ストレスを発散するために他人の車に10円玉で傷をつけた事例①

ストレスを発散するために他人の車に10円玉で傷をつけた事例①

取調べ2

器物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

職場の人間関係でストレスを抱えていたAさんはストレス発散のため、Vさんの車に10円玉で傷をつけました。
翌朝、車に傷がついていることに気づいたVさんが自宅に取り付けていた監視カメラを確認したところ、Aさんの犯行の一部始終が録画されていました。
Vさんは奈良県天理警察署に被害を相談し、Aさんは器物損壊罪の疑いで捜査を受けることになりました。
(事例はフィクションです。)

器物損壊罪

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第261条では器物損壊罪を規定しています。
刑法第261条が規定する前三条とは、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)、私用文書当毀棄罪(刑法第259条)、建造物等損壊及び同致死傷罪(刑法第260条)であり、器物損壊罪は刑法第258条~259条の対象となる物を除いた他人の物を損壊又は傷害すると成立する犯罪です。

損壊とは、物の効用を害することをいいます。
簡単に言うと、使えなくする行為が損壊にあたります。
例えば、体液を食器にかけるなど、物理的な破壊に限らず心理的に使えなくした場合なども損壊にあたります。

繰り返しになりますが、器物損壊罪は他人の物を損壊又は傷害した場合に成立する犯罪です。
傷害した場合には傷害罪にあたるんじゃないのと思われる方もいるかもしれません。
傷害罪は刑法第204条で「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されており、大まかに説明すると人を傷害した場合に成立します。
例えば、飼われているペットは人にあたりませんから、傷害したとしても傷害罪は成立しません。
では何の罪にも問われないのかといわれるとそうではなく、飼われているペットは他人の物にあたると考えられますので、器物損壊罪が成立します。
また、ペットではない動物を傷害した場合には、動物愛護法違反などが問題となってくるでしょう。

今回の事例では、AさんがVさんの車に10円玉で傷をつけています。
10円玉で傷をつけられても車を走らせることはできるでしょう。
ですが、10円玉でつけられた傷は目立つでしょうから、修理しないと恥ずかしくて乗れないかもしれません。
先ほど解説したように心理的に使えなくした場合も損壊にあたります。
また、車のデザインなどの外観を重視される方もいますから、車を走らせるだけが車の効用ではないでしょう。
今回傷をつけられたことでVさんの車の外観が損なわれたといえますので、Vさんの車の効用が害されたと考えることができそうです。
ですので、今回の事例ではAさんに器物損壊罪が成立する可能性があるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料であり、懲役刑が科される可能性のある犯罪です。
刑事事件に精通した弁護士に相談をして処分の見通しを確認することで、少しでも不安を取り除いたり、捜査を有利に進められるかもしれません。
器物損壊罪で捜査を受けている方、お困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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