなど)を用いることが必要です。
第二に、相手が錯誤に陥ること。
第三に、相手方から財物が交付されること。
以上の三つの要素が揃った場合に、詐欺罪が成立します。

刑法246条1項では、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と規定されています。

以上が詐欺罪の基本的な成立要件になります。
次の項目では、欺罔行為の手法について具体的に解説していきます。

3. 欺罔の手法とは

詐欺罪の成立要件の一つである欺罔行為にはさまざまな形があります。
そもそも欺罔行為とは、相手にうそをつき欺く行為を指します。
具体的には、虚偽の事実を告げる、誇大な宣伝を行う、または情報を隠蔽するなどが該当します。
詐欺罪で重要なのは、欺罔行為が被害者を錯誤に陥らせるだけでなく、その錯誤を利用して財産の交付を引き起こさなければならない点です。
ですので、欺罔行為は人に対して行う必要があり、財物の交付を引き起こすようなものでなくてはなりません。

欺罔行為は基本的には言葉による操作が多いですが、行動や状況を利用する場合もあります。
例えば、壊れた商品を新品として売りつける行為も欺罔行為の一つです。
こうした欺罔行為が被害者の判断を誤らせ(錯誤に陥らせ)、財産を交付させる状況が生まれると、詐欺罪の成立要件が揃うことになります。

以上が欺罔行為の手法についての解説です。
次の項目では、被害者が財産を交付する過程について詳しく説明します。

4. 被害者による財産の交付

詐欺罪の成立要件の一つとして、被害者を欺罔行為によって錯誤に陥らせ、財産を交付させることが必要です。
財産の交付とは、被害者が財産を詐欺犯に譲渡する行為を指します。
この財産は、現金だけでなく、物品や不動産、サービスなども含まれます。

重要なのは、被害者が欺罔行為に基づいて自ら行動を起こす点です。
例えば、被害者が欺罔行為によって騙されて自分から振り込みを行った場合、この要件は成立します。
しかし、財産が盗まれた場合や、被害者が何もしなかった場合は、この要件は成立しません。

財産の交付の成立要件には、被害者が自らその行動を選択している必要があります。
つまり、被害者が欺罔行為により錯誤に陥り、その結果として財産を譲渡(交付)する選択をした場合に限り、詐欺罪の成立要件が揃います。

この財産の交付の要件は、詐欺罪が成立するための非常に重要な要素です。
詐欺事件が発生した際には、この財産の交付が明確に行われたかどうかが、事件解決においてキーとなります。

以上が被害者の財産の交付についての解説です。

5. 特殊詐欺の一例: 架空請求

特殊詐欺の中でも、特に知られている事例の一つが架空請求です。
この手法は、被害者に対して実際には発生していない料金や費用の支払いを求めるものです。
これも基本的な詐欺罪の成立要件、すなわち欺罔行為錯誤、財産の交付が全て揃う場合に適用されます。

架空請求の多くは、インターネット上でのポップの表示、メールや電話、書面によって行われます。
例として、インターネット上の有料サービスに登録したと偽り、料金の支払いを求めるケースがあります。
被害者がこのような偽の請求に応じて支払いを行うと、詐欺罪が成立します。

もう少し詳しく見ていきましょう。
実際には支払う必要のない料金の支払いを求めていることから、加害者がうそをついていることになります。
人に対して、財物を交付するうえで重要なうそをついていることから、詐欺罪で規定する欺罔行為にあたると考えられます。
この加害者の欺罔行為により、被害者が支払う必要があると信じ(錯誤に陥り)、料金を加害者に支払えば、財物が交付されたことになりますので、詐欺罪が成立することになります。

以上が特殊詐欺の一例、架空請求についての解説です。
次の項目では、詐欺罪に対する刑罰について詳しく説明します。

6. 詐欺罪に対する刑罰

詐欺罪が成立した場合、その後に待ち受ける刑罰について解説します。
詐欺罪で有罪になると、10年以下の懲役が科されます。
特に大規模な詐欺事件や組織的な詐欺事件が確認された場合、より重い刑罰が科される可能性があります。

詐欺罪で有罪になると、前科が付くことになり、その後の社会生活に多大な影響を与える可能性があります。
例えば、就職活動や資格取得に障害が出ることも考えられます。
そのため、詐欺罪で有罪になると、単に刑罰を受けるだけでなく、その後の人生にも影響を及ぼす重大な問題となります。

7. 詐欺罪で捜査を受けた場合の初動対応

詐欺罪の疑いで捜査を受けた場合、その初動対応が非常に重要になってきます。
以下では、その具体的内容を解説します。

・すぐに弁護士に相談する
詐欺罪で捜査を受けた際にまずやるべきことは、専門家である弁護士に即座に相談することです。
弁護士は、事件の全体像を把握し、最適な対応策を提案してくれます。
事件によって必要となる弁護活動処分の見通しは異なってきます。
不起訴処分執行猶予付き判決の獲得など、より良い結果を得るためにも、早期に弁護士に相談をすることをおすすめします。

・自白や供述を避ける
取調べでは、警察官などの都合の良いように供述が誘導される可能性が高いです。
また、否認事件の場合は、自白を強要されることもあります。
取調べで供述した内容を基に、後の裁判で証拠として使用される供述調書が作成されます。
一度でもあなたの不利になるような供述調書を作成されてしまうと、内容を覆すことは難しく、裁判で不利な状況に陥ってしまう可能性があります。
ですので、どういった内容を供述すればいいのかわからない場合や取調べが不安な場合には、警察に任意で事情を説明することは避け、弁護士が到着するまで黙秘することが望ましいでしょう。

無料法律相談のご利用を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
詐欺事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
ご家族が逮捕された方に向けて、初回接見サービスも行っておりますので、詐欺罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】腹膜炎で死亡させた事例②~傷害致死と釈放~

2023-09-19

前回のコラムに引き続き、お腹を圧迫して腹膜炎で死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

交際相手の子どもに暴行を加えて死なせたとして、奈良県警は(中略)容疑者(中略)を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。調べに対し「全く身に覚えはありません」と話しているという。
捜査1課によると、(中略)容疑者は(中略)奈良県橿原市曽我町の(中略)さん(当時4)に腹を圧迫する暴行を加え、19日に死亡させた疑いがある。死因は十二指腸に穴が開き、腹膜炎が生じたというものだった。
(後略)
(9月6日 朝日新聞デジタル 「4歳児の腹を圧迫し死なせた疑い 母親の交際相手を逮捕 奈良・橿原」より引用)

傷害致死罪と釈放

刑事事件では、逮捕されたとしても釈放が認められれば家に帰ることができます。
ではどういった場合に釈放が認められるのでしょうか。

刑事訴訟法第60条1項では、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で次の3つのうち1つでも当てはまれば、勾留することができると規定しています。
①被告人が定まった住居を有しないとき。
②被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

逆に言えば、上記の①~③に当てはまらない場合には、釈放が認められることになります。

今回の事例では、容疑者が交際相手の娘に暴行を加えて死なせたとして傷害致死罪の容疑で逮捕されています。
被害者は容疑者の交際相手の娘ですので、この交際相手は重要参考人であることが予想されます。
証拠と聞くと犯行に使用したものなどを思い浮かべる方が多いとは思いますが、取調べなどで話す内容も証拠となります。
容疑者は交際相手の住居や連絡先を知っているでしょうから、連絡を取ることは容易であると考えられます。
供述内容を変えるように働きかけることも証拠隠滅になりますから、今回の事例では証拠隠滅のおそれがあると判断される可能性が高いです。

また、今回の事例では、容疑者が容疑を否認しています。
否認事件では、容疑を認めている事件に比べて事件の捜査に要する時間が長くなりますので、勾留の決定など身体拘束期間が長引く可能性があります。
加えて、人が亡くなっている事件では、科される刑罰が重くなることが予想されることから、逃亡する可能性が高いと判断される可能性もあります。

弁護士は勾留の判断について、勾留が決定されるまでの逮捕後72時間以内であれば検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
意見書勾留されることでの不利益や、家族の監視監督により証拠隠滅逃亡のおそれがないことを主張することで、釈放が認められるかもしれません。

