名誉毀損罪と侮辱罪
名誉毀損罪と侮辱罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
奈良県奈良市にある会社に勤めているAは、同僚Vとの出世競争で差をつけられていました。
そのことで、ストレスを感じていたAは、インターネット掲示板にVに対する誹謗中傷を書き込むことでストレスを解消していました。
見た人がVであることを特定できるかたちで数か月にわたって書き込みを続けていると、Vも掲示板の書き込みに気が付きました。
Vは奈良県奈良西警察署に被害届を提出し、捜査の結果、Aの犯行であることが発覚しました。
Aは、奈良県奈良西警察署の警察官から呼び出しを受けています。
(この事例はフィクションです。)
名誉毀損罪と侮辱罪
今回のAは、インターネット掲示板にVに対する誹謗中傷を書き込んだことで事件となっています。
このとき、考えられる罪名としては、名誉毀損罪と侮辱罪が挙げられます。
まずは、条文を確認してみましょう。
名誉毀損罪
刑法第230条1項
「公然と事実を適示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」
侮辱罪
刑法第231条
「事実を適示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。」
まずは、名誉毀損罪と侮辱罪に共通している「公然と」という言葉に注目してみましょう。
どちらも公然と行うことで成立する犯罪ですので、本人と二人の時に直接、名誉を毀損する言葉や侮辱する言葉を伝えただけでは、名誉毀損罪や侮辱罪は成立しません。
では、今回の事例のように、インターネット上での書き込みはどうでしょうか。
インターネット上の掲示板やSNSでの名誉毀損罪についてはニュースでも放送されることもあるように、成立する可能性は高いでしょう。
インターネット上の掲示板やSNSなどへの書き込みは世界中に配信されるので「公然性」が認められてしまう可能性が高いのです。
事実の適示
名誉毀損罪も侮辱罪も公然と行うことで成立することは確認しました。
では、次に二つの条文の違いをみてみましょう。
注目すべき点は名誉毀損罪が「事実を適示し」となっていることに対して侮辱罪では「事実を適示しなくても」となっている点です。
つまり、今回の事例でおえば、Aが「Vは不倫している」など具体的な事実を適示して誹謗中傷していたような場合には、名誉毀損罪となる可能性が高く、事実の適示がなく、「Vはバカだ」など単に侮辱しただけの場合は、侮辱罪となる可能性が高いということです。
親告罪
名誉棄損罪と侮辱罪は共に親告罪であると規定されています。(刑法第232条)
親告罪とは、被害者の告訴がなければ、公訴を提起できない、つまり起訴できない犯罪のことを指します。
そのため、親告罪の弁護活動では被害者との示談交渉が非常に重要となってきます。
ただ、名誉毀損罪や侮辱罪では、被害者の被害感情は大きなものとなっていることがほとんどです。
被害感情が大きいときに、加害者本人が直接示談交渉をしてしまうと、下手をすれば被害者の怒りをさらに増大させてしまう可能性があります。
このように、困難が予想される示談交渉は、刑事事件に強い弁護士任せるようにしましょう。
刑事事件に強い弁護士は、さまざまな事件で示談交渉をしてきた経験がありますので、被害者の被害感情が大きい場合にも適切に対処することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
警察署から呼び出しを受けたという場合には、すぐに無料相談を利用するようにしましょう。
無料法律相談、初回接見のご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。