お腹を圧迫して腹膜炎で死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
交際相手の子どもに暴行を加えて死なせたとして、奈良県警は(中略)容疑者(中略)を傷害致死の疑いで逮捕し、発表した。調べに対し「全く身に覚えはありません」と話しているという。
捜査1課によると、(中略)容疑者は(中略)奈良県橿原市曽我町の(中略)さん(当時4)に腹を圧迫する暴行を加え、19日に死亡させた疑いがある。死因は十二指腸に穴が開き、腹膜炎が生じたというものだった。
(後略)
(9月6日 朝日新聞デジタル 「4歳児の腹を圧迫し死なせた疑い 母親の交際相手を逮捕 奈良・橿原」より引用)
傷害致死罪
刑法第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
傷害致死罪は簡単に説明すると、暴行を加えた結果、殺すつもりがないのに人が亡くなってしまった場合に成立します。
今回の事例では、容疑者が被害者にお腹を圧迫する暴行を加えた結果、被害者が腹膜炎になり死亡したと報道されています。
暴行とは、簡単に説明すると物理的に力を加えることをいいます。
暴行でイメージするような殴る蹴るはもちろんのこと、体を抑える行為なども暴行にあたります。
ですので、報道されているお腹を圧迫する行為は暴行にあたります。
実際に容疑者が被害者のお腹を圧迫し、圧迫が原因で被害者が死亡したのであれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。
否認と取調べ
今回の事例では、容疑者が「全く身に覚えはありません」と容疑を否認していると報道されています。
容疑を否認している事件では、捜査に時間を要することから勾留期間が長くなるおそれがあります。
勾留されている間は取調べが連日にわたって行われることも少なくありません。
取調べでは、裁判で重要な証拠となる供述調書が作成されます。
取調べでは、警察官などからやっていないことをやったと認めるように勧められたり、警察官などに都合の良いように供述内容を誘導されるおそれがあります。
もしも、嘘の自白やあなたの意に反した内容の供述調書を作成されてしまうと、裁判でかなり不利な状況に陥ってしまう可能性が高くなってしまいます。
そういった事態を防ぐためにも、弁護士と事前に打ち合わせを行い、供述する内容の整理をおこなっておくことをお勧めします。
また、容疑を否認している事件では、自白させるために、きつい取調べが行われることがあります。
弁護士は警察署などに抗議を行うことができますので、取調べでお困りの方は、一度弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
見に覚えのないことで捜査を受けている方、取調べ対応でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
次回のコラムでは傷害致死罪と釈放について解説します。