また、勾留が決定した後でも、裁判所に対して準抗告の申し立てを行えます。
準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる場合もありますので、釈放を望んでおられる方は、一度弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が意見書の提出や準抗告の申し立てを行い、勾留されて困ることや証拠隠滅逃亡のおそれがないことを主張することで、釈放を認めてもらえる可能性があります。
勾留されるかどうかは逮捕後72時間以内に判断されます。
意見書の提出はこの勾留が判断されるまでの72時間以内に行わなければなりません。
釈放にむけた弁護活動は時間との勝負になりますので、釈放を考えている方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪と殺人罪について解説します。

【事例紹介】腹膜炎で死亡させた事例①~否認~

2023-09-12

お腹を圧迫して腹膜炎で死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

交際相手の子どもに暴行を加えて死なせたとして、奈良県警は(中略)容疑者(中略)を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。調べに対し「全く身に覚えはありません」と話しているという。
捜査1課によると、(中略)容疑者は(中略)奈良県橿原市曽我町の(中略)さん(当時4)に腹を圧迫する暴行を加え、19日に死亡させた疑いがある。死因は十二指腸に穴が開き、腹膜炎が生じたというものだった。
(後略)
(9月6日 朝日新聞デジタル 「4歳児の腹を圧迫し死なせた疑い 母親の交際相手を逮捕 奈良・橿原」より引用)

傷害致死罪

刑法第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪は簡単に説明すると、暴行を加えた結果、殺すつもりがないのに人が亡くなってしまった場合に成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者にお腹を圧迫する暴行を加えた結果、被害者が腹膜炎になり死亡したと報道されています。
暴行とは、簡単に説明すると物理的に力を加えることをいいます。
暴行でイメージするような殴る蹴るはもちろんのこと、体を抑える行為なども暴行にあたります。
ですので、報道されているお腹を圧迫する行為は暴行にあたります。
実際に容疑者が被害者のお腹を圧迫し、圧迫が原因で被害者が死亡したのであれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。

否認と取調べ

今回の事例では、容疑者が「全く身に覚えはありません」と容疑を否認していると報道されています。
容疑を否認している事件では、捜査に時間を要することから勾留期間が長くなるおそれがあります。
勾留されている間は取調べが連日にわたって行われることも少なくありません。

取調べでは、裁判で重要な証拠となる供述調書が作成されます。
取調べでは、警察官などからやっていないことをやったと認めるように勧められたり、警察官などに都合の良いように供述内容を誘導されるおそれがあります。
もしも、嘘の自白やあなたの意に反した内容の供述調書を作成されてしまうと、裁判でかなり不利な状況に陥ってしまう可能性が高くなってしまいます。
そういった事態を防ぐためにも、弁護士と事前に打ち合わせを行い、供述する内容の整理をおこなっておくことをお勧めします。

また、容疑を否認している事件では、自白させるために、きつい取調べが行われることがあります。
弁護士は警察署などに抗議を行うことができますので、取調べでお困りの方は、一度弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
見に覚えのないことで捜査を受けている方、取調べ対応でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回のコラムでは傷害致死罪と釈放について解説します。

器物損壊罪で刑事告訴 親告罪を解説

2023-08-29

器物損壊罪で刑事告訴された事件を参考に、親告罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

奈良県生駒市に住むAさんは、自宅前の路上の自転車の無断駐輪に悩んでいました。
Aさんは、これまで張り紙をするなどの対策をとってきましたが、一向に無断駐輪の自転車はなくならないことに腹を立て、無断駐輪している自転車のタイヤに通した鎖をフェンスに固定し自転車を動かせないように固定したのです。
この行為が器物損壊罪に当たるとして、自転車の持ち主が奈良県生駒警察署刑事告訴したことから、Aさんは警察署で事情聴取を受けました。
自転車を壊したわけでもないのに、自分の行為が器物損壊罪に当たることに納得ができないAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

