あおり運転で刑事事件に

あおり運転で刑事事件に

あおり運転をした場合に問題となる罪と、刑事事件行政処分の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県吉野郡大淀町在住のAは、吉野郡大淀町内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aが吉野郡大淀町内の一般道を車で走行していたところ、コンビニエンスストアの駐車場から突然バイクに乗ったVが車道に出てきたため、Aは急ブレーキを踏まざるを得なくなりました。
Vは不注意に気付いて謝罪のためAにクラクションを鳴らしましたが、Aは頭に血がのぼり、Vのバイクを執拗に追いかけた上でVが恐怖を感じるほどに車間距離を詰めるなどしました。
結果として、Vが事故に巻き込まれたり運転操作ミスで転倒したりといったことはありませんでしたが、Vは恐怖を感じ吉野郡大淀町を管轄する吉野警察署の警察官に被害届を提出しました。

吉野警察署の警察官は、捜査の結果Aを、あおり運転の罪で逮捕しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【あおり運転について】

あおり運転という言葉を知らない方は少ないのではないでしょうか。
改めて説明すると、車両が他の車両の通行を妨害する行為を意味します。

最近では自家用車にもドライブレコーダーを搭載している場合が多く、加害者側・被害者側の車両や前後を走っていた車両などのドライブレコーダー映像がきっかけとなり得ます。
あおり運転も同様で、ドライブレコーダーの映像により事件の全貌が明らかになることがあるようです。

あおり運転は、その危険性から、令和2年6月10日に公布された改正道路交通法により、列挙され、厳罰化されました。
あおり運転にあたる行為は以下のとおりです。

・通行区分違反
・急ブレーキ禁止違反
・車間距離不保持
・進路変更禁止違反
・追い越し違反
・減光等義務違反(前方車両にハイビームなどを向ける行為)
・警報機使用制限違反(クラクションの多用)
・安全運転義務違反(幅寄せ等)
・最低速度違反(高速道路・渋滞などを除き、50km/h未満の速度で運転した場合)
・駐停車違反(高速道路・自車を停車させることで後続車両を停止させる等の行為)

以上の10項目のいずれかに違反した場合、
①交通の危険の恐れが認められる場合:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条の2の2第11号)
②高速道路での著しい危険の恐れが認められる場合:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路交通法117条の2第6号)

と定められています。

【刑事事件と行政処分】

上記で示した内容は、刑事事件での刑事罰です。
刑事事件とは、刑法をはじめとした法律に違反する罪を犯した嫌疑のある者(被疑者)に対し、警察官・検察官などの捜査機関が捜査を行い、証拠を収集したうえで、担当検察官が起訴するか否かの判断を下します。
起訴された場合、被疑者は被告人という立場に変わり、刑事裁判を受けます。
裁判官は証拠や被告人の供述などを踏まえ、有罪か無罪か、有罪の場合には懲役刑・罰金刑などの刑事罰を併せて、判決として言い渡します。

あおり運転などの道路交通法などに違反する事件の場合、刑事罰とは別に、行政処分を受ける可能性があります。
行政処分とは、端的に言うと運転免許証の問題です。
ご案内のとおり、車やバイクなどの運転をする場合には各都道府県に設置されている公安委員会が交付する運転免許証を必要とします。
運転免許証は運転免許試験を受けて合格した者全員に公布されるものですが、その後の交通違反などにより加点され、一定以上の点数に達した場合には運転免許の停止処分・取消処分を受けることがあります。

加点される点数は違反の内容により異なりますが、あおり運転の場合、①については違反点数25点、②については違反点数35点になります。
仮に違反歴がなかったとしても、
25点加点された場合には運転免許取消、その後2年間は再取得不可(欠格期間)
35点加点された場合には運転免許取消、その後3年間は再取得不可(同)
となります。

刑事事件行政処分は別個の手続きで行われますので、行政処分を受けたら刑事事件にはならない、というわけではありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
奈良県吉野郡大淀町にて、あおり運転事件を起こして取調べを受けている方、ご家族があおり運転事件で逮捕されている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

※弊所では、行政処分についての対応はできません。刑事事件のみのご相談となります。

 

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