色情盗で住居侵入窃盗
住居侵入窃盗について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事件~
奈良県大和郡山市に住む会社員のAは、自宅近くのワンルームマンションに住む女性に好意を持つようになりました。
たまたま部屋番号を確認することができたAはその女性の部屋のベランダから、干してある下着を盗む色情盗を繰り返していました。
近くの防犯カメラなどの映像からAの犯行であることが特定され、Aは奈良県郡山警察署に逮捕されることになってしまいました。
Aが逮捕されたという連絡を受けたAの両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです)
色情盗
色情盗とは、たとえば下着泥棒などのことで「窃盗罪」に当たる行為ですが、財産目的というよりもわいせつな目的があるような場合のことを指します。
今回の事例のAのように、マンションのベランダに干してあった下着等を盗んだ場合、窃盗罪だけでなく、刑法第130条の住居侵入罪にも問われる可能性があります。
マンションの敷地やベランダに不法に侵入して下着を盗み、住居侵入と窃盗が成立することになると、この二つの罪は牽連犯として扱われます。
牽連犯とは、数個の犯罪が、手段と結果の関係にある場合をいいます。
牽連犯の科刑
刑法第54条第1項後段には、「犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるとき」について規定されており、この規定が牽連犯です。
この牽連犯については刑を科する上で一罪として扱われ、数個の犯罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されます。
今回の事例の色情盗の場合をみてみると、住居侵入という手段によって窃盗の結果をもたらしています。
住居侵入の法定刑は「3年以下の懲役又は10年以下の罰金」、窃盗の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
この場合、窃盗罪の方が、住居侵入罪よりも重いことになりますので、起訴されて有罪が確定すれば、窃盗罪の法定刑内で刑事罰を受けることとなります。
ただし今回のAのように色情盗を繰り返していた場合には、話が変わってきます。
この場合は2回以上事件を起こしているとして、併合罪で処理されることになります。
併合罪の科刑
併合罪は牽連犯とは違い、単純に2つの罪を犯してしまった場合をいいます。
この併合罪については刑法第45条から第53条までに規定されており、その処理の仕方などが記されています。
併合罪となる場合の有期の懲役又は禁錮に関しては、それぞれの罪の刑の長期を合計したものを超えない範囲で、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものとなります。
つまり、色情盗を繰り返し行っていた場合は15年以下の懲役の範囲で懲役刑が科されることになります。
そして罰金については多額が合計されることになりますので、色情盗を繰り返してしまっていた場合には「15年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の範囲で処断刑がかされることになります。
法定刑は刑法の条文に記載されているため、だれでも読むことはできます。
しかし、実際の事件は複雑化することもありますし、余罪があったりして、実際にどのような法定刑の範囲で処断されるかは専門の知識がなければ分かりにくいです。
さらに、実際の見通しということになると事件当時の細かな状況なども関係してくるので、事件の見通しについて知りたい場合は法律の専門家である弁護士の見解を聞く必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
住居侵入窃盗、色情盗の繰り返しなどでお困りの方やそのご家族の方がおられましたら、フリーダイヤル0120-631-881までお電話いただき、無料法律相談、初回接見のご予約をお取りください。