~前科とは~
刑罰を受けた場合に「前科」といいます。略式命令請求では裁判は開かれませんが、罰金刑を科されるので、前科が付きます。
~前科が付くと~
法律上は,禁錮以上の有罪判決を受けた場合はその刑の執行を終わり又は執行の免除を得たものが罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは,刑の言い渡しは効力を失うことになっています。罰金以下の有罪判決を受けた場合はその刑の執行を終わり又は執行の免除を得たものが罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときは,刑の言い渡しは効力を失うことになっています(刑法34条の2第1項)。
また,刑の全部の執行猶予の言い渡しを取消されることなくその猶予の期間を経過したときは,刑の言い渡しは効力を失うことになっています(刑法27条)。
このような法律的な効果の他、検察庁で保管される前科調書に名前が載り,前科は残り続けることになります。
~前歴~
刑事事件で捜査された記録を前歴といいます。
前歴は前科調書と同様に調書に名前が載り,捜査機関の記録には残りますが,前科と違って法律上不利益があるわけではありません。
もっとも、後に犯した罪の量刑判断には影響することがあります。
~前科があるとどうなるか~
前科の存在を一般人が確認することはできません。従って,前科があるからといって,通常の職業に就くことまで制限はされません。
ただし,就職の際に,賞罰欄がある履歴書は前科について記載しなければなりません。また,面接の際に,不自然な長い空白期間があると、その期間について質問される可能性があります。これらのときに前科があることを告げなければ告知義務違反となり,後に前科が発覚した場合、経歴詐称として解雇される可能性もあります。金融機関は身元調査が厳しいため,前科が突き止められれば就職できない可能性があります。警察関係も,上記の調書が流用される可能性がなくはなく,就職は困難と思われます。
また、職業によっては一定の前科がある場合は就けないことがあります。
例えば,国家公務員や地方公務員の場合,禁錮以上の刑に処せられた場合,その執行を終えるか刑を受けることがなくなるまでつまり執行猶予期間を終えるまでの間は就くことはできません(国家公務員法38条1号,地方公務員法16条1号)。弁護士の場合,禁錮以上の刑に処せられた者は弁護士となる資格を有しません(弁護士法7条1号)。
その他,罰金以上の刑に処せられた場合医師の免許を与えられない可能性があります(医師法4条3号)。
~前科を避けるには~
起訴されて有罪が確定しない限り前科はつきません。そこで,まずは不起訴を目指すことになります。犯情がそれほど重くない事件であれば、被害者と示談を締結することができれば十分不起訴が見込まれます。
事件の相手方等との連絡や示談交渉は、十分な知識と経験を有する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお任せください。