仕事からの帰宅途中で背後から通行人の髪の毛を引っ張った事例②

仕事からの帰宅途中で背後から通行人の髪の毛を引っ張った事例②

不安

背後から髪の毛を引っ張った事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

奈良県橿原市に住むAさんは仕事でうまくいかず、むしゃくしゃしていました。
帰宅途中に幸せそうに歩いているVさんを見かけ、Vさんに近寄り、背後からVさんの髪の毛を引っ張りました。
Vさんが叫び声をあげたため、Aさんは慌ててその場から逃げました。
その日の夜、Aさんは、Aさんの犯行が不審者情報として周知されたことを知り、Aさんは逮捕されないか不安になっています。
(事例はフィクションです。)

自主の成立とリスク

自主という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

刑法第42条1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

刑法第42条1項が規定するように、自主が成立した場合には、刑が減刑される可能性があります。
また、自首をした場合、自らが犯人だと名乗り出るわけですから、証拠隠滅や逃亡のおそれがないと判断される可能性があり、逮捕のリスクを少しでも下げられる可能性があります。

ただ、自らが犯人だと名乗り出たからといって、必ずしも自主が成立するわけではありません。
刑法第42条1項が規定するように、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前」に名乗り出る必要があります。
「捜査機関に発覚する前」とは、犯罪が発覚する前犯人のだれであるかが判明する前(最高裁判所 判決 昭和24年5月14日)だとされています。
例えば、事件が起きたことが捜査機関に発覚していない場合や犯人の目星がついていない場合などに自主が成立することになります。
ですので、犯人が誰なのか見当がついている状態で、犯人だと名乗り出たとしても自主は成立しないことになります。

今回の事例では、Aさんの犯行が不審者情報として周知されているようですから、Aさんの犯行は捜査機関である警察署に発覚しているといえます。
この後、Aさんが警察に出頭した場合に、犯人が誰なのか見当が全くついていない状況であれば自主は成立するでしょうし、そうでないのであれば自主は成立しないことになります。

繰り返しになりますが、自主が成立することによって、科される刑が少しでも軽くなる可能性がありますし、逮捕を回避できる可能性もあります。
このように自主にはかなりのメリットがあるように思われます。

ですが、自首にはデメリットもあります。

自主をすると科される刑が軽くなる可能性がありますが、必ずしも軽くなるわけではありませんし、刑が軽くなったとしても、刑を科される以上は前科が付くことになります。
また、自主をしないことで、犯人だと発覚せずに済む場合もあります。

自ら犯人だと名乗り出る場合には、弁護士に相談をしメリットとデメリットをきちんと把握してから出頭するのが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
自主でお悩みの方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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