少年事件の逆送

少年事件の逆送

少年事件の逆送について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
奈良県天理市に住む高校3年生のAは、自宅で父親と親子喧嘩をした腹いせに、自室で雑誌に火をつけました。
すぐに我に返って消火しようとしましたが、火がカーテンに燃え移ってしまい、自宅を半焼してしまいました。
その後に行われた調査の結果、Aが火をつけたことが判明し、Aは、奈良県天理警察署現住建造物等放火の疑いで逮捕されてしまいました。
Aの両親は、少年事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです。)

現住建造物等放火罪

現住建造物等放火罪とは、現に人が居住に使用し又は現に人がいる建造物等に放火し、焼損する犯罪です。
現住建造物等放火罪は、財産罪的性格を有する、典型的な公共危険罪です。
現住建造物等放火罪は、抽象的危険犯なので、客体を焼損すれば成立し、公共の危険を現実に発生させる必要はありません。
「現に人が住居に使用する」とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用する事です。
必ずしも特定の人が居住する必要はなく、夜間又は休日にだけ起臥寝食に使用される場合も、これに含まれます。
続いて「現に人がいる」とは、犯人以外の者が現存することです。
ちなみに現住建造物等放火罪が成立するには、犯人が現住性を認識している事が必要となります。
例えば、犯人は「空き家で誰もいない」と思って放火したが、たまたまホームレスが住みついていた場合などは、犯人に現住性の認識が認められないので、非現住建造物等放火罪となる場合があります。

逆送

現住建造物等放火罪は、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」の罰則が定められています。
殺人罪に匹敵する非常に厳しい処罰規定で、起訴されれば、裁判員裁判の対象事件です。
基本的に法律に定められた罰則規定は成人の犯人に適用されるもので、少年の場合、家庭裁判所から検察官に送致(逆送)されない限り、この罰則規定が適用されることはありません。
いわゆる逆送については少年法に規定されており、原則的に「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件」で犯行時に少年が16歳以上である場合、また、例外的に「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件」で家庭裁判所が刑事処分相当と判断した場合には検察庁へ事件が戻され、成人と同じ刑事手続きが進んでいくことになります。
なお、審判までに成人した場合についても年齢超過で逆送されることになります。

未成年でも死刑の可能性

現住建造物等放火罪は非常に重たい罪で、死刑と無期が規定されているため、逆送となる可能性があります。
そして、家庭裁判所から検察官に送致(逆送)された少年に対する死刑についても少年法に規定があります。
少年法第51条第1項では「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもって処断するべきときは、無期刑を科する」とあるので、18歳、19歳であれば、死刑の宣告が言い渡される可能性があるということです。
実際に犯行時未成年であっても死刑判決を言い渡され、執行された例もあります。


少年事件は、成人事件とは違う流れで進んでいくことになりますし、特に今回の事例のように重い罪名になってしまった場合には逆送されてしまい、刑事罰を受けることになってしまう可能性があります。
そのため、少年の更生のためにも少年事件に強い弁護士を選任することが必要になるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件、少年事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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