預かっている18歳の甥っ子の飲酒を止めず、取調べを受けることになった事例
20歳未満の者の飲酒を止めなかったことにより取調べを受けることになった事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
奈良市に住むAさんは、お姉さんに頼まれ、Aさん宅の近くにある大学に通うことになった18歳の甥っ子を自宅に住まわせ生活の面倒をみていました。
Aさんが家でお酒を飲んでいたところ、お酒に興味をもった甥っ子に頼まれお酒を飲ませてしまいました。
甥っ子がお酒を飲んでも体調に変わりなそうであったことから、Aさんは甥っ子の飲酒を止めなかったところ、1時間後に甥っ子の体調が急変し、病院に運ばれました。
甥っ子は病院で適切な処置を受けたことから大事には至らなかったのですが、急性アルコール中毒だと診断されたことから、Aさんは、20歳未満である甥っ子にお酒を飲ませたとして奈良西警察署の警察官から取調べを受けることになってしまいました。
(事例は事実に基づくフィクションです。)
20歳未満の者の飲酒とその処罰
20歳未満の者の飲酒に関する法律として、「20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律」があります。
以前は未成年者飲酒禁止法だったのですが、成人年齢引き下げにより、法律が改正されました。
この法律は心身の不安定な20歳未満の者を飲酒から遠ざけるためのものです。
20歳未満の者の飲酒には、脳機能の低下、ホルモン分泌への悪影響、アルコール依存症の恐れなど様々な悪影響の恐れがあります。
20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律の処罰の対象となるのは、飲酒した本人でなはく、20歳未満の者に対して飲酒させた者が処罰の対象となります。
具体的には
・20歳未満としりながら酒類を販売・提供した営業者
・20歳未満の者の飲酒を知りながら、制止しなかった親権者・監督代行者
に刑罰が科されることとなります。
罰則
酒類の販売提供した場合
20歳未満の者であることを知りながら、酒類を販売提供した者は「50万円以下の罰金」に処されることになります。(20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律第3条1項)
例えば、飲食店で従業員が客が20歳未満であると知りながらもお酒を提供した場合や、年齢確認を怠って、お酒を提供して飲酒をさせた場合などです。
これは、事前に確認をすることで、20歳未満の者へのお酒の販売を抑止できることから、酒類を提供した者や販売をした者は制止すべき人と比較して重い処分が下されることになります。
親権者や監督代行者など制止すべき人が制止しなかった場合
科料に処されることになります。(20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律第3条2項)
科料とは、1000円以上10000円未満の金銭納付を命じる処分のことです。
また、制止すべき人とは、20歳未満の者の親が子どもの飲酒を知っているのに止めなかった場合や、親でなくても監督の責任がある立場で、20歳未満の後輩が飲酒しているのに止めなかった場合など、親以外にも制止すべき人が制止しなかった場合に処罰されるため注意が必要になります。
事例の検討
Aさんは、甥っ子と一緒に暮らし生活の面倒をみていたようですから、甥っ子の監督代行者にあたる可能性があります。
監督代行者は20歳未満の者の飲酒を制止しなければなりませんから、甥っ子の頼みとはいえ、甥っ子の頼みを断らずに飲酒させたAさんには20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律違反の罪に問われる可能性があります。
飲酒した甥っ子自身は罪には問われないものの、飲酒したことが大学に知られてしまえば大学から何らかの処罰が下される可能性があるでしょう。
まずは弁護士と相談
今回の事例では逮捕はされていませんが、状況によっては逮捕される可能性もないとはいえません。
科料であっても前科は付きますから、速やかに弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、さまざまな刑事事件に精通した法律事務所です。
ご家族の方が逮捕された、警察の捜査や呼び出しを受けて困っている方は、まずは0120-631-881までお気軽にお問合せください。