妻の連れ子にわいせつ行為 監護者わいせつ罪で逮捕

妻の連れ子にわいせつな行為をしたとして、監護者わいせつ罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件内容

Aさんは、離婚歴があり、中学2年生の娘がいる女性と3年ほど前に結婚しました。
奈良県宇陀市に新居を構えて3人での生活をスタートさせたAさんでしたが、それからしばらくして妻の連れ子にわいせつな行為をするようになりました。
義娘が、Aさんのわいせつ行為を拒否しないので、Aさんは妻の目を盗んで、連れ子の陰部や胸を触るわいせつ行為を繰り返していました。
そうしたところ、どういった経緯かハッキリしませんが、義娘は児童相談所保護されることとなり、その後Aさんは、奈良県桜井警察署「監護者わいせつ罪」逮捕されました。
(フィクションです。)

監護者わいせつ罪

「監護者わいせつ罪」とは、平成29年の刑法改正時に新設されたまだ新しい法律です。
「監護者わいせつ罪」とは、18歳未満の者を監護する立場にある人が、監護している18歳未満の者に対して、その影響力があることに乗じてわいせつな行為をすることです。
通常の強制わいせつ罪(刑法第176条)は

①14歳以上の者に対して、暴行や脅迫を用いてわいせつな行為
②13歳未満の者に対して、わいせつな行為

をすることで成立する犯罪すが、監護者わいせつ罪は、被害者の年齢は18歳未満に限定され、監護者の影響力に乗じてわいせつ行為に及ぶことによって成立する点で、通常の強制わいせつ罪とは異なります。

監護者とは

ここでいう「監護者」とは、民法820条の親権の規定と同様に監督・保護する者をいい、法律上の監護権に基づかなくても事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。逆に、法律上の監護権がある親権者等であっても、実際に監護している実態がなければ、監護者わいせつ罪の主体とはなり得ません。
監護者わいせつ罪の主体となる「監護者」に該当するかは、同居の有無や居住状況、指導や身の回りの世話などの生活状況、生活費の負担などの経済状況、未成年者に関する諸手続の状況などによって判断されます。

同意の有無は関係ない

監護者わいせつ罪の成立の可否に、わいせつ行為に対する被害者の同意の有無は問題になりません。
これは、監護者わいせつ罪の客体が「18歳未満の者」であり、わいせつ行為が被害者の自由な意思決定に基づくとはいえないことに着目しているからです。
ちなみに、18歳未満の被害者が、積極的にわいせつ行為に応じとしても、それは、幼少期から長年にわたって監護者からわいせつ被害を受けている場合は、それが当然と思い込んでいたり、監護者の機嫌を損ねないようにするために積極的に応じている場合が想定されるため、監護者わいせつ罪の成立を否定することにはなりません。

わいせつ行為とは

「わいせつな行為」とは、客観的にみて、性欲の刺激を目的とする行為であって、他人に羞恥の感情を抱かせる行為です。
かつては、強制わいせつ罪でいう「わいせつ行為」は、わいせつといいうる客観的行為があるだけでなく、主観的にも、わいせつ行為者性的意図のもとに行われることを要するとされてきましたが、現在は、客観的なわいせつ行為については、行為者が、主観的にその行為を、わいせつ行為と認識するまで必要としないとされています。

監護者わいせつ罪の量刑は?

監護者わいせつ罪の法定刑は、刑法第176条に規定されている強制わいせつ罪と同じ「6月以上10年以下の懲役」です。
通常の強制わいせつ罪ですと、被害者と示談することによって、刑事罰の減軽が望めますが、監護者わいせつ罪の場合は、行為者と被害者の関係が近いことから示談の締結が非常に非常に困難です。
また、初犯であっても、実刑判決が言い渡される可能性が高い事件ですので、監護者わいせつ罪の量刑に不安がある方は、お近くの刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

まずは弁護士に相談を

監護者わいせつ罪でお困りの方、奈良県内の刑事事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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