器物損壊罪~刑法第261条~

他人の物を壊せば器物損壊罪となります。
器物損壊罪でいう「損壊」とは、「毀棄」と同義で、物質的に物そのものの形を変更させたり滅失させる場合だけでなく、広くその物の効用を害する一切の行為が損壊に当たります。
これまで効用滅失行為として器物損壊罪が適用された例としては
・看板を取り外して数百メートル先に放棄した事件
・他人の物置場所を勝手に変更した事件
・食器へ放尿し、食器を再び本来の目的に供することのできない状態にした事件
等があります。
今回の事件でAさんは、自転車その物を壊したわけではありませんが、自転車のタイヤに通した鎖をフェンスに固定していることによって、自転車の所有者が、鎖を破壊しなければ自転車を使用できない状態にしています。
この行為は、自由に運行の用に供するという自転車本来の効用を事実上失わせた行為であるから、器物損壊罪にいう損壊に当たると解されて、Aさんの行為が器物損壊罪に当たる可能性は十分に考えられます。

親告罪

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
Aさんの行為に適用されるであろう器物損壊罪をはじめ、名誉毀損罪、侮辱罪、秘密漏示罪、過失傷害罪、私用文書等毀棄罪、略取誘拐罪や親族間の窃盗罪等がこれに当たります。

親告罪には、告訴不可分の原則があります。
これは、共犯の1人または数人に対してした告訴または告訴の取消しは、他の共犯に対してもその効力を生じることです。
これを告訴の主観的不可分と言います。
また犯罪事実の一部に対してした告訴または告訴の取消しは、その全部について効力が生じます。
これを告訴の客観的不可分と言います。

親告罪の刑事弁護活動

親告罪には

・告訴がなければ起訴できない
・一度取消した告訴は、同じ事実で再び告訴できない

という決まりがあります。
そのため器物損壊罪のような親告罪の刑事弁護活動は、被害者との示談が最優先されます。
未だ被害者が告訴していない場合は、示談書の中で告訴しないことを約束してもらい、既に告訴してしまっている場合は、告訴を取消すことを約束してもらうのです。
そういった内容の示談を、起訴されるまでに締結することができれば、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けていても、刑事罰が科せられることはありません。

奈良県生駒市の刑事事件でお困りの方、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けておられる方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

被害者との示談を弁護士が代行 刑事手続きにどう影響するの?

2023-08-22

被害者との示談を弁護士が代行した際に、刑事手続きに及ぼす影響について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

窃盗や、詐欺事件、(業務上)横領事件等の財産犯事件や、暴行や傷害事件等の暴力事件など、被害者が存在する事件を起こして警察の捜査を受ける場合、被害者との示談を成立させることができれば、最終的に下される刑事罰が軽減されます。
そこで本日のコラムでは、刑事手続きにおける示談について解説します。

示談とは

示談とは「話し合いで解決すること、民事上の紛争を裁判によらずに当事者の間で解決すること」です。
弁護士がこの示談を代行する場合、示談交渉の中で、被害弁償金の額・支払方法、その他の約束事に関する合意がなされ、合意内容を示談書にまとめます。
示談は、民事上の問題だけでなく、刑事上でも、様々な段階で考慮されることがあります。

示談の効果

~捜査着手前~

警察などの捜査機関が事件を認知し、捜査に着手する前にも示談を成立させることができます。
捜査機関の認知のきかっけは、捜査機関自身が事件を現認した場合などや、被害届告訴・告発状の捜査機関への提出による場合です。
前者の場合は、示談をする暇がありませんから捜査機関認知を阻むことはできませんが、後者の場合は、通常、犯罪発生から認知まである程度の日数がありますから、その間に示談交渉を行うことが可能といえます。
そして、示談を成立させることができれば、被害者らに被害届、告訴・告発状の提出を取り止めていただくことができるかもしれませんし、仮にそうなれば、捜査機関が事件を認知すること自体を阻止することができます。

~警察の捜査段階~

警察が捜査に着手した後も示談交渉を行うことは可能です。
示談を成立させることができれば、被害者らに被害届、告訴・告発状を取消していただくことができるかもしれません。
仮に、そうなれば、警察としては捜査を継続、あるいは検察庁へ事件を送致する意味がなくなりますから、事件不送致という結果を獲得できる可能性も高まります。
また、一部の事件では、示談被害弁償をすれば警察の微罪処分となる可能性もあります。微罪処分となれば、事件自体は検察官へ「報告」されますが、刑事罰や前科を受けることはありません。

