詐欺罪と弁護活動:架空請求の事例で理解する7つのポイント

詐欺罪は、日常生活からビジネスまで多くのシーンで起こり得る犯罪です。
この記事では、詐欺罪の定義から、弁護活動に至るまでを具体的な事例を交えて解説します。

1. 詐欺罪の基本的な定義

詐欺罪とは、他人を欺き財物を交付させることを指します。
具体的には、日本の刑法246条1項により定義されています。

2. 詐欺罪の基本的な成立要件

詐欺罪の成立要件には主に三つの要素があります。
第一に、欺罔行為(虚偽の事実を告げるなど)を用いることが必要です。
第二に、相手が錯誤に陥ること。
第三に、相手方から財物が交付されること。
以上の三つの要素が揃った場合に、詐欺罪が成立します。

刑法246条1項では、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と規定されています。

以上が詐欺罪の基本的な成立要件になります。
次の項目では、欺罔行為の手法について具体的に解説していきます。

3. 欺罔の手法とは

詐欺罪の成立要件の一つである欺罔行為にはさまざまな形があります。
そもそも欺罔行為とは、相手にうそをつき欺く行為を指します。
具体的には、虚偽の事実を告げる、誇大な宣伝を行う、または情報を隠蔽するなどが該当します。
詐欺罪で重要なのは、欺罔行為が被害者を錯誤に陥らせるだけでなく、その錯誤を利用して財産の交付を引き起こさなければならない点です。
ですので、欺罔行為は人に対して行う必要があり、財物の交付を引き起こすようなものでなくてはなりません。

欺罔行為は基本的には言葉による操作が多いですが、行動や状況を利用する場合もあります。
例えば、壊れた商品を新品として売りつける行為も欺罔行為の一つです。
こうした欺罔行為が被害者の判断を誤らせ(錯誤に陥らせ)、財産を交付させる状況が生まれると、詐欺罪の成立要件が揃うことになります。

以上が欺罔行為の手法についての解説です。
次の項目では、被害者が財産を交付する過程について詳しく説明します。

4. 被害者による財産の交付

詐欺罪の成立要件の一つとして、被害者を欺罔行為によって錯誤に陥らせ、財産を交付させることが必要です。
財産の交付とは、被害者が財産を詐欺犯に譲渡する行為を指します。
この財産は、現金だけでなく、物品や不動産、サービスなども含まれます。

重要なのは、被害者が欺罔行為に基づいて自ら行動を起こす点です。
例えば、被害者が欺罔行為によって騙されて自分から振り込みを行った場合、この要件は成立します。
しかし、財産が盗まれた場合や、被害者が何もしなかった場合は、この要件は成立しません。

財産の交付の成立要件には、被害者が自らその行動を選択している必要があります。
つまり、被害者が欺罔行為により錯誤に陥り、その結果として財産を譲渡(交付)する選択をした場合に限り、詐欺罪の成立要件が揃います。

この財産の交付の要件は、詐欺罪が成立するための非常に重要な要素です。
詐欺事件が発生した際には、この財産の交付が明確に行われたかどうかが、事件解決においてキーとなります。

以上が被害者の財産の交付についての解説です。

5. 特殊詐欺の一例: 架空請求

特殊詐欺の中でも、特に知られている事例の一つが架空請求です。
この手法は、被害者に対して実際には発生していない料金や費用の支払いを求めるものです。
これも基本的な詐欺罪の成立要件、すなわち欺罔行為錯誤、財産の交付が全て揃う場合に適用されます。

架空請求の多くは、インターネット上でのポップの表示、メールや電話、書面によって行われます。
例として、インターネット上の有料サービスに登録したと偽り、料金の支払いを求めるケースがあります。
被害者がこのような偽の請求に応じて支払いを行うと、詐欺罪が成立します。

もう少し詳しく見ていきましょう。
実際には支払う必要のない料金の支払いを求めていることから、加害者がうそをついていることになります。
人に対して、財物を交付するうえで重要なうそをついていることから、詐欺罪で規定する欺罔行為にあたると考えられます。
この加害者の欺罔行為により、被害者が支払う必要があると信じ(錯誤に陥り)、料金を加害者に支払えば、財物が交付されたことになりますので、詐欺罪が成立することになります。

以上が特殊詐欺の一例、架空請求についての解説です。
次の項目では、詐欺罪に対する刑罰について詳しく説明します。

6. 詐欺罪に対する刑罰

詐欺罪が成立した場合、その後に待ち受ける刑罰について解説します。
詐欺罪で有罪になると、10年以下の懲役が科されます。
特に大規模な詐欺事件や組織的な詐欺事件が確認された場合、より重い刑罰が科される可能性があります。

詐欺罪で有罪になると、前科が付くことになり、その後の社会生活に多大な影響を与える可能性があります。
例えば、就職活動や資格取得に障害が出ることも考えられます。
そのため、詐欺罪で有罪になると、単に刑罰を受けるだけでなく、その後の人生にも影響を及ぼす重大な問題となります。

7. 詐欺罪で捜査を受けた場合の初動対応

詐欺罪の疑いで捜査を受けた場合、その初動対応が非常に重要になってきます。
以下では、その具体的内容を解説します。

・すぐに弁護士に相談する
詐欺罪で捜査を受けた際にまずやるべきことは、専門家である弁護士に即座に相談することです。
弁護士は、事件の全体像を把握し、最適な対応策を提案してくれます。
事件によって必要となる弁護活動処分の見通しは異なってきます。
不起訴処分執行猶予付き判決の獲得など、より良い結果を得るためにも、早期に弁護士に相談をすることをおすすめします。

・自白や供述を避ける
取調べでは、警察官などの都合の良いように供述が誘導される可能性が高いです。
また、否認事件の場合は、自白を強要されることもあります。
取調べで供述した内容を基に、後の裁判で証拠として使用される供述調書が作成されます。
一度でもあなたの不利になるような供述調書を作成されてしまうと、内容を覆すことは難しく、裁判で不利な状況に陥ってしまう可能性があります。
ですので、どういった内容を供述すればいいのかわからない場合や取調べが不安な場合には、警察に任意で事情を説明することは避け、弁護士が到着するまで黙秘することが望ましいでしょう。

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