【事例紹介】しつけを理由に幼い子供を窒息死させたケース①

3歳の長男を布団で巻いて死亡させたとして、傷害致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)3歳の長男を布団で巻いて死なせたとして、傷害致死の疑いで、(中略)容疑者(27)を逮捕した。「泣きやまず、しつけのためだった」と容疑を認めている。
(中略)司法解剖の結果、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いとみられる。目立った外傷はなく、栄養状態にも異常は見られなかった。(中略)
捜査関係者によると、容疑者は「以前にも布団で巻いた」とも話していたという。(後略)
(9月28日 京都新聞 「3歳長男死なせた疑い、千葉」より引用)

傷害致死罪とは

刑法205条によると、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有機懲役に処する」として傷害致死罪を規定しています。

傷害致死罪は、①人の身体を傷害して傷害罪が成立した上で、②傷害よりも重い死亡という結果が生じた場合に、傷害罪よりも重く処罰する法律です。
① については、刑法205条「身体を傷害し」の文言が、②については同条「よって死亡させた」の文言が対応します。

今回のケースでは、容疑者は、しつけにかこつけて、幼い子供を布団で巻いて窒息させたとされていますが、傷害致死罪は成立するのでしょうか?

傷害致死罪が成立するためには、傷害罪の成立が必要になります。
そもそも傷害罪とはどういった犯罪なのでしょうか?

傷害罪(刑法204条)は、「人の身体を傷害」した場合に成立します。
傷害とは、人の生理機能を害することであるとされています(最判27年6月6日刑集6・6・745)
具体的には、殴られたことによる出血などのような外傷のほか、失神、慢性的な頭痛などを生じさせた場合に生理機能を害したとされます。
つまり、殴ったことでけがをさせた場合には傷害罪が成立しますし、頭を強く殴って失神させた場合や、騒音により慢性的な頭痛を引き起こさせた場合にも傷害罪が成立する可能性があります。

本ケースでは、長男を布団で巻いて死亡させたと報道されています。
司法解剖の結果によると、死因は吐しゃ物を吸い込んだことによる窒息の可能性が高いそうです。
容疑者が実際に長男を布団で巻いていて、かつ、窒息の原因が容疑者の行為によるものなのであれば、布団で巻くことで長男を窒息させたと言えますから、生理機能を害したとして、傷害罪が成立するでしょう。
加えて、上記行為が原因となって、死亡という結果が生じたのであれば、傷害致死罪が成立すると考えられますので、今回の事例の報道が事実であれば、傷害致死罪が成立する可能性があります。

逮捕されると、72時間の間に、勾留の判断が行われます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間身体拘束を受けることになります。
傷害致死事件などの人が亡くなっている事件では、量刑が重くなることが予想されますので、逃亡のおそれがあると判断されやすく、釈放が認められづらい傾向にあります。

ですが、傷害致死事件を起こした場合には必ずしも釈放が認められないというわけではありません。
弁護士が勾留の判断が行われるまでの間に、検察官や裁判官に意見書を提出することで、釈放を認められる可能性があります。
この意見書逮捕後72時間以内に提出をする必要があります。
釈放に向けた弁護活動は時間との勝負になりますので、ご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で受け付けております。

次回のコラムでは、傷害致死罪の容疑をかけられた際の弁護活動について、ご紹介します。

 

 

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