【事例紹介】奈良市内の飲食店で無銭飲食 詐欺罪で逮捕された事例
奈良市内にある飲食店で飲食代金を支払う意思や能力もないのに、飲食の提供を受けたとして、詐欺罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
1月17日夜、奈良市内の飲食店において、代金を支払う意思も能力もないのにあるように装って飲食を申し込み、飲食代金3,500円相当の飲食等の利便を受け、財産上不法の利益を得たとして、男(67歳)を詐欺で現行犯逮捕しました。
(1月22日発表 奈良県警察WeeklyNewsより引用)
詐欺罪
刑法第246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪は簡単に説明すると、人にうそをつき、そのうそを信じた相手からお金などの財物やサービスの提供などの財産上の利益を受け取ると成立する犯罪です。
このうそは、財物や利益を提供するうえで重要な事実に関するうそでなくてはなりません。
ですので、うそだと知っていても財物や利益を提供するような事実について、うそをついて財物や利益を受け取っても詐欺罪は成立しません。
今回の事例では、容疑者は奈良市内の飲食店で無銭飲食をしたとして、詐欺罪の容疑で逮捕されたようです。
無銭飲食をすると詐欺罪が成立するのでしょうか。
無銭飲食と詐欺罪
飲食店では、飲食の対価としてお金を払うのは当然ですから、わざわざ店員が支払う意思や能力があるのかどうかを客に確認することや客が注文の際に店員にお金を支払う意思や能力があることを伝えることはありません。
そういった事情から、客が注文をしたことで店員はお金を支払う意思や能力があると思うでしょう。
ですので、飲食店で注文をする行為は、対価としてお金を支払うと意思表示をしたことと同義だと考えられます。
無銭飲食では、支払う意思表示をしてサービスの提供を受けたのにお金を支払わないことになりますので、客が店員にうそをついてサービスの提供を受けたことになり、無銭飲食で詐欺罪が成立するおそれがあります。
今回の事例で、実際に容疑者が飲食代金を支払う意思や能力がないのに、あるように装って飲食をしたのであれば、詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪と不起訴処分
詐欺事件では、被害者と示談を締結することで不起訴処分を得られる場合があります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役ですので、罰金刑の規定がないことから有罪になれば必ず懲役刑が科されることになります。
不起訴処分は起訴されない処分ですので、不起訴処分を獲得することができれば、前科は付きませんし、刑罰も科されることはありません。
不起訴処分は、嫌疑が不十分な場合や事件の悪質性が高くない場合、被害者が加害者の処罰を望んでいない場合などに付されます。
被害者と宥恕付きの示談を締結することで、検察官に被害者が処罰を望んでいないと判断してもらえる可能性があります。
被害者が処罰を望んでいない場合には、不起訴処分を獲得できる可能性が高まりますから、不起訴処分の獲得を目指す場合には宥恕付き示談の締結を目指すことが重要になります。
では被害者と宥恕付き示談を締結するにはどうしたらいいのでしょうか。
宥恕のありなしにかかわらず、示談を締結するためには、示談交渉を行う必要があります。
ですので、加害者本人が示談交渉を行う場合には、加害者自らが被害者の連絡先を手に入れ、示談交渉を行わなければなりません。
ただ、加害者自らが連絡を取る場合には、連絡先を知られたくない被害者が交渉自体を拒否する可能性や交渉できたとしても処罰感情を逆なでしてしまう可能性があります。
また、今回の事例のようにお店相手に示談をしなければならないような場合には、連絡先を手に入れることは容易でも、示談は受け付けてもらえない可能性が高いです。
そういった場合でも、弁護士であれば連絡先を教えてもらえる可能性や示談に応じてもらえる可能性があります。
一度、示談を断られてしまった場合でも、再度弁護士が示談交渉を行うことで示談を締結できる場合がありますから、示談交渉を行う際は弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。
また、宥恕付き示談を締結する場合には、示談書に宥恕条項を加える必要があります。
どういった文言を示談書に記載すればいいのかわからない方も多いでしょうから、示談を考えている場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
示談交渉をはじめとした弁護活動によって、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
無銭飲食や詐欺罪でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。