時計の文字盤を塗りつぶした際に問われる可能性がある罪として、器物損壊罪が挙げられます。
では、器物損壊罪とはどのような罪なのでしょうか。
今回のコラムでは、器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
器物損壊罪とは?
器物損壊罪は、刑法第261条に基づく犯罪です。
簡単に言うと、他人の物を損壊した場合に器物損壊罪に問われます。
では、「損壊」とはどういった行為を指すのでしょうか?
「損壊」とは、物そのものの形を変更させたり滅失させる行為や、その物自体の効用を害する行為を指します。
例えば、食器を割る行為や、車のタイヤをパンクさせる行為も、この「損壊」に該当します。
親告罪とは?
器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ起訴することができない犯罪を指します。
この特性により、被害者が告訴しない限り、起訴され刑罰を科されることはありません。
告訴が必要な理由
親告罪の存在理由は、被害者の意志に一定の尊重を与えるためです。
例えば、名誉毀損罪や侮辱罪なども親告罪に該当します。
被害者が示談を望む場合や、告訴を取り下げたい場合には、その意志が尊重されます。
時計の文字盤を塗りつぶしたら?
事例
奈良県大和郡山市に住むAさんは、上司のVさんに嫌がらせをする目的でVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしました。
Aさんが油性ペンで塗りつぶしたことを知ったVさんは、奈良県郡山警察署に被害届を出しました。
その後、Aさんは奈良県郡山警察署の刑事から話を聞かれることになりました。
(この事例はフィクションです。)
事例のAさんに罪は成立するのでしょうか。
結論から言うと、器物損壊罪が成立する可能性があります。
AさんはVさんの腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶしています。
油性ペンのインクはなかなか落ちないでしょうし、時計の文字盤を塗りつぶされてしまうと、時間を見ることはできなくなります。
腕時計の効用は時間を把握することでしょうから、時間を見れないとなると時計としての効用を失ってしまったと考えられます。
「損壊」というと、床にたたきつけて壊したりなどを思い浮かべますが、物の効用を失わせる行為も含まれます。
ですので、事例のAさんが腕時計の文字盤を油性ペンで塗りつぶした行為は、「損壊」にあたるおそれがあり、器物損壊罪が成立する可能性があります。
「損壊」の範囲
先ほどの事例からわかるように、「損壊」の定義は非常に広く、物の形状を変えるだけでなく、その効用を害する行為も含まれます。
このような広い定義により、多くの行為が器物損壊罪に該当する可能性があります。
行為が「損壊」にあたるかどうかは、事例によって異なりますので、器物損壊罪の容疑をかけられた場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
親告罪の刑事弁護活動
親告罪においては、被害者との示談がとても重要となります。
親告罪は告訴がなければ起訴できないため、被害者との示談によって告訴を回避または取り下げてもらうことができれば刑事罰が科せられることはありません。
示談交渉は基本的に被害者本人とすることになります。
ですので、今回の事例では、Vさん相手に示談交渉を行うことになります。
AさんがVさんに示談を締結して告訴を取り下げてほしいと頼んだ場合、VさんはAさんの要望に応えるでしょうか。
おそらく示談を締結してもらえないでしょうし、告訴も取り下げてもらえないでしょう。
それどころか、余計にVさんを怒らせてしまうかもしれません。
そういった事態を避けるためにも、示談交渉を行う際には弁護士を入れることをお勧めします。
弁護士を入れることで話がこじれることを防げる場合がありますし、示談を締結できる可能性があります。
器物損壊罪でお困りの方は、刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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