覚醒剤所持で即決裁判

覚醒剤所持で即決裁判

覚醒剤を所持していたことで問題となる罪と即決裁判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県桜井市在住のAは、桜井市内の会社に勤める20代の会社員です。
Aは会社内部での人間関係などにストレスを抱え、覚醒剤に手を染めていました。
もっとも、規範意識が欠如していたわけではなく、悪いことであるという認識があったため、数ヶ月間は使用していない状況で財布の中に入れていました。
ある日、桜井市内の路上を歩いていたところ、桜井市内を管轄する桜井警察署の警察官による職務質問を受けることになり、そこで覚醒剤を所持していることを素直に告げたため、覚醒剤取締法違反で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAの両親は、覚醒剤所持事件で即決裁判手続に付される可能性があるのかについて、刑事事件専門の弁護士に相談をしました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【覚醒剤所持事件】

ご案内のとおり、覚醒剤は我が国でその所持や使用が制限されている薬物の一種です。
主として結晶の状態で出回っていて、水などで溶解して注射する方法による摂取が一般的ですが、加熱による炙りと呼ばれる方法や、飲料水に混ぜて飲む方法により摂取されることもあります。

覚醒剤の所持や使用は覚醒剤取締法などの法律により禁止されています。
ケースの場合は覚醒剤所持が問題となり、起訴されて有罪判決を受けた場合には「10年以下の懲役」に処されることになります。(覚醒剤取締法41条の2第1項)

【刑事手続の大まかな流れ】

刑事事件では、その事案によって行われる手続きが異なりますが、ざっくりと説明すると

・冒頭手続(人定質問、起訴状の朗読、黙秘権告知、罪状認否)
・冒頭陳述
・証拠調べ請求(証人尋問や被告人質問などを含む)
・論告
・弁論
・判決宣告

という流れになります。
1回目の公判から判決宣告までに行われる裁判の回数や機関についての定めはなく、被告人が起訴状記載の事実を否認している場合などについては一審だけで数年間を要する場合があります。
比較的軽微な犯罪で、被告人が罪を認めている場合、1回目ないし2回目の裁判で結審してその次の公判期日で判決宣告を受けるという手続きが一般的です。
これまた事件にもよりますが、結審後2週間程度で判決期日が入れられる場合が一般的です。

【即決裁判手続とは?】

通常の刑事事件の流れは前述のとおりですが、その例外的な手続として、2004年の刑事訴訟法改正により「即決裁判手続」が新設されました。
即決裁判手続は、捜査を担当する検察官が公訴の提起(起訴)と併せて即決裁判手続の申立てを行うことから始まります。
但し、この申立てには以下の要件を満たしていることが必要です。
・事案が明白且つ軽微
・死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる重大事件ではない
・事案について被疑者の争いがない
・被疑者の同意がある

裁判所が即決裁判手続の申立てを受けた場合、裁判官・検察官・弁護人は速やかに公判準備を行う必要があります。
公判期日では、被告人が冒頭陳述で訴因について有罪である旨の陳述をした場合、裁判官は原則として即日判決を言い渡さなければなりません。

なお、似たような名称の刑事手続に「略式手続」というものがありますが、即決裁判手続は略式手続とは違います。
略式手続とは、検察官が簡易裁判所に対して略式起訴することで裁判官が100万円以下の罰金刑を言い渡す手続で、公開の法廷での審理は行われません。
窃盗事件や暴行・傷害事件などの比較的軽微な事件が対象ですが、略式手続では財産刑以外の刑罰を科すことができない点に注意が必要です。

即決裁判手続は、検察官や裁判官の手続き上の負担が軽減されることはもとより、被告人にとっても出廷の回数が減る、未決期間が短くなるなどのメリットがあります。
奈良県桜井市にて、ご家族が覚醒剤所持事件などの罪で逮捕・勾留され、即決裁判手続について知りたい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは弁護士が逮捕・勾留されている方のもとへ接見に行き、供述内容を確認したうえで、即決裁判手続に付される可能性があるかどうかについてご説明致します。(有料)

 

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