怨恨がなくてもリベンジポルノ防止法違反?
リベンジポルノ防止法に違反する行為と、その捜査過程で行われる家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県大和高田市在住のAは、大和高田市内の会社に勤める会社員です。
Aは知人Vと大和高田市内のホテルで肉体関係を持ちましたが、その際に性交中の状況をVの同意のもとで動画撮影していました。
しかし、その後AはVには内緒で、アダルトビデオ投稿サイトにその動画をアップロードし、ユーザーに有料でダウンロードさせていました。
自身の動画がアップロードされていることに気づいたVは、大和高田市を管轄する高田警察署の警察官に相談の上、リベンジポルノ防止法違反であるとして刑事告訴しました。
後日、高田警察署の警察官は、Aの自宅に行って家宅捜索を行いました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【リベンジポルノ防止法】
リベンジポルノ防止法は、正式名称を私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律と言います。
リベンジポルノという言葉自体は、交際していたものの破局したカップルなどが、交際中に撮影したわいせつな動画・画像を第三者が閲覧できるようにする行為を指します。
もっとも、リベンジポルノ防止法では、その目的や関係性などを一切要件としていません。
条文を見ると、法3条1項は「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
(指示性的画像記録とは、①性交・性交類似行為、②性器等を触ったり触られたりする行為、③全裸・半裸などで性的な部分が露出されたり強調されたりしているもの、を撮影したものです。)
よって、Aのようにリベンジポルノと言われる目的がない場合でも、Vが特定される可能性がある性交中の動画をアップロードした場合には、上記①にあたる恐れがあることから、リベンジポルノ防止法に違反する可能性があります。
また、リベンジポルノ防止法の要件の一つに「不特定又は多数の者に提供」というものがありますが、Aのように不特定の者に販売する行為のほか、SNSで公開する行為も対象となります。
なお、リベンジポルノ防止法は親告罪ですので、被害者からの告訴がなければ公訴を提起することが出来ません。(リベンジポルノ防止法3条4項)
【家宅捜索について】
捜査機関が被疑者を特定した場合、早々に家宅捜索を行うことが一般的です。
家宅捜索は、被疑者が事件を起こしたという証拠を収集することを目的としています。
たとえ捜査機関といえども、怪しい人の家にいきなり押し入って証拠を探すということはできません。
まずは書類を揃えて、裁判所に対して「捜索差押許可状」などの令状を請求し、その令状が発付されたときにはじめて家宅捜索を執り行うことができます。
家宅捜索では、事件当日防犯カメラに写っていた着衣や靴跡として残っていた靴、犯行に使われた工具や凶器、盗品など、事件によって異なります。
もっとも、最近ではスマートフォンをはじめとする情報機器に証拠が残っていることが少なくないことから、スマートフォンやパソコン、タブレット端末、Wi-Fiのルーターは押収される可能性が高いと言えます。
【家宅捜索が来たら弁護士に相談】
家宅捜索を経て、捜査機関は被疑者をすぐに逮捕する場合もありますが、押収した証拠品を検討・鑑定したうえで逮捕するという場合もあります。
また、証拠が揃っていて逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合には、逮捕はせずに在宅で捜査を進めることもあります。
とはいえ、家宅捜索を受けるということは被疑者とされていることを意味するため、家宅捜索を受けたらすぐに弁護士に相談することが望ましいといえるでしょう。
奈良県大和高田市にて、怨恨はなかったもののリベンジポルノ防止法にあたる行為をしてしまい、家宅捜索を受けたという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談ができます。