小学生の子どもを蹴って怪我を負わせ、逮捕された事例
児童虐待により、保護者が逮捕されたニュースというのは、ここ最近めずらしくないニュースになりました。
今回のコラムでは、児童虐待について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
奈良市に住むAさんは、自宅で小学生の子どもを蹴り、怪我を負わせました。
Aさんの妻がAさんが子供に怪我を負わせた事を知り、警察に通報したことにより、Aさんは逮捕されることになりました。
警察は日常的に虐待していた可能性も含め、調べを進めています。
(事例は事実に基づくフィクションです。)
児童虐待
児童虐待の防止等に関する法律第2条
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすることまたは児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置、保護者以外 の同居人による前二号または次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者とし ての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配 偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
児童虐待とは、親権者や未成年後見人などの「保護者」が、自ら監護する18歳未満の「児童」に対して暴行やわいせつな行為等をすることをいいます。
さらに、まともな食事を与えない、長時間の放置、拒絶的な対応も虐待と言え、配偶者への暴力や性的な行為を見せつける事によって児童にトラウマを植え付けてしまうことも児童虐待にあたる可能性があります。
児童虐待の防止等に関する法律(以下「児童虐待防止法」)では、児童虐待を禁止しています。(児童虐待防止法第3条)
児童虐待防止法では、第3条に違反した場合の罰則について規定されていませんが、だからといいって児童虐待をした際に罪に問われないわけではありません。
例えば、暴行を加えて怪我を負わせた場合には傷害罪が、わいせつ行為をした場合には監護者わいせつ罪などが成立する可能性があります。
傷害罪
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
大まかに説明すると、人に暴行などを加えて怪我を負わせた場合には、傷害罪が成立します。
人を蹴ったり、殴ったりする行為が暴行にあたります。
今回の事例では、子どもを蹴って怪我を負わせているようですので、Aさんに傷害罪が成立する可能性が高いといえます。
逮捕された場合における弁護活動
弁護活動では早期の身柄解放活動が重要となります。
軽い怪我を負わせたにとどまる傷害事件では、逮捕された場合であっても、比較的早期に釈放されることも少なくありません。
しかし、同居する子供を傷害した事件であって、日常的な虐待が疑われるケースについては別です。
早期に釈放すれば再び子供への虐待に及ぶおそれが非常に高く、証拠隠滅も比較的容易であるからです。
DVや虐待事件など、加害者と被害者との生活空間が近い場合には、身体拘束が長期化する可能性が高いということができます。
このような場合に早期の身柄解放を実現するためには、少なくとも事件が解決するまで、被害者のもとに戻らない、近付かないことを捜査機関、裁判所に主張し納得してもらう必要があります。
その方法の一例として、身元引受人を用意し、責任をもって釈放された被疑者を監督する旨を誓う上申書を作成して、捜査機関や裁判所に働きかけることが考えられます。
適切な身元引受人の選択、説得的な上申書の作成、捜査機関や裁判所への働きかけには、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが役に立ちます。
ご家族への虐待の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
ご家族が虐待の疑いで逮捕されお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。