パワハラが傷害事件に
パワハラが傷害事件になる場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
奈良県奈良市にある中小企業で管理職をしているAさんは、何度注意しても改善が見られない部下に対して腹が立ち、ある日、その部下の顔面を平手で殴ってしまいました。
その暴行によって部下は唇を擦過する全治1週間の傷害を負いました。
その後、部下は会社を辞めて、Aさんを奈良県奈良警察署に傷害罪で訴えたのです。
警察から呼び出しを受けたAさんは、会社の上司に相談し、示談交渉に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士を紹介してもらいました。
(この事例はフィクションです)
先日はセクハラが刑事事件になる場合についてご紹介しましたが、パワハラの場合にも刑事事件になる可能性があります。
パワハラ
パワハラとは、パワーハラスメントの略で、セクハラと共にハラスメントの中でも世間に広く認知されています。
厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策に関する検討報告会報告書」でパワハラの概念を整理しており、パワハラとは以下の三つの要素を満たすものとしています。
・優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
・業務の適正な範囲を超えて行われること
・身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
パワハラが刑事事件化する可能性が高いのは、今回のような身体的な攻撃の場合でしょう。
さらに今回の事例のようにケガをさせてしまった場合には、傷害罪として事件化の可能性はさらに高くなります。
もちろん、精神的攻撃も発言内容や状況によっては、名誉毀損罪や侮辱罪、強要罪となる可能性もありますので、パワハラで警察に訴えられそうという場合には、刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。
傷害罪
刑法第204条には、人の身体を傷害した者に、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処する旨規定されています。
傷害罪の成立には、相手に傷害を負わせる故意まで必要とされていませんが、少なくとも故意的に暴行したことが必要となります。
暴行の故意がなく、いわゆる過失によって相手に傷害を負わせた場合は、過失傷害罪となります。
また、相手に傷害を負わせるまでの故意があって暴行したが、結果的に相手が怪我をしなかった場合は、暴行罪が成立するにとどまります。
暴行と傷害の因果関係
傷害罪が成立するには、暴行行為と相手の傷害の間に因果関係が必要です。
刑法上の因果関係については諸説ありますが、実務での基本的な考え方は、「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認める(条件説)というものです。
今回の事件を考えると、当然、Aさんの暴行がなければ、部下が怪我をすることがなかったので、Aさんの暴行行為と、部下の傷害に因果関係が認められることは間違いありません。
示談交渉
傷害事件の場合、被害者との示談が成立すれば不起訴処分を獲得できるかもしれません。
検察官に事件が送致されるまでの、警察の捜査段階で示談が成立した場合には送致さえされないこともあるので、刑事罰を免れたい方は、一刻も早く被害者と示談することをお勧めします。
ただ、相手のケガの程度や暴行の態様によって見通しは変わってきますので、専門家である弁護士の見解を聞いたほうがよいでしょう。
奈良県の刑事事件でお困りの方、パワハラが傷害事件となり、被害者との示談を希望される方は、示談交渉に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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