~逮捕・監禁罪~
不法に人を逮捕し,又は監禁した者は,3月以上7年以下の懲役に処する(刑法220条)。
~逮捕・監禁致死傷罪~
前条の罪(刑法220条)を犯し,よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する(刑法221条)。
「逮捕」とは,直接的な強制によって移動の自由を奪うことをいいます。多少の時間的継続を要し,瞬間的なものは暴行となります。
「監禁」とは,一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。
なお,監禁手段としては,脱出は全く不可能でなくとも,著しく困難であれば監禁罪が成立します。例えば,無理やり自動車やバイクに乗せて疾走する行為も監禁罪にあたります。
また,監禁は物理的方法のみでなく,脅迫等により心理的に脱出を困難にする場合も含みます。よって,入浴中の女性の衣服を脱衣場から持ち去り,その女性が羞恥心のために浴室から出られなくなった場合,監禁罪が成立する可能性があります。
なお,逮捕して監禁した場合は,逮捕監禁罪が一罪成立するとされています。
逮捕・監禁致死傷は、逮捕・監禁の手段たる暴行,脅迫から致死傷の結果を生じた場合のほか,被害者が監禁場所から逃亡しようとして致死傷の結果を生じさせた場合に成立します。
一方で,監禁中に加えられた暴行による傷害であっても,その暴行が監禁を維持する手段ではなく,単に監禁の機会になされたものであるときは、監禁罪と傷害罪の2罪が成立します。
逮捕・監禁致死傷の刑は,致傷の場合であれば3月以上15年以下,致死の場合であれば3年以上20年以下の懲役になります。
~弁護活動の例~
1 示談
逮捕・監禁事件において,早期に被害者との示談を成立することができれば,検察官による不起訴処分や裁判を経ても執行猶予判決を受けることが可能となりえます。不起訴処分を受けると前科とはなりません。なお,脅迫罪では、起訴されたとしても略式起訴ですむ可能性があります。
2 逮捕・監禁罪不成立の主張
被疑者が脅迫行為や強要行為を否認している,あるいは,被害者と言われている方が真の同意のもとで被疑者の部屋や車に乗り込んだ場合,逮捕・監禁罪が成立せず無罪を獲得できる可能性があります。
弁護士は,捜査機関の主張が十分な事実や証拠に基づいていないということを的確に指摘し,不起訴処分・無罪判決に持ち込む弁護活動をします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件を中心に取り扱う事務所として,刑事事件の経験が豊富な弁護士・スタッフが在籍しておりますので,逮捕,監禁についてのご相談がございましたら,弊所にご相談ください。