執行猶予中の犯罪

執行猶予中の犯罪

執行猶予中の犯罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
奈良県桜井市に住むAは、2年前に詐欺事件を起こしてしまい、「懲役3年執行猶予5年」の有罪判決を受けていました。
その後は穏やかに暮らしていたAでしたが、あるとき出来心からコンビニエンスストアで万引きをしてしまいました。
Aの犯行は店員に発覚してしまい、通報され、奈良県桜井警察署の警察官が駆け付けました。
その後Aは、奈良県桜井警察署で取調べを受けることになりましたが、このままでは執行猶予が取り消されてしまい、刑務所に行かなければならないのかと不安になりました。
そこでAは、刑事事件に強い弁護士の無料法律相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです。)

執行猶予中の再犯について

刑の全部の執行猶予刑法第25条に規定されています。

刑の全部の執行猶予は、

前に禁錮以上の刑に処せられたことのない者
若しくは、
前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又は免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者

3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金
の言渡しを受けたとき、
情状により裁判確定の日から1年以上5年以下の期間その刑の執行を免除される

というものです。

今回のAは、2年前に「懲役3年の言渡しを受けていますが、5年の期間その執行を猶予されている状態」、ということになります。
このような執行猶予中に再犯をしてしまうと、執行猶予は必ず取り消されてしまうのでしょうか。

刑の全部の執行猶予が取り消される場合

執行猶予中に罪を犯した場合に刑の全部の執行猶予が取り消される場合は

1.猶予の期間内にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき(刑法第26条第1号)

2.猶予の期間内にさらに罪を犯し、罰金に処せられたとき。(刑法第26条の2第1号)

が考えられます。

1については、必要的取消であり、必ず執行猶予が取り消されてしまいます。
2は裁量的取消であるとされており、裁判官の判断で取り消されてしまう可能性があります。
今回のAは、「懲役3年執行猶予5年」の執行猶予期間に「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」である窃盗罪を犯してしまいました。
例えば、今回の窃盗罪で「懲役2年」という言渡しを受けてしまい、執行猶予が取り消されると前回の懲役3年と合わせて5年間刑務所に行かなければならなくなるのです。

執行猶予が取り消されないために

執行猶予中に犯罪をしてしまった場合でも必ず執行猶予が取り消されて刑務所に行かなければならないわけではありません。
執行猶予が取り消されないための活動として、被害者の方と示談を締結するなどして不起訴処分を目指していく方法が考えられます。
もしも、起訴されてしまうという場合でも、検察官に意見書を提出するなどの活動によって懲役刑ではなく、罰金刑を求めていきます。
前述のように罰金刑であれば、執行猶予が必ず取り消されるというわけではなくなります。
これらの活動は刑事事件に強い弁護士に依頼するようにしましょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、被害者との示談交渉、検察官との処分交渉の経験も豊富にありますので、安心してお任せいただくことができます。

そして、公判請求されてしまったとしても、まだ望みを捨ててはいけません。

再度の執行猶予

執行猶予中に犯罪をしてしまい、起訴されて公判請求となり、裁判を受けるという段階になっても、まだ執行猶予が取り消されるとは限りません。
執行猶予中にしてしまった犯罪についてもう一度執行猶予判決を受ける可能性が残されています。
執行猶予中の犯罪について執行猶予判決を受けることを再度の執行猶予といいます。

刑法第25条第2項には、
「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者」
が、
1年以下の懲役又は禁錮の言渡し
を受け、
情状に特に酌量すべきものがあるとき
は刑の全部の執行を猶予することができる

と規定しています。
(ただし、保護観察付執行猶予であった者は除く)

すなわち今回のAが起訴されて裁判となってしまった場合でも、「懲役1年以下」の言渡しであり、情状に酌量すべきものがあれば、再度の執行猶予を獲得できる可能性があるのです。
再度の執行猶予を獲得できれば、執行猶予が取り消される場合の1「猶予の期間内にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき」ではなくなるのです。
ただ、この再度の執行猶予獲得を目指していくには、情状面で有効なアピールをしていくなど適切な弁護活動が必要となりますので、刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。


このように、執行猶予中に罪を犯してしまっても、必ず執行猶予が取り消されてしまうというわけではありません。
執行猶予中に罪を犯してしまった場合でも、実刑を回避できることもありますので、一度刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の弁護士事務所です。
フリーダイヤル0120-631-881にて24時間体制で無料法律相談、初回接見のご予約をお待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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