接見禁止~家族であっても面会できない?~
特殊詐欺事件に加担してしまった場合の罪と、家族であっても面会ができなくなってしまう接見禁止という手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県北葛城郡在住のAは、アルバイト生活を送っていました。
しかし、生活苦に陥っていたため高額バイトを探していたところ、SNS上で日当3万円と書かれている投稿を見つけて応募しました。
すると、指示役の者からダイレクトメッセージが届き、指定したチャットアプリをダウンロードするよう指示されました。
そして、指示に従って北葛城郡にある家を訪ね、住人から紙袋を受け取るという算段になっていたのですが、現場に着いたところ北葛城郡を管轄する西和警察署の警察官が張り込みしていて、Aは現行犯逮捕されました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【特殊詐欺事件について】
オレオレ詐欺、振り込め詐欺、お母さん助けて詐欺などと呼ばれている特殊詐欺事件は、認知件数については平成29年を、被害金額については平成26年を境に減少傾向にありますが、今なお多数の被害が生じています。
近年はSNSで「高額バイト」「闇バイト」などと称して募集をかけ、応募してきた者に対して「これまで逮捕された人はいない」「誰でもできる簡単な仕事」等の甘言で誘惑したり、「バレたら貴方が捕まるだけだ」等と脅すことにより、特殊詐欺に加担させるという手口が多いようです。
主犯格である指示役は、本名などを伝えず違法に入手した電子端末を使って連絡して指示を出します。
下記受け子や出し子が逮捕された場合には、その連絡先を断つなどして、自身は検挙のリスクを負わないようにします。
「架け子」は違法に入手した電子端末で被害者に連絡して金を準備させる役割であり、検挙されるリスクが低いという性質があり、指示役が掛け持ちしている場合があります。
一方で、Aのように自ら応募してきた者については、「受け子」・「出し子」などと呼ばれる仕事を任されます。
「受け子」とは、被害者の家に行って現金やキャッシュカードを受け取ったり、交換する等の手口で盗み取る役割を担います。
受け取った現金やキャッシュカードは駅などにあるコインロッカーに入れたり、郵送にて送るなどして、指示役や出し子とは直接接触することなく犯行が進められます。
ケースのように騙されたフリ作戦や事件後の捜査・職務質問等で検挙される可能性が高いという性質があります。
「出し子」は、受け子が取得したキャッシュカードを使ってATMで現金を引き出す役割を担っています。
受け子同様にコインロッカーや郵送により引き出した現金を渡す場合が多いです。
御案内のとおり、ATMには多くの防犯カメラが設置されていることから、出し子についても検挙される可能性が高い役割と言えます。
なお、受け子が引き続き出し子の役割を果たす場合もあります。
各役割を担った者は、その手段により詐欺罪や窃盗罪のほか、電子計算機使用詐欺などの罪に問われる場合があります。
【接見禁止とは】
被疑者が逮捕された場合、72時間以内に10日間(1度延長ができるため最大20日間)の身柄拘束が行われるか、釈放されることになります。
まず、逮捕後すぐの期間は、弁護士以外の方は原則として面会をすることができません。
一方で、勾留が付いた場合には、家族に限らず誰しもが面会をすることができます。
(但し、1日1度限り、時間は15分、警察官の立会あり等様々な制約があります。)
しかし、ケースのAが起こした特殊詐欺事件のように共犯者が複数人いるような事件の場合や薬物事件のように入手経路の特定を要するような事件については、勾留と併せて「接見禁止」の決定が付く場合があります。
接見禁止決定は、裁判官の裁量により行われます。
接見禁止が決定された場合、たとえ家族の方であっても面会することができません。
接見禁止決定を受けた被疑者と面会をしたいと考えた場合、接見禁止の全部を解除するよう求めるか、特定の者(家族など)の接見禁止のみ解除を求める必要があります。
接見禁止の解除・一部解除を申立てるためには、事件の詳細な情報を把握し、面会を求めている者が事件関係者ではないこと、面会による証拠隠滅の恐れがないことを的確に主張する必要があります。
奈良県北葛城郡にて、特殊詐欺事件に加担してしまい、勾留と併せて接見禁止の決定が付いた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が接見に行き、事件の内容を把握したうえで、接見禁止の解除が可能な事案かどうか、確認致します(初回接見は有料です。)。