被害者の家族に対する恋愛感情などにより、被害者の家に押しかけたとして、ストーカー規制法違反で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
被害者の家族に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、10月6日夜から同月7日朝方までの間に、被害者の住居に押しかけ、つきまとい等を反復して行い、ストーカー行為をしたとして、10月8日、男(45歳)をストーカー行為等の規制等に関する法律違反で通常逮捕しました。
(10月12日 奈良県警察発表)
ストーカー規制法
ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます。)第2条1項では、恋愛感情などによる好意の感情やそれが満たされないことへの怨恨により以下の行為をすることを「つきまとい等」と規定しています。
①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
③面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
ストーカー規制法では、住居等の平穏や行動の自由などが害される不安を覚えさせるような、つきまとい等を同一の者に反復して行うことをストーカー行為としています。(ストーカー規制法第2条4項)
ストーカー行為をしてストーカー規制法違反で有罪になった場合は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されます。(ストーカー規制法第18条)
また、禁止命令に違反して、ストーカー行為やつきまとい等をすることでストーカー規制法違反で有罪になった場合には、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処されます。(ストーカー規制法第19条1項、2項)
今回の事例では、被害者の家族に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、被害者の住居に押しかけ、つきまとい等を反復してストーカー行為をしたとされています。
恋愛感情などの好意の感情やそれによる怨恨で住居に押しかける行為は、つきまとい等に該当します。
反復してつきまとい等を行うことはストーカー行為に当てはまりますので、実際にストーカー規制法の対象となる好意やそれに対する怨恨などの感情で反復して住居に押しかけていたのであれば、ストーカー規制法違反が成立する可能性があります。
ストーカー規制法違反と釈放
ストーカー規制法違反事件では、容疑者が被害者に接触する危険性があることから釈放が認められづらい可能性があります。
また、今回の事例では住居に押しかけているわけですから、住居を知っていることから、被害者に接触するおそれが高いと判断される可能性が高く、釈放が認められづらくなるおそれが非常に高くなります。
弁護士が検察官や裁判官に釈放を求めることで、釈放を実現できる可能性があります。
ストーカー規制法違反事件では、生活圏や通勤経路が同じ場合が多いです。
ですので、事件が終息するまでの間は被害者に会わないように生活圏や通勤経路を変えることや、容疑者が被害者と接触したり逃亡しないように監視監督できる身元引受人がいることを弁護士がアピールすることで、釈放を認めてもらえる場合があります。
勾留は逮捕後72時間以内に決定されますので、勾留前に釈放を目指す場合には、逮捕後72時間以内に書面等の提出を終えなければなりません。
書面等を準備する時間が必要になりますので、勾留される前に釈放を目指す場合は、逮捕後、早い段階で弁護士が釈放に向けた活動を行う必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、土日祝日即日対応可能な法律事務所です。
弁護士が釈放に向けた弁護活動を行うことで、早期釈放が実現できるかもしれません。
先ほど勾留前に釈放を目指す場合は逮捕後72時間以内に書面の提出が必要だと書きましたが、勾留が決定した後であっても釈放を求めることは可能です。
ただ、勾留が決定してしまった後だと、釈放を求める機会を2回失ってしまうことになります。
ですので、釈放を目指す場合には、できる限り早く、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。