お金を無心されたことで心臓を複数回包丁で突き刺し死亡させた事例
心臓を複数回包丁で突き刺し、死亡させたとして殺人罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
奈良市に住むAさんは常日頃、親戚のVさんからお金を無心されていました。
Vさんからの無心により貯金が底をついたAさんは、Vさんを許せなくなり、Vさんの心臓の辺りを狙って、複数回包丁で突き刺しました。
その後、Vさんは亡くなり、Aさんは殺人罪の疑いで奈良西警察署の警察官に逮捕されましたが、「Vさんを殺すつもりはなかった。」と容疑を否認しました。
(事例はフィクションです。)
殺人罪
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
殺人罪を簡単に説明すると、人を殺す意思をもって人を殺すと成立する犯罪です。
今回の事例では、AさんがVさんの心臓を狙って複数回包丁で刺しています。
Aさんは「Vさんを殺すつもりはなかった」と容疑を否認しているのですが、Aさんに殺人罪は成立するのでしょうか。
繰り返しになりますが、殺人罪が成立するためには、加害者が殺す意思をもって被害者に危害を加えている必要があります。
ですが、加害者が犯行当時に被害者を殺そうと思っていたかどうかは加害者以外知りようがなく、加害者が殺す意思はなかったと否定すれば、殺人罪が成立しないことになってしまいます。
では、殺す意思があったかどうかをどのように判断するのでしょうか。
殺す意思があったかどうかは、加害者の供述だけでなく、凶器の有無や危害を加えた箇所、危害を加えた回数、動機の有無などから総合的に判断されます。
今回の事例では、お金を無心されることに許せなくなり、心臓を狙って包丁で複数回刺しています。
AさんはVさんを殺したいと思う動機があるように思えますし、包丁で急所である心臓を複数回刺せば人が死んでしまうことは容易に想像できるでしょう。
Aさんは恨みをもっているVさんに、殺してしまう可能性が高い行為を行っているわけですから、殺す意思がなかったと否認していたとしても殺す意思があったと判断され、殺人罪が成立する可能性があります。
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