痴漢

~痴漢とは~

痴漢罪というものがあるわけではありません。痴漢といっても何をするかは様々で、痴漢行為というものを端的に言い表すことはできないからです。

なので、条例や法律は、このような行為をすればこのような処罰をする、ということを個別に定めています。何をしたかによって、たとえば迷惑防止条例違反で処罰されたり、あるいは強制わいせつ罪で処罰されたりします。

 

~迷惑防止条例違反~

現在では、ほとんどの自治体で迷惑防止条例と呼ばれる条例があります。たとえば、奈良県では「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という名前の条例がこれに当たります。

奈良県の迷惑防止条例では次のように定めています。

 

1 構成要件該当性(奈良県迷惑防止条例12条1項1号、3号)

(1)客観面

  1. 人に対し
  2. 公共の場所又は公共の乗物において
  3. 人を著しく羞恥させ、又は人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で
  4. みだりに
  5. 人の胸部等の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物の上から触れる行為等の卑猥な言動をすること

②について、不特定又は多数人が自由に出入りする場所でなければなりません。たとえば、電車内はこれに当たります。

 

(2)主観面

過失犯処罰規定はありません。従って、意図的に触れるつもりがなかったのなら犯罪は成立しません。例えば、たまたま電車が大きく揺れて体勢が揺らいでしまったために、相手方を羞恥させるような体の場所に手が触れてしまったような場合は、迷惑防止条例違反の罪には当たりません。

 

2 罰則

6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(奈良県迷惑防止条例13条1項)。

常習として行った場合は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(奈良県迷惑防止条例13条5項)。

 

~強制わいせつ罪~

服の上からでなく、服の中に手を入れたような場合には、迷惑防止条例違反ではなく強制わいせつが成立する可能性があります。

 

1 構成要件該当性(刑法第176条)

(1)客観面

  1. 13歳以上の男女に対し
  2. 暴行又は脅迫を用いて
  3. わいせつな行為をすること

②は、相手方の反抗を著しく困難にする程の暴行又は脅迫がこれに当たります。従って、わいせつな行為をしても、暴行又は脅迫していない場合、あるいは暴行又は脅迫が相手方の反抗を著しく困難にするほどではなかった場合は、強制わいせつ罪は成立しません。もっとも、たとえばいきなり背後から抱きつくなど、わいせつ行為それ自体に暴行としての性質があるような場合は、暴行又は脅迫を用いたと認められます。

迷惑防止条例とは異なり、公共の場所で行ったかどうかは関係ありません。

なお、被害者が13歳未満の男女にわいせつな行為をした場合は、暴行又は脅迫を用いなくても強制わいせつ罪が成立します。

 

(2)主観面

過失犯処罰規定はありません。

なお、以前は、わいせつな目的を持って行わなければ強制わいせつ罪は成立しないとされてきましたが、現在では、わいせつな目的がなくても成立しえます。

 

2 罰則

6月以上10年以下の懲役に処せられます(刑法第176条)。

 

~親告罪ではない~

迷惑防止条例違反は従来から親告罪ではなく、告訴がなくても刑事裁判になります。

強制わいせつ罪も、刑法が改正され、親告罪ではなくなりました。これは改正以前の行為についても適用されます(訴追要件の変更なので、刑罰の不利益変更ではなく、不遡及原則に違反するものではありません)。

これにより、告訴を取り下げてもらいさえすれば裁判になることは避けられるということがなくなりました。

ただし、捜査実務としては、従来どおり被害者の意向に最大限配慮するということになっているとのことなので、強制わいせつ罪で逮捕されても、起訴されるどうかについて被害者の意向は重要と言えます。

 

~弁護活動の例~

1 無罪の主張

痴漢・強制わいせつ行為を行っていないのに容疑をかけられてしまった場合は、嘘の自白をしないよう、取調べについての対応をアドバイス致します。

また、目撃者や客観的な証拠を探し出すことで、被害者の供述は信用できないことを主張していきます。

更に、強制わいせつ罪においては、暴行又は脅迫の程度が強くないことを裏付けることで、強制わいせつ罪が成立しない場合があります(暴行罪等の別の罪に当たる場合はあります)。

 

2 示談

実際に痴漢行為をしてしまった場合でも、起訴前に示談をすることによって、不起訴処分により前科がつかなくなる場合があります。

また、示談をすることで釈放の可能性も高まり、早期の職場復帰、社会復帰を図ることもできます。

起訴前でも起訴後でも、被害弁償や示談の有無、被害者の処罰感情が処分に大きく影響するので、弁護士を介して示談をすることが重要です。

 

3 早期の身柄解放

痴漢事件で逮捕されても、適切な取調べ対応と弁護活動によって早期の身柄解放も不可能ではありません。

逮捕後に勾留されないようにするためには、逮捕後の早い段階で弁護士と接見し、取調べ対応を協議したり、身元引受人の協力を得たり、反省の意思や二度と痴漢・わいせつ行為をしない旨を主張したりします。

 

4 更生環境調整

必要であれば、矯正プログラムを検討したりして再犯防止のサポートをします。

性犯罪を起こした方は、自分の行為を恥じ、深い後悔をされている方がほとんどです。

しかし、そのような行為を止めたいと思いながら、自らをコントロールできずに、同種行為を繰り返してしまう方もいます。このような場合には、医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みるように促します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件専門の事務所として,刑事事件の経験が豊富な弁護士・スタッフが在籍しておりますので,痴漢・強制わいせつについてのご相談がございましたら,弊所にご相談ください。

 

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