強盗強姦罪から強盗・強制性交等罪へ

強盗強姦罪から強盗・強制性交等罪へ

強盗・強制性交等罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
奈良県奈良市に住むAは仕事の帰り道に好みの女性を見つけ、性交したいと思い、その女性が人気のない公園に入ったところで女性に襲い掛かりました。
女性は抵抗しましたが、Aは女性を殴り、恐怖で逃げられなくしてから性交しました。
その後、性交が終わってから、Aは女性のハンドバッグに金目の物があると考え、女性のバッグを奪おうとしましたが、女性がなかなかバッグを離さなかったため、Aは女性に足蹴りをして、女性のバッグを奪い逃走しました。
後日、近くの防犯カメラの映像などからAの犯行が特定され、Aは奈良県奈良警察署強盗・強制性交等の疑いで逮捕されることになってしまいました。
Aの両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです)

強盗・強制性交等

第241条 
「強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。」

第2項「前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」

第3項「第一項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期懲役に処する。」

強盗・強制性交等は、平成29年の刑法改正により、強盗強姦罪から改正されました。
刑法第179条で強姦罪から強制性交等罪へと改正された、というだけでなくより現実的な状況に則すように改正されています。
大きく変わった点としては、以前の強盗強姦罪では強盗犯人が強姦をした場合に「無期又は7年以上の懲役」と規定していましたが、強姦の後に強盗の犯意を生じて強盗をした場合には、強盗強姦罪は成立せず、強姦罪と強盗罪の併合罪であるとされていました。
この場合は「5年以上30年以下の有期懲役」となるので、無期が規定されている強盗強姦罪とは大きな差違がありました。
そこで改正により、同一機会に強盗若しくはその未遂、強制性交等若しくはその未遂が行われていた場合にはその順番にかかわらず、改正前の強盗強姦罪と同じ、「無期又は7年以上の有期懲役」で処罰されることになりました。
これは、どちらが先に行われたか不明の場合や両方に同時に着手した場合も含まれます。
強盗・強制性交の強盗には236条の強盗238条の事後強盗239条の昏酔強盗が含まれ、強制性交等には準強制性交等が含まれます。

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