強制性交等罪の見張り役
強制性交等罪の見張り役について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
奈良県天理市に住む大学生のA(21歳)は、あるとき大学の先輩を含む男女数人とカラオケ店で飲み会をしていました。
すると先輩がAに対して「今からVを犯すから店員が来ないように見張りをしておけ、次はお前にさせてやるから」と言われました。
Aは言われたとおり、ドアの前に立ち、見張りをしていました。
すると中からVが飛び出してきて、そのまま帰っていきました。
Aは、これは大変なことになったと思いましたが、自分は何もしていないと考え、あまり気にしていませんでした。
しかし、後日、Vに対して性交をした先輩が強制性交の疑いで奈良県天理警察署に逮捕されることになり、Aも共犯として逮捕されてしまいました。
Aが逮捕されたという連絡を受けたAの両親は、Aは何もしていないのに逮捕されることになり納得いかず刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです。)
強制性交等罪
強制性交等罪は刑法第177条に規定されています。
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」
平成29年の刑法改正により強姦罪から改正されました。
主な改正点としては、非親告罪になったことで告訴がなくても公訴が提起されるようになったことと、「3年以上の懲役」から「5年以上の有期懲役」への罰則の引き上げです。
罰則が引き上げられたことにより、起訴されてしまうと無罪を獲得しなければ、基本的には実刑判決を受けることになってしまいます。
※執行猶予は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合に限られる。刑法第25条第1項
もちろん、刑の減軽がなされることで、執行猶予判決を受ける可能性もありますし、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
そのためには、まず刑事事件に強い弁護士に相談に行くようにしましょう。
強制性交等罪の見張り役
今回の事例でAは強制性交にあたる行為自体はしていませんが、罪に問われる可能性はあるのでしょうか。
刑法では、第60条から共犯について規定されています。
今回の事例のように強制性交等罪の見張り役は第60条に規定されている共同正犯となる可能性があります。
共同正犯だと認められれば、正犯と同じ刑が科されることになりますので、起訴されて有罪が確定すれば「5年以上の有期懲役」が科されることになります。
このように自身が強制性交等をしていない場合でも強制性交等罪となる可能性があるのです。
もちろん、量刑段階で実際に強制性交等をした者と差は付けられると思われますが、強制性交等罪に問われる可能性があることには変わりありません。
ただ、状況や認識によっては刑法第62条に規定されている幇助犯となったり、無罪となる可能性もありますので、一度刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。
見張り役というと実際に犯罪行為をしていないので、罪にならない、罪になるとしても軽いものだろうと思ってしまうかもしれませんが、共同正犯として実行者と同じ法定刑の範囲で処断される可能性があります。
見張りを頼まれても絶対に断らなくてはなりませんし、もしも見張り役をしてしまった場合、もしくは知らずに見張り役になってしまった場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談するようにしましょう。
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