盗撮で逮捕されたら?
いわゆる盗撮をしてしまった場合の罪と、逮捕という手続き、釈放を求める弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【ケース】
奈良県奈良市在住のAは、奈良市内の会社に勤める会社員です。
Aは盗撮行為に興味を抱き、動画アプリを起動させたスマートフォンを手持ちの鞄に入れ、奈良市内の駅構内で好みのタイプの女性を探しては、その女性がエスカレーターに立った際にすぐ後ろに立ち、スカートの中にカメラを指し向けて盗撮をしました。
しかし、後ろに立っていた通勤客がAの盗撮行為に気づいたため、Aに声掛けして駅員室に連れて行きました。
その後、Aは臨場した奈良県奈良市を管轄する奈良西警察署の警察官は、Aを盗撮により逮捕しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【盗撮はどのような罪になる?】
ケースのような公共の場所や公共交通機関での盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例が問題となります。
ケースは奈良県奈良市を想定していますので、奈良県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(12条1項2号)に違反することになります。
罰条は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
【逮捕されたらどうなる?】
事件を起こしたとされる被疑者に対し、捜査機関は必要に応じて逮捕を行います。
逮捕は私人の権利を侵害する行為ですので、令状主義といって、原則として裁判所が発布した令状に従って逮捕するということになります(通常逮捕)。
一方で、ケースのように事件を起こした直後に逮捕される場合を現行犯逮捕と呼びます。
これは令状主義の例外規定ではありますが憲法もこれを認めていて、実務では全逮捕者のうち約40%が現行犯逮捕によるものとされています。
現行犯逮捕の場合は司法警察職員だけでなく私人にも行うことができますが、私人逮捕をした場合は直ちに司法検察職員に引き渡さなければならないと定められています。
現行犯逮捕については、逮捕時には令状は必要ありませんが、逮捕後に「現行犯人逮捕手続書」という書類を作成します。
また、逮捕されてから48時間以内に検察官に送致する必要があり、検察官は逮捕から72時間以内に勾留請求を行わなければ被疑者を釈放しなければなりません。
【弁護士が行う身柄解放活動】
逮捕されて勾留された場合、捜査段階で最大20日間勾留され、起訴された場合には起訴後勾留というかたちで勾留期間は更に伸びることになります。
逮捕された場合には仕事に行けず、電話などの通信もできず、家族等との面会についても制限されています。
逮捕あるいは勾留された場合、弁護人は、身柄解放のための弁護活動を行うことでの釈放を目指します。
≪逮捕前≫
一先ず在宅で捜査が開始されているという場合、警察官などの捜査機関に対して逮捕をしないよう求める弁護活動を行います。
被疑者には監視・監督ができる身元引受人がいて、出頭を誓約していることを捜査機関に主張することで、逮捕を回避できるという場合があります。
≪逮捕後・勾留前≫
逮捕された場合、警察官の判断で釈放するという場合はほとんどなく、原則としてすべての事件で検察官に送致され、まずは検察官が勾留の必要性について検討します。
弁護士は、検察官に対して「被疑者には定まった住居があり、監督者がいて証拠隠滅や逃亡の恐れがない」ことを主張します。
検察官が勾留を請求した場合、次は裁判所に対して勾留の必要がないこと・勾留の要件を満たさないことを主張します。
≪勾留後≫
裁判官が勾留を決めた場合には、以下の2通りの弁護活動が求められます。
・勾留決定に対する準抗告申立
勾留は、裁判官1人でその判断を下します。
その判断に対して弁護人や検察官が不服を申立てる手段として、勾留決定に対する準抗告の申立があります。
準抗告は、勾留の判断をした裁判官とは別の裁判官3人による合議体で、勾留の判断が正しかったのかどうかを検討します。
合議体とはいえ、一度裁判官が下した判断を別の裁判官が覆すという場合は、そう多くありません。
・勾留取消
勾留後の身柄解放活動については、準抗告のほかに勾留取消を求める弁護活動があります。
勾留取消は、事後的に勾留の理由や必要性がなくなった場合に認められるものです。
ケースの場合は被害者がいる事件ですので、示談交渉により被害者に対する謝罪や賠償のほか、接触の禁止などの約定ができた場合などが考えられます。
奈良県奈良市にて、ご家族が盗撮などの嫌疑で逮捕されたため、釈放を求める弁護活動について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。