~検察庁送致後~

検察庁へ事件送致後示談交渉を行うことは可能です。
示談を成立させることができれば、被害者らに被害届、告訴・告発状を取消していただくことができるかもしれません。
また、検察官が起訴という刑事処分をするにあたって告訴を必要とする犯罪を親告罪(例:器物損壊罪(刑法261条)、過失傷害罪(刑法209条)、未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)など)と言いますが、起訴前に告訴が取消されていれば、検察官は親告罪につき自動的に不起訴処分にせざるをえません。
不起訴となれば前科は付きません。
また、親告罪以外の事件でも、示談は刑事処分を決める上で重要な考慮事情になります。示談が成立し、被害者の許しを得ていれば不起訴を獲得できる可能性は高くなります。ただし、検察官が示談成立を待つ義務はありません。中には示談交渉中に刑事処分を出す検察官もいます。

~起訴後~

刑事処分前に示談を成立させたも、その他の事情により起訴されてしまう場合もあります。しかし、示談が無意味となるわけではありません。
裁判官が量刑を決める上で重要な考慮事情になります。
また、起訴後も引き続き示談交渉を行うことができ、示談の内容などによって、執行猶予判決を獲得できたり、刑の重さそのものが軽くなります。

刑事事件の示談に強い弁護士

奈良県内の刑事事件でお困りの方、被害者との示談を希望される方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件でお困りの方からのご相談を初回無料で承っておりますので、まずはフリーダイヤル0120-631-881でご予約をお取りください。

生駒市の会社で業務上横領 警察沙汰にされたらどうなるの?

2023-08-15

生駒市の会社で業務上横領が発覚した際に、会社が警察に訴えて警察沙汰にされたらどうなるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

Aさんは、奈良県生駒市の自動車整備会社で経理の仕事しています。
数年前からAさんは、業者に自動車部品を発注したかのように装い、会社からこれまで数百万円を横領しました。
この件が、先日会社に発覚し、Aさんは上司から聞き取りを受けています。
上司からは「刑事告訴を検討している。」と言われたAさんは、警察沙汰になるとのどうなるのかが不安です。
(フィクションです。)

業務上横領の刑事罰

業務上で、会社のお金を横領すると業務上横領罪となります。
業務上横領罪は罰金刑の定めがなく、その法定刑は「10年以下の懲役」と厳しいものです。
窃盗罪など罰金刑のある罪の場合には、起訴されてしまう場合にも、公開法廷ではなく、書類だけ裁判所に送られるという略式手続というものがあり、負担が少ない方法が選択される場合もあります。
これに対し、業務上横領罪起訴されてしまうときには、必ず公判請求、つまりテレビで普段目にするような法廷での裁判となります。
そのため、業務上横領罪では不起訴を目指す必要性が高くなります。

業務上横領罪の量刑相場

業務上横領罪起訴された場合で、初犯(前科がない場合)である場合には、横領の方法や、本人の反省の程度などにもよりますが、概ね横領額(正確には、その段階で弁済できていない被害金額)が100万円を上回ると、実刑判決の可能性がでてきます。
そのため、仮に起訴されてしまうような場合でも、1円でも多く弁済することが必要となります。

業務上横領罪の弁護活動

業務上横領罪の弁護活動で必要となることは、被害者に対して示談交渉をし、できる限りの弁済を行うことです。
事件発覚直後の会社の対応は、感情的になることもありますし、会社の顧問弁護士が出てきて、いきなり支払いを求められるといったこともあります。
そのため、自分自身で被害弁償のための示談交渉をしようとしても、一切取り合ってもらえなかったり、反対に十分な情報を教えてもらえなかったりすることもあります。
きっちりと被害弁償を行うためには、第三者である弁護士に依頼をして、会社と交渉をすることが必要不可欠です。

生駒市の刑事事件に強い弁護士

生駒市の業務上横領事件でお困りの方、警察未介入業務上横領事件早期示談を求める方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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