略式手続

~略式手続とは~

略式手続とは、簡易裁判所が、公開の法廷を開かないで罰金又は科料を科する手続のことです。

 

~略式手続の特徴~

略式手続だと、いわゆる裁判は開かれることがありません。

通常の刑事裁判では、数か月に及ぶ間に、証人尋問や被告人質問の期日や、判決が言い渡されたりする期日などが飛び飛びに開かれます。そして、被告人はその度に裁判所に出頭しなければなりません。

しかし、略式手続だと、証人尋問や被告人質問は行われず、判決の言渡しもありません。

なので、審理のために裁判所に出頭させられることはありません。家などに罰金・科料の納付書が送られてくるので、それを持って検察庁の窓口に行って、支払いをすれば終わります。

略式手続で処理される事件の代表例は交通事件ですが、交通事件でいわゆる赤切符を切られて検察庁に呼び出された場合などは、その日の内に検察庁の窓口で罰金を支払って終わります。

このように、略式手続には、刑事裁判の手続から早く解放されるというメリットがあります。また、略式手続で科される刑は、100万円以下の罰金又は科料までです(刑事訴訟法461条)。これを超える刑罰、たとえば懲役や禁錮などは科されません。つまり、略式手続になるということは、刑務所に行ってしまうような処罰は科せられないということ
を意味します。

一方、証人尋問や被告人質問を行わないということは、こちらの言い分を裁判所に主張する機会は一切ないということです。

また、罰金又は科料であっても、当然、前科にはなります。

略式手続を採ることは、上のように、メリットもあればデメリットもあります。検察官が事件を略式手続にしたいと申し出てきても、これらの点をよく考え、慎重に判断しましょう。

 

~略式手続の手続の流れ~

略式手続を採るためには、次の条件を満たすことが必要です。

  1. 事件が簡易裁判所の管轄に属する事件で、100万円以下の罰金又は過料を科すことができる事件であること
  2. 略式手続によることについて被疑者に異議がないこと

検察官が1の条件に当たる事件を略式手続で終わらせたいと考えた場合、被疑者に、略式手続について理解させるために必要な事項を説明し、通常の裁判を受けることができる旨を告げた上で、略式手続によることについて異議がないかどうかを尋ねてきます(刑事訴訟法461条の2第1項)。

異議がないときは、その旨を書面で明らかにします(刑事訴訟法461条の2第2項)。

口頭で回答しただけでは2の条件を満たしたことになりません。書面で明らかにする方法は、検察官から通称「略請け」と呼ばれる書面を示され、それに署名・押印する方法によることが一般的です。
「略請け」を取ったら、検察官は、簡易裁判所に略式命令請求をします(刑事訴訟法462条第1項)。

略式命令請求がされても、裁判所は、それが相当でないと判断した場合は、事件は正式裁判になります(刑事訴訟法463条1項)。もっとも、そのような例はほとんどないでしょう。

略式手続により罰金又は科料を受けても、その告知を受けた日から14日以内であれば、事件を正式な裁判で裁いてほしいと請求することもできます(刑事訴訟法465条1項)。

略式手続について不安や疑問がある方、略式手続を希望される方は、略式手続の実績豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。略式手続について説明をしたうえで対応方法をアドバイスいたします。

 

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