ストーカーと迷惑防止条例

ストーカー規制法と迷惑防止条例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

◇事件◇

奈良県奈良市に住む会社員のAは、交際していた女性から突然別れを告げられました。
突然のことに納得がいかず、Aは何度も女性の家を訪ねました。
女性はAを無視し続け、ついに奈良県奈良警察署に通報しました。
奈良県奈良警察署から呼び出しを受けたAは、もう女性には近づかないという内容の誓約書にサインをしましたが、それでもAは気持ちを抑えることができず、その後もAは女性に対してのメールや電話を続けました。
すると、奈良県奈良警察署の警察官がAの自宅に訪れ、Aはストーカ―規制法違反の疑いで逮捕されることになってしまいました。
Aは、もう恋愛感情はないと、ストーカーを否認しています。
(この事例はフィクションです。)

ストーカー規制法

ストーカー規制法には、つきまとい等として以下の行為が規定されています。

1.つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつきなど
2.監視していると告げる行為
3.面会や交際など義務のないことの要求
4.粗野又は乱暴な言動
5.無言電話・連続した電話、メールなど
6.汚物などの送付
7.名誉を傷つける事項の告知
8.性的羞恥心の侵害 

そして、このつきまとい等を反復してすることをストーカー行為だと規定しています。
ストーカー行為によるストーカー規制法違反で起訴されて有罪が確定すると「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科されることになります。
なお、いきなりストーカー行為で処罰するわけではなく、「禁止命令」を出し、つきまとい等の反復の禁止や、こうした行為を防止するために必要な事項を命じられる場合があります。
この禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」の範囲で処罰されることになります。

迷惑防止条例

ストーカー規制法に規定されているつきまとい等に関しては各都道府県に規定されている迷惑防止条例にもほとんど同じものが規定されています。
奈良県の条例では以下のとおりです。

第10条 
「何人も、正当な理由がないのに、電話その他の電気通信の手段、文書又は図画により、他人に対し、反復して、虚偽の事項、卑わいな事項等を告げ、粗野若しくは乱暴な言語を用いて、又は電話で何も告げず、著しく不安又は迷惑を覚えさせるような行為をしてはならない。」

 

第11条 
「何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、反復して、追随し、待ち伏せし、又は住居、勤務場所、学校、宿泊場所等を訪れ、かつ、言い掛かりをつけ、すごみ、身体、衣服等を捕らえる等不安、しゆう恥、迷惑又は嫌悪を覚えさせるような方法で、つきまとい、又は面談その他義務のないことを行うよう強要してはならない。」

条例第10条、第11条の罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。

ストーカー規制法と迷惑防止条例の違い

ストーカー規制法のつきまとい等と内容的にはほとんど同じ内容が迷惑防止条例にも規定されています。
この二つの大きな違いは、目的です。
ストーカー規制法では、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行った場合をつきまとい等と規定しています。
今回Aは恋愛感情を否認していますが、「それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」だと判断される可能性は高いでしょう。
また、Aの否認が認められたとしても、迷惑防止条例では、「何人も正当な理由なく」と規定されているため、単なるいやがらせ目的の場合でも、迷惑防止条例違反となってしまうことが予想されます。
詳しくは、状況や関係性など細かな要素も関係してきますので、刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
迷惑防止条例違反やストーカー規制法違反では、被害者との示談が最終的な処分に大きな影響を及ぼします。
刑事事件に強い弁護士は示談交渉の経験も豊富ですので、安心してお任せください。
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