物を持ち去っても器物損壊罪
器物損壊について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
奈良県大和高田市に住むAは居酒屋でお酒を飲んでいた際に、隣で飲んでいたVとトラブルになってしまいました。
その場は収まったのですが、Aの腹の虫は収まらず、Vがトイレに席を立っているときにVのバッグを持ち去り、店の近くに隠してしまいました。
後日、奈良県高田警察署の警察官から電話があり、Aは器物損壊の疑いで取調べを受けることになりました。
初めての取調べに不安を感じたAは刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この事例はフィクションです)
嫌がらせ目的で他人の物を隠す
今回のAは被害者のバッグを持ち去っているため、一見すると窃盗罪のように思われるかもしれません。
もちろん、同じような事例であっても状況等によっては窃盗罪となる可能性もありますが、今回のAのように完全に嫌がらせ目的で他人の持ち物を隠したりすると器物損壊となる可能性が高いです。
そもそも、窃盗罪が成立するためには、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い、これを利用又は処分する意思」、不法領得の意思が必要であると言われています。
しかし、嫌がらせ目的の場合はこの不法領得の意思がないと判断されることがあり、その結果、窃盗罪が成立しない可能性があるのです。
ただ、窃盗罪にあたらないからといって何の犯罪にもならないかというとそうではありません。
今回の事例のように嫌がらせ目的で人の物を隠し、不法領得の意思が認められないような場合、器物損壊となる可能性が高いです。
器物損壊
器物損壊は刑法第261条に規定されており、他人の物を損壊、傷害することで成立します。
損壊については割ったり、傷つけたりといった物理的な損壊をイメージしてしまうかと思いますが、器物損壊における損壊は「物の本来の効用を失わせる行為」をいい、物理的な損壊に限定されているわけではありません。
そのため、物理的に破壊したわけではない、食器などに排泄する行為や服に精液をかけるといった行為、今回の事例のような隠匿行為についても損壊にあたるとされています。
なお、傷害は動物を客体とする場合を想定しています。
そして、器物損壊は親告罪であると規定されています。
親告罪
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起できない罪のことを指します。
公訴を提起できない、とはつまり起訴されることはないということです。
そこで、親告罪の場合の弁護活動としては、示談交渉が非常に重要となってきます。
すでに告訴されていたとしても示談交渉の結果、示談を締結し、告訴を取り消すことができれば、不起訴となりますので、示談交渉の専門家である弁護士に依頼するようにしましょう。
刑事事件全般に言えることですが、親告罪の場合は特に、早めに弁護士に依頼することが重要となります。
特に、身体拘束を受けていない、いわゆる在宅事件の場合は起訴されるまでの間に国選弁護人は付かないことになります。
しかし、この起訴されるまでの期間に示談できるかどうかが、処分に大きく関わってくることになるので、まずは刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くようにしましょう。
弁護人がいない状態で示談交渉を進めていくことは、とても難しく、示談が決裂してしまった場合に前科が付いてしまうかもしれないというリスクを考えると私選で弁護人を選任することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件、示談交渉に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。