個人間での融資は問題になる?

個人間での融資は問題になる?

個人間で融資をして問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県香芝市在住のAは、香芝市内で小売店を経営しています。
Aは友人から「金に困っているから金を貸してくれないか」と言われました。
そこで、Aは友人に100万円を融資し、1年後に融資金の100万円と利息として100万円を支払うよう、言いました。
すると、その友人は実際にそれを履行しました。
それで味を占めたAは、知人やSNSで知り合った多数の者に金を貸し、中には100万円で1年後に利息として120万円を支払うように告げていた相手もいました。
ある日、香芝市を管轄する香芝警察署の警察官がAの自宅に来て、Aに対して「出資法違反、及び貸金業法違反で家宅捜索するから」と言い、令状を提示して家宅捜索を行いました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【融資をすることで問題となる罪】
融資とは、金を借りたいという人の申し出を受けて、金を貸すことを意味します。
本来であれば金の貸し借りは自由に行うことができる行為のはずですが、多重債務(金を借りたものの返しきれなくなり、別の金融業者に借りて更に借金が膨らむなどの状況)が社会問題となったことから、貸金業法という法律が作られ、平成22年に施行されています。
貸金業法では、貸金業者を届出制にするなどして、違法な融資を行う業者などを取り締まることができます。

融資を行う金融業を営む場合、事業所が一か所あるいは二か所以上ある場合は一つの都道府県に事業所を設置する場合には所在地の都道府県知事の、二か所以上の事業所を二つ以上の都道府県に設置する場合には内閣総理大臣の、登録を受けなければいけません。(貸金業法2条2項、同3条1項)

では、個人間での融資についてはどうでしょう。
例えば、融資などに携わっていないイチ個人が、友人や家族などに金を貸すことについて、すぐに違法となるわけではありません。(利息の問題は次章へ)
しかし、たとえ個人間であっても、「業として」貸金業を行う際には、登録が必要です。
「業として」行うというのは、それを商売として行うという意味では必ずしもなく、反復・継続して行うという意思があるかどうかによって判断されます。
Aについて見てみると、知人のほかSNSで知り合った知人に対しても融資を行っていることから、たとえ本職としてやっていたわけではないにしろ、業として融資をしていたと評価される可能性があります。

【融資の利息が問題となる罪】
更に、融資をする際に刑事事件に発展する場合として、利息の問題が生じます。
利息は、融資を受けた(お金を借りた)人が、融資した側(お金を貸した人)に対して支払う、融資金以上の上乗せ金額を意味します。
通常、サービス期間などの場合を除き、消費者金融から融資を受ける場合には、融資金に加えて利息を支払うことが通常です。
そして法律は、この利息について制限を設けています。

具体的には、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(通称:出資法)」で、利息が制限されていて、
個人間の融資 ⇒109.5%を超える利息は違法
融資業者の融資⇒20%を超える利息は違法

条文は以下のとおりです。

出資法5条1項 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント…を超える割合による利息…の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2項 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

なお、この法律とは別に利息制限法という法律で利息の制限(融資金10万円未満は20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%)が設けられていて、利息制限法には違反するが出資法には違反しない、という状況に陥ります。
民法上、この場合には息制限法に違反した部分の利息は無効となり、支払う必要がないということになりますが、刑事事件にはなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、貸金業法違反や出資法違反などの刑事事件について取り扱っています。
奈良県香芝市にて、無登録での融資や高利息での融資により家宅捜索を受けた、取調べを受ける予定だ、という方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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