不同意わいせつ・監護者わいせつ

~不同意わいせつ罪~

服の上からでなく、服の中に手を入れたような場合には、迷惑防止条例違反ではなく不同意わいせつが成立する可能性があります。なお、2023年に刑法が改正されるまでは「強制わいせつ」という罪名でした。

 

1 構成要件該当性(刑法第176条)

(1)客観面

  1. 16歳以上の男女に対し
  2. 性的な行為について同意し得ない状態下において
  3. わいせつな行為をすること

②は、相手に暴行や脅迫を加える場合のほか、相手の心身に障害がある状態を利用したり、相手が薬物やアルコールの影響で同意の意思を表明し難い場合、相手との人間関係や経済的関係によって同意を表明し難い場合も、これに当たります。従って、わいせつな行為をしても、相手が同意をしていたといえる場合や同意の意思を表明できないような状況にはなかったといえる場合には犯罪になりません。

なお、たとえばいきなり背後から抱きつくなど、わいせつ行為それ自体に暴行としての性質があるような場合は、暴行又は脅迫を用いたと認められます。

迷惑防止条例とは異なり、公共の場所で行ったかどうかは関係ありません。

また、被害者が13歳未満の男女にわいせつな行為をした場合は、暴行又は脅迫を用いなくても強制わいせつ罪が成立します。さらに、13歳以上16歳未満の男女に対してわいせつな行為をした場合、その相手との年齢差が5歳未満であれば不同意わいせつ罪が成立しない場合があります。

 

(2)主観面

過失犯処罰規定はありません。

なお、以前は、わいせつな目的を持って行わなければ不同意わいせつ罪は成立しないとされてきましたが、現在では、わいせつな目的がなくても成立しえます。

 

2 罰則

6月以上10年以下の懲役に処せられます(刑法第176条)。

 

 

~監護者わいせつ罪~

刑法改正で新たに処罰の対象となった行為です。

暴行・脅迫を用いていなくても,または抗拒不能に乗じるようなことがなくても,18歳未満の者に対して,例えば親に当たるなどの監護者としての地位を利用してわいせつな行為をした場合に成立します。

 

1 構成要件該当性(刑法第179条1項)

(1)客観面

  1. 十八歳未満の者に対し
  2. その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて
  3. わいせつな行為をすること

 

(2)主観面

過失犯処罰規定はありません。

わいせつな目的がなくても成立することは,強制わいせつ罪と同様です。

 

2 罰則

6月以上10年以下の懲役に処せられます(刑法第179条1項,第176条)。

 

~弁護活動の例~

⑴ 示談

不同意わいせつ罪等は親告罪ではなくなりましたが,被害者の感情に配慮するという運用は今後も変わることはないと考えられますので,示談をするときには,被害者が裁判を望まないという文言を入れてもらえれば,不起訴処分になる可能性が高いといえます。

また,示談をすることで釈放の可能性も高まりますので,早期の職場復帰・社会復帰を図ることもできます。

起訴前でも起訴後でも,被害弁償と示談の有無及び被害者の処罰感情が処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して,納得のいく示談をすることが重要です。

 

⑵ 無罪主張

不同意わいせつ行為等を行っていないにもかかわらず事件の容疑をかけられて逮捕又は捜査されてしまった場合は,嘘の自白をしないよう取調べについての対応をアドバイス致します。

また,弁護側の証拠収集によって,目撃者や客観的な証拠を探し出すことで,被害者の供述が信用できないことを主張していきます。

また,不同意わいせつ罪においては,同意を表明し難い状態にないことを裏付けることで,同罪が不成立になる場合があります(別罪が成立する可能性はあります)。

 

⑶ 身柄の早期解放

逮捕されても,適切な取調べ対応と弁護活動によって早く留置場から出ることができます。

逮捕された方が早く留置場から出るためには,逮捕の後に勾留されないことが大切です。

勾留を阻止するためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。

その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,反省していることや,二度とわいせつ行為をしない旨を主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

⑷ 更生環境調整

依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポートします。

性犯罪を起こした方は、自分のした行為を恥じ、深い後悔をされている方がほとんどです。にもかかわらず、犯行を常習的に行ってしまう場合があります。繰り返し性犯罪で捕まった場合、反省や更生がされていないとして、重い処分がなされる可能性が高まります。

しかし、そのような常習者のなかにも、犯罪行為を止めたいと思いながら、自らをコントロールできずに繰り返してしまう方がいます。このような場合には医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みるように促します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を中心に取り扱う事務所として,刑事事件の経験が豊富な弁護士・スタッフが在籍しておりますので,痴漢・強制わいせつについてのご相談がございましたら,弊所